REPORT
レポート
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招待試合(第6回成田ラグビーフェスティバル) 明治大学戦
2019/06/02
6月2日(日)・中台運動公園陸上競技場
●帝京大学17-35明治大学○
《帝京大学》
[FW]
(1)北⇒髙井(2)李(承爀)⇒文(3)奥野⇒細木(4)マクロビー(5)久保(6)安田(7)山添⇒トンガタマ(8)中野⇒ツイナカウヴァドラ
[BK]
(9)西川⇒土永(10)北村(11)李(承信)⇒小村(12)岡村(13)尾﨑(14)木村(15)奥村
《明治大学》※先発のみ
[FW]
(1)安(2)武井(3)笹川(4)片倉(5)箸本(6)小澤(7)繁松(8)坂
[BK]
(9)飯沼(10)山沢(11)山﨑(12)児玉(13)齊藤(14)山村(15)雲山
【前半】【得点経過】
【2分】帝0-7明
キックカウンターからつながれ、トライを奪われる。
【14分】帝0-14明
スクラムからFWで攻められ、トライを奪われる。
【31分】帝0-21明
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。
【35分】帝5-21明
スクラムからBK展開。うまくつないで、WTB木村が走り切ってトライ。
【後半】【得点経過】
【15分】帝5-28明
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【28分】帝5-35明
ターンオーバーからつながれて、トライを奪われる。
【33分】帝12-35明
ペナルティからクイック・リスタート。ラックから、PR細木が持ち出してトライ。ゴール成功。
【39分】帝17-35明
ペナルティからクイック・リスタート。No8ツイナカウヴァドラが抜け出して、そのまま走り切ってトライ。
《BRIEF REVIEW》
招待試合「成田ラグビーフェスティバル」での対戦相手は、昨年度、大学選手権優勝の明治大学。対抗戦のライバルであることはもちろん、王座奪還をめざす帝京にとって、越えなければならない大きな壁でもある。前半、帝京はなかなかペースを握れない。2分に先制点を許すと、14分にはFWで攻められて追加点を奪われてしまう。攻めてもミスが出るなどして、得点を返せない。ただ、前の試合で苦しんだスクラムでは、少しずつながら成長が見られ、FW陣が頑張りを見せた。35分には、スクラムからBK陣がうまくつないでトライを奪い、5-28で前半を折り返した。後半は、FW陣がもっと激しく前に出るプレーを意識。すると、前半とは違って相手を押し返す場面も多くなる。30分までに2トライを奪われるものの、そこからの残り10分で帝京も2トライを奪い返す。特にFW陣の力強さが光り、よりいっそう前に出るシーンが増える。だが、追撃及ばず、17-35でノーサイド。帝京は、前週に続いて、敗戦を喫してしまった。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「今日は、明治大学さんのすばらしいプレーに対して、われわれの経験値の低さが出てしまったゲームでした。現時点での実力差がスコアに現れてしまったと思いますが、われわれとしては、ここからどうチャレンジしていけるかが重要だと思います。上級生や仲間に頼るだけではなく、一人一人が自分のこととして責任をもって、痛いプレー、厳しいプレーに体を張れるか。今後はその点をさらに意識して、取り組んでいってくれればと思います。一朝一夕にいろいろなことができるようになるわけではありませんので、ここから一つ一つ積み上げていってほしいと思います。いろいろな気づきを与えてくれた試合でしたが、学生一人一人が本当の意味で気づけているかどうか。けっして悲観する必要はありませんが、のんびりしている時間もありません。自分たちの足りない部分を的確に認識し、そこを克服する取り組みを、日々、続けていきたいと思います。最後になりましたが、ご招待いただいた成田市ラグビーフットボール協会ならびに大会関係者の皆様、激しいゲームをしてくださった明治大学の選手、スタッフ、関係者の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。」
■ゲームキャプテン・SO北村将大(3年)
