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関東大学対抗戦A 筑波大学戦

関東大学対抗戦A 筑波大学戦

2018/12/01

12月1日(土)・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
○帝京大学(6勝1敗)66-10筑波大学(3勝4敗)●



《帝京大学》
[FW]
(1)岡本⇒文(2)清水⇒北(3)淺岡⇒當眞(4)ロガヴァトゥ(5)秋山(6)中野(7)菅原⇒安田(8)今村⇒藤田
[BK]
(9)小畑(10)北村(11)宮上⇒奥村(12)マクカラン(二)⇒本郷(13)尾﨑(14)木村(15)竹山

《筑波大学》※先発のみ
[FW]
(1)北島(2)大西(3)鎌田(4)後藤(5)和田(6)長(7)中田(8)土谷
[BK]
(9)杉山(10)松永(11)河野(12)野中(13)岡﨑(14)仁熊(15)島田

【前半】【得点経過】
【2分】帝7-0筑
CTB尾﨑がパスをインターセプト。自陣深くからそのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【12分】帝14-0筑
ラインアウトからモールを押し込み、No8中野がトライ。ゴール成功。

【17分】帝21-0筑
ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH小畑-CTB尾﨑と渡り、尾﨑が抜け出してトライ。ゴール成功。

【25分】帝28-0筑
キックカウンターから連続攻撃。SH小畑がインゴールにキック。CTB尾﨑が押さえてトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】
【1分】帝35-0筑
キックオフから連続攻撃。ラックから、SH小畑-FL今村-No8中野-FB竹山-WTB木村と渡り、木村が走り切ってトライ。ゴール成功。

【5分】帝42-0筑
LOロガヴァトゥがインゴールで相手ボールをもぎ取り、そのままグラウンディングしてトライ。ゴール成功。

【16分】帝49-0筑
相手のペナルティキックがノータッチとなり、キャッチして連続攻撃。SO北村が外へキックパスし、FB竹山がキャッチしてトライ。ゴール成功。

【29分】帝56-0筑
FL今村のキックをWTB木村がキープして、連続攻撃。ラックからSH小畑-FB竹山-WTB木村と渡り、木村がトライ。ゴール成功。

【31分】帝56-5筑
パスをインターセプトされ、トライを奪われる。

【35分】帝61-5筑
スクラムから連続攻撃。ラックから、SH末-CTB尾﨑-CTB本郷と渡り、本郷が抜け出してトライ。

【40分】帝61-10筑
スクラムからつながれ、トライを奪われる。

【43分】低66-10筑
こぼれ球をキープしてラックに。SH末-FB竹山と渡り、竹山がインゴールへキック。WTB木村が追いついて、押さえてトライ。


《BRIEF REVIEW》

対抗戦の最終戦は筑波大学との試合。この試合に勝利すれば、史上初の対抗戦8連覇(同率優勝を含む)となる。また、今後の大学選手権にいい形で臨むためにも、しっかりと成長できる試合にしたいところだ。開始直後は守りの時間帯となる。ミスもあり、またやや厳しさの欠けたタックルもあり、相手に自陣深くまで攻め込まれてしまう。ふわっとした立ち上がりとなりそうだったチームを目覚めさせたのは、CTB尾﨑のプレー。外につながれそうだった相手のパスをインターセプト。そのまま、90m近くを走り切って先制トライを奪った。ここからは帝京ペースで進む。相手の厳しいディフェンスで、なかなか前進できない時間帯もあるが、我慢強く体を当て続け、チャンスを得たところではしっかりと攻め込む。12分にモールでNo8中野が対抗戦初トライを奪うと、17分、25分とCTB尾﨑が連続トライ。だが、この後、風が非常に強くなったこともあり、ハンドリングエラーも増えて攻めきれず、28-0で前半を折り返した。後半は開始早々から、帝京がエンジン全開。キックオフのボールを自陣からつないで、最後はWTB木村がノーホイッスルトライ。5分には、敵陣深く攻め込んで、相手のパスが乱れたところでラックに圧力をかける。相手SHが持ち出したところを、LOロガヴァトゥがインゴールでボールをもぎ取り、トライ。攻められる時間帯もあるが、CTB本郷、PR岡本、HO清水らの好タックルで相手の前進を許さない。BK間のコミュニケーションも攻守にわたってうまく取れる。16分にはSO北村が外のFB竹山にキックパスし、トライ。ギリギリでつながらなかったキックパスもあったが、前に出てディフェンスしてくる相手に対して、裏へのキックを有効に使って攻めていく。ミスで2トライを献上するも、最後まで厳しいプレーを続け、ノーサイド直前にもインゴールへのキックをWTB木村が押さえてトライを奪い、66-5としてノーサイド。帝京が対抗戦の最終戦を勝利で締めくくり、8年連続9回目の対抗戦優勝を決めた。






