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練習試合 早稲田大学戦

練習試合 早稲田大学戦

2018/08/19

練習試合 対早稲田大学戦

8月19日(日)・サニアパーク菅平メイン
●帝京大学14-28早稲田大学○



《帝京大学》
[FW]
(1)岡本(2)呉⇒清水(3)淺岡(4)藤田⇒野田(5)秋山(6)菅原(7)申⇒トンガタマ(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)末⇒土永(10)北村(11)竹山(12)松本⇒岡村⇒平坂(海)(13)亀井(14)木村(15)奥村⇒井上

《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)鶴川(2)宮里(3)小林(4)中川(5)下川(6)幸重(7)柴田(8)丸尾
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)古賀(12)長田(13)桑山(14)佐々木(15)河瀬


【前半】【得点経過】

【12分】帝7-0早
ラインアウトからモールを押し込む。持ち出してFWで連続攻撃。ラックからSH末-SO北村へと渡り、北村が抜け出してトライ。ゴール成功。

【15分】帝7-7早
スクラムから攻められ、トライを奪われる。

【40分】帝14-7早
ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】

【3分】帝14-14早
ラインアウトから展開され、つながれてトライを奪われる。

【16分】帝14-21早
キックチャージされ、インゴールで押さえられて、トライを奪われる。

【24分】帝14-28早
スクラムから攻められ、トライを奪われる。


《BRIEF REVIEW》

夏合宿での練習試合第2戦は、早稲田大学との対戦。先制したのは帝京。12分、ゴール前のラインアウトからモールを押し込む。持ち出してFWが連続で攻めてからBKへ。SO北村がいい角度で走り込み、抜け出してトライを奪う。しかし、直後のキックオフからのプレーで、ミスから相手にスクラムを与えてしまい、BKに抜かれて同点に追いつかれる。その後は一進一退。攻め込む場面も多々ありながら、スコアできない。得点が動いたのはハーフタイム直前のロスタイム。ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。前半を14-7で折り返した。ハーフタイムでの岩出監督のアドバイスは「気持ちが足りない」という点に終始。「まずは気持ちで激しく、しかしプレーは丁寧に、正確に」ということを確認した。後半早々、チャンスを得たのは帝京。FB井上のランでゴール前へ。連続攻撃でゴールに迫るも、オブストラクションを取られ、得点できない。一転ピンチとなり、ラインアウトからの展開で抜け出され、同点に追いつかれてしまう。このあと、帝京は何度もチャンスを作り、ゴール前に迫るが、相手のプレッシャーもあり、ミスで取り切れない展開が続く。逆に相手は、数少ないチャンスを確実に得点に結びつけていく。16分には、インゴールでのキックをチャージされ、押さえられて逆転を許してしまう。さらに、24分には、やはり攻めている場面からターンオーバーされてピンチとなり、スクラムから攻められて追加点を許してしまう。帝京はこのあとも「攻めてはミス」が起こり、14-28でノーサイド。帝京は夏合宿での練習試合で連敗を喫してしまった。







《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日は完敗です。早稲田大学さんが熱く、激しい、気持ちの入ったプレーを最後まで続けられたのに対して、我々のプレーにはそうした熱い気持ちが足りなかったのだと思います。まずはこの結果をきちんと受け止め、しかし、過度に悲観的になることなく、内容をしっかりと精査して、成長のために活かしていきます。悲しんだり、落ち込んだりしていても、けっして強くはなれません。学生たちには、もう一度、自分を見つめ直し、そして自分たちを見つめ直してほしいと思います。対抗戦、大学選手権での早稲田大学さんとの再戦に向けて、一から努力していきたいと思います。」

■キャプテン・LO秋山大地(4年)
「帝京の甘さ、悪いところが出てしまった試合でした。自分たちでチームをつくっていないというか、先輩方につくってもらったチームに乗っかっているだけだから、ピンチになったときも自分たちで修正できないのだと思います。もっともっと自分たちが本気でチームをつくっていかないと、今日のようにうまくいかないときに修正できないのだと思いました。今日はスキルや戦術以前の、気持ちのところからまったく足りませんでした。攻めているのに取り切れずに、それで慌てて、また取れないというサイクルにはまってしまいました。自分たちで勝手に崩れていって、自滅して、逆に早稲田大学さんは取るべきところでしっかり取り切っていました。みんなも僕と同じように『悔しい』と思いますが、それを言葉にするくらいなら行動で示すべきだし、自分たちには実力がないと分かった今は、泥臭く努力を積み重ねるしか強くなるすべはないので、ここから必死にやっていきたいと思います。」



