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第48回日本選手権大会1回戦

第48回日本選手権大会1回戦

2011/02/06

クラブ王者相手に完勝。次は打倒トップリーグへ!

2月6日・秩父宮ラグビー場
○帝京大学 74対3 タマリバクラブ●

第48回日本選手権大会1回戦

《出場メンバー》
①吉田(康)⇒小幡 ②白 ③西村⇒坪井 ④菅原⇒李 ⑤ボンド ⑥ツイ ⑦吉田(光)⇒大和田 ⑧柴田 ⑨滑川 ⑩森田 ⑪富永 ⑫南橋⇒橋口 ⑬黒川 ⑭伊藤(拓)⇒鬼海 ⑮竹田(宜)⇒小野

3年連続での出場となった日本選手権。1回戦の相手は、全国クラブ大会優勝のタマリバクラブ。大学選手権決勝からは試験期間をはさんで1ヵ月のブランクがあいたが、それを言い訳にせず、しっかりとした準備・しっかりとしたゲームを披露し、トップリーグへの挑戦権を得たいところだ。

【前半戦】
この日は、来季も見据えつつ、よりボールを積極的に動かして行こうというゲームプラン。FWの強みに加えて、ボールを展開するという武器にさらなる磨きをかけるためのチャレンジだ。

早速、そのチャレンジが結果につながった。5分、相手ボールのラインアウトからこぼれたボールに、公式戦初先発のHO白が素早く反応。そのまま大きく前進してチャンスを作ると、ラックからBKへ展開。大外のWTB伊藤(拓)まで回り、そのまま走り切って先制トライを挙げる(5-0)。

10分にはマイボールラインアウトからBKへ展開。アタックラインに入っていたFLツイがラインブレイクし、パスを受けたCTB黒川が独走(12-0)。

このあと、相手ゴール前まで攻め込み、ペナルティもスクラムを選択して攻めるが、さすがの約1100クラブチームの王者、相手のディフェンスもかたく、取り切れずに一度エリアを戻されてしまう。
だが19分、相手ボールのラインアウトを奪うと、ここでもBKに展開。継続してしっかりとゲインし続け、最後はNo8柴田が突破してトライ(19-0)。

第48回日本選手権大会1回戦

帝京は守っても、ディフェンスの集中力を切らさない。LOボンド、LO菅原、そして(この日はいつもにも増して周囲にリードの声をかけ続けた)CTB南橋らの好タックルで、むしろ、相手を下げさせるほどのディフェンスを見せ、ゲインを許さない。結局、最後までディフェンスは崩れず、前半を19-3で折り返すこととなった。

【後半戦】
後半は、積極的なボール回しを基本としながらも、接点にもこだわる帝京ラグビーの強みを加味。これによって終始、帝京ペースで試合が進んだ。

2分、BKへの展開で前に出て地域を得、最後はFWのモールで取り切るという、まさに帝京ラグビーの真骨頂を見せてトライ。続く6分にはキャプテン吉田(光)に代わって途中出場した(来季の期待の新戦力)1年生FL大和田が、相手を引き摺るようにして前に出ると、最後はSO森田がトライ。

第48回日本選手権大会1回戦

試合が進むにつれ、相手はパス・インターセプトを狙ってくる。パスを取られてあわやというシーンにも、あわてずに対応し、しっかりと追いかけてピンチをしのぐ。

後半はハーフ団の動きにもキレが増す。森田、SH滑川が再三にわたってラインブレイクし、トライを演出。また、自ら持ち込んでのトライも見せ、得点差を広げる。

途中出場のCTB橋口、WTB鬼海らも潜在能力の高さをアピール。橋口は絶妙なタイミングで切れ込むシザースで、鬼海は相手ディフェンスを3人、4人と振り切ってのトライを見せる。

第48回日本選手権大会1回戦

40分のホーンが鳴り、相手ボールを奪うが、タッチに蹴り出すことはしない。しっかりと継続し続け、45分、ツイから黒川へと渡ってトライ。後半は9トライをあげ、また相手に得点を許さず、終わってみれば74-3という大差で日本選手権1回戦を勝ち上がった。

