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関東大学春季大会・第4戦 東海大学
2012/06/11
気持ちを前面に出し、強敵を圧倒!
6月10日(日)・百草グラウンド
○帝京大学 57-10 東海大学●
《帝京》
1森川⇒徳永 2泉 3深村⇒出渕 4今村 5マニング 6小瀧⇒藤田(哲) 7松永⇒伊藤(哲) 8イラウア
9荒井(康) 10森谷 11磯田 12荒井(基)⇒山崎 13権⇒前原 14南藤 15小野(寛)⇒渡辺
《東海》※先発のみ
1阿部 2崩 3五十嵐 4タタナ 5坂本 6谷 7扇 8村山 9松島 10阪本 11深谷 12三坂 13百武
14高平 15宮田
「関東大学春季大会」最終戦の相手は、リーグ戦グループの強豪・東海大学。春の公式戦をいい形で締めくくりたいのはもちろん、まずは自分たちのやってきたこと、やるべきことを出し切って、成長の証を示したい。
この日の注目は、先発した4人の1年生(PR深村、No8イラウア、SH荒井(康)、SO森谷)。特に、荒井(康)、森谷のハーフ団がどんなゲーム運びを見せるかに、注目が集まった。
【前半戦】
湿度も高く、日差しもあり、キックオフ前は蒸し暑さを感じるコンディション。ただ、夕方近くから気温が下がり、雨が降るとの予報もある。だが、どんな条件でもしっかりと自分たちのベストパフォーマンスを発揮したい。
試合直前、岩出監督からは「失敗を恐れず、やってきたことを出そう。まずは、ディフェンスからしっかりやろう」と声がかかる。
そのディフェンスからリズムを作る帝京。No8イラウアらの強烈なタックルで、相手がボールをこぼすと、WTB磯田がすばやく拾って、そのままトライ。開始4分で先制点を奪う。
その後も、帝京ペース。Aチーム初出場の1年生SO森谷が積極的に仕掛けて前に出る。CTB荒井(基)、CTB権らの突破でゴール前へ。さらにFWで前に出て、インゴールに入るが、グラウンディングが認められずに惜しくも得点ならず。
それでもしっかりとしたプレーを続ける帝京。守っても、イラウア、権らのタックルで、相手のミスを誘う。スクラムからFL松永が持ち出してロングゲイン。相手のペナルティを誘う。
ゴール前のラインアウトからモールで押し込み、PR森川が抜け出してラックを作ると、SH荒井(康)からSO森谷へと渡り、トライ。1年生ハーフ団の仕掛けで取ったトライだ。
森谷はこう振り返る。
「仕掛けの部分は普段から意識して練習しています。ただ、まだまだ前が見えていないところもあったので、もっと練習したいです。」
その後、1本返され、やや停滞した時間帯となるものの、ゲームの主導権はまったく変わらない。36分には、またも荒井(康)、森谷のコンビが仕掛けてゴール前へ。FWが押し込み、最後はPR深村がトライ。
前半終了間際には、FB小野の絶妙なクイックスローインからの前進でチャンスを作る。一度、ターンオーバーされてチャンスを潰したかに見えたが、LOマニングらがしっかりディフェンスして再度ターンオーバーに成功。すばやく外へと展開し、磯田まで渡ってトライ。前半を24-5で折り返すこととなった。
注目の1年生たちが、前半から力を発揮。荒井(康)、森谷の両HBからの仕掛けがことごとくチャンスにつながり、イラウアは攻めに守りに大奮闘し、深村は強さを見せてトライをあげた。
また、FLに長身の小瀧が入ったことで、LO今村、マニングとともに長身が3人並ぶことになり、ラインアウトを優位に進めることができた。高さが相手へのプレッシャーにもなり、マイボールのキャッチはもちろん、相手ボールを奪うシーンも何度も見られた。
後半もさらなるチャレンジに期待したい。
【後半戦】
ハーフタイム。岩出監督から「うまくいかないときが一番練習になる。そこでへこんでいたら成長できない。点差は忘れて、もう一度、厳しくいこう」との指示がなされた。
後半開始は帝京のキックオフから。相手がこのキックオフボールの処理を誤ると、磯田がトップスピードのまま拾い上げ、そのままインゴールへ。帝京は開始数秒で追加点を挙げる。後半からは森谷がゴールキックを蹴る。緊張する場面ながらしっかりとゴールを決める(31-5)。