■1番に恥じないプレーヤーとしてグラウンドに立ちたい・PR岡本慎太郎(4年)
「今日の試合、早稲田大学さんの激しいタックルを受けてしまったこと、そして自分たちがミスを連発したことが敗因だったと思います。また、スクラムは悪くなかったですが、まだまだ『いい』とは言えず、理想形にはほど遠いと感じています。まずは今日のこの結果を受け入れて、次の天理大学さんとの試合にフォーカスしてやるしかないと思っています。技術、スキル、フィジカルといった面はずっとやってきていて、やはり足りないのは気持ちの部分。そこが不足していたのだと思います。今日は帝京の1番のジャージに恥じないプレーができたとは言い難いので、次からは1番に恥じないプレーヤーとしてグラウンドに立ちたいと思います。」



■ハートも考え方も変えていきたい・SO北村将大(2年)
「自分たちが前に出て体を張らなければいけない時にタックルを受けてしまって、相手を勢いに乗せてしまった場面が個人としても、チームとしてもありました。個人としては、SOとしてのゲームメイクの部分、拮抗している状況の中、切り拓いていく力が足りず、流れを読んでゲームを変えていく組み立てができませんでした。試合が終わってから反省するのは誰でもできるので、ゲームの中で修正していく必要があったと感じています。その力がまだまだ弱いと感じました。また、ハートの部分で負けていたというか、どこかで受け身になってしまっていた部分がありました。結果はしっかりと受け入れて、ここから努力していくしかないので、まずは自分自身の心とスキルをレベルアップしていくこと、そして一人一人がそれをやっていくことでチームのレベルアップにつながっていくようにしていきたいです。Aチームで出させていただいている以上、自分の責任としてそれをやり続けることを意識して、ハートも考え方も変えていきたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

練習ではできたが実践でできなかった理由をしっかり確認して修正したい

LO 藤田 達成(4年)
FUJITA TATSUNARI



医療技術学部スポーツ医療学科
東福岡高校出身
身長192cm/体重100kg


■まずは試合を振り返ってください。
「自分たちのやってきたこと、やるべきことができなかったので、負けて当然の内容だったと思います。自分のやるべきこともあまりできていなかったので、正直、『悔しい』というよりも『負けて当たり前』という気持ちです。」

■ハーフタイムには、岩出監督から「気持ち」の部分での不足を指摘されていました。
「自分がもっと激しく行かなければいけないのに、行けませんでした。それが連鎖して、全員が消極的な状態になってしまいました。」

■その原因はやはり「気持ち」?
「そうですね。」

■気持ちの部分も含めて、今日の試合で見えた最大の課題はどのあたりだと思っていますか。
「取るべきところで取り切れなくて、そこがもったいなかったです。前半、14点取りましたが、取るべきとことで取り切れていたらもっと点差に余裕があったはず。そこで取り切れなかったことで、後半、攻め込まれたときに苦しい状態になって、焦りも出てしまいました。前の試合でもそうだったのですが、ゴール前まで行くのに取り切れないというのは大きな課題です。」

■気持ち以外の技術面ではどう捉えていますか?
「自分たちがやらないといけないことができていなくて、一人一人のボールのハンドリングスキル、体の使い方、フォローが遅いとか、そういうところでボールに絡まれて取られてしまったり、ペナルティになってしまったり。ラインアウト・モールでは、チャンスの場面で一人一人がやるべき役割ができていなくて、取り切れませんでした。」

■ラインアウトとそのあとのモールは藤田選手が核となっていくと思いますが、手応えなどはいかがですか。
「今回、新しくチャレンジしていることとこれまでやってきたことの両方があったのですが、新しいチャレンジの方はあまりうまくいかなかったので、さらに改善していかなければと思っています。練習ではうまくいっていたことが実践でうまくいかなかったのは、どこに原因があって、どう改善していけばいいのかを確認して、次につなげていければと思っています。相手のマークをどうやってうまくはずしていくかを、自分がしっかりと考えてプレーしていかなければと思っています。」

■まだまだ成長していくための時間はあります。
「自分たちは弱いので、負けたこと自体はシンプルに受け止めて、次につなげていくしかないと思っています。」

■次の天理大学戦に向けて。
「このままの雰囲気で行ってしまうと、どうしても同じような現象が続いてしまうと思うので、一度きちんとリセットして切り替えて、次に向けてしっかりやっていきたいと思います。本当にここからが大事。いまはゼロ、いやマイナスだと思いますが、まずはゼロにもどして、1、2、3……と積み上げていきたいと思います。」


敗戦直後の意気消沈した状態ながら、気持ちの部分、スキルの部分、システムの部分などについて冷静に分析をしてくれた。「やるべきことがここまでできなければ、負けて当たり前」と淡々と語ってくれたが、その表情はやはり悔しさで満ちていた。しかし、けっして下を向いていたわけではなく、すでに前を見据えている。ここからは4年力が問われる時期。リーダーシップを担うべき一人としての言動に期待したい。


