REPORT
レポート
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関東大学対抗戦A 慶應義塾大学戦
2018/10/21
10月21日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(4勝)24-19慶応義塾大学(3勝1敗)●
《帝京大学》
[FW]
(1)岡本(2)呉(3)淺岡(4)藤田(5)秋山(6)トンガタマ⇒今村(7)申⇒菅原(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)小畑(10)北村⇒奥村(11)宮上(12)西川⇒マクカラン(二)(13)尾﨑(14)木村(15)竹山
《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)渡邊(2)中本(3)菅(4)相部(5)辻(6)川合(7)山本(8)山中
[BK]
(9)江嵜(10)古田(11)宮本(12)栗原(13)三木(14)丹治(15)宮本
【前半】【得点経過】
【6分】帝0-7慶
スクラムから連続で攻められ、ラックからFWに抜け出されてトライを奪われる。
【10分】帝7-7慶
FL申の好タックルで相手のパスが乱れたところを、CTB尾﨑がインターセプト。そのまま、自陣から走り切ってトライ。ゴール成功。
【24分】帝14-7慶
相手のドロップアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-CTB西川-No8マクカラン(ブ)-CTB尾﨑-WTB木村-CTB尾﨑-小畑と渡り、小畑がトライ。ゴール成功。
【33分】帝21-7慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、SH小畑-FB竹山と渡り、竹山が前方へキック。自ら追いかけ、セービングしながらうまく確保し、走り込んできたSO北村にパス。そのまま北村がトライ。ゴール成功。
【40分】帝24-7慶
FB竹山がPGを決める。
【後半】【得点経過】
【12分】帝24-12慶
マイボールのラインアウトを奪われ、つながれて、トライを奪われる。
【31分】帝24-19慶
ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。
《BRIEF REVIEW》
対抗戦第4戦は慶應義塾大学との対戦。開始直後から、ミスもあって攻め込まれる展開となる。6分にはスクラムからつながれて、先制トライを許してしまう。その後も、なかなか相手ボールを奪えず、攻めるチャンスが来ない。だが、10分にビッグプレーが出る。積極的に前に出るディフェンスを見せたFL申のタックルで、相手のパスが乱れる。すかさず、CTB尾﨑がインターセプト。自陣から走り切ってトライを奪い、FB竹山のゴールで同点とする。これで試合の流れが帝京に傾き始め、24分には相手のドロップアウトからのボールをNo8マクカラン(ブ)、CTB尾﨑らがうまくつなぎ、最後はSH小畑がトライ。33分には、スクラムからの攻撃でFB竹山が前方へキック。自身で追いかけ、倒れ込みながらキープし、SO北村へパス。そのまま北村がトライを奪う。前半終了間際にはFB竹山がPGを決めて24-7で折り返した。後半は攻め込まれる時間帯が続く。だが、ゴール前、SH小畑の好タックル、SO北村のすばやい絡み、CTBマクカラン(二)の好タックルなどでなんとかピンチを防ぐ。12分に24-12とされたあとも、攻められる時間帯が続く。ゴール前のピンチでは全員が体を張り、その後のスクラムでは押し込んで、相手ボールをターンオーバー。CTBマクカランがロングキックを見せ、ピンチを脱出する。31分にトライを奪われ、24-19となり、さらに攻め込まれる時間が続く。それでも、相手ボールのラインアウトを2回連続で奪い、ピンチを防いでノーサイド。帝京が24-19で勝利し、対抗戦4連勝を飾った。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「例年、ここまでの100点ゲームの試合から、この時期の試合にかけてタックル、ブレイクダウンの質が変わるので、心してかからないと痛い目をみるよと、私なりには伝えていたつもりなのですが、実際に経験してみないとわからないところがあるようで、今年もそのようなゲーム内容になりました。ある面、いい体験をさせてもらいましたが、内容的には、慶應大学さんのいいディフェンスがあったことと、うちに少しパンチが足りなかったことでこういうゲームになったのだろうと思っています。