「自分たちのやろうとしていることは、少しずつ明確になってきているので、そういうところはポジティブに捉えて次につなげていかなければいけないと思います。反省点としては、フィジカルの部分で相手に先に前へ出られてしまうシーン、それによって相手に流れをつかまれてしまったシーンが、特に前半で多かったので、一人一人がフィジカルをアップさせて、その上でスキルをアップさせていかなければと思っています。反省を次につなげていくことが成長だというところは、全員、意思統一できていると思います。次戦は、立命館大学さんとのゲームですが、相手うんぬんよりもまずは自分たちのやろうとしていることを、この一週間、今日出た反省点を含めて確認して、それを相手にぶつけていける準備をしっかりとやっていきたいと思います。」
■SHとうまくコミュニケーションできた・No8中野光基(2年)
「今日はFWとしてしっかりやろうと言っていた『前に出るディフェンス』が、特に前半は全然できていなくて、相手に押し込まれるシーンが多く、明治大学さんに有利な戦いになってしまいました。後半はどんどん前に出て、勢いのあるアタック、ディフェンスが、ある程度はできていたのですが、これを前半からできるようにしなければいけなかったと感じています。スクラムでは、通常はヒットした瞬間に優劣がだいたいわかるものなのですが、ヒットでこちらが優勢だと感じても、そのあと明治大学さんはグッと押し込んできました。なので、No8としてはボール獲得を優先して、早く出すことを意識しました。状況によって、SHに渡す場合、自分がそのまま持ち出す場合がありましたが、そこはSHとしっかりコミュニケーションを取ってできたと思います。次に向けては、まずは今日出た課題を全員で共有して、もう一度、自分たちがやるべきことを整理して、いい準備をしたいと思います。」
■ディフェンスにフォーカスしてプレーした・SH西川虎哲(2年)
「今年からSHにポジションチェンジして、ゲームとしては、4月の長崎ドリームチームとの試合で10分ほど出て以来でした。しかし、今日は自分の力不足を感じさせられる試合でした。FWへの指示や状況判断がうまくできずに、自分自身、焦ってしまったところもありました。岩出監督からは、『アタックはまだこれから。とにかくディフェンスを頑張れ』と言われていたのですが、何本か、しっかり止めることができていたので、そこはよかったと思います。そうは言っても、アタックでいい形を作れなかったのはやはり反省点で、これから伸ばしていけたらと思っています。今後もSHとしてやっていきますが、SHの先輩方に負けないように、Aチームに定着できるように頑張っていきたいです。」
《PICK UP PLAYERS》
パワーだけでなく、丁寧さを高めていきたい
PR 細木康太郎(2年)
Hosoki Kotaro
医療技術学部スポーツ医療学科
桐蔭学園高校出身
身長177kg/体重107kg
■まずは試合を振り返ってください。
「相手のFWは強いので、FWとしてタフな戦いになることはわかっていました。自分は後半の途中から出ることになっていましたので、そのとき試合がどういう状況であっても、自分の強みであるコンタクトの部分を、まず最初に出して行こうと思って臨みました。勢いよく行くという部分は、自分ではできたと思いますが、丁寧さを欠いてしまいました。ボールをファンブルしたり、雑な部分が出てしまったので、パワーだけではなく、スキルの部分もきちんと意識してやっていかないといけないと感じました。」
■相手もボールを狙って叩きに来たところもありました。
「はい。それも、自分の丁寧さが欠けていたからなので、いい経験をさせていただいたと感じています。」
■勢い以外のプレーの中身の部分で、手応えを感じられたところはどんなところでしたか。
「真っすぐ当たっていくプレーで、パワー負けはしていなかったと感じています。ただ、自分たちのやるべきことをしっかり詰め切れていませんでした。そこが明治大学さんの方が上だったのかなと感じました。」
■やはり、普段の練習でやるべきことをしっかり詰め切るのが大事だということですね。
「自分たちも毎日、練習していますが、少しぬるくなったり、100%の練習ができていなかったから、こうした試合でミスが出てしまうのだと思っています。」
■スクラムはどうでしたか。
「今シーズン、どんどんよくなっている実感はあります。ですが、やはり今日の明治大学さんのような相手に対しても、どんな状況でも押されないスクラム、むしろ押し込んでいけるスクラムをめざしてやっているので、まだまだこれからです。そういうスクラムが組めるようになって初めて、大学選手権優勝も見えてくるのだと思っています。『自分たちの強みはスクラムだ』と言えるように頑張りたいです。」
