REPORT
レポート
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関東大学対抗戦A 慶應義塾大学戦
2019/11/30
11月30日(土)・秩父宮ラグビー場
●帝京大学(4勝3敗)24-29慶應義塾大学(3勝4敗)○
《帝京大学》
[FW]
(1)近藤(2)照内⇒李(承爀)(3)細木(4)マクロビー(5)水谷(6)トンガタマ(7)本郷⇒野田(8)ツイナカウヴァドラ
[BK]
(9)土永⇒末(10)押川⇒高本(11)小村(12)李(承信)(13)岡村(14)木村(15)奥村
《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)有賀(2)原田(3)大山(4)川端(5)今野(6)川合(7)山本(8)濱野
[BK]
(9)上村(10)中楠(11)佐々木(12)エノサ(13)三木(14)宮本(15)沖
【前半】【得点経過】
【3分】帝7-0慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、LOマクロビーが持ち出してトライ。ゴール成功。
【10分】帝7-5慶
スクラムから攻められ、トライを奪われる。
【23分】帝7-12慶
スクラムから攻められ、トライを奪われる。
【30分】帝7-19慶
ターンオーバーから攻められ、トライを奪われる。
【後半】【得点経過】
【2分】帝7-24慶
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【10分】帝14-24慶
ペナルティからクイック・リスタートして連続攻撃。ラックから、PR細木が持ち出してトライ。ゴール成功。
【16分】帝14-29慶
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【18分】帝19-29慶
キックカウンターから連続攻撃。ラックから、FLツイナカウヴァドラが持ち出し、前進。タックルを受けながらも、SH末にパス。末が抜け出し、走り切ってトライ。
【21分】帝24-29慶
ターンオーバーから連続攻撃。SH末-CTB李(承信)-WTB木村と渡り、木村が自陣から走り切ってトライ。
《BRIEF REVIEW》
対抗戦最終戦の相手は慶応義塾大学。帝京は、この試合に勝っても負けても、対抗戦の3位と「対抗戦3位枠」での大学選手権出場が決まっている。対して、慶應義塾大学はすでに大学選手権への出場権を逃しており、この試合を最後に今シーズンが終了する。相手の4年生にとっては、学生最後の試合となる。この状況の差が、気持ちの上でどのように作用し、どのようにプレーに影響するのかも注目された。先制したのは帝京。LO水谷、CTB岡村、FL本郷らの前進でゴール前へ。ペナルティでスクラムを選択して、FWで攻撃し、LOマクロビーがトライ。これでほっとしたのか、帝京は攻めている局面でのミスが多発する。対して、相手は失点で目が覚めたのか、今季最終戦への執念のプレーが帝京に襲い掛かる。帝京のミスでピンチを招き、それらがことごとく失点につながっていく。前半に3トライを奪われ、7-19でハーフタイムを迎えた。後半もその流れが変えられない。2分にトライを奪われ、7-24となる。10分、ようやく帝京の時間帯になり、FWで攻め込んでPR細木がトライを奪う。1本返されるものの、SH末、WTB木村がスピードを活かしたトライを見せ、5点差まで迫る。残り時間は20分。十分に逆転可能な状況と言えたが、ここから相手の最後の執念が帝京の執念を上回り始める。帝京は攻め込みながらも取り切れず、最後にミスをしてしまうという展開が続き、得点を奪えない。試合終了直前、SO高本、WTB小村のキックでチャンスを作るも、ラックでターンオーバーされて万事休す。24-29で帝京は対抗戦最終戦を落とした。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「対抗戦のラストゲームでしたが、慶應義塾大学さんは今日が今シーズンの最後のゲーム、我々は次につなげていくゲーム、その差がどう出るかを学生たちに問いながら、試合に送り出しました。残念ながら、我々の甘い部分がたくさん出てしまった試合になりましたが、その甘さを感じさせていただいたことは、成長の機会をいただいたものと思っています。今日のゲームの苦い経験を、次に活かしていけるチャンスをいただいているわけですから、学生たちにはこれを無駄にすることなく頑張ってほしいと思っています。今日はケガをしている選手を無理させなかったこともあり、新しい選手も多く出場しました。彼らがどのくらいのプレー勘を持っているのかを見たかったのと、苦い経験になったとしても、その経験をすることに大きな意味があるだろうと思って送り出しましたが、経験を積んでほしい選手が早々にケガをしてしまうなど、なかなか難しいところがありました。チームがうまくいかなかった部分は、やはり我々の隙だと思っています。対抗戦はこれで終わりましたが、大学選手権では厳しいプレーが出るようないい準備を、学生たちにはしてほしいと期待しています。今日は、慶應義塾大学さんのすばらしさを感じさせていただきましたので、大学選手権では我々がそうしたものを出していけるように頑張りたいと思います。慶應義塾大学さんとは、また来季、お互いに切磋琢磨しながら、いいゲームができたらと思っています。」