今日の経験を活かして、厳しさを自分たちのものにできるようにしっかり頑張ってほしいと思います。今日の慶応大学さんのタックルは、本当にすばらしいものがありました。あらためて、敬意を表したいと思います。次戦の早稲田大学さんとの試合は、両チームがいろいろな価値、思いを胸に戦うことになるだろうと思っています。早稲田さんは、今年が創部100周年という節目の年。我々はその早稲田さんに育てていただいた歴史もありますし、挑戦し続けてきたという思いもありますので、そうしたことに感謝を込めて戦いたいと思います。両チームの学生たちの80分間を、両チームのファンが、勝ち負けだけでなく、ゲームの中身を楽しんでいただけるような試合になることを目指して、頑張っていきたいと思っています。」
■バイスキャプテン・FB竹山晃暉(4年)
「今日は、ひるまず、ゆるまず、試合の中で油断することなく戦い続けることをテーマに戦おうと思って、グラウンドに入りました。前半は風上をうまく利用できて、エリアマネジメントや相手のあいているスペースにボールを運ぶラグビーができていたと思います。ただ、入りのところで、硬くなっていた部員もいたようです。自分はFBの位置から、うまくいかない時間帯もあるから、そこをしっかり楽しもうと声をかけました。先制点を許しましたが、尾﨑選手のいい出足からのインターセプトで流れを変えることができました。最後のプレーについては、レフリーに時間を確認することなく、電光掲示板の時計(ウォーターブレイクやケガの治療などでも時計が止まらないランニングタイム)を見て、自分たちで勝手に(もうすぐノーサイドだと)時間を判断してしまったことが原因でプレーの選択を誤り、成長を止めるようなプレー選択をしてしまったのだと思っていますので、今後はきちんとレフリーとコミュニケーションを取ってやっていきたいと思います。今日の経験を活かして、また、試合に出られないメンバーのためにも、23人が一丸となって、次の早稲田大学さんに挑んでいきたいと思います。」
■クロスゲームはいい経験になった・No8ブロディ・マクカラン(4年)
「前半、慶應さんは最初からいいスタートをしました。トライを取られてしまいましたが、(尾﨑)泰雅のインターセプトからのトライで、帝京が流れを変えて、24点まで取ることができました。でも、これで満足してしまったのか、後半は0点でした。慶應さんのいいディフェンス、タックルがすごかったのもあります。慶應さんはアタックでのキャリーも強かったです。自分たちはいいタックルができず、ターンオーバーのチャンスも少なくて、ボールキープされてしまいました。久しぶりのクロスゲームになって、結果として勝ててよかったですが、プロセス、中身はまだまだ。でも、今日は慶應さんがすばらしかった。僕たちはいい経験をさせてもらいました。慶應さんのいいディフェンスで、今日は自分たちがやりたいラグビーがあまりできなかったけど、次は早稲田さんとの試合。サマーキャンプ(夏合宿)で負けた悔しさ、その気持ちを忘れずに頑張ります。」
■久しぶりの試合でもしっかりタックルできた・FL今村陽良(4年)
「今シーズンはケガが多く、全然試合に出られていなかったのですが、今日は久しぶりの試合で楽しかったです。ケガで離脱している期間が長く、試合でどうなるか自分でもわからなかったのですが、まずはケガの再発がなかったのがよかったです。ただ、久しぶりでゲーム感覚が全然つかめていなかったので、これから練習や試合で取り戻していきたいです。今週はディフェンスではダブルタックルの練習をしっかりやってきたのですが、一人で倒し切れないところを二人でしっかりと止めるセカンド・タックラーとして、相手の前進を止める部分はできていたのではないかと思っています。自分の強みはボールキャリーで前に出るアタックだと思っているので、ここからその強みを、もう一度、思い出すための練習を積んで、自分の強みを取り戻して、試合でしっかりとゲインしていきたいです。」
《PICK UP PLAYERS》
久々の出場で好タックルを連発
CTB ニコラス・マクカラン(2年)
Nicholas McCurran
医療技術学部スポーツ医療学科
ハミルトンボーイズ高校出身
身長188cm/体重90kg
■久しぶりのゲームですが、試合の感想をお願いします。
「夏合宿でケガをしてしまって、久しぶりだったので、ノーエンジン。しんどかったです。疲れました。これから改善、improveしていきます。」
■ケガはもう大丈夫ですか?
