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関東大学春季大会A 対慶應義塾大学戦

関東大学春季大会A 対慶應義塾大学戦

2018/06/12

6月10日(日)・富山県総合運動公園陸上競技場
○帝京大学(勝点25)52-12慶応義塾大学(勝点12)●
 


《帝京大学》
[FW]
(1)岡本⇒小山(2)呉⇒清水(3)淺岡⇒當眞(4)藤田⇒野田(5)秋山(6)菅原(7)野沢(8)トンガタマ⇒今村
[BK]
(9)小畑⇒土永(10)北村⇒押川(11)竹山(12)マクカラン(二)(13)松本(14)尾﨑(15)奥村⇒井上


《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)竹内(2)中本(3)坂田(4)植竹(5)辻(6)川合(7)北村(8)山中
[BK]
(9)江嵜(10)古田(11)宮本(瑛)(12)栗原(13)三木(14)高木(15)宮本(恭)


【前半】【得点経過】

【6分】帝7-0慶
ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからLO秋山が持ち出し、押し込んでトライ。ゴール成功。

【16分】帝14-0慶
ラインアウトからモールを押し切って、HO呉がトライ。ゴール成功。

【25分】帝19-0慶
LO秋山、FB奥村の好タックルで相手がノックオンしたボールをFL野沢がすばやく拾って、No8トンガタマへパス。トンガタマからCTBマクカラン(二)-WTB竹山へと渡り、竹山が抜け出し、走り切ってトライ。

【36分】帝19-5慶
マイボールのラインアウトを奪われ、攻められる。キックパスを拾われてトライを奪われる。

【40分】帝26-5慶
ラインアウトからモールを押し切り、HO呉がトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】

【4分】帝26-12慶
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。

【16分】帝31-12慶
スクラムから連続攻撃。乱れかけたボールもHO清水、WTB尾﨑らがしっかりつなぐ。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が外へキックパス。WTB竹山がキャッチしてトライ。

【23分】帝38-12慶
ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-SO北村-CTBマクカラン-FB奥村へと渡り、奥村が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。

【31分】帝45-12慶
相手のノックオンしたボールをPR淺岡が拾って、FL菅原へパス。菅原が相手ディフェンスをかわし、走り切ってトライ。ゴール成功。

【39分】帝52-12慶
フリーキックをSH土永がタップキックして連続攻撃。土永からNo8今村-SO押川-CTBマクカラン-FB井上と渡り、井上が抜け出す。さらにWTB竹山へと渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》

春季大会最終戦は慶應義塾大学との試合。「富山県ラグビーフットボール協会設立70周年記念事業」として、富山県総合運動公園陸上競技場で行われた。台風5号の影響も懸念されたが、富山はこの日、曇天ながらも雨は降らず、また風もそれほど強くなく、気温も低いという選手たちにとってはいいコンディションの中で行われた。先制したのは帝京。前半6分、ラインアウトからFWで連続攻撃。最後はLO秋山がねじ込むようにしてトライを奪う。16分にはモールを押し切ってHO呉がトライ。25分にはLO秋山、FB奥村らの好タックルからチャンスをつかむ。こぼれ球にFL野沢がすばやく反応して展開。WTB竹山まで渡り、竹山がスピードで振り切り、19-0とリードを広げる。ただ、ここで少しホッとしたのか、やや激しさを欠き、ミスも出始める。36分に失点するが、前半終了間際に再度、モールで取り切り、26-5で前半を折り返した。後半は開始早々、ミスから相手に攻め込まれ、失点を許してしまう。これで逆にスイッチが入ったのか、ここからは帝京の時間帯となる。16分、途中出場のHO清水が乱れかけたボールにうまく働きかけて継続。FL菅原が抜け出したあとも、さらに乱れかけるが、WTB尾﨑がフォローし、しっかりと継続。SO北村のキックパスがWTB竹山へとつながりトライ。守る時間帯でも、全員で組織的に守り、大きなゲインは許さない。帝京は後半も得点を重ね、52-12でノーサイド。最終戦に勝利し、春季大会Aは勝点25の2位で全日程を終えた。
 
 
  
  