《POST MATCH INTERVIEW》

■岩出雅之監督
「今日は対抗戦の最終ゲームでしたが、このあとの大学選手権では(シードされて、16日の試合がないため)1試合、間があきますので、今日を大学選手権の1回戦と位置付けて、ここから今日を含めて4試合、しっかりと成長しながらやっていこうと言って臨みました。また、学生たち自身がここまで対抗戦で一つ一つ積み上げてきたことを、本気になって、根気よく、元気よく、いいプレーをしようと言って、そこに期待して試合に臨みました。今日の勝利で、対抗戦8年連続優勝という結果になりましたが、これまでチームが毎年、積み上げてきたものに、今年のチームが今年のチームとしていい答えが出せたことはとてもよかったと思いますし、学生たちには喜びと誇り、そして先輩たち、仲間たちへの敬意を感じてほしいと思っています。今日は気持ちの入ったゲームをしていたと思います。対抗戦後半で集中力の欠けた試合がありましたが、そうした甘い部分を変えていけるような成長を感じることができました。細かい部分ではまだまだ修正点は多々ありますが、対抗戦の締めくくりとして、そして大学選手権に向かっていく試合としては、いいゲームができたと感じています。これに満足せず、ここからさらにいい積み上げをして、大学選手権準々決勝に臨みたいと思います。」


■キャプテン・LO秋山大地(4年)
「今日は対抗戦のラストゲームということで、これまでやってきたこと、激しくやり続けることを意識して試合に臨みました。前後半とも、いい流れで試合を進めることができたのはよかったのですが、後半残り10分くらいから、ミスで2トライを奪われてしまったところは修正しなければならない課題だと思います。次の大学選手権には、チームできちんと修正して臨みたいと思います。対抗戦8年連続優勝という結果は、すごくうれしく思います。ですが、前節、明治大学さんに敗れていますし、自分自身にも妥協してしまう甘さがあり、チームとしてもまだまだ伸びていかなければいけないと思うので、この優勝はみんなでエネルギーに換えて、次の大学選手権に向けて気を引き締めてやってきたいと思います。」



■外側としっかりとコミュニケーションが取れた・SO北村将大(2年)
「今日はチームとして80分間、厳しいところをやり続けることをテーマに臨みましたが、このあとの大学選手権につながるいいゲームができたかなと思います。キックパスを使う場面が多かったのですが、外側のプレーヤーとしっかりコミュニケーションを取って、いい形が作れたことは次にもつながると思います。自分は今後も、そうした外の声を聞く余裕、前を見て判断する余裕をもって、アタック、ディフェンスをしていけるようにしたいです。また、後半の途中からゴールキックを任されたのですが、決めることができなかったので、そこはもっと練習していきたいです。次からは大学選手権ですが、目の前の一戦一戦に全力で挑み、試合を通して成長できるように、自分自身もっともっとレベルアップしていきたいです。その積み重ねで、最後はチームとして一丸となって優勝できるように、ここからもう一段階、成長していきたいです。」



