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関東大学対抗戦・第7戦 筑波大学戦
2011/12/05
大学選手権に弾み! 鉄壁の守りで対抗戦全勝優勝を達成
12月3日(土)・熊谷ラグビー場
○帝京大学 11-0 筑波大学●
《帝京》
1吉田 2白 3前田(龍)⇒猿渡⇒佐藤 4マニング⇒小瀧 5ボンド 6河口⇒大和田 7松永(浩) 8李
9滑川 10森田 11南藤 12南橋 13中村(亮) 14徳富 15竹田
《筑波》※先発のみ
1中川 2村川 3古賀 4鶴谷 5園中 6水上 7山崎 8彦坂(圭) 9内田(啓介) 10松下 11竹中 12中 13山下 14彦坂(匡) 15内田(啓太)
対抗戦最終戦の相手は、ここ数年、力をつけてきている筑波大学。今シーズンもここまで1敗のみ。創部以来初の対抗戦1位がかかる試合でもあり、強い気持ちで臨んでくることは必至だ。前節の勝利ですでに対抗戦1位を決めている帝京だが、気持ちの上でけっして受けに回ることなく、こちらも創部以来初の対抗戦全勝優勝を決めて、いい形で大学選手権につながる好ゲームを期待したい。
試合直前まで激しく降り続く雨、ぬかるんだグラウンドコンディションを考えると、ボールを大きく動かすことはリスクを伴う。いかにしっかりとボールキープして、エリアを取り、ゴール前で取り切るかが勝負所となりそうだ。また、チームとしてのディフェンス力にも注目だ。
【前半戦】
キックオフ直前には雨も上がり、天候は、時折、日が差すまでに回復。しかし、グラウンドには水が浮き、また、この日の第二試合ということもあり、かなりぬかるんだ状態だ。
案の定、両チーム開始直後から悪コンディションに悩まされる。
SH滑川のキックも、珍しくミスを誘発し10mサークルオフサイド。一気に自陣22m内にまで攻め込まれるが、ここはFW陣が踏ん張り、ラックでターンオーバー。ピンチを脱する。
滑川は「ボールもグラウンドも、自分が思っていた以上に滑りました」と振り返る。
滑りやすい状況はその後も続く。ラックサイドに走り込んできたWTB南藤へ滑川から素早いパスが出る。通っていればビッグゲインしていた場面だが、うまくキャッチできない。
南藤は「滑川さんと練習でよくやっているプレーだったのですが、滑ってうまくいきませんでした。ああいうプレーの精度をどれだけ高められるかが大事なので、もっと練習して修正し、より精度の高いプレーができるようにしたいです」と悔しがった。
その直後にも、通ればビッグプレーという場面が訪れる。反則のアドバンテージをもらっていたことで大胆なプレーにもチャレンジ。ゴールポスト正面付近でSO森田からWTB徳富へ長いキックパス。距離はぴったりながら、これもボールが滑ってノックオン。
ただ、ここはアドバンテージのペナルティキックをもらい、ゴール正面からのショットを選択。森田がきっちりと決め、3-0とリードを奪う。
その後はお互い一進一退が続く。グラウンドコンディションもあり、予想通り両チームともキックが多くなる。
No8李、CTB中村(亮)、FB竹田らが敵のパント攻撃をしっかり処理し、隙を見てカウンターで前進する。
また、足元がぬかるんだ状態でのスクラムはなかなか安定せず、マイボールでもコラプシングの反則を取られてしまう。
それでもお互い堅いディフェンスで、決定的なシーンにまでは至らない。LOボンド、CTB南橋らのいつもながらの安定したディフェンスに加え、PR吉田、PR前田(龍)らFW第一列のディフェンスも光る。
このまま得点には至らず、前半は3-0で折り返すことに。
トライに至る決定的なシーンにまでは至らなかったが、FW戦では総じて優位に立っていた帝京。安定感は試合ごとに、増してきている印象だ。さらに堅いディフェンスで相手にチャンスの機会すら与えず、無失点で前半を終えた。
【後半戦】
ここはチーム力が試される場面。そして頑張ったのはFW陣。派手さはないが貢献度の高いLOマニングを中心に、相手ボールのラインアウトをスチール。スクラムでも押し勝ってターンオーバー。FL松永がボールを拾って前進を図り、相手の反則を誘う。
ここで竹田が敵陣ゴール前5mまで持っていく好タッチキックを披露。全員でピンチの時間帯を、一転、チャンスに変える。この後、モールを押し込み、ゴールラインに迫るも、グラウンディングできずに得点にまでは至らない。しかし、帝京の攻めの形はしっかりと見せている。
3-0という僅差のまま時間が進むが、堅い守りへの自信か、選手たちは冷静にプレーを続け、チャンスを待つ。
そのチャンスがやってきたのは28分。相手ボールスクラムからの展開を南橋が鋭い出足で止め、反則を誘う。22mライン付近からのラインアウトからモールで押し込み、さらにFL大和田が前進。再度、相手の反則を誘う。
それまで強力なFW攻撃を見せてきた成果か、相手ディフェンスの足が一瞬止まる。滑川はそれを見逃さず、クイックスタート。ボンドが作ったラックから、一気に大外の南藤へパス。ボールが滑り、ワンバウンドになるもしっかりキャッチし、前進。最後は相手FW2人を弾き飛ばしてトライ。8-0とリードを広げる。