後半も、ディフェンスの意識は途切れない。一人目の好タックルだけでなく、セカンドタックラーの入りも早く、厳しい。そして特に目立ったのが、マニングによるターンオーバー。しっかりとボールに働きかけて、きれいに奪い取る。
7分にカウンターを止め切れずに失点するが、相手の反撃はここまで。13分にはまたも森谷の仕掛けで前進。一旦、奪われたボールをイラウアが奪い返してそのままトライ。直後、相手の展開するボールを荒井(基)がパス・インターセプト。そのまま走り切ってトライ(43-10)。
その後、突如、激しい雨が降り出す。それでも、しっかりと自分たちのラグビーをする帝京。途中出場のFL伊藤(哲)、FL藤田(哲)らが、相手の攻撃をタックルでしっかりと止める。森谷らも、スタミナ的に厳しい時間帯ながら好タックルを見せる。
34分、CTBに入った山崎が突破するとマニングへと渡る。ハンドオフで相手ディフェンスを振り払い、走り切ってトライ。終了間際には、相手ペナルティからFWで前進し、ゴール前へ。最後はまたもマニングが持ち込んでトライを決め、57-10でノーサイドとなった。
後半は前半同様のプレーに加え、スクラムも安定。ミスから得点されるシーンはあったものの、終始優勢に試合を運び、得点を重ねた。
なお、帝京は関東大学春季大会において、取り得る最大の勝ち点24を勝ち取った。順位は他校の結果を待つことになるが、仮に帝京同様、勝ち点24のチームがあった場合は、得失点差により順位が決定される。
《試合後のインタビュー》
■岩出雅之監督「今日も多くの方々にご観戦いただき、ありがとうございました。
今日は、下級生を多く起用しました。彼らがいいものを持っていることはわかっていましたが、実際に高いレベルでの試合で試してあげないと見えない部分もあります。彼らがその期待に応えてくれたという意味でも、今日はいいゲームだったと思います。
また、若い選手たちを起用していくことで、周りの上級生たちへもいい影響を与えることができると思います。まだまだみんなレギュラーが確定した選手ではありませんから、一人一人は個々に伸びていこうとする力を発揮しています。しかし、そういった自分だけの問題だけではなく、若い選手たちに対してチームとしてどうサポートしていくかといった力を養成することも求められます。これによって、力の深さというものを作っていくことができると思っています。
今日のゲームでは、スクラムにやや課題が見えたのですが、今はみんなよく走っていることもあり、あまり無理をさせずにやっています。若い選手に多くを要求することは難しいので、今はやれることを一つずつ積み上げている段階です。ケガをすることなく、基礎を積み上げていって、秋にその積み上げたものの蓄積が高く積み上がっていればいいかなと考えています。
春季大会という公式戦4試合を経験しましたが、22人で80分間を戦うというペース配分を春から学べるという点でもたいへん有意義だったと思います。春シーズンは練習試合がまだ2試合あります。この残り2試合も学生たちは自らの成長を出し切ってくれると思いますので、今後とも応援のほど、よろしくお願いいたします。」
■キャプテン・HO泉敬(4年)
「今日は、気持ちの部分をしっかりと前面に出すことができた試合だったと思います。みんな、バチバチとタックルに行っていましたし、1年生も1年生らしく思い切りやってくれたので、収穫も多い試合でした。1年生には『のびのびと思い切ってやってくれればいい。でも、迷うのはダメだ』と言ったのですが、そのとおりにやってくれました。今後も今日のプレーに慢心せずに、自分に厳しくやっていってほしいと思います。
総じていいゲームではありましたが、スクラムで安定さを欠いたり、ハンドリングミスから失点したりと反省点も多々ありました。スクラムに関してはすぐにはよくならないかもしれませんが、一本一本を大事に組んで、できることを積み上げていくことで必ずよくなると思います。今日のゲームに満足することなく、しっかり練習に取り組んでいきたいです。帝京らしく、泥臭く、ひたむきに、謙虚にやっていきたいと思います。」
■慣れないポジションもしっかりとこなした・FL小瀧尚弘(2年)
