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関東大学対抗戦A 成蹊大学戦

関東大学対抗戦A 成蹊大学戦

2018/09/21

9月16日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(1勝)113-7成蹊大学(1敗)●



《帝京大学》
[FW]
(1)岡本⇒清水(2)呉⇒李(3)淺岡⇒當眞(4)久保(5)秋山(6)トンガタマ⇒藤田(7)菅原⇒和崎(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)北林⇒末(10)北村(11)宮上⇒平坂(海)(12)奥村⇒大内(13)尾﨑(14)木村(15)竹山

《成蹊大学》※先発のみ
[FW]
(1)田中(2)古市(3)鈴木(瑛)(4)甲斐(5)川口(6)安立(7)荒川(8)原島
[BK]
(9)木村(10)川本(11)二瓶(12)鈴木(大)(13)甲山(14)木本(15)神田

【前半】【得点経過】
【2分】帝7-0成
ラインアウトからモールを形成。SH北林が持ち出し、抜け出してトライ。ゴール成功。

【4分】帝14-0成
相手のキックをCTB奥村がキャッチ。FB竹山にパスし、竹山がランで抜け出す。WTB宮上にパスし、宮上が走り切ってトライ。ゴール成功。

【10分】帝19-0成
ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。

【14分】帝26-0成
ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。ゴール成功。

【18分】帝33-0成
ゴール前で相手ボールのスクラムをターンオーバー。No8マクカラン(ブ)が拾って、トライ。ゴール成功。

【21分】帝40-0成
ターンオーバーから連続攻撃。WTB宮上が前進。ラックからSH北林-FB竹山と渡り、竹山が外へキックパス。WTB木村がキャッチし、そのままトライ。ゴール成功。

【28分】帝47-0成
ターンオーバーから連続攻撃。ラックからSH北林-SO北村-CTB尾﨑へと渡り、尾﨑が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。

【33分】帝54-0成
相手ボールのスクラムを押してターンオーバー。ラックから、SO北村-CTB奥村-WTB木村-FB竹山-WTB宮上へと渡り、宮上がトライ。ゴール成功。

【35分】帝54-7成
パスが乱れ、こぼれたボールを拾って走られ、トライを奪われる。

【38分】帝61-7成
ラインアウトが乱れるも、FLトンガタマがうまくキャッチし、そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【2分】帝68-7成
相手ボールのラインアウトを奪って連続攻撃。ラックからSH北林-SO北村-CTB奥村-FB竹山へと渡り、竹山が抜け出す。WTB宮上にパスし、宮上が走り切ってトライ。ゴール成功。

【8分】帝75-7成
ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。ゴール成功。

【10分】帝82-7成
キックオフから連続攻撃。SO北村が外へキックパス。WTB木村がキャッチし、前進。つかまるも、ラックからSH北林-FB竹山へと渡り、竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。

【14分】帝89-7成
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH北林-SO北村-CTB尾﨑-No8マクカラン(ブ)-FL菅原-WTB木村へと渡り、木村が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。

【17分】帝94-7成
ラインアウトからモールを押し込み、HO呉がトライ。

【20分】帝101-7成
LO久保のターンオーバーから、SH末-CTB大内-WTB宮上へと渡り、宮上が走り切ってトライ。ゴール成功。

【23分】帝106-7成
キックオフから連続攻撃。ラックからSH末-FB竹山-WTB木村-竹山-木村へと渡り、木村が走り切ってトライ。

【28分】帝113-7成
ペナルティでSH末がクイック・リスタート。FB竹山にパスし、さらにLO久保にパス。久保が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。