「はい。顔の骨でしたが、もう大丈夫。問題ないです。」
■今日の自身のプレーについては、どう感じていますか?
「キックの練習をたくさんしていたので、そこが出たのはよかったです。あとは、ディフェンスが今日のフォーカスポイント。そこもよかった。」
■ナイスタックルもたくさんありました。
「ありがとうございます。」
■ここをもっと修正していきたいという部分はありますか?
「(尾﨑)泰雅とは、CTBでいっしょにプレーしたことがほとんどなかったので、これからもっとコミュニケーションの部分をimprovement(改善)していきたいです。」
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「次は、今日よりもっといいプレーができるように頑張ります。」
夏合宿のゲームで顔の骨を負傷し、戦列を離れていたが、このゲームで復帰。後半からの出場だったが、いきなりピンチでの好タックルを連発。自陣ゴール前のピンチでは、練習していたというロングキックで、大きく陣地を挽回。ピンチを脱出した。本人は、CTB陣として初めてコンビを組んだ尾﨑選手とのコミュニケーションがよくなかったと分析しているが、これはここから改善していけるところ。また、スタミナ切れも反省していたが、これもここから練習と試合を重ねていくことで改善できる。これまではあまり見せなかったロングキック、あるいはタックルでの成長を見せてくれたが、このあとはチームメイトとのコミュニケーションの部分で成長し、チーム全体の成長をも促してくれそうだ。
《COLUMN》
―― 意味付けに気づく ――
対抗戦第4戦、慶應義塾大学との試合は、24-19で帝京が勝利しました。これについての報道をいくつか拾い読みしてみると、大きく分けて2つの報道パターンがありました。
1つは「帝京、薄氷を踏む勝利」「帝京辛勝」というもの。もう1つは「帝京、接戦を勝ち切る強さ」「帝京、追い詰められても負けない力」というものです。前者の表現は「ぎりぎりで勝てたけれど、危なかった」という意味合いが含まれ、後者のそれは「ぎりぎりでもしっかり勝ち切る強さがあった」という意味合いが含まれているようです。
事実としては、24-19で帝京が勝ったということだけ。あとは、記事を書いた記者さんの主観的な解釈です。コップの中に半分、飲み物が入っているのを見て、「半分しかない」と思うか、「半分もある」と思うかという、いわゆる「プラス思考」「マイナス思考」の話になります。
プラス思考で捉えられれば、それはいいことだと思いがちですが、実はこれに対しても「いや、プラス思考にも落とし穴がある」と言う人もいます。その理由は主に2つ。
「何かマイナス要素が発生した時に、毎回毎回、プラスに転じる内容を考えなければならないが、場合によっては考えつかないこともあるし、毎回それをやるのはたいへん」というのが1つ。もう1つは、1つめにも関わりますが、「無理やりプラスに考えても、無意識の中では『そうは言っても本当はマイナスなんだよな』という思考がどうしても起こってしまい、よけいにこだわってしまうなど、かえって悪影響がある」というものです。要約すると、1つめは「たいへん」、2つめは「むしろよけいに気にしてしまう」ということです。
プラス思考というのは結果に対する捉え方であって、結局は結果を気にする思考法だという指摘もあります。結果に至るまでの過程において、ベストのパフォーマンスを発揮するための思考法としては使いづらいということのようです。
では、どうすればいいのか。こうした「時にプラス思考は危険」と述べる人たちは、事実(24-19で帝京が勝利した)は事実として捉え、「辛くも勝利」とか「接戦を勝ち切る」といったことはあとから意味付けしただけだと気付くことが大事だと言います。「意味付けをやめよう」とすると、よけいに気にしてしまうので、気付くだけでいいのだそうです。
そして、そのこととは切り離して、次に行うパフォーマンスに機嫌よく臨んでいく。自分の機嫌は自分で作っていく(余談ですが、タレントのみやぞんさんもこう言っていました)。
けっしてプラス思考が悪いということではありません。自然にできていれば問題ないと言います。無理のあるプラス思考は危険が伴うので、「プラス思考をしているな」と気付くことが重要だということです。