「今日は初めてFLというポジションをやって、わからないことも多かったのですが、とにかく一生懸命プレーすることだけを考えて試合に臨みました。自分がFLに入る意味の一つは、高さを生かしてラインアウトでのアドバンテージを得るということだと思ったので、ラインアウトでプレッシャーをかけることができたのはよかったと思います。ただ、FLはLOと運動量も違い、スタミナの部分で走れなくなったところもあったのは反省です。FLとしての動きをもっともっと勉強して、LOとしてもしっかり練習して、チームに貢献できるように頑張りたいです。」
■Aチーム初出場とは思えぬ落ち着きで期待に応えた・SO森谷圭介(1年・ゲームMVP)
「Aチームに上がったときはすごく驚いたのと同時に、自分の甘さも痛感しました。ただ、自分の甘さがわかったおかげで、この一週間、集中して練習に取り組むことができました。試合前は緊張もあったのですが、この一週間の練習のおかげで、落ち着いてしっかりプレーすることができました。自分の強みはキックだと思っているのですが、まだまだ安定感が足りないので、もっと練習して安定させたいです。仕掛けの部分も意識して練習していますが、まだ前が見えていなかったり、仕掛けたあとのパスの精度が低かったりするので、もっと練習して技術を向上させたいと思います。」
■今日も快足を生かしトライを量産・WTB磯田泰成(2年)
「チームとしては、コンタクトの部分やキックチェースといったこれまでやってきたことをしっかりと出そうと言って試合に臨みました。チーム全体としてやるべきことが明確になっていたこと、そしてそれをしっかりとやれたことが、今日のような結果につながったのだと思います。また、個人としてはディフェンスをしっかりやることと、トライを取り切ることを課題として臨みました。ディフェンスは機会自体が少なかったのですが、トライを取り切るという点ではチームに貢献できたかなと思っています。春シーズン、あと2試合ありますが、自分のできることをしっかり考えて練習に取り組み、残り2試合にすべてを出し切りたいと思います。また、体づくりも続けて、相手に当たり負けしない体を作りたいと思います。」
■短時間ながら泥臭いタックルでチームを鼓舞した・FL藤田哲啓(4年)
「今日は、しっかり全員がまとまって、今までやってきたことを出し切れたいいゲームだったと思います。自分の今日の目標は、タックルを強みとして作って、それを自信につなげること。100%とはいかないまでも、仕事としてはいい仕事ができたと思います。自分が入ってすぐに大雨が降ってきたのですが、いつも環境に左右されないように気持ちを整理することを心掛けてやってきましたし、これまで練習でやってきたこと、自分のやるべきことを明確にしてフィールドに入ったので、雨は特に気になりませんでした。自分では自分のやるべきことを理解しているつもりなので、そのプレーをやって、チームにいい流れと元気を与えたいです。また、4年生としてリーダーシップを向上させて、自分のプレーする姿を見て、下級生もいいプレーができるような、そんなプレーヤーになりたいと思います。」
■原点の激しさを取り戻し、体を張った・FL伊藤哲章(3年)
「毎回、しっかり体を張ることと状況判断をきちんとすることを課題として取り組んでいるのですが、今日は時間も短かったので、体を張るという部分でタックル回数にこだわってやろうと思って臨みました。タックルの回数に関しては、よく行けたと思うのですが、もっと相手を押し返すようないいタックルをしたかったです。以前は、状況判断の部分に比重を置いて、冷静にやろうとしすぎていたのですが、原点である体を張るプレー、相手に立ち向かっていく気持ちが足りなかったことに気づきました。今はまずは体を張ることが第一で、それにプラスして状況判断をするというように比重を変えたことで、プレー自体もよくなったと思います。春シーズンの残り2試合、まずは自分を出し切ってチームに貢献すること。そして、上級生として自分のことだけでなく、チーム全体を見渡しながら、下級生への気遣いという部分でもチームに貢献できるようにしていきたいと思います。」
■久しぶりにAチームでプレーする喜びを実感した・FB渡辺郷(4年)