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「やはり、スクラムをしっかりさせたいです。セットプレーを安定させて、BKにいいボールを供給できてこそ、試合の流れもよくなるので、FWとしてセットプレーの安定にもっと力を入れていきたいです。それによって、試合をいい方向にもって行けるようにしたいです。」
後半途中からの出場で、力強さを見せた。33分にはラックから持ち出してトライを奪うなど結果も残したが、自身は「丁寧さに欠けた」と反省する。スクラムも徐々に良くなっている手応えは感じつつも、「まだまだ足りない」と語る。成長マインドセットがうまく機能している証拠だろう。「目標とする人は高校の先輩でもある堀越康介(帝京大学OB、現サントリーサンゴリアス)さん」。憧れの人を語る際の目は常に輝いている。トップレベルとの対戦でリアルに実感した体験をもとに、ここからさらに大きく成長してくれることだろう。
《COLUMN》
―― 「深く考える」とは ――
帝京は前週に続いての連敗を喫してしまいました。まだまだ春のこの時期ですから、過度に悲観する必要もありませんが、とはいえここから気づきを得て、成長につなげていかなければなりません。
試合後、岩出監督は「気づくのは難しい。でも、気づかなければいけない」と述べました。さらに「本当に深く考えないと、気づくのは難しいんです」と付け加えました。そして、「深く考える」とはどういうことかについても、続けて語ってくれました。
「例えば、何らかの答えを探すとき、『これかな』『あれかな』『これはどうかな』というように、答えとなるかもしれない候補をたくさん思いつけるかどうか。これができない子は、深く考えていない証拠。こうした候補がたくさん出てくる子には、こちらもヒントが出しやすいんですが、残念ながら、それができる子はまだそう多くはありません。」
学生にインタビューをすると、特に低学年は「帝京は考えることが多い」と答える人が多いのですが、これはそれまではラグビーについて考えることがあまりなかったからでしょう。実際、「高校時代は与えられたことをやっていただけだったと気づいた」と述べる学生も少なくありません。
よく頭を使って考えることは筋肉トレーニングと同じで、適度な負荷をかけつづけることで鍛えられて、より強い負荷にも耐えられるようになるなどと言われます。おそらく、そのとおりでしょう。
与えられたことだけをあまりよく考えずにやってきた人が、自分の頭で考えるようになると、それまで筋肉トレーニングなどほとんどやったことがなかった人がトレーニングを始めるときのように、最初のうちはきつくて、つらくて仕方がないかもしれません。でも、やり続けているうちに負荷に慣れてきます。最初は「なんて重いんだ」と感じていたものが、やがて「こんなの普通。もっと重くても大丈夫」と感じるようになります。
低学年の学生の多くは、まだ頭の負荷トレーニングを始めたばかりなのでしょう。Aチームでのプレー経験の浅さも、影響しているかもしれません。なので、まずは軽い負荷でもいいので、とにかく自分で考えることに慣れること。Aチーム、特にこの日のようなトップレベルとの対戦で得られた「気づき」についてしっかり自分で考えることが大切でしょう。
しかし、岩出監督が求める「深く考えること」は、それでは足りません。脳にかける負荷をもっと高めていくことが必要になります。その際の方法として、「答えになりそうな候補をたくさん挙げてみる」というものがあるわけです。それを仲間とシェアしてみるのもいいでしょう。すると、自分だけでは気づけなかった、違った視点での気づきが得られるかもしれません。
頭を使うことに慣れてきたら、さらに高い負荷をかけてみる(そして、適度に休ませる)。脳も筋肉も、トレーニングの手順は一緒のようです。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
FL 岡本流星(1年)
八幡工業高校出身
身長176cm/体重83kg
「僕の強みは、80分間走り続けられる体力とタックルです。また、大事な場面で常にサポートについているようにと意識してプレーしているので、そこを見てほしいです。課題として取り組んでいるのは、体重増です。体重を増やして、大きな選手にも当たり負けない体を作りたいです。入部前、帝京大学ラグビー部の情報はテレビなどで見ただけだったのですが、下級生はほとんど部の仕事をしないで、先輩方がすべてやってくださるとは聞いていました。ただ、入ってみたら、思っていた以上でした。また、『3人トーク』についてもテレビで見て知っていましたが、その場その場で言葉で確認し合う際、先輩方がすごくわかりやすくヒントをくださるので、とても感動しました。もっと体作りに励んで、Aチームの試合で貢献できるように頑張っていきたいと思います。」