《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日は春季大会の最終戦でしたが、まだまだ積み上げていかなければいけない部分がたくさん見えたゲームになりました。一つ一つの判断、コミュニケーション、正確なプレーをやり切ること、中盤に点差が開いたところでも集中力を切らさないことなど、今後への課題がたくさん見えたと思います。もちろん、いいところもたくさんありましたが、相手の仕掛けてくることに対して、きちっとしたプレーで対応する判断力、圧倒できる力強いプレー力をもっともっと高めていってほしいと思っています。今後、夏、秋に向け、みんながしっかりと考え方を理解して、一人一人が成長していって、それが一つにまとまったとき、本当のチームになって行くだろうと思っています。この春シーズンを経て、一人一人が『もう少し頑張らなければいけない』と感じてくれたらと思います。最後になりましたが、慶應義塾大学の選手、スタッフ、関係者の皆様、またご招待いただきました富山県ラグビーフットボール協会、ならびに大会関係者の皆様、大会運営に携わっていただいたすべての皆様に御礼を申し上げます。ありがとうございました。」


■キャプテン・LO秋山大地(4年)
「今日は、春季大会ラストゲームということで、ベストゲームをしようとチーム全員で意思統一して、この試合に臨みました。最初は前に出る意識もあって、よかったと思うのですが、その後、ところどころ前に出られない場面がありました。体力的な面、スキル的な面、両方反省すべき点が出ましたが、そこで課題が見つかったのはよかったとも言えると思います。この春季大会では優勝を逃してしまいましたが、これで終わりではありませんし、このままでは終われないので、チーム全員がこの悔しさを共有して、夏、秋とチームが一丸となっていくためのエネルギーにして、悔しさを忘れずにやり続けていきたいと思います。」


 

■自身はタックル不発と反省も、随所で激しいプレーを見せた・FL野沢涼介(3年)
「今日は、自分の強みであるディフェンスをあまりしっかり出せませんでした。今日の反省を活かして、次はもっといいディフェンスができるようにしたいです。緊張して、体が固まってしまって、いつもならタックルに行けるところで行けなかった場面が多くありました。次はもっとリラックスしてプレーできるようにしたいです。アタックでは、ゲインできる場面もあったので、さらに力強いゲインができるように、周りを見て、相手との間合いをずらしてゲインできるようにしたいです。自分はこれまでケガが多かったので、この夏、さらに秋シーズンと、ケガをしないでプレーし続けられるように頑張っていきたいと思います。」


 

■好タックルで相手のノックオンを誘う・PR小山翔也(4年)
「出場時間が短かったのは、特にスクラムに関して自分に足りない部分があったからで、今日の試合でもそれを痛感しました。まずはスクラムを磨いて、安定したスクラムを組めるようにして、チームの信頼を得て、もっと長い時間プレーできるようにしたいです。相手がノックオンしたタックルについては、自分が特別にいいタックルをしたというよりも、相手が自分のところに入ってきたので、それに対してしっかり体を張ろうと思ってタックルをした結果だと思います。夏、秋に向けては、やはりスクラムを強化して、安定したスクラム、相手に勝てるスクラムを組めるようにしていきたいです。また、自分はもともとFW第三列をやっていたこともあり、PRとしての運動量には自信があるので、その強みの部分を活かして、フィールドプレーでもいままで以上にしっかり走って、頑張ってやっていきたいです。」


 

■初出場も落ち着いたプレーでトライを演出・SO押川敦治(1年)
「今日は初めてAチームの公式戦メンバーとして出場させていただき、またすごく大きくて立派なスタジアムで、観客の方がたくさんいらっしゃる中で緊張も大きかったのですが、先輩方がフォローや声掛けをしてくださったので、自分のできることを一生懸命やろうという気持ちでプレーしました。出場時間は長くはなかったのですが、トライにつながるプレーもあり、すべてをポジティブに捉えて、今後も出場できるように努力していきたいです。帝京大学ラグビー部に入ってまだ2ヵ月ちょっとしか経っていない自分にとって、試合だけではなく、そこへ向かう準備の段階からいろいろ貴重な経験をさせていただいたことは、必ず今後につながっていくと思います。今日の経験を自分の武器にするために自分の中でもう一度、整理をして、スキルも体力ももっと向上させて、夏、さらにはその先を見据えて、一歩一歩、階段を上っていきたいです。」
 