おそらく、帝京の選手たちはみなこのあたりはわかっていて、もう切り替えて次の自分たちのパフォーマンスをベストに持っていくための準備をしていることでしょう。次戦も、厳しい場面を(無理やりにではなく)自然に楽しみ、自分の機嫌は自分で取る選手たちのプレーぶりを見守っていきたいと思います。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
LO 後藤孝輔(1年)
専修大学松戸高校出身
身長175cm/体重95kg
「自分のアピールポイントはラインアウトです。最初はあまり飛べていなかったラインアウト・ジャンプが、練習を重ねるたびに安定してきて、いまは強みと言えるくらいになりました。課題は、ディフェンスでのコミュニケーション。横とのコミュニケーションやキックチェイスなどをもっと強化したいと思っています。帝京大学ラグビー部は上級生が下級生に余裕を作ってくださるのは聞いていましたが、食事の準備など、練習後で疲れているにもかかわらず、全員の食事の準備から最後の後片付けまで先輩方がやってくださって、僕たちはその間に勉強の時間を作れたりするので、本当にすごくありがたいと感じています。今後は、ディフェンスの課題を克服して、もっと強みを増やしていって、少しでも上のチームで活躍できるように頑張っていきたいです。」
No8 村田空海(1年)
京都成章高校出身
身長178cm/体重89kg
「自分の強みは、ボールキャリーです。ボールをもらってからステップなどの動きで、ずらして当たるのが得意です。課題はディフェンス。特にタックルがしっかりできるように、頑張っています。帝京大学ラグビー部は掃除や練習の準備、食事の準備などの仕事を先輩方がやってくださるのですが、僕たち以上にしんどい練習をしているのに、そういう仕事をきちんとやって、僕たちに余裕を作ってくださるのは、入る前に聞いていた以上でした。今後はディフェンスの課題を克服して、少しでも上のチームでプレーできるようにしたいです。」
FB・CTB 小村健太(1年)
ハミルトンボーイズ高校出身
身長178cm/体重81kg
「僕の強みはランとステップです。オフロード・パスとキックも得意としています。課題は、CTBという新しいポジションでのディフェンス、またアタックでのディシジョン・メイキング、状況判断のところをいま課題として取り組んでいます。僕が考える帝京大学ラグビー部のよさは団結力。みんなが同じ方向を向いて活動しているところは、すごいと感じます。僕はニュージーランドの高校に行っていたのですが、向こうでは『個人』が重視され、チームメイトはライバルなので、チームとしてのまとまりはあまり感じられませんでした。でも、ここでは(ニュージーランドならライバルとみなされる)同じポジションの先輩方がいろいろなことを丁寧に教えてくださいます。お互いにレベルアップできると実感します。今後は、まずは試合に出ること。試合に出て、チームの勝利に、そして大学選手権優勝に少しでも貢献できるように、さらには自分の成長のためにも努力を続けていきたいと思います。」
左から後藤孝輔、村田空海、小村健太
《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対早稲田大学(https://www.wasedarugby.com/)
11月4日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦12勝27敗(大学選手権4勝2敗)
[早稲田大学の直近5戦]
8月24日 ●21-28東海大学(夏季練習試合)
9月9日 ○55-10筑波大学(関東大学対抗戦A)
9月23日 ○99-5成蹊大学(関東大学対抗戦A)
10月7日 ○123-0青山学院大学(関東大学対抗戦A)
10月21日 ○68-10日本体育大学(関東大学対抗戦A)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
○帝京大学(4勝)24-19慶応義塾大学(3勝1敗)●
《帝京大学》
[FW]