FL 山川一瑳(1年)
常翔学園高校出身
身長188cm/体重89kg
「自分の強みは『高さ』です。ラインアウトやキックオフ、キャッチなど競り合うプレーで、その高さを活かしたいです。また、もともとBKをやっていたこともあり、スペースを見つけて走り込むプレーも得意です。手の長さもあるので、ハンドオフで相手を弾くプレーも得意です。課題は、体が細いことです。もっと体重を増やして、フィジカルを強化するべく取り組んでいます。帝京大学ラグビー部はミーティングや3人トークで、すごく細かいところまで考えて話す点がすごいと感じています。頭を使わないとラグビーはできないんだと、改めて強く感じています。もっと体重を増やして、Aチームで試合に出て、チームに貢献できるように頑張ります。」
SO 金憲輝(1年)
東京朝鮮高級学校出身
身長172cm/体重80kg
「自分の強みは体を張るディフェンスです。泥臭くプレーできるところが強みだと思っています。いま力を入れて取り組んでいるのは、ウエイトトレーニングです。もっと体を大きくしたいと思っています。また、僕はラグビーを始めたのが高校からなので、他の人たちに比べて経験が足りないと思っています。そこを補うために、いろいろなゲームをたくさん見るようにしています。帝京大学ラグビー部は、クラブハウスやスポーツ医科学センターなど施設面での環境がとてもすばらしいです。入部前にも話は聞いていましたが、実際『選手ファースト』で、すべて僕たちプレーヤーのために整備されているんだと実感します。また、上級生の先輩方がいろいろな仕事をしてくださることも聞いていましたが、入部前は『さすがに掃除などは1年生がやるんだろう』と思っていました。ですが、そうした仕事もすべて先輩方がやってくださるので驚きました。今後はしっかり努力して、Aチームで試合に出られるようになって、大学選手権優勝に貢献できる選手になりたいです。」
左から岡本流星・山川一瑳・金憲輝
《NEXT MATCH》
招待試合(第18回滋賀県ラグビー祭)
対立命館大学(http://www.ritsumeirugby.com/)
6月8日(土) 皇子山運動公園陸上競技場
14時キックオフ
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
●帝京大学17-35明治大学○
《帝京大学》
[FW]
(1)北⇒髙井(2)李(承爀)⇒文(3)奥野⇒細木(4)マクロビー(5)久保(6)安田(7)山添⇒トンガタマ(8)中野⇒ツイナカウヴァドラ
[BK]
(9)西川⇒土永(10)北村(11)李(承信)⇒小村(12)岡村(13)尾﨑(14)木村(15)奥村
《明治大学》※先発のみ
[FW]
(1)安(2)武井(3)笹川(4)片倉(5)箸本(6)小澤(7)繁松(8)坂
[BK]
(9)飯沼(10)山沢(11)山﨑(12)児玉(13)齊藤(14)山村(15)雲山
【前半】【得点経過】
【2分】帝0-7明
キックカウンターからつながれ、トライを奪われる。
【14分】帝0-14明
スクラムからFWで攻められ、トライを奪われる。
【31分】帝0-21明
ラインアウトから攻められ、トライを奪われる。
【35分】帝5-21明
スクラムからBK展開。うまくつないで、WTB木村が走り切ってトライ。
【後半】【得点経過】
【15分】帝5-28明
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【28分】帝5-35明
ターンオーバーからつながれて、トライを奪われる。
【33分】帝12-35明
ペナルティからクイック・リスタート。ラックから、PR細木が持ち出してトライ。ゴール成功。
【39分】帝17-35明
ペナルティからクイック・リスタート。No8ツイナカウヴァドラが抜け出して、そのまま走り切ってトライ。
《BRIEF REVIEW》