■スクラムでチームを盛り上げるプレーヤーになりたい・PR當眞琢(4年)
「今日はいつもより早めの時間帯での出場になり、得意のスクラム、課題のディフェンスの両方を意識して試合に臨みました。ただ、敵陣ゴール前のマイボールのスクラムで、自分の持ち味が出せなかったのが悔しいです。相手の押しに対して対応できずに、うまく押せませんでした。そのあとは対応できたのですが、最初からしっかりと対応できるようにすることが今後への課題だと思います。また、リザーブとして、自分が出て行くことでチームを盛り上げられるような存在になりたいです。対抗戦8連覇が決まったことはうれしいですが、これで終わりではなく、ここから大学選手権が始まるので、全員がいいパフォーマンスを発揮できるように、これからも精進してきたいと思います。自分自身も、持ち味のスクラム、課題のタックルをもっとよくしていきたいです。自分がリーダーシップを発揮する場面はスクラムが多いと思うので、スクラムでチームを盛り上げていけるプレーヤーになっていきたいと思います。」



《PICK UP PLAYERS》

強みのスクラムでさらなる自信を得た

PR 北隼人(3年)
KITA HAYATO



医療技術学部スポーツ医療学科
筑紫高校出身
身長178cm/体重105kg

■対抗戦は初出場。それも含めて、まずは試合の感想からお願いします。
「初めての対抗戦でかなり緊張したのですが、Aチームのメンバーとしてグラウンドに立てたことはすごくうれしいですし、自分自身の大きな一歩になる、いい経験をさせていただいたと思っています。」

■自身では、どういう部分を期待されての起用と捉えていますか。
「スクラムを安定させる為だと思っています。組んだのは一本だけでしたが、相手を押すことができたので、その部分の期待には応えられたかなと思っています。」

■Aチームのメンバーに選ばれると知ったのは、木曜日のメンバー発表のときですか?
「そうですね。驚きましたが、スクラム練習で自分としてもとても安定して組めていたので、『もうちょっと頑張ったら、選ばれるかもしれない』という思いも、ひそかにはありました。」

■試合で、スクラムでヒットしてみた感覚はどうでしたか。
「やはり、下のチームでやっていたいままでと違い、すごく重く感じました。経験したことがない重さでした。」

■その重さを経験したことで、今後はここがスタンダードになっていくのではないでしょうか。
「そうですね。いい経験をさせてもらいました。」

■フィールドプレーではどうでしたか。
「ディフェンスの時間が多めでしたが、自分の立ち方などの細かいスキルがまだまだ足りていないと感じました。最後の最後で相手に抜かれてしまった場面もあったので、ディフェンスは課題として出てしまったと感じています。」

■チームは今日の勝利で、史上初の対抗戦8年連続優勝となりました。それについては、どう感じていますか。
「正直、自分は今日が対抗戦初出場でしたので、8年連続という部分は実感があまりないのですが、今年の優勝をめざしてやってきて、それを達成できて、その達成できた試合でチームの一員としてグラウンドに立てていたことはとてもうれしいです。」

■大学選手権に向けて、意気込みをお願いします。
「まずはAチームに残れるように、練習からしっかりと積み重ねて、自分の足りないところをレベルアップさせて、強みのスクラムもさらに高めていきたいです。」


強みはスクラム。対抗戦初出場で、後半残り5分ほどの場面で登場し、いきなりそのスクラムを組むことになった。そこで強みを出し、いいスクラムを組めたことで自信を得たようだ。スクラム練習では自身でも「もうちょっと頑張れば、メンバーに選ばれるかも」と感じられるほど、いい手応えを得ていたという。ディフェンス面での課題も認識。今後、改善されていくことだろう。この試合での経験が、今後の成長に大きく寄与するに違いない。ここからの成長次第で、チームに大きく貢献する選手になってくれるかもしれない。期待しよう。