その後も帝京は、最後までFWで圧力をかけ、前に出るディフェンスを見せ続け、終了間際にもPGを決め、11-0で勝利。
対抗戦全勝優勝を決めた。
《試合後のインタビュー》
■岩出雅之監督「前節の試合で対抗戦の1位が決まったのですが、今日は対抗戦最後の試合ということで、しっかりと選手権につながるゲームにしようと言って選手たちを送り出しました。お陰様で全勝で対抗戦優勝が決まり、この結果は後々にも残っていくことでとても嬉しく思います。これも多くの皆様のご支援、ご声援のお陰と感謝しています。この嬉しさと感謝をこれから始まる全国大会でのエネルギーに変えて、皆様と喜びを共にできる大会にできるよう頑張っていきます。本日の試合は筑波大学さんのいいディフェンスにやや苦しめられましたが、今日のようなゲームの中で起こるさまざまなアクシデントに対応するため、いい勉強もさせていただきました。クロスゲームでしたが、学生たちはみな落ち着いていて、最後まで集中力を切らすことなく無失点で終わらせることができたことは大変評価できると思います。ただ、得点力はまだまだですし、内容的にも課題が見つかりました。
筑波大学さんとはまた大学選手権で対戦するかもしれませんが、今日の好ファイトに敬意を表し、次に対戦する機会があれば我々の力をきちっと発揮できるように準備したいと思っています。
また、来週には慶應大学さんとのジュニア選手権決勝があります。その前日には同じ慶應大学さんとC、D、Eチームの練習試合ができることになりました。ここまで一年間、部員全員が積み上げてきたことをしっかりと出し切り戦って行きます。対抗戦全勝、ジュニア選手権大会優勝、そして、大学選手権大会優勝を達成し良いご報告をさせていただきます。皆様のご声援が選手たちの大きな力となります。どうか温かく力強いご声援をいただけますようよろしくお願いいたします。」
■キャプテン・SO森田佳寿(4年)
「今日の試合は対抗戦の最終戦、締めくくりのゲームでしたが、これから始まる大学選手権に向けて、勝負所に向かうためのスタートゲームと位置付け、これまでと同様、試合を通し、さらに一歩でも成長できるようにと考えて臨みました。
しかし、雨や風、グラウンドコンディション、あるいは筑波大学さんの激しいプレッシャーもあり、これまで積み上げてきたことが高い精度でしっかり出し切れたというわけではありませんでした。ただ、そういったいろいろとうまくいかない要因がある中で、グラウンドに立っている選手たちが最後まで我慢し切れたことは収穫だと思っています。
これから始まる大学選手権に向けて、今日出た課題を修正し、さらに精進していきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。」
■フィールドプレーでも貢献したPR吉田康平(4年)
「今日は雨ということで、FWでしっかり戦っていこうと言って臨みました。セットプレー、ブレイクダウン、タックルを自分個人としてもFWとしても課題に挙げていました。最初のセットプレーで自分のペナルティから自陣に持っていかれたりしたので、悪条件のもとでもセットプレーを安定させるという部分を課題として、大学選手権に向けて修正していきたいです。」
■今日もタックルやボールへの絡みで力を発揮・FL松永浩平(3年)
「自分の強みであるタックルと思い切ったプレーをしっかり出そうと思って戦いました。タックルは行けている部分もありましたが、まだまだ自分の納得のいくところまでは行っていないですし、チームの求めるレベルももっと高いと思うので、そのイメージとプレーが伴うように努力していきたいと思います。」
■常に力強く前に出続けた・No8李聖彰(2年)
「グラウンドコンディションもよくなくて、直前まで雨も降っていたので、FW戦になると思っていました。ボールを持ったら絶対に前に行こうと思っていたのですが、ある程度、それができたかなと思っています。
スクラムではいいスクラムもあったのですが、安定しない場面もあったので、そこで自分がしっかりボールキープすべきでした。フィールドプレーでは、前半、相手がラックに人数を極端にかけてこないときがあったので、後半、隙があったら真ん中を抜けていこうと思っていました。何度かいいゲインができてよかったです。」
■緩急をつけたゲームコントロールでトライを演出・SH滑川剛人(4年)
「こうした天候とグラウンドコンディションもあって接戦のゲームになりましたが、勝てたことはとてもうれしいです。大学選手権までの2週間、1日1日を大切に絶対に妥協せずにやっていきたいです。大学選手権では帝京は3連覇がかかっていますが、それ以上に4年生として負けたら絶対に後悔が残るので、責任感をもってプレーすることと、応援してくれている部員と皆様に恩返しができるようにしっかり一戦一戦、頑張ってやっていきたいと思います。」
■しぶといディフェンスで貢献した・CTB中村亮土(2年)