招待試合「成田ラグビーフェスティバル」での対戦相手は、昨年度、大学選手権優勝の明治大学。対抗戦のライバルであることはもちろん、王座奪還をめざす帝京にとって、越えなければならない大きな壁でもある。前半、帝京はなかなかペースを握れない。2分に先制点を許すと、14分にはFWで攻められて追加点を奪われてしまう。攻めてもミスが出るなどして、得点を返せない。ただ、前の試合で苦しんだスクラムでは、少しずつながら成長が見られ、FW陣が頑張りを見せた。35分には、スクラムからBK陣がうまくつないでトライを奪い、5-28で前半を折り返した。後半は、FW陣がもっと激しく前に出るプレーを意識。すると、前半とは違って相手を押し返す場面も多くなる。30分までに2トライを奪われるものの、そこからの残り10分で帝京も2トライを奪い返す。特にFW陣の力強さが光り、よりいっそう前に出るシーンが増える。だが、追撃及ばず、17-35でノーサイド。帝京は、前週に続いて、敗戦を喫してしまった。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「今日は、明治大学さんのすばらしいプレーに対して、われわれの経験値の低さが出てしまったゲームでした。現時点での実力差がスコアに現れてしまったと思いますが、われわれとしては、ここからどうチャレンジしていけるかが重要だと思います。上級生や仲間に頼るだけではなく、一人一人が自分のこととして責任をもって、痛いプレー、厳しいプレーに体を張れるか。今後はその点をさらに意識して、取り組んでいってくれればと思います。一朝一夕にいろいろなことができるようになるわけではありませんので、ここから一つ一つ積み上げていってほしいと思います。いろいろな気づきを与えてくれた試合でしたが、学生一人一人が本当の意味で気づけているかどうか。けっして悲観する必要はありませんが、のんびりしている時間もありません。自分たちの足りない部分を的確に認識し、そこを克服する取り組みを、日々、続けていきたいと思います。最後になりましたが、ご招待いただいた成田市ラグビーフットボール協会ならびに大会関係者の皆様、激しいゲームをしてくださった明治大学の選手、スタッフ、関係者の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。」
■ゲームキャプテン・SO北村将大(3年)
「自分たちのやろうとしていることは、少しずつ明確になってきているので、そういうところはポジティブに捉えて次につなげていかなければいけないと思います。反省点としては、フィジカルの部分で相手に先に前へ出られてしまうシーン、それによって相手に流れをつかまれてしまったシーンが、特に前半で多かったので、一人一人がフィジカルをアップさせて、その上でスキルをアップさせていかなければと思っています。反省を次につなげていくことが成長だというところは、全員、意思統一できていると思います。次戦は、立命館大学さんとのゲームですが、相手うんぬんよりもまずは自分たちのやろうとしていることを、この一週間、今日出た反省点を含めて確認して、それを相手にぶつけていける準備をしっかりとやっていきたいと思います。」
■SHとうまくコミュニケーションできた・No8中野光基(2年)
「今日はFWとしてしっかりやろうと言っていた『前に出るディフェンス』が、特に前半は全然できていなくて、相手に押し込まれるシーンが多く、明治大学さんに有利な戦いになってしまいました。後半はどんどん前に出て、勢いのあるアタック、ディフェンスが、ある程度はできていたのですが、これを前半からできるようにしなければいけなかったと感じています。スクラムでは、通常はヒットした瞬間に優劣がだいたいわかるものなのですが、ヒットでこちらが優勢だと感じても、そのあと明治大学さんはグッと押し込んできました。なので、No8としてはボール獲得を優先して、早く出すことを意識しました。状況によって、SHに渡す場合、自分がそのまま持ち出す場合がありましたが、そこはSHとしっかりコミュニケーションを取ってできたと思います。次に向けては、まずは今日出た課題を全員で共有して、もう一度、自分たちがやるべきことを整理して、いい準備をしたいと思います。」
■ディフェンスにフォーカスしてプレーした・SH西川虎哲(2年)
「今年からSHにポジションチェンジして、ゲームとしては、4月の長崎ドリームチームとの試合で10分ほど出て以来でした。しかし、今日は自分の力不足を感じさせられる試合でした。FWへの指示や状況判断がうまくできずに、自分自身、焦ってしまったところもありました。岩出監督からは、『アタックはまだこれから。とにかくディフェンスを頑張れ』と言われていたのですが、何本か、しっかり止めることができていたので、そこはよかったと思います。そうは言っても、アタックでいい形を作れなかったのはやはり反省点で、これから伸ばしていけたらと思っています。今後もSHとしてやっていきますが、SHの先輩方に負けないように、Aチームに定着できるように頑張っていきたいです。」
《PICK UP PLAYERS》
パワーだけでなく、丁寧さを高めていきたい
PR 細木康太郎(2年)
Hosoki Kotaro