《COLUMN》

―― ハングリーさとカマキリ先生 ――


俳優で歌舞伎役者の香川照之さんは、子どもの頃から昆虫が大好きだったそうです。特にカマキリが好きで、NHK(Eテレ)では「カマキリ先生」と称し、自らカマキリの格好をして「香川照之の昆虫すごいぜ!」という番組に出演しているほどです。

その香川照之さんが、「ナショナルジオグラフィック」という雑誌でカマキリの魅力について語っておられました。カマキリに惹かれた最大の要因は「戦闘能力」。「おとなしい雄ではなく、より獰猛で食欲旺盛な雌が好き」なのだそうです。

ちなみに、カマキリの雌は、交尾中の雄をも襲って食べてしまうほど獰猛で食欲が旺盛だと言われています。

香川さんは子どもの頃、学校の近くでオオカマキリの雌を捕まえては、家の庭で放し飼いにしていたそうです。ちょっと残酷だと思いながらも、そのカマキリにオンブバッタなどの生きたえさを近づけると、目の前に近づけた瞬間に、飛びかかるのだそうです。

「えさを目の前に置いた瞬間、バッと飛びかかります! 半端じゃないくらい、すごい反応力です。というのも、自然界でカマキリがえさに遭遇するなんて滅多にあることじゃなく、千載一遇のチャンスなんですよ。(中略)野生のカマキリは常に空きっ腹です。だから、僕が与えたえさにすごい勢いで襲いかかる。」

そんな獰猛なカマキリの動きに魅了された香川さんは、どんどんえさを与え続けますが、ある日、カマキリの異変に気づきます。

「お腹がふくれたある日を境に、えさに対する興味が薄れ、どんどん食いつきが悪くなっていくんですよ。何日か前の勇ましい、あの獰猛な姿はどこへやら。持って生まれた狩猟本能が影をひそめ、あまつさえ、えさをポロリと落としたりしてね。」

「それを見たとき、『ああ、生物というのは飢えていないと本来の魅力は失われるんだな』と実感しました。えさを捕ることを面倒臭がるカマキリのかっこ悪さといったら!」

「人間もまたしかり、です。衣食足りて満足しちゃってから、どのようにハングリー精神を保ち続けていくか……そこが人間の妙味なのですが、精神的にハングリーであり続けることがどれだけ大切か、僕はそれをカマキリから学びました。」

ハングリーでなくなると、獰猛だったカマキリもえさを捕らなくなる。そして、それは人間にも相通じると香川さんは語ります。

これは同時に、ラグビーにも通じるように感じました。いかに獰猛な選手、獰猛なチームでも、ハングリーでなくなった瞬間に狩猟本能(闘争本能)を失ってしまう。そんな話に読めました。

立て続けに喫した悔しい敗戦を経て、チームは、選手たちはどのようにして闘争本能を取り戻していくのでしょうか。その成長をしっかりと見守っていきたいと思います。






《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

PR・HO 小林恵太(1年)
宮崎西高校出身
身長174cm/体重107kg

「自分が得意なのはフィールドプレーです。FW第一列としてボールキャリー、ジャッカルができるところが強みです。課題はまだ体ができていないところ。力負けしてしまうことがあるので、しっかり体をつくって、走れるプロップになっていきたいです。帝京大学ラグビー部は、問題解決のために監督やコーチにすべてを教わるのではなく、部員同士で話し合って解決しているので、一人一人の考える力が高いと感じます。自分ももっともっと考える力を高めていきたいですし、それができる環境がここにはあると思います。今後は、まずしっかりと体をつくって、少しでも早く上のチームに上がって試合に出て、チームに貢献したいです。」


SO・CTB・FB 金諒(1年)
大阪朝鮮高級学校出身
身長186cm/体重86kg

「自分の強みはキックです。ロングキックが得意で、エリアを取るキック、しっかりと敵陣に入っていくキックでチームに貢献したいです。課題はゲーム理解が浅いところと、ディフェンスの甘さです。タックルなど芯になるプレーをもっと磨いていきたいです。帝京大学ラグビー部については兄(金廉・現NTTドコモレッドハリケーンズ)からいろいろと聞いてはいましたが、ラグビー環境のすばらしさはもちろん、選手一人一人の主体性、自主性を重んじているところは想像以上でした。ゲームメイクも選手が中心になってやっていますし、社会に出た時に役立つことを、ラグビーを通して学べていると感じます。自分はまだまだ体が細いので、しっかり体づくりをして、さらには課題であるゲーム理解度を高めていって、上のチームで活躍できるようになりたいです。」


《NEXT MATCH》

練習試合
対天理大学(https://www.tu-rugby.com/)
8月23日(木) サニアパーク菅平メイン
13時キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
 

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