《試合後のインタビュー》
□岩出雅之監督

第48回日本選手権大会1回戦


「まずは、練習時間が豊富にあるわけではないなか、果敢にディフェンス、アタックされたタマリバクラブさんのプレーに対して敬意を表したいと思います。よく工夫されていましたし、特に前半はハーフ団やインサイド・センターがこちらの意図を理解していて、うまくディフェンスされてしまいました。後半は修正できたと思いますが、いい反省材料も出ましたので、次に向けて学生の頑張りに期待したいと思います。
日本選手権のあり方については、色々とご質問も頂くことがあり様々な考え方があるかと思いますが、学生たちにはどんな相手に対しても、向かっていく気持ちの作り方をしっかりと勉強してほしいと思っています。今日の試合はそういう意味で、選手がモチベーションを保って臨めていたことに対して、学生たちを褒めたいと思います。そして、最後まで気を抜かず真剣なプレーを続けた両チームのメンバーに再度敬意を表します。
次戦はトップリーグ上位との対戦ですが、学生がベストチャレンジをしてくれることを期待し、この1週間を大事にして準備したいと思います。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。」

□キャプテン・FL 吉田光治郎(4年生)
「(腰を痛めて退いたが)ケガは大丈夫です。前半は自分たちの試合勘が戻っていないところがあり、またタマリバさんの強いブレイクダウン、ひたむきなタックルに戸惑いました。後半になってしっかり修正できたこと、また自分がいなくなっても4年生、3年生がチームを引っ張っていたことに心強さを感じました。試合前、『アタックの部分はミスを恐れず思い切っていこう。でも、ディフェンスに関してはミスをしないで、ひたむきにタックルに行こう』と言っていたので、ノートライに抑えられたことは大きいと思っています。
次の東芝さんとの試合は、とても楽しみです。トップリーグと練習することはあっても、真剣勝負ができるのはこの日本選手権しかないので、学生王者としての責任と誇りをもってひたむきにぶつかっていきたいと思います。東芝さんはFWの強いチームだと思いますが、力負けしないで、自分たちの持ち味である泥臭さとタックルでチャレンジして、そして、勝ちたいと思います」

□自ら仕掛けて何度もチャンスメイクした・SH 滑川剛人(3年生)
「大学選手権で優勝してから1ヵ月、間があいたこともあって、気持ちの面で難しい試合でしたが、自分たちの成長につながる試合だったと思います。後半に開いた得点差については、スタミナの差だったかなと思います。
次の東芝戦は、自分自身1年後はトップリーグでやりたいという気持ちがあるので、挑戦の気持ちを忘れずに、1年間やってきたことを出し切って『絶対に勝つ』という気持ちで戦いたいと思います」

□再三のラインブレイクでスタンドを沸かせた・SO 森田佳寿(3年生)

第48回日本選手権大会1回戦

「今日の試合はたくさんボールを動かそうというプランがあって、前半は特にバックスで外にパスを回すプレーが何度も見せられたと思うのですが、タマリバさんのディフェンスもよくて、なかなか自分たちの思うようなアタックができませんでした。僕自身もすぐに違うアタックの仕方に修正することができなかったところは反省点です。
ただ、後半は修正できたところもいくつかあったので、そこはよかったと思います。次戦はまずはディフェンスから。トップリーグの激しい攻撃に対して、大学選手権でできた前に出る厳しいディフェンスをしっかりやってきたいです。まずは個人個人のタックルから、トップリーグに対しても絶対に引かないでチャレンジしていきたいです」

□バイスキャプテンとしてチームを牽引した・WTB 富永浩史(4年生)
「今日は積極的に展開をしていこうというゲームプランだったのですが、相手はこちらが外まで回す前につぶそうとしてきて、それに対して前半はゲームの中での修正ができませんでした。ハーフタイムを機に修正はできたのですが、そうではなく、前半のゲーム中に声を出しながら修正できたらよかったと思います。光治郎(吉田キャプテン)が抜けてからはゲームキャプテンという形になりましたが、柴田も一緒に声を出してくれて、受け身になったりせずにやれました。
次の東芝戦は、真正面から当たっていったら力の差が出てしまうと思うので、自分たちの戦い方がいかにできるかだと思います。この1週間、しっかりと練習して勝ちにいきたいと思います」

□いつもどおりの好タックルを連発した・CTB 南橋直哉(3年生)

第48回日本選手権大会1回戦

「自分個人としてはこれから4年生になっていく中で、その自覚をもって、責任のあるプレーをして引っ張っていこうと思っていたのですが、まだまだ4年生に頼っているところがありました。
前半は乗り切れなかったのですが、後半は試合の中で考えながら修正していくというところがしっかりとできたと思います。ディフェンス面では、チームディフェンスとしてのリポジションの遅れなど、まだまだ課題が出てきたので、次に向けてしっかり修正していきたいです。
自分も卒業後はトップリーグに行きたいと思っているので、東芝さん相手に個人的にもチームとしてもどれだけできるかというところにこだわって、まずは準備をしっかりやって臨みたいと思います」

