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春季オープン戦第1戦 拓殖大学戦
2011/04/30
春のオープン戦・開幕戦は圧勝発進!
4月30日(土)・百草グラウンド○帝京大学 65対17 拓殖大学●
《出場メンバー》(1)吉田⇒佐藤 (2)白⇒森川 (3)猿渡⇒出渕 (4)小瀧⇒堤 (5)今村 (6)木下 (7)杉永⇒伊藤 (8)小山田 (9)滑川⇒流 (10)小野⇒朴 (11)池上⇒柳 (12)南橋⇒大橋 (13)権⇒ゴン (14)菅谷⇒木崎 (15)南藤
いよいよ帝京の2011年度シーズン、最初の戦いがスタートした。まだまだチーム作りというよりも、個々の基礎的な土台を積み上げている段階だが、それでも今季最初の練習マッチとあり、百草グラウンドには多くの観客が詰めかけ、その“はじめの一歩”に視線が集まった。
【前半戦】
キックオフ直前の帝京フィフティーン。その表情は比較的冷静さを保っている様子だ。森田主将、ボンド、竹田、U20代表組ら、多くの主力をケガなどで欠く 一方で、LO小瀧、FL杉永、CTB権ら、ルーキー陣もスタメンに名を列ね、フレッシュなメンバー編成での開幕戦となった。ゲームキャプテン・SH滑川を 中心に、気迫のこもった表情でピッチへと向かう。試合は拓大のキックオフで始まる。序盤は予想通り、厳しいFWの攻防で幕を開ける。帝京はブレイクダウン で激しく攻め立てる。前出の小瀧、権もこれに遅れまいと、ラインアウト、カバーDFで脇を固める。最初に試合が動いたのは5分。帝京FWはジワリジワリと 敵陣に入り込むと、ラインアウトモールからそのままトライ。この得点で硬さもとれると、今度は15人一体となったテンポの良いつなぎで攻め立て、11分に はラックサイドを制圧し加点(10―0)。
その後も滑川―SO小野のHB陣を中心にゲームを支配。FWもしっかりポイントに走り込み、ラクな展開でアタックをし続ける帝京。CTB南橋も相変わらずの鋭い切れ込みを見せる。
守ってもHO白、権、小野らがしっかりと体を当てるDFで、ピンチを未然に防ぐ。帝京は残りの前半戦、Aチーム初出場WTB池上の好トライを含む4トライを重ね、36対0で前半を折り返すこととなった。
【後半戦】
ハーフタイム。岩出監督からは「若い選手が多いのだからもっともっとチャレンジしていこう!ミスを恐れず、しかし、ミスがでたら、リカバーはしっかりす る。その姿勢、気概は信頼につながる。今日はまだまだスタート、一つひとつの信頼を積み上げていこう」との言葉がかけられる。選手の表情もいっそう引き締 まる。その言葉どおり、帝京は後半大幅にメンバーを入れ替え、この時期ならではのチャレンジを試みる。まずは後半出場のFL伊藤哲、CTBゴンらがDFで 魅せると、さらにはルーキーのHO森川、SH流、SO朴らも続く。3分には敵陣深くに入り込むと、FWが早い寄りで密集を制し、流がサイド突破に成功。
最後は冷静な判断でこちらもニューフェース・WTB木崎につなぎ、右スミにトライ(41-0)。その後も継続ラグビーで相手を圧倒する帝京。FWは基本に 忠実なレッグドライブで前進を繰り返し、BKもWTB柳、FB南藤らが決定力の違いを見せ付ける。結局残りの後半もゲームを支配し続けた帝京が、 65-17で今季のオープン戦緒戦を圧勝で飾った。
全体的にはチーム始動からまだ1カ月そこそこであり、また基礎的なトレーニングに注力している段階のため、チームの骨組みを作り始めていくという印象を受 けたが、それでもFW陣のボールキャリアへの早い寄りを始め、BKのワイド展開や継続への意識の高さは、十分に可能性を感じさせてくれる内容であった。ま たピッチ外でも、森田主将や後半退いた滑川ら最上級生が、献身的にウォーターボーイを買って出るなど、今季のチームの一体感やまとまりを窺い知ることがで き、いよいよ今季の戦いが始まる高揚感と、チームの可能性を存分に感じさせてくれる、2011帝京の戦い始めとなった。
《この日行われたその他の試合》
○帝京大学B 82対5 拓殖大学B●
○帝京大学1年 55対0 拓殖大学1年●
*この日の岩出監督が選ぶMVPには、1年生マッチで3トライを奪取したCTB西口侑太郎(同志社高校出身)が選ばれた。
《試合後のインタビュー》
□岩出雅之監督