《BRIEF REVIEW》

いよいよ今シーズンの対抗戦が開幕した。第1戦の相手は成蹊大学。ここ数年、入れ替え戦を戦うことが多い相手だが、帝京としてはどんな相手に対しても全力で戦い、自分たちのスタンダードを示し続けることが大切。特に気持ちの面で緩まずプレーし続けられるかが問われる試合だ。先制点は開始2分過ぎ。FB竹山の突破でチャンスをつくり、22mラインやや内側からのラインアウト。モールは押し切れなかったが、ボールを持ち出したSH北林がうまく抜け出してトライ。その後も帝京の攻撃は緩まない。直後、ここでもFB竹山がチャンスをつくり、WTB宮上がトライ。細かいミスはあるものの、相手のペナルティやターンオーバーから着実に得点を重ねていく。スクラムでのターンオーバーから得点する場面もあり、ラインアウトからモールで得点する場面もありとセットプレーも安定。35分に、チャンスで前がかりになったところでミスが出て、こぼれ球を拾われ、一気に走られ失点するが、それ以外はディフェンスも安定。61-7で前半を折り返した。ハーフタイムに岩出監督から「もっと自分の仕事を明確にしてプレーするように」と指摘された選手もいたが、後半はその「明確化」によってプレーの激しさも戻ってくる。前半同様、開始早々から得点を重ねる帝京。ブレイクダウンの痛いところにも、2人、3人とどんどん入っていく。倒れた選手もすぐに起き上がり、プレーに参加する。後半28分で113-7とするが、攻め疲れたか、得点シーンはここまで。両チームともノックオンが増え、スクラムの時間が長くなる。ディフェンスでの危ないシーンはほぼなかったが、113-7のままノーサイド。気持ちを前面に出して戦うことができた帝京が、対抗戦最初のゲームを勝利で飾った。






《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「対抗戦が開幕しました。本日のゲーム、選手たちは、引き締まった気持ちで臨んだと思います。この時期ですから、まだまだいいプレーは期待できないところもありますが、今日のような気持ちを今後も忘れず、出していってほしいと思います。プレーについても修正点を確認し、成長につなげてほしいと思います。良い振り返りを重ねて、シーズンの深まりと合わせてチーム全体に心身共に力強さを高めていきます。最後になりましたが、ノーサイドの瞬間まで気迫を出して戦ってくださった成蹊大学の選手の皆さん、スタッフ、協会関係者の方々に感謝申し上げます。」



■キャプテン・LO秋山大地(4年)
「対抗戦初戦ということで、とにかく自分たちのラグビーをしっかりやろうと言って臨みました。具体的には、ボールキャリアがしっかり前に出る、ブレイクダウンで体を張るといったことですが、それを意識してやった結果、自分たちらしいラグビーができたと思います。ですが、試合の終盤でミスが重ってしまいました。途中出場の選手とのコミュニケーションがうまくいかなかったことと、どこかに油断があったことが原因だと思っていますが、そこはきちんと修正して、次戦に臨みたいと思います。」



■岩出監督のアドバイスで後半に大暴れ・LO久保克斗(2年)
「今日の前半は、自分のプレーが全然できていませんでした。ハーフタイムに岩出監督に『自分のやるべきことを明確にしてプレーするように』と言われ、後半はなんとかよくできたかなと思います。具体的には、セットプレーとブレイクダウン。そこでの仕事を100%集中してやること。岩出監督に『それさえできれば十分』とアドバイスをいただき、後半はもっとガツガツ行こうと思ってやりました。次戦も出場できたら、今日のハーフタイムに言われた『自分のやるべき仕事』を前半からやり続けて、80分間、チームに貢献したいと思います。」



■何ができるかを考え、仲間のために汗を流していきたい・和崎慶一(4年)
「今日の試合は帝京らしさを十分に出せたと思うのですが、後半はミスが多くなって、勢いが落ちてしまいました。これはリザーブメンバーの責任でもあります。本当は僕たちリザーブメンバーが、疲れた先発メンバーに変わって勢いをつけていかなければいけなかったと思っています。後半の苦しいときに、タフにどれだけ精度を上げられるかが今後の課題だと思います。自分としては、初めての対抗戦、初めての秩父宮でしたが、チームの代表としての責任感からくる緊張もあり、プレーが硬くなってしまいました。もっと自信をつけて、体も精神ももっとタフになって、ここからのシーズン、もっとチームに貢献できるように積み重ねをしていきたいです。自分は学生コーチでもありますが、学生コーチとしての仕事もグラウンドでのプレーも、仲間のために汗を流すということでは同じだと思うので、常に自分に何ができるかを追及して、もっとチームに貢献したいと思います。次戦まで短い時間ですが、いい準備をして、仲間のためにチームのために自分がいま何ができるかを考え、タフに仲間のために汗を流していきたいと思います。」