□久しぶりの先発出場も攻守で存在感をアピール・WTB 伊藤拓巳(3年生)

第48回日本選手権大会1回戦

「鬼海さんが大学選手権ですごくいいプレーをして活躍していたので、自分もそれに負けないタックルをしていこうと思って臨みました。
前半はWTBまでボールが回る機会が多く、ボールをもらったらとにかく前に出てゲインするんだという気持ちでプレーしました。ただ、タマリバさんのディフェンスがよくて、思うように前に出られませんでした。
次はいままでの相手とは違う強さがあると思いますが、そこでどれだけタックルに行けるかが大事ですし、自分の持ち味であるスピードがトップリーグ相手にどこまで通用するのかチャレンジしていきたいと思っています」

□途中出場ながら再三の縦への突破で魅せた・FL 大和田立(1年生)

第48回日本選手権大会1回戦

「Aチームの試合にこれほど長い時間出場したのは初めてだったので、無我夢中でした。ボールを持ったらとにかく前に出て、ゲインを切ることだけ考えてプレーしました。次の試合ももし出られたら、自分の持ち味のアタックをしたいと思います」

《PICK UP PLAYERS》

初先発ながらフィールドプレーで強い突破力を披露(ゲームMVP)
HO 白 隆尚(3年生)


第48回日本選手権大会1回戦

HAKU TAKAYOSHI
1989年6月25日生まれ
文学部教育学科
啓光学園高校出身
身長177cm/体重106kg/血液型O型
得意なプレー/ブレイクダウン、試合前に聞く音楽/Get Wild、郷土自慢/たこ焼きがおいしい(大阪府)

■今日の試合はどんな思いで臨んだのでしょうか。
「自分にとって初のスターティング・フィフティーンだったので、自分がどれだけ帝京ラグビーができるかという挑戦の気持ちでこの試合に臨みました」

■試合全体を振り返って、どうだったでしょうか。
「まだまだ、自分の甘いところがあって、セットプレーなどで迷惑をかけてしまいました」

■それはラインアウトの安定度の部分ですか?
「はい。ラインアウトでちょっと緊張してしまっていいプレーができなかったので、次に出る機会があれば修正して臨みたいと思います」

■でも、相手ボールのラインアウトのこぼれ球をうまく拾って前に出た場面など、いいプレーも再三ありました。
「ありがとうございます。常にチームのためになるプレーというのを心掛けていたので、こぼれ球にも反応できたと思います」

■ラックへも積極的に入っていましたし、後半はトライもありました。
「自分のいいところはグラウンドで出せたと思います」

■その自分のプレーで一番いいところはどこでしょうか。
「フィールドでの力強いプレーというのが自分の得意としているプレーなので、そこは出せたかなと思っています」

■クラブチーム相手という試合へのモチベーションについてはどうでしたか。
「初先発で自分に挑戦するという部分が大きかったので、相手は関係なく、モチベーションはとても高いところでやれたと思います」

■次はトップリーグと対戦です。
「次も自分に対して挑戦して帝京ラグビーをやり切るという姿勢は変わらないので、相手は気にせず、自分らしさを出したいと思っています」

■最後に、自分のこういうプレーを見てほしいというところを教えてください。
「あきらめないプレーというのを見てほしいですね。ラインブレイクされてもあきらめないで追い続けて、タックルしている姿を見せられるように頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします」

ボールへの反応、縦への突破力など、帝京の強力FWを引き継ぐものとしての力は十分。大舞台での初先発という緊張からラインアウトでのミスもあったが、経験を重ねることで解消されるはずだ。強さと鋭さ、さらには泥臭さも備えた頼もしいHOに成長してくれるに違いない。現4年生のHO森も「あいつのスクラムは、どの大学のフッカーよりも強いんですよ。来季はFWをリードするくらいの気持ちで頑張ってほしいですね」と期待を寄せる。今後の活躍がますます楽しみだ。

《NEXT MATCH PREVIEW》

【2月13日(日)日本選手権2回戦 VS東芝ブレイブルーパス 秩父宮ラグビー場14時キックオフ】
次はいよいよトップリーグ・チャンピオンチームとの対戦。トップリーグとの真剣勝負はここでしか経験できない貴重な試合だ。東芝はトップリーグ・リーグ戦1位のチーム。横綱相手となれば、帝京としては失うものは何もない。ひるむことなく、全力でぶつかるだけだ。レベルの高いラグビーを思う存分ENJOYしたい。

(撮影・川本聖哉)


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