医療技術学部スポーツ医療学科
桐蔭学園高校出身
身長177kg/体重107kg
■まずは試合を振り返ってください。
「相手のFWは強いので、FWとしてタフな戦いになることはわかっていました。自分は後半の途中から出ることになっていましたので、そのとき試合がどういう状況であっても、自分の強みであるコンタクトの部分を、まず最初に出して行こうと思って臨みました。勢いよく行くという部分は、自分ではできたと思いますが、丁寧さを欠いてしまいました。ボールをファンブルしたり、雑な部分が出てしまったので、パワーだけではなく、スキルの部分もきちんと意識してやっていかないといけないと感じました。」
■相手もボールを狙って叩きに来たところもありました。
「はい。それも、自分の丁寧さが欠けていたからなので、いい経験をさせていただいたと感じています。」
■勢い以外のプレーの中身の部分で、手応えを感じられたところはどんなところでしたか。
「真っすぐ当たっていくプレーで、パワー負けはしていなかったと感じています。ただ、自分たちのやるべきことをしっかり詰め切れていませんでした。そこが明治大学さんの方が上だったのかなと感じました。」
■やはり、普段の練習でやるべきことをしっかり詰め切るのが大事だということですね。
「自分たちも毎日、練習していますが、少しぬるくなったり、100%の練習ができていなかったから、こうした試合でミスが出てしまうのだと思っています。」
■スクラムはどうでしたか。
「今シーズン、どんどんよくなっている実感はあります。ですが、やはり今日の明治大学さんのような相手に対しても、どんな状況でも押されないスクラム、むしろ押し込んでいけるスクラムをめざしてやっているので、まだまだこれからです。そういうスクラムが組めるようになって初めて、大学選手権優勝も見えてくるのだと思っています。『自分たちの強みはスクラムだ』と言えるように頑張りたいです。」
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「やはり、スクラムをしっかりさせたいです。セットプレーを安定させて、BKにいいボールを供給できてこそ、試合の流れもよくなるので、FWとしてセットプレーの安定にもっと力を入れていきたいです。それによって、試合をいい方向にもって行けるようにしたいです。」
後半途中からの出場で、力強さを見せた。33分にはラックから持ち出してトライを奪うなど結果も残したが、自身は「丁寧さに欠けた」と反省する。スクラムも徐々に良くなっている手応えは感じつつも、「まだまだ足りない」と語る。成長マインドセットがうまく機能している証拠だろう。「目標とする人は高校の先輩でもある堀越康介(帝京大学OB、現サントリーサンゴリアス)さん」。憧れの人を語る際の目は常に輝いている。トップレベルとの対戦でリアルに実感した体験をもとに、ここからさらに大きく成長してくれることだろう。
《COLUMN》
―― 「深く考える」とは ――
帝京は前週に続いての連敗を喫してしまいました。まだまだ春のこの時期ですから、過度に悲観する必要もありませんが、とはいえここから気づきを得て、成長につなげていかなければなりません。
試合後、岩出監督は「気づくのは難しい。でも、気づかなければいけない」と述べました。さらに「本当に深く考えないと、気づくのは難しいんです」と付け加えました。そして、「深く考える」とはどういうことかについても、続けて語ってくれました。
「例えば、何らかの答えを探すとき、『これかな』『あれかな』『これはどうかな』というように、答えとなるかもしれない候補をたくさん思いつけるかどうか。これができない子は、深く考えていない証拠。こうした候補がたくさん出てくる子には、こちらもヒントが出しやすいんですが、残念ながら、それができる子はまだそう多くはありません。」
学生にインタビューをすると、特に低学年は「帝京は考えることが多い」と答える人が多いのですが、これはそれまではラグビーについて考えることがあまりなかったからでしょう。実際、「高校時代は与えられたことをやっていただけだったと気づいた」と述べる学生も少なくありません。
よく頭を使って考えることは筋肉トレーニングと同じで、適度な負荷をかけつづけることで鍛えられて、より強い負荷にも耐えられるようになるなどと言われます。おそらく、そのとおりでしょう。
与えられたことだけをあまりよく考えずにやってきた人が、自分の頭で考えるようになると、それまで筋肉トレーニングなどほとんどやったことがなかった人がトレーニングを始めるときのように、最初のうちはきつくて、つらくて仕方がないかもしれません。でも、やり続けているうちに負荷に慣れてきます。最初は「なんて重いんだ」と感じていたものが、やがて「こんなの普通。もっと重くても大丈夫」と感じるようになります。