《COLUMN》

―― 対抗戦8連覇 ――


この日の試合に勝利し、帝京は対抗戦8年連続優勝(同率優勝を含む)を成し遂げました。これまでの連続優勝は、2001年度から2007年度までの早稲田大学の7年連続が最高。帝京はこの記録を更新しました。

シーズン当初は岩出監督も「今年度優勝すると、対抗戦の連続優勝記録が更新される」という事実を認識していなかったようです。チームとしては、毎年、毎試合を全力で戦うことに集中していて、「連覇」というのは後から振り返った結果だからです。それでも岩出監督は、成蹊大学戦の記者会見場で、記録に詳しい記者さんからこのことについて質問され、「知りませんでした。個人的にはかなりモチベーションが上がりました」と答えています。

大学選手権10連覇をめざしている帝京でも対抗戦は8連覇(史上初)、しかもこの中には同率優勝も含まれているという事実は、これまでの歴史において、いかに力の拮抗した各校がお互いに切磋琢磨し、しのぎを削る戦いを繰り広げてきたかを示していると思います。対抗戦グループで勝ち続けることの大変さを、歴史が教えてくれていると言ってもいいでしょう。

実際、V1、V2の年(2009、2010年度)は対抗戦では優勝どころか、3位(同率)と4位に甘んじています。ここから大学選手権優勝につなげていったのです。

逆に2008年度、帝京は対抗戦初優勝を遂げています(今年、8年連続9回目ですが、1回分の差はこの年の優勝分です)が、大学選手権では、対抗戦で勝利した早稲田大学に決勝戦で敗れての準優勝でした。

対抗戦初優勝。このときはチームで喜びを爆発させたことでしょう。初優勝ですから、手放しで喜んで当然です。しかし、その後の大学選手権で敗れてしまった。この年は「対抗戦優勝でシーズンが終わるわけではない。まだまだ先がある」ことを再認識させられたのではないでしょうか。

こうした認識は、今年の秋山キャプテンももっているようで「うれしいですが、これで終わりではないので、次へのエネルギーに換えて戦っていきたい」と述べています。

「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、帝京は対抗戦8連覇という誇りを胸に、次への戦いに挑んでいきます。


《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。


LO・FL リッチモンド・トンガタマ(1年)
オタフフ・カレッジ出身
身長188cm/体重129kg

「自分の強みはボールキャリー、タックルです。課題はスピード、アジリティ、フィットネスなので、それらをimprove(改善)しています。帝京大学ラグビー部は、ファンダメンタル・スキルを大切にしているところがすばらしいと思います。ニュージーランドでは、チームシステムやゲームプランが重視されますが、ここではファンダメンタル・スキルもバランスよく身につけることができます。今後は、日本語をもっともっと勉強して、コミュニケーション・スキルをさらに磨きたいです。」


PR・HO 藤田康助(1年)
京都成章高校出身
身長181cm/体重120kg

「自分の強みは安定したセットプレーとボールキャリーです。ただ、ボールキャリーに関しては、もっと強く前に出られるようにしたいです。また、フィットネスの部分が課題で、アタック、ディフェンスともにもっともっと動けるようになりたいです。帝京大学ラグビー部は先輩方が1年生に余裕を与えてくれて、僕たちをリードしてくださいます。その点はいつもすごいと感じています。自分は花園でケガをしてしまい、大学に入ってからはトレーニングばかりでラグビーの練習がちゃんとできていないのですが、まずはしっかりと治して、いい状態で復帰して試合に出られるように、自分のモチベーションを上げていけたらと思っています。」



左・藤田康助 右・リッチモンド トンガタマ

《NEXT MATCH》
第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝
対戦相手未定(流通経済大学対福岡工業大学の勝者)
12月22日(土) 秩父宮ラグビー場
14時20分キックオフ


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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