■キャプテン・FL本郷泰司(4年)
「今日の試合、対抗戦の最後のゲームということで、大学選手権につながる厳しいゲームをしようと言って、試合に臨みました。また、常に立ち続けて、リロードし続けることをテーマに臨みました。前半、厳しいプレーができず、ぬるくなってしまい、慶應義塾大学さんの意地を持った、勢いのあるプレーに対して受けてしまったことが失点につながってしまいました。タックルでしっかり入りきれなかったところが、反省点として出ました。それを前半で修正することができず、そのままずるずると行ってしまいました。後半は、自分たちの強みである、アンストラクチャーのところからの攻撃で得点することができましたが、試合を通じて細かなミスが重なってしまい、自分たちが勢いに乗れず、慶應義塾大学さんに勢いを与える形になってしまいました。今日の敗因は、スイッチの入りが遅かったことと、相手の攻撃に対して受けてしまったこと。しかし、僕たちは大学選手権に出場できる立場なので、この苦い経験を必ず次に活かすために、練習から厳しさを持ってやり切って、大学選手権では一戦一戦、勝ち切れるチームになれるように、頑張っていきたいと思います。」
■ぬるさやミスを反省するも、後半の追い上げには手応え・CTB岡村晃司(3年)
「今日は自分たちのミスで相手に勢いを与えてしまったことと、自分たちのぬるさが出てしまったゲームでした。自分としては、久しぶりのAチームの試合で緊張もあったのですが、しっかり自分のやるべきことをやろうと思って、試合に臨みました。ですが、春シーズンの試合や練習試合とは雰囲気が全然違いました。慶應義塾大学さんは今日が今シーズン最後の試合なので、思い切ったプレーをすることは分かっていたのですが、こちらのディフェンスのぬるさや、雑なプレーでのミスなどで自滅してしまいました。ただ、最後は追い上げることができたので、自分たちも力を出し切れればやれるという手応えは得られました。対抗戦は早稲田さん、明治さん、慶應義塾さんに負けてしまいましたが、次からは負けたら終わりの大学選手権なので、ここまでに出た課題を修正して、しっかり頑張りたいと思います。」
■通用する部分も確認し、次へ向けて気を引き締める・SO高本幹也(1年)
「今日は後半、リードされている局面での出場で、しっかり逆転しようという気持ちで挑んだのですが、僕のミスで相手にボールを取られるシーンがあったので、そこは修正しなければいけない点だと思います。普通にアタックしていけばよかった場面も多かったのですが、ミスも多く出てしまい、そこが敗因だったかなと思っています。裏へのキックなどはしっかり通用するとわかったのですが、タッチキックの精度が低かったので、そこも修正点だと思います。次からは負けられない戦いなので、しっかり気持ちを引き締めてやっていきたいと思います。」
《PICK UP PLAYERS》
悔しさを糧に、誇りを「奪還」する戦いに挑む
LO 野田響(3年)
Hibiki Noda
医療技術学部スポーツ医療学科
荒尾高校出身
身長187cm/体重113kg
■Aチームは久しぶりでしたが、どんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「ファーストジャージを託されている身として、帝京大学ラグビー部の代表として自分の全力をぶつけようと思って、試合に臨みました。」
■前半途中からの出場でした。ゲームに入るときはどんなことを考えて入ったのでしょうか。
「一心不乱にやるしかないという気持ちでした。自分の全部を出し切るという思いで入りました。慶應義塾大学さんはこの試合が今シーズンの最後というもわかっていましたので、その気迫に負けないように、自分も全力を出していこうという気持ちでした。」
■プレーしてみてどうでしたか。
「慶應義塾大学さんの気迫は予想以上で、その気迫に押されるところがありました。自分はまだまだ未熟で、自分のミスで相手のトライにつながってしまった場面があったので、そこは厳しく修正していかなければいけないと思いました。とても悔しい気持ちになったので、自分の弱い部分を直していかなければと思っています。」