《PICK UP PLAYERS》

好タックル連発も自身は成長のための課題を列挙

CTB 松本 健留(2年)
MATSUMOTO KENTO


 
医療技術学部スポーツ医療学科
大阪桐蔭高校出身
身長176cm/88kg


■まずは、今日のゲームを振り返って、感想からお願いします。
「今日、初めてAチームの試合に出させていただいたのですが、正直、まだまだ足りないところばかりだと実感させられました。」

■どのようなところでそう感じたのでしょうか。
「例えば、フィットネスが全然足りません。ずっとケガをしていたこともありますが、80分間出させていただいたのに、常にいいパフォーマンスを出すということができませんでした。また、Aチームでプレーするようになったのが今週からというのもあり、まだまだ周りとのコミュニケーションが密になっていないと感じました。試合の中で自分が練習ではやっていない、初めて遭遇するシチュエーションがあって、自分のイメージになかったプレーがたくさん起こって、そこで慌ててしまった場面もありました。あとは、アタックでは自分のイメージが少なくて、判断ミスが多く、自分の力不足を感じました。」

■ハーフタイムに岩出監督から『松本のようなタックルをみんなでやろう』というお話がありました。これはかなり評価されている証しです。
「自分のディフェンスにおけるハートの部分を評価していただいたのは、とても嬉しく思います。ただ、そのタックルでもまだまだバインドが甘く、相手にゲインを許してしまいました。また、FWとの連携が取れずに、ギャップができてミスしてしまったところもあったので、ハートの部分は毎試合、いいマインドで取り組んでいきたいと思いますが、スキルとFWとのコミュニケーションについては、まだまだ不足していると感じました。」

■アタックでは、CTBとして相手と最初にぶつかる場面も多かったですが、やってみて、いまどう感じていますか。
「まだ、真正面から当たりに行ってしまうことが多く、今日に関しては、早めにプレッシャーを受ける場面もあり、自分の思うようなアタックができませんでした。もっとステップワークを使って、相手をずらして前に出ていくようにしたいです。」

■反省点も多く出たようですが、いいところもたくさんあったと思います。
「ディフェンスでセットがきちんとできた場面では、しっかりと前に出られました。そこはよかったです。あと、一番よかったのは、ケガなく終えられたこと。これまでは試合に出てはケガをするという繰り返しだったので、80分間プレーをしてケガをせずに終えられたのはよかったです。」

■やはり、このような高いレベルの試合で80分間プレーできたことは、大きな自信になりますね。
「試合の中ではミスをたくさんしてしまいましたが、このミスは今後の自分の成長に必ずつながっていくと思うので、悲観的に捉えずに、練習で修正を行い、もっともっといいプレーができるようにしていきたいです。」

■春シーズンはここで終わりますが、夏、そして秋のシーズンへ向けての意気込みをお願いします。
「まずはケガを絶対にしないこと。その中で、アタックもディフェンスも基本の部分、例えばコミュニケーションなどをしっかりとやって、周りといい連携を取って、試合で自分のいいパフォーマンスをもっと出せるようにしていきたいです。」

Aチームの公式戦は初出場。ハーフタイムで岩出監督から「松本のようなタックルをみんなでやろう」と声がかかるほど、前半から激しいディフェンスを見せていた。昨年度から期待も大きかったのだが、その激しさゆえにこれまではケガが多く、治療やリハビリの日々が続いていた。この春シーズンの最後にようやく出場が叶い、強いハートを見せてくれたと同時に今後の成長の糧も自らつかんでくれたようだ。本人も語るように、ケガをしないことが第一。ケガをせずに順調に練習を積んでいければ、夏、秋には周囲の予想を上回るほどの大きな存在となっているかもしれない。




《COLUMN》

―― 慣れることで成長できる ――

この日の試合前、岩出監督が興味深い話をしてくださいました。BチームやCチームでは抜群にいいプレーをするのに、Aチームの試合に出たとたんにそのプレーができなくなる選手がいるが、その原因は何かという話です。特にタックル。BやCの試合ではタイミングよくタックルに入れていたのに、Aの試合に出るとタックルに行くことすらできなくなる選手も少なくないと言います。