低学年の学生の多くは、まだ頭の負荷トレーニングを始めたばかりなのでしょう。Aチームでのプレー経験の浅さも、影響しているかもしれません。なので、まずは軽い負荷でもいいので、とにかく自分で考えることに慣れること。Aチーム、特にこの日のようなトップレベルとの対戦で得られた「気づき」についてしっかり自分で考えることが大切でしょう。
しかし、岩出監督が求める「深く考えること」は、それでは足りません。脳にかける負荷をもっと高めていくことが必要になります。その際の方法として、「答えになりそうな候補をたくさん挙げてみる」というものがあるわけです。それを仲間とシェアしてみるのもいいでしょう。すると、自分だけでは気づけなかった、違った視点での気づきが得られるかもしれません。
頭を使うことに慣れてきたら、さらに高い負荷をかけてみる(そして、適度に休ませる)。脳も筋肉も、トレーニングの手順は一緒のようです。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
FL 岡本流星(1年)
八幡工業高校出身
身長176cm/体重83kg
「僕の強みは、80分間走り続けられる体力とタックルです。また、大事な場面で常にサポートについているようにと意識してプレーしているので、そこを見てほしいです。課題として取り組んでいるのは、体重増です。体重を増やして、大きな選手にも当たり負けない体を作りたいです。入部前、帝京大学ラグビー部の情報はテレビなどで見ただけだったのですが、下級生はほとんど部の仕事をしないで、先輩方がすべてやってくださるとは聞いていました。ただ、入ってみたら、思っていた以上でした。また、『3人トーク』についてもテレビで見て知っていましたが、その場その場で言葉で確認し合う際、先輩方がすごくわかりやすくヒントをくださるので、とても感動しました。もっと体作りに励んで、Aチームの試合で貢献できるように頑張っていきたいと思います。」
FL 山川一瑳(1年)
常翔学園高校出身
身長188cm/体重89kg
「自分の強みは『高さ』です。ラインアウトやキックオフ、キャッチなど競り合うプレーで、その高さを活かしたいです。また、もともとBKをやっていたこともあり、スペースを見つけて走り込むプレーも得意です。手の長さもあるので、ハンドオフで相手を弾くプレーも得意です。課題は、体が細いことです。もっと体重を増やして、フィジカルを強化するべく取り組んでいます。帝京大学ラグビー部はミーティングや3人トークで、すごく細かいところまで考えて話す点がすごいと感じています。頭を使わないとラグビーはできないんだと、改めて強く感じています。もっと体重を増やして、Aチームで試合に出て、チームに貢献できるように頑張ります。」
SO 金憲輝(1年)
東京朝鮮高級学校出身
身長172cm/体重80kg
「自分の強みは体を張るディフェンスです。泥臭くプレーできるところが強みだと思っています。いま力を入れて取り組んでいるのは、ウエイトトレーニングです。もっと体を大きくしたいと思っています。また、僕はラグビーを始めたのが高校からなので、他の人たちに比べて経験が足りないと思っています。そこを補うために、いろいろなゲームをたくさん見るようにしています。帝京大学ラグビー部は、クラブハウスやスポーツ医科学センターなど施設面での環境がとてもすばらしいです。入部前にも話は聞いていましたが、実際『選手ファースト』で、すべて僕たちプレーヤーのために整備されているんだと実感します。また、上級生の先輩方がいろいろな仕事をしてくださることも聞いていましたが、入部前は『さすがに掃除などは1年生がやるんだろう』と思っていました。ですが、そうした仕事もすべて先輩方がやってくださるので驚きました。今後はしっかり努力して、Aチームで試合に出られるようになって、大学選手権優勝に貢献できる選手になりたいです。」
左から岡本流星・山川一瑳・金憲輝
《NEXT MATCH》
招待試合(第18回滋賀県ラグビー祭)
対立命館大学(http://www.ritsumeirugby.com/)
6月8日(土) 皇子山運動公園陸上競技場
14時キックオフ
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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