(1)岡本(2)呉(3)淺岡(4)藤田(5)秋山(6)トンガタマ⇒今村(7)申⇒菅原(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)小畑(10)北村⇒奥村(11)宮上(12)西川⇒マクカラン(二)(13)尾﨑(14)木村(15)竹山
《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)渡邊(2)中本(3)菅(4)相部(5)辻(6)川合(7)山本(8)山中
[BK]
(9)江嵜(10)古田(11)宮本(12)栗原(13)三木(14)丹治(15)宮本
【前半】【得点経過】
【6分】帝0-7慶
スクラムから連続で攻められ、ラックからFWに抜け出されてトライを奪われる。
【10分】帝7-7慶
FL申の好タックルで相手のパスが乱れたところを、CTB尾﨑がインターセプト。そのまま、自陣から走り切ってトライ。ゴール成功。
【24分】帝14-7慶
相手のドロップアウトから連続攻撃。ラックからSH小畑-CTB西川-No8マクカラン(ブ)-CTB尾﨑-WTB木村-CTB尾﨑-小畑と渡り、小畑がトライ。ゴール成功。
【33分】帝21-7慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、SH小畑-FB竹山と渡り、竹山が前方へキック。自ら追いかけ、セービングしながらうまく確保し、走り込んできたSO北村にパス。そのまま北村がトライ。ゴール成功。
【40分】帝24-7慶
FB竹山がPGを決める。
【後半】【得点経過】
【12分】帝24-12慶
マイボールのラインアウトを奪われ、つながれて、トライを奪われる。
【31分】帝24-19慶
ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。
《BRIEF REVIEW》
対抗戦第4戦は慶應義塾大学との対戦。開始直後から、ミスもあって攻め込まれる展開となる。6分にはスクラムからつながれて、先制トライを許してしまう。その後も、なかなか相手ボールを奪えず、攻めるチャンスが来ない。だが、10分にビッグプレーが出る。積極的に前に出るディフェンスを見せたFL申のタックルで、相手のパスが乱れる。すかさず、CTB尾﨑がインターセプト。自陣から走り切ってトライを奪い、FB竹山のゴールで同点とする。これで試合の流れが帝京に傾き始め、24分には相手のドロップアウトからのボールをNo8マクカラン(ブ)、CTB尾﨑らがうまくつなぎ、最後はSH小畑がトライ。33分には、スクラムからの攻撃でFB竹山が前方へキック。自身で追いかけ、倒れ込みながらキープし、SO北村へパス。そのまま北村がトライを奪う。前半終了間際にはFB竹山がPGを決めて24-7で折り返した。後半は攻め込まれる時間帯が続く。だが、ゴール前、SH小畑の好タックル、SO北村のすばやい絡み、CTBマクカラン(二)の好タックルなどでなんとかピンチを防ぐ。12分に24-12とされたあとも、攻められる時間帯が続く。ゴール前のピンチでは全員が体を張り、その後のスクラムでは押し込んで、相手ボールをターンオーバー。CTBマクカランがロングキックを見せ、ピンチを脱出する。31分にトライを奪われ、24-19となり、さらに攻め込まれる時間が続く。それでも、相手ボールのラインアウトを2回連続で奪い、ピンチを防いでノーサイド。帝京が24-19で勝利し、対抗戦4連勝を飾った。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「例年、ここまでの100点ゲームの試合から、この時期の試合にかけてタックル、ブレイクダウンの質が変わるので、心してかからないと痛い目をみるよと、私なりには伝えていたつもりなのですが、実際に経験してみないとわからないところがあるようで、今年もそのようなゲーム内容になりました。ある面、いい体験をさせてもらいましたが、内容的には、慶應大学さんのいいディフェンスがあったことと、うちに少しパンチが足りなかったことでこういうゲームになったのだろうと思っています。今日の経験を活かして、厳しさを自分たちのものにできるようにしっかり頑張ってほしいと思います。今日の慶応大学さんのタックルは、本当にすばらしいものがありました。あらためて、敬意を表したいと思います。次戦の早稲田大学さんとの試合は、両チームがいろいろな価値、思いを胸に戦うことになるだろうと思っています。早稲田さんは、今年が創部100周年という節目の年。我々はその早稲田さんに育てていただいた歴史もありますし、挑戦し続けてきたという思いもありますので、そうしたことに感謝を込めて戦いたいと思います。両チームの学生たちの80分間を、両チームのファンが、勝ち負けだけでなく、ゲームの中身を楽しんでいただけるような試合になることを目指して、頑張っていきたいと思っています。」