■対抗戦3連敗してしまいましたが、帝京は同様の状況から大学選手権で優勝した年もありました。大学選手権へはどのような思いを持っていますか。
「今日の試合は負けてしまいましたが、ここから自分たちの誇りをもう一度、取り戻して、相手を圧倒できるプレーをしていけるように、『奪還』できるように、練習していきたいです。」
■今年はワールドカップがあり、帝京の先輩たちが大活躍しました。野田選手の母校荒尾高校の先輩の流大選手(現・サントリー・サンゴリアス)も頑張りました。彼らのプレーを見ていて、何か得たものはありましたか。
「見ていて、本当に『かっこいいな』と思い、自分もあそこを目指して頑張りたいという気持ちも持ちました。そこに行くにはまだまだ未熟ですが、ここから未熟な部分を改善して、強みにしていけるようにしたいです。」
■改めて、大学選手権への意気込みをお願いします。
「まずは、ケガなく練習に励んで、試合の日を無事に迎えることと、自分の強みであるボールキャリーの部分をもっと強化して、弱みであるディフェンスを改善して強みに変えていけるように、残りの時間を大事にして、練習に取り組みたいと思っています。」
FL本郷のケガがあり、前半26分からの出場となった。本人も語るようにたしかにミスもあったが、体を張ったプレーも数多く見られた。ディフェンスの甘さが自身の課題であることを自覚し、強みに変えていきたいと決意を語る。そのディフェンスに厳しさが出て、187cm、113kgという恵まれた体を活かす激しさ、しぶとさが身についていけば、チームにとっても欠かせない存在となっていくに違いない。
《COLUMN》
―― 史上最強の4年力 ――
このコラムではもう何度も触れていますが、それでも今回また、ご紹介せざるを得ないでしょう。吉田光治郎キャプテン(現・キヤノンイーグルス)の代、小野寛智BKコーチが2年生、さきのワールドカップ日本代表で言うと、ツイ ヘンドリック選手が4年生、中村亮土選手が1年生の年の話です。
対抗戦終盤に3連敗し、暗中模索とも言える状況で「伝説の4年会」が開かれました。そこで吉田キャプテンが「みんなの力を俺に貸してくれ」と真剣な表情で発言。普段は明るく「俺について来い」というタイプの吉田キャプテンの鬼気迫る発言に、4年生が共感して結束。そこから奇跡のVロードが始まったという、テレビドラマにもなりそうなストーリーが展開されました。そして、大学選手権連覇(V2)を成し遂げたのでした。
ここから結束した4年生たちが、Aチームのためにできることを何でも率先してやるようになり、チームはあっという間に強くなっていきました。「4年力」が最大限に発揮された年だったと言っていいかもしれません。
「Aチームのためにできること」にはラグビーに関することと、それ以外のことがありました。挙げたらキリがありませんが、ラグビーに関することで言えば、Aチームの練習相手となって、それまで以上に体を張り続けました。ラグビー以外のことで言えば、Aチームに負担をかけないように、先回りして仕事をやっていきました。
当時を思い出してみますと、Aチームのメンバーからは、特に練習相手として体を張り続けてくれたことへの感謝の言葉を多く聞いたように思います。中にはそのハードな練習で実力をつけて、練習相手のつもりが、いつの間にかメンバーに選ばれていたという選手もいたようですが、ほとんどの選手は、自分には出場のチャンスがほとんどないにもかかわらず、Aチームのために全力で体を張り続けました。
「うちのBチームは、対戦相手としては大学最強だと思っています。その最強チームと本気の練習をしてきたのだから、他大学に負けるはずがありません。」
そんな発言をしてくれた選手もいました。Bチームに対するリスペクトと愛情を感じます。
さて、今シーズンのチームはここからどう進んで行くのでしょうか。V2の年を超える「史上最強の4年力」は発揮されるのでしょうか。期待しつつ、見守りたいと思います。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
FL・No8鎌田イリヤ(1年)
御所実業高校出身
身長175cm/体重91kg
「自分の強みは激しいタックルとジャッカルです。課題はリアクション。特にアタック時に、倒れた後、起き上がるのが遅いので、倒れても何度も立ち上がるように心掛けています。帝京大学ラグビー部は、上級生がいろいろな仕事を、1年生を巻き込みながらやってくれますし、練習でも僕たちを上手に巻き込んで、さらに優しく接してくださいます。そうした先輩方を見習いながら成長できるすばらしい環境があると思います。しばらくリハビリが続いていましたが、ここからは、まずはプレーの感覚を取り戻して、少しでも上のチームに上がりたいと思っています。今後は、今年中にBチーム以上、できればAチームに上がることを目標にして