■初秩父宮で緊張も、縦へのプレーには手応え・CTB大内空(4年)
「チームとしては激しいプレーが際立つ試合だったと思いますが、さらに精度にこだわって、これからも日々の練習を積み重ねていきたいです。自分としては、今日は縦へのプレーを意識しました。初めての秩父宮ラグビー場で緊張した部分もあり、空回りしてしまったところもありましたが、手応えも感じられたので、さらに精度を高めて、縦への強さ、ハンドリングスキルの強化を日々、積み重ねていきたいです。特にスクラムからの縦へのプレーは自分の強みだと思っていて、そこは行けたかなと思っていますが、スクラムからではなく、流れの中での縦へのプレーでは、SOとのコミュニケーションやタイミングが少しずれてしまったところがあったので、その精度を高めていきたいです。今日は本当に学ぶことが多かったです。特にメンタルの部分。こうした大きな舞台でいかにいい状態が作れるか。今日は緊張しすぎてしまったので、マインドセットをもっといい状態にできるように、練習でもメンタルを意識してやっていきたいです。次戦は、一人一人が今日よりもさらに一段階成長して、それをチームとしてまとまるようにしていきたいです。本気の積み重ねにこだわってやってきたいです。」



《PICK UP PLAYERS》

ラグビーができることに感謝


WTB 宮上廉(3年・ゲームMVP)
MIYAGAMI REN



医療技術学部スポーツ医療学科
佐賀工業高校出身
身長178cm/体重90kg


■ケガがあって、対抗戦は久しぶりの試合になりましたが、今の感想からお願いします。
「本当にいろいろな方にサポートをしていただいたからこそ、今こうしてラグビーができているので、感謝の気持ちでいっぱいです。」

■今日の試合については、どう捉えていますか。
「トライを取れたところ(この試合4トライ)はよかったと思いますが、チャンスを逃してしまったところも、多々あったので、今後はチャンスを逃さないためのコミュニケーションを意識して、すべてのチャンスを活かせるようにしたいです。」

■今日、最も手応えを感じられたのは、どんなところですか。
「4つのトライを取れたところですね。それ以外は、あまりよくなかったです。ラグビーを再開して、それほど経っていないので、コミュニケーション、理解度の部分で、他の人に比べてまだまだ差があります。もっと理解度を深められるように、これからの練習で意識してやっていきたいです。」

■休んでいる間に体つきが大きくなった印象がありますが、ウエイト・トレーニングにかなり力を入れたのでは?
「ラグビーができない間も、できることを一つ一つ探して、やっていました。まだまだですが、もっとプレーの幅を広げるためにも、ウエイト・トレーニングはさらに意識してやらないといけないなと思っています。」

■来週、すぐに試合がありますが、そこへ向けての意気込みをお願いします。
「もっともっとチームに貢献できるように、WTBとしての仕事、外でトライを取り切ることに対して、もっと貪欲になってチームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思います。」


ケガで長くリハビリが続いたが、夏合宿で復帰。ケガを経て、精神面も肉体面もレベルアップして戻ってきた。あとは、コミュニケーションと戦術理解度。本人もここを課題に挙げている。4トライを奪ってチームに貢献したが、自身はこの日のプレーにはあまり納得していないようだ。試合後、岩出監督からMVPとして名前を挙げられた際も自分のことだとわからず、数秒後、周囲に促され、「俺?」と不思議そうな顔で円陣の真ん中へと進み出た。そして真っ先に語ったのは「感謝」の言葉。その気持ちを胸に、納得のプレーができるよう、さらなる成長を続けていく。


《COLUMN》

―― リスペクトしてenjoyして ――


今シーズンの対抗戦が始まりました。この試合、得点的には大差がつきましたが、これは帝京が相手に対して油断することなく、手を抜くこともなく、また軽んじることもなく、リスペクトして戦った証と言えるでしょう。

油断しない、手を抜かない、相手を軽んじないなど、戦いにおいては当たり前だと思われがちですが、100点も差がついてしまうと(いや、30~40点差がついたあたりでも)、「もう大丈夫」「楽をしても勝てそうだ」「痛い思いまでしなくてもいいだろう」「ケガをしたら嫌だな」といった声が無意識の中に芽生えてきがちです。