「今シーズンの最初の試合となりましたが、今日も多くの方々の観戦、応援をいただき感謝を申し上げます。練習が再開しておよそ1カ月、ここまでは基礎的な トレーニングを中心に、練習を積み上げています。細かな部分は、まだまだこれから仕込んでいくということになりますが、今日は、ラグビーができる喜びを実 感し、これからにつながるスタートゲームとして、軽いプレーをせずに、今シーズン自分達が目指すスタイルやレベルにつながるプレーを期待して試合を迎えま した。ボールをしっかり動かし、激しいブレイクダウンや厳しいタックルにこだわる姿勢を選手達には見せて欲しいと思っていました。当然課題はたくさんあり ますが、良い今季のスタートが切れたゲームであったと思います。昨年度までチームを引っ張ってくれた吉田前主将、ヘンディといった選手は卒業しましたが、 新4年生が非常に意欲的にチームをリードしてくれています。そのムードの中、新たなメンバーや1年生がどこまで積極的にチャレンジしてくれるかにも注目し ています。自信や信頼を積み上げていくためにも、良い取り組み姿勢を崩さずに続けて欲しいですね。特に1年生は、大きな可能性を持った選手が多く入部して きてくれていますので、今後もあまり細かなことを気にせずノビノビとプレーしてほしいと思います。今日の試合同様に、今後もより多くの皆さまのご声援、観 戦をお願いいたします。」
□ゲームキャプテンSH滑川剛人(4年)
「今日は春の最初の試合でしたが、オープン戦という気持ちではなく、昨年度の選手権決勝と同じ気持ちで臨みました。チームとしては、しっかり前を向いて仕 掛けていくことを意識して、スペースを見つけながら局面によってはWTB、FBを活かしながら、攻めて行きたいと考えていました。いい場面もたくさんあり ましたし、これからさらに判断力やフィットネスを高めていきたいと思います。個人的にも最後のシーズンですし、特に1、2年生の時には先輩に面倒を見ても らってきましたので、自分も1年生をしっかりカバーできるよう心がけていきたいです。(まだ先の話ですが)シーズンに向かっては、ボールを動かすラグビー にチャレンジしながらも、ラグビーはFWが強いチームが本当に強いチームだと思うので、その強みを生かせるようなラグビーをできればと思います。まずは去 年のチームに追い付くこと。そしてそこを超えて、さらに進化できるように、一日一日を大切にしていきたいと思います」
□FWリーダー・HO白隆尚(4年)
「今日は新しいストラクチャーやオプションへのチャレンジ、リポジション、ブレイクダウン、といった部分をチームテーマとして考え臨みました。ブレイクダ ウンに関してはいい部分もあったのですが、80分しっかりとしたパフォーマンスをし続け、精度の高いボールをBKに供給していきたいと思います。スクラム もコンスタントに誰が出てもきっちり組めるところまでもって行きたいです。これまでの帝京の強みを活かしながらも、徐々に新しいことにもチャレンジしてい きたいです。今年はFWリーダーという役割を与えていただきましたが、昨年までは自分のことで精一杯でしたので、もっともっと全体を見渡して、他のリー ダーとチームを引っ張っていきたいです。プレー面ではブレイクダウンでどれだけチームに貢献できるか、そこにこだわっていきたいです」
□現在193cm・100kg!無限の可能性を秘めるLO小瀧尚弘(1年)
「今日はラインアウトなどでの反応と、ダウンボールやコンタクトヒットをしっかり行うことを意識して臨みました。監督からは思い切りやるように言っていた だいてましたので、そういう意味では先輩に引っ張っていただいて、まずまずできたと思いますが、やはり高校のラグビーとは当たりの強さが違うと感じまし た。フィットネスを含め、今日で出た課題をしっかり吸収しながら、どんどんアピールしていきたいです。」
□柔らかな動きが魅力のFL杉永亮太(1年)
「FLは初めてで初試合となり最初は緊張しましたが、それなりに楽しんでできました。スクラムとかで自分から積極的に声でリードできましたし、滑川さんと かすごくフォローしてくれましたので助けられました。とにかく相手より走り勝つ、ポイントに一番に到達することをテーマにしていましたが、最後は少し足が 止まって、そこは課題として残りました。帝京に入ったのは生活面や人間作りといった部分がすごくしっかりしてそうなので、入りましたが、入って正解でした (笑)。あと高校ジャパンの遠征でも感じましたが、今ラグビーができることに感謝して、今後は1年生だからといって遠慮なくアピールして、レギュラーを取 れるよう努力していきたいです。同じ九州出身の早稲田・布巻選手(高校ジャパン主将。杉永は副将を務めた)には絶対に負けたくないですね」