「Aチームの試合に出られたことはすごくうれしくて、また責任も感じられました。自分の強みを出して、どれだけ思い切ってプレーできるかを楽しもうと思っていたのですが、十分に楽しむことができました。自分の仕事をきっちりやるだけだと思って臨みましたが、ボールが回ってきた場面でもしっかりと立ってつなぐことができてよかったです。自分は突破役としての部分を期待されていると思っていますから、カウンターアタックでしっかりと強さを出し、立ってつなぐなどの部分をしっかりと出していきたいと思います。自分としてはAチームに定着するだけでなく、しっかり活躍してチームに貢献したいと思っていますし、学生コーチとしてチームをよくしていって、最後は泉キャプテンを国立のピッチで胴上げするという目標があるので、今後、この目標のためにどんなことでもやり切りたいと思っています。」
《PICK UP PLAYERS》
技術、強さともにレベルアップし、ターンオーバーを量産LO ジョシュア・マニング(4年生・ゲームMVP)
JOSHUA MANNING
1991年1月24日生まれ
外国語学部外国語学科
St. Andrew’s College出身
身長198㎝/体重108㎏/血液型A型
■今日のゲームの感想を聞かせてください。
「東海大学さんは体も大きく、コンタクトも強かったです。帝京としては、フィットネスの部分で80分間、走り切ることができたと思いますし、タックルもしっかりできていたので、おそらく勝因はそこにあったと思います。自分自身は、80分間、楽しくプレーできました。」
■自分自身のプレーで、今日、一番よかったのはどこでしょうか。
「今日はタックルがよかったです。ラックでターンオーバーをたくさんできたのもよかったです。ただ、セカンドタックラーとしてスペースに入る練習をしてきたのですが、それはもっとしっかりやりたかったです。」
■ラインアウトもとてもよかったと思いますが、プレーをしていてどう感じましたか。
「今日は背の高い選手が多くいましたし、一人一人やるべきことがわかっていたので、相手ボールを取ることができました。すごくよかったです。」
■昨年と比べて、自分自身、成長していると感じるところはどんなところですか。
「ボールキャリングが強くなったところでしょうか。倒れないで、立ってボールをつなげるようになったと思います。」
■普段、プレーの中で最も心掛けていることは何ですか。
「タックルのあとのリアクションですね。すばやく立ち上がったり、スペースに入ったり、ボールキープしたり、ラックでプレッシャーをかけたりといったことを意識してやっています。これをしっかりやることで、ターンオーバーがたくさんできると思います。」
■4年生としてチームに働きかけていることはありますか。
「後輩たちとしっかりコミュニケーションを取って、自分がこの4年間で学んできたことをできるだけたくさんアドバイスするようにしています。」
■では、今後への意気込みを聞かせてください。
「基本的なことをしっかりやって、毎週毎週よくなっていって、常にいい試合ができるように努力して、それを積み上げて、秋の公式戦へ準備にしたいと思います。」
今日も何度もターンオーバーを見せ、ラインアウトやキックオフのキャッチャーとしても活躍。昨年までの荒削りなイメージは消え、さまざまなスキルが大幅にレベルアップした印象だ。力強さに加え、ボールを立ってつなごうとする意識が高まり、チャンスメイクする回数も増えた。プレーの力強さとは反して、普段は優しく、あどけない笑顔を絶やさない。その人柄から、チームメイトからの信頼も厚い。今後も、頼もしい活躍を見せてくれるに違いない。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【6月24日(日)練習試合 VS法政大学 百草グラウンド 13時40分キックオフ】
次戦は、法政大学との練習試合。これまで自分たちがやってきたこと、やるべきことをしっかりと確認して、ゲームの中で出し切りたい。また、ゲームだからこそできるさまざまなチャレンジをして、成長の糧にしたい。
(文/木村俊太、写真/志賀由佳)
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