■バイスキャプテン・FB竹山晃暉(4年)
「今日は、ひるまず、ゆるまず、試合の中で油断することなく戦い続けることをテーマに戦おうと思って、グラウンドに入りました。前半は風上をうまく利用できて、エリアマネジメントや相手のあいているスペースにボールを運ぶラグビーができていたと思います。ただ、入りのところで、硬くなっていた部員もいたようです。自分はFBの位置から、うまくいかない時間帯もあるから、そこをしっかり楽しもうと声をかけました。先制点を許しましたが、尾﨑選手のいい出足からのインターセプトで流れを変えることができました。最後のプレーについては、レフリーに時間を確認することなく、電光掲示板の時計(ウォーターブレイクやケガの治療などでも時計が止まらないランニングタイム)を見て、自分たちで勝手に(もうすぐノーサイドだと)時間を判断してしまったことが原因でプレーの選択を誤り、成長を止めるようなプレー選択をしてしまったのだと思っていますので、今後はきちんとレフリーとコミュニケーションを取ってやっていきたいと思います。今日の経験を活かして、また、試合に出られないメンバーのためにも、23人が一丸となって、次の早稲田大学さんに挑んでいきたいと思います。」
■クロスゲームはいい経験になった・No8ブロディ・マクカラン(4年)
「前半、慶應さんは最初からいいスタートをしました。トライを取られてしまいましたが、(尾﨑)泰雅のインターセプトからのトライで、帝京が流れを変えて、24点まで取ることができました。でも、これで満足してしまったのか、後半は0点でした。慶應さんのいいディフェンス、タックルがすごかったのもあります。慶應さんはアタックでのキャリーも強かったです。自分たちはいいタックルができず、ターンオーバーのチャンスも少なくて、ボールキープされてしまいました。久しぶりのクロスゲームになって、結果として勝ててよかったですが、プロセス、中身はまだまだ。でも、今日は慶應さんがすばらしかった。僕たちはいい経験をさせてもらいました。慶應さんのいいディフェンスで、今日は自分たちがやりたいラグビーがあまりできなかったけど、次は早稲田さんとの試合。サマーキャンプ(夏合宿)で負けた悔しさ、その気持ちを忘れずに頑張ります。」
■久しぶりの試合でもしっかりタックルできた・FL今村陽良(4年)
「今シーズンはケガが多く、全然試合に出られていなかったのですが、今日は久しぶりの試合で楽しかったです。ケガで離脱している期間が長く、試合でどうなるか自分でもわからなかったのですが、まずはケガの再発がなかったのがよかったです。ただ、久しぶりでゲーム感覚が全然つかめていなかったので、これから練習や試合で取り戻していきたいです。今週はディフェンスではダブルタックルの練習をしっかりやってきたのですが、一人で倒し切れないところを二人でしっかりと止めるセカンド・タックラーとして、相手の前進を止める部分はできていたのではないかと思っています。自分の強みはボールキャリーで前に出るアタックだと思っているので、ここからその強みを、もう一度、思い出すための練習を積んで、自分の強みを取り戻して、試合でしっかりとゲインしていきたいです。」
《PICK UP PLAYERS》
久々の出場で好タックルを連発
CTB ニコラス・マクカラン(2年)
Nicholas McCurran
医療技術学部スポーツ医療学科
ハミルトンボーイズ高校出身
身長188cm/体重90kg
■久しぶりのゲームですが、試合の感想をお願いします。
「夏合宿でケガをしてしまって、久しぶりだったので、ノーエンジン。しんどかったです。疲れました。これから改善、improveしていきます。」
■ケガはもう大丈夫ですか?