□大物の片鱗を魅せたCTB権裕人(1年)
「今日は基本的なプレー、ダウンボールや低いプレーをしっかりやり切るという目標を持って臨みました。楽しくプレーできましたが、起点となってFWがもっ と楽につなげるよう、今後はプレーしていきたいと思います。帝京に入って1カ月くらいですが、先輩もすごく気を遣っていただいてとても楽しくできていま す。特に同じCTBの南橋さんはプレーも尊敬していますが、雰囲気は最初怖かったのですが(笑)、とても優しくアドバイスをしてくださって、本当に助けら れています。帝京はV1の時に見て、FWが強くてBKもすごく組織立っていて憧れていたのと、DFが強いチームでプレーして自分のレベルアップにもつなげ たいと思って入りました。今体重は98kgなんですが、高校時代105kgだったので、しっかり栄養管理などもしていただいて、すべてがいい環境でラグ ビーができているので、とても充実しています」
《PICKUP PLAYERS》
ラストシーズンを迎えた俊足トライゲッターWTB 池上貴章(4年)
IKEGAMI1 TAKAAKI
1989年5月8日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
奈良工業高校卒業
身長169cm/体重77kg/血液型AB型
■4年目にして初めてのA戦出場となりましたね
「やはり緊張しました(笑)。去年まではCチームとかでしたので。とにかく頑張るしかない!と思って臨みました」
■試合を振り返ってどうでしたか?
「最初DFで連携ミスをしてしまったのでそこは反省です。そこで監督に声をかけていただいて目が覚めたというか、気持ちを入れ直してなんとかその後立て直せたと思います」
■その後、相手WTBを1対1で抜き去っていました
「あの場面は体が勝手に反応してくれたというか、自分はキックがあまりうまくないので、とにかく勝負しかないと」
■トライもきっちり奪いました
「相手が高くタックルに来ていたのと、ボールをもらう前に半ズレにできたのが良かったと思います。うまくズラしてくれた他の選手に感謝です」
■得意なプレーは?
「縦に切れ込んで行くプレーと、ステップ、カウンターアタックは得意というか、好きなプレーです」
■帝京大学に入ったきっかけは?
「高校の監督(山本清悟監督)と岩出監督が大学時代の先輩後輩であったこともあり、帝京に入らせてもらうことになりました。高校時代はALL奈良の最終選考まで行ったのですが大した実績もなかったので、岩出監督と山本監督には本当に感謝です」
■実際に帝京大学に入ってみていかがでしたか?
「とにかくレベルの高さに驚いたというか、すごく“考えるラグビー”だなという印象を受けました」
■今季はラストシーズンですが最後に意気込みを聞かせてください
「今日はたまたまAチームで出させていただいた部分もあると思いますが、自分としては絶対にAに残るつもりで頑張っていきたいです。あとは4年生らしく体を張るプレーで、後輩たちもリードするくらいの気持ちで練習に取り組んでいきたいと思います」
体格的には決して恵まれている方ではないが、その体をいっぱいに使った走りで他の部員からの信頼も厚い池上。ピッチを離れると同期とボーリングに講じた り、寮の自室で雑談にいそしんだりと、比較的落ち着いた印象を受けるが、そのラグビーへの取り組みと爽快なプレーぶりは、見ている者に何かを感じさせてく れるプレーヤーだ。昨シーズン、CTB黒川、WTB鬼海らがラストシーズンでブレイクしたように、この男のプレーにも注目していきたい。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【5月15日(日)VS流通経済大学 帝京大学百草グラウンド キックオフ時間調整中】春季オープン戦の第2戦の相手は昨年リーグ戦2位の流通経済大学。近年、大型FWを前面に出し躍進著しいチームで気を抜けない相手だが、さらに上を目指す 帝京にとっては勝敗よりも内容にこだわりたいところ。尚、当日は、Aマッチの他にB戦、また前日の14日(土)には同じく流通経済大学とのC、D戦が予定 されている。
*8日(日)には秩父宮ラグビー場で開催予定の東日本大学セブンズ大会に参加予定。詳細はコチラ。
(写真・志賀由佳)
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