ちょっと話は飛びますが、テニスの全米オープンで、大坂なおみ選手が日本人初のグランドスラム大会優勝を果たしました。決勝戦での対戦相手はセリーナ・ウィリアムズ選手でしたが、この相手は大坂選手がテニスを始めた頃からの憧れの選手で、常に「リスペクト」し続けてきた人でした。

3月にも対戦があって勝利しているのですが、その後、雑誌のインタビューで「相手をリスペクトし、なおかつ闘争心をもって倒しにいくのは難しくないですか?」と聞かれ、こんなふうに答えています。

「そんなに難しいことではないですね。私にとってのリスペクトとは、怒りの感情を表に出さず、相手に失礼にあたる態度を取らないことなので。対戦相手も私と同じくらい勝ちたいと思っているはずだし、同じくらい勝つための努力を続けてきたはず。だから相手が誰かにかかわらず、簡単に勝てると思ってはいけないというのが、私にとっての『相手へのリスペクト』なんです。」

このとき、質問者は「相手に憧れの心を持っている状態で、闘争心が掻き立てられるのか」という意味合いの質問をしたようですが、返ってきた答えは、大坂選手が考える「リスペクト」についてでした。「相手が誰かにかかわらず、簡単に勝てると思ってはいけない」。ここが、大坂選手の答えの核になる部分でしょう。

また、同じ雑誌のインタビューで、こんなことも言っていました。

「最近ではコートに立ったら、勝つとか負けるとかはあまり考えないようになりました。自分がやるべきことに集中し、ポジティブになり、楽しむ。だって試合ができているということは、ケガがないということでしょ? 間違いなく、テニスは私が今後も長く続けていきたいこと。それができているんだから、ハッピーでいるべきだと思ったんです。」

この境地はまさに帝京大学ラグビー部が目指していて、スローガンにも掲げている「enjoy」に通じるものがあります。

トップアスリートのメンタルの作り方に共通点が多いことには、いつもながら驚かされます。帝京の選手たちも、今後とも「どんな相手にもリスペクト」を忘れずに、常に「enjoy」して戦っていってほしいと思っています。







《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

LO・No8 ストイコビッチ ミーシャ(1年)
筑紫高校出身
身長181cm/体重94kg

「自分の強みは、ボールキャリーとブレイクダウン・ファイトです。そこを見てほしいと思ってプレーしています。課題はタックル。最初のインパクトには自信があるのですが、そのあとの粘り強さが足りないと思っているので、もっと粘り強いタックルを身に付けたいです。帝京大学ラグビー部は先輩方のミーティングでの緊張感、理解力、集中力がすごく、自分もそれらの大切さを学ぶことができています。そして、もっと成長するために自分は何をすべきかと考えるようになりました。いま、リハビリ中なのですが、まずは体づくりをしっかりやって、チームに貢献できる選手になっていきたいです。」

LO 藤原清孝(1年)
関西高校出身
身長178cm/体重92kg

「僕はボールキャリーとジャッカルを自分の強みとしています。課題はディフェンスです。帝京はディフェンスのチームだと思っていますが、自分はまだまだタックルがうまくないので、改善して、強みにしていけるように頑張っています。帝京大学ラグビー部では、僕たち1年生が余裕のない中、先輩方が僕たちに負担をかけないようにと、いろいろなサポートをしてくださるので、自分のことに集中できる環境があります。これは、入部前に想像していた以上にすごいことだと実感しています。今後は自分の課題であるタックルを磨いて、上のチーム上がって、チームに貢献できるように頑張りたいと思います。」


右:ストイコビッチ ミーシャ 左:藤原清孝

《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対青山学院大学(https://)
9月23日(日・祝) 百草グラウンド
15時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦27勝8敗1分(大学選手権での対戦なし)
[青山学院大学の直近5戦]
7月1日 ○60-26上智大学(練習試合)
7月8日 ○83-33武蔵大学(練習試合)
8月24日 ●19-52東洋大学(夏季練習試合)
8月27日 ●29-31大阪体育大学(夏季練習試合)
9月15日 ●0-88明治大学(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

 

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