「はい。顔の骨でしたが、もう大丈夫。問題ないです。」
■今日の自身のプレーについては、どう感じていますか?
「キックの練習をたくさんしていたので、そこが出たのはよかったです。あとは、ディフェンスが今日のフォーカスポイント。そこもよかった。」
■ナイスタックルもたくさんありました。
「ありがとうございます。」
■ここをもっと修正していきたいという部分はありますか?
「(尾﨑)泰雅とは、CTBでいっしょにプレーしたことがほとんどなかったので、これからもっとコミュニケーションの部分をimprovement(改善)していきたいです。」
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「次は、今日よりもっといいプレーができるように頑張ります。」
夏合宿のゲームで顔の骨を負傷し、戦列を離れていたが、このゲームで復帰。後半からの出場だったが、いきなりピンチでの好タックルを連発。自陣ゴール前のピンチでは、練習していたというロングキックで、大きく陣地を挽回。ピンチを脱出した。本人は、CTB陣として初めてコンビを組んだ尾﨑選手とのコミュニケーションがよくなかったと分析しているが、これはここから改善していけるところ。また、スタミナ切れも反省していたが、これもここから練習と試合を重ねていくことで改善できる。これまではあまり見せなかったロングキック、あるいはタックルでの成長を見せてくれたが、このあとはチームメイトとのコミュニケーションの部分で成長し、チーム全体の成長をも促してくれそうだ。
《COLUMN》
―― 意味付けに気づく ――
対抗戦第4戦、慶應義塾大学との試合は、24-19で帝京が勝利しました。これについての報道をいくつか拾い読みしてみると、大きく分けて2つの報道パターンがありました。
1つは「帝京、薄氷を踏む勝利」「帝京辛勝」というもの。もう1つは「帝京、接戦を勝ち切る強さ」「帝京、追い詰められても負けない力」というものです。前者の表現は「ぎりぎりで勝てたけれど、危なかった」という意味合いが含まれ、後者のそれは「ぎりぎりでもしっかり勝ち切る強さがあった」という意味合いが含まれているようです。
事実としては、24-19で帝京が勝ったということだけ。あとは、記事を書いた記者さんの主観的な解釈です。コップの中に半分、飲み物が入っているのを見て、「半分しかない」と思うか、「半分もある」と思うかという、いわゆる「プラス思考」「マイナス思考」の話になります。
プラス思考で捉えられれば、それはいいことだと思いがちですが、実はこれに対しても「いや、プラス思考にも落とし穴がある」と言う人もいます。その理由は主に2つ。
「何かマイナス要素が発生した時に、毎回毎回、プラスに転じる内容を考えなければならないが、場合によっては考えつかないこともあるし、毎回それをやるのはたいへん」というのが1つ。もう1つは、1つめにも関わりますが、「無理やりプラスに考えても、無意識の中では『そうは言っても本当はマイナスなんだよな』という思考がどうしても起こってしまい、よけいにこだわってしまうなど、かえって悪影響がある」というものです。要約すると、1つめは「たいへん」、2つめは「むしろよけいに気にしてしまう」ということです。
プラス思考というのは結果に対する捉え方であって、結局は結果を気にする思考法だという指摘もあります。結果に至るまでの過程において、ベストのパフォーマンスを発揮するための思考法としては使いづらいということのようです。
では、どうすればいいのか。こうした「時にプラス思考は危険」と述べる人たちは、事実(24-19で帝京が勝利した)は事実として捉え、「辛くも勝利」とか「接戦を勝ち切る」といったことはあとから意味付けしただけだと気付くことが大事だと言います。「意味付けをやめよう」とすると、よけいに気にしてしまうので、気付くだけでいいのだそうです。
そして、そのこととは切り離して、次に行うパフォーマンスに機嫌よく臨んでいく。自分の機嫌は自分で作っていく(余談ですが、タレントのみやぞんさんもこう言っていました)。
けっしてプラス思考が悪いということではありません。自然にできていれば問題ないと言います。無理のあるプラス思考は危険が伴うので、「プラス思考をしているな」と気付くことが重要だということです。