「天候もあり自分としてはBKにはあまりボールが回ってこないかなと思っていたので、今日はディフェンスで相手を前に出させないことをテーマにしていました。ディフェンス機会はそう多くはなかったのですが、しっかり行くところは行けたと思います。あとは、タックルした後の仕事などをもう少し上げてやっていけたらと思います。
今日はあまりなかったのですが、自分の仕事としてはストロングランということを課題に置いていて、その精度をもっと上げていければチームに貢献できると思うので、練習から上げていきたいです。」
■強さを見せて貴重なトライをあげた・WTB南藤辰馬(3年)
「トライのシーンは自分が最終的に取れたのですが、それまでにFWがすごく圧力をかけていましたし、トライを取れて8点差になったというのはすごく大きかったのでよかったです。今後に向けては、自分としてはキックチェイスやタックルなどまだまだ課題がありますし、そこは反省して大学選手権に臨みたいと思います。ここからは負けることができませんので、毎週、いい緊張感をもって臨んでいきたいと思います。」
■安定したフィールディングを見せたFB竹田宜純(2年)
「キックカウンターについてはやってきたことができたと思うのですが、キックの精度が低く、ミスも出たのでそこは反省です。大学選手権に向けては、これまでやってきたことの精度を上げて、一戦一戦、戦っていきたいと思います。FBとして後ろからみんなへのコミュニケーションは欠かさず取りたいと思ってやっているので、そこはこだわっていきたいと思います。」
《PICK UP PLAYERS》
芯の強い将来性あるタックラーFL 河口駿(1年生)
KAWAGUCHI SHUN
1992年7月28日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
常翔啓光学園高校出身
身長180㎝/体重94㎏/血液型A型
■公式戦初先発でしたが、感想を聞かせてください。
「今日は厳しい試合でした。キックの攻防や相手の反則も多く、あまり攻撃する場面やタックルする場面が少なかったですし、力不足もあり自分としてはあまり力を発揮できなかったのですが、全体としていい試合ができたのでよかったです。」
■試合前はどんなテーマで臨んだのでしょうか。
「タックルの回数を増やそうと思っていました」
■ラックに積極的に入っていくシーンが多かったと思いますが、そこは意識していたのでしょうか。
「ブレイクダウンでのボールへの絡みを意識してやっていました。ただ、筑波さんも強くて、簡単には取れませんでした。」
■筑波大学とやってみた印象を聞かせてください。
「体も大きかったですし、気持ちが入っているのも感じました。モールディフェンス、ラックサイドのディフェンスなどで圧力をかけてきて、いいチームと感じました。」
■今日、自分自身で一番よかったと思うプレーはどこでしょうか。
「いつもよりしっかり走って、フォローに行けたところだと思います。」
■次への課題をあげるとしたら、どこでしょうか。
「もっと積極的にボールをもらいに行ったり、タックルしに行ったりしたいと思います。」
■帝京に入って、入る前の印象と違ったところはありますか。
「大学は先輩後輩の上下関係が厳しいところだと思っていたのですが、帝京に入ってみたら、みなさんやさしくていただいて、いい環境でラグビーができています。」
■今後に向けての意気込みを聞かせてください。
「試されて使っていただいている部分が大きいと思いますが、まずはいまのポジションにいられるようにしっかりと練習して、タックルもオフェンスもしっかりやっていきたいと思います。」
インタビューには笑顔を絶やさず受け答えし、まさに「Let’s Make Smile!」を体現する。そんな見た目とは違い、芯の強さをもち、1年生離れした度胸も持ち合わせている。また、自身は「体づくりを頑張りたい」と、日々、トレーニングに力を入れている。元々高校時代まではCTBが主なポジションだったが、岩出監督の“眼力”で新たなポジションに挑戦中。今後は体づくりに加え、大舞台での経験を積み上げていくことで、大きく成長し、今後、チームにとって欠かせない戦力となっていくことだろう。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【12月11日(日)関東大学ジュニア選手権決勝 VS慶應義塾大学 秩父宮ラグビー場 12時キックオフ】大学選手権目前の12月11日には、Bチームによるジュニア選手権決勝が行われる。相手は慶應義塾大学。ジュニアのリーグ戦では9月に敗れている相手だが、しっかり結果を出し、大学選手権へと弾みをつけたい。勝てば初優勝という新たな歴史も加わる。また、Bチームの選手たちにとっては大学選手権出場に向けて大いなるアピールをしたいところ。
秩父宮で選手たちの全力プレーに精一杯の声援を送ろう。
(文/木村俊太、写真/志賀由佳)
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