岩出監督自身も、現役時代にそういう経験をされ、それを克服した体験があるそうです。また、監督になってからも、そういう選手を大勢、見てきたと言います。

その最大の原因は「Aチームのスピード感に慣れていないこと」なのだそうです。

「例えば、同時に5つのポイントを確認しなければいけない場面があったとします。BやCのスピード感なら、5つすべてをしっかり確認してからでもタックルに行けるのですが、Aだとそれでは間に合わないことが多い。そのAのスピード感に慣れていないと、状況をしっかり確認すればするほどタックルに行くタイミングを逸してしまうんです。」

これを克服するには、Aチームのスピード感に慣れること、スピード感を体で覚えることしかないと言います。

「Aのスピードに慣れてくると、5つの確認事項があっても、そのうちの3つぐらいは意識しておく程度で十分で、それほどしっかり確認しなくても対応可能なものだったりすることがわかってきます。しっかり確認すべき事項が1つか2つぐらいなら、Aのスピードにも対応できるでしょう。それが慣れるということです。」

このスピード感に慣れるまでの時間は人によりけりですが、慣れたとたんに大ブレークする選手もたくさん見てきたそうです。いまやトップリーグで大活躍している選手の中にも、学生時代はこのスピード感に慣れるまでかなり苦労した人がいるそうです。

「ある選手はBでは抜群。でも、Aで出るといいプレーができない。かなり我慢してメンバーに入れていたけれど、もう限界かな、次は別の選手を入れた方がいいかなと思った試合で、突然、ブレークした。それ以来、メンバーから外せない選手になりました。」

この日の試合、Aチームで初出場だったり、かなり久しぶりに出たりという選手もたくさんいました。おそらく、Aチームのスピード感に戸惑い、思ったようなプレーができなかった選手もいたことでしょう。

でも、まだまだこれからです。思ったプレーができなかった最大の原因が「慣れ」だとしたら、この日のプレーで感じた感覚をいつでも思い出して、慣れる努力をしていくことで克服できるはずです。

「慣れる」とは「自身のスタンダードが上がる」こととも同じと言えるでしょう。スタンダードが上がり、それが当たり前になったとき、その成長ぶりを自分も周囲も認めるようになるでしょう。ここから夏、秋とそんな成長をどれほどたくさんの選手たちが見せてくれるか。とても楽しみです。






《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

PR 奥野翔太(1年)
常翔学園高校出身
身長176cm/体重106kg

「自分はPRとしてスクラムを強みとしており、課題はディフェンスです。今は、タックルの精度をもっと上げていきたいです。帝京大学ラグビー部は練習のメリハリがはっきりしているところがすごいと感じました。練習の質もこれまで経験してきたものとは全然違いますが、先輩方がとても優しく、丁寧に教えてくださいます。わからないことがあって質問しても、すぐに当たり前の答えをくださるのではなく、細かく、また先輩方の深い経験を踏まえて、さらに僕が気づけるように教えてくださいます。今後は、体を大きくすること。そして、上のチームで試合に出ることを目標に、地道に頑張っていきたいと思います。」


CTB 芳野友(1年)
新田高校出身
身長174cm/体重74kg

「自分の強みは周りを活かすプレーとタックルです。課題としては、体を大きくすることに力を入れて取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、先輩方一人一人がとても意識が高く、練習に取り組む姿勢がすばらしいと感じます。先輩方は僕たち下級生に対して、練習中にもいろいろと声をかけてくださるなど、細かいところにまで気を配ってくださいます。皆さんとても優しいので、いい雰囲気で練習に臨むことができています。一つでも上のチームでプレーして、チームに貢献できるように頑張りたいです。」


SH 北埜稜磨(1年)
常翔啓光学園高校出身
身長172cm/体重63kg

「自分は相手を抜いていくステップを得意としています。それを活かして、自分でどんどん仕掛けていくプレーを積極的にやっており、課題はパスの速さと精度です。パスのスキルをもっと高めていきたいです。帝京大学ラグビー部は、先輩方の練習に取り組む姿勢がすばらしいのと、全員がどの練習にも意思を持って臨み、意味を考えてやっているところがすごいと感じています。練習の細かい部分に対しても、すごく拘ってやっているのが、強さの秘訣の一つなのだと感じます。今後はまずは体づくりから。体を強くして、一つでも上のチームでプレーできるように頑張っていきます。」




《NEXT MATCH》

いつも応援ありがとうございます。春シーズンの公式戦はすべて終了いたしました。今後の日程につきましては、決まり次第、当ホームページにてお知らせいたします。


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
 
 

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