おそらく、帝京の選手たちはみなこのあたりはわかっていて、もう切り替えて次の自分たちのパフォーマンスをベストに持っていくための準備をしていることでしょう。次戦も、厳しい場面を(無理やりにではなく)自然に楽しみ、自分の機嫌は自分で取る選手たちのプレーぶりを見守っていきたいと思います。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
LO 後藤孝輔(1年)
専修大学松戸高校出身
身長175cm/体重95kg
「自分のアピールポイントはラインアウトです。最初はあまり飛べていなかったラインアウト・ジャンプが、練習を重ねるたびに安定してきて、いまは強みと言えるくらいになりました。課題は、ディフェンスでのコミュニケーション。横とのコミュニケーションやキックチェイスなどをもっと強化したいと思っています。帝京大学ラグビー部は上級生が下級生に余裕を作ってくださるのは聞いていましたが、食事の準備など、練習後で疲れているにもかかわらず、全員の食事の準備から最後の後片付けまで先輩方がやってくださって、僕たちはその間に勉強の時間を作れたりするので、本当にすごくありがたいと感じています。今後は、ディフェンスの課題を克服して、もっと強みを増やしていって、少しでも上のチームで活躍できるように頑張っていきたいです。」
No8 村田空海(1年)
京都成章高校出身
身長178cm/体重89kg
「自分の強みは、ボールキャリーです。ボールをもらってからステップなどの動きで、ずらして当たるのが得意です。課題はディフェンス。特にタックルがしっかりできるように、頑張っています。帝京大学ラグビー部は掃除や練習の準備、食事の準備などの仕事を先輩方がやってくださるのですが、僕たち以上にしんどい練習をしているのに、そういう仕事をきちんとやって、僕たちに余裕を作ってくださるのは、入る前に聞いていた以上でした。今後はディフェンスの課題を克服して、少しでも上のチームでプレーできるようにしたいです。」
FB・CTB 小村健太(1年)
ハミルトンボーイズ高校出身
身長178cm/体重81kg
「僕の強みはランとステップです。オフロード・パスとキックも得意としています。課題は、CTBという新しいポジションでのディフェンス、またアタックでのディシジョン・メイキング、状況判断のところをいま課題として取り組んでいます。僕が考える帝京大学ラグビー部のよさは団結力。みんなが同じ方向を向いて活動しているところは、すごいと感じます。僕はニュージーランドの高校に行っていたのですが、向こうでは『個人』が重視され、チームメイトはライバルなので、チームとしてのまとまりはあまり感じられませんでした。でも、ここでは(ニュージーランドならライバルとみなされる)同じポジションの先輩方がいろいろなことを丁寧に教えてくださいます。お互いにレベルアップできると実感します。今後は、まずは試合に出ること。試合に出て、チームの勝利に、そして大学選手権優勝に少しでも貢献できるように、さらには自分の成長のためにも努力を続けていきたいと思います。」
左から後藤孝輔、村田空海、小村健太
《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対早稲田大学(https://www.wasedarugby.com/)
11月4日(日) 秩父宮ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦12勝27敗(大学選手権4勝2敗)
[早稲田大学の直近5戦]
8月24日 ●21-28東海大学(夏季練習試合)
9月9日 ○55-10筑波大学(関東大学対抗戦A)
9月23日 ○99-5成蹊大学(関東大学対抗戦A)
10月7日 ○123-0青山学院大学(関東大学対抗戦A)
10月21日 ○68-10日本体育大学(関東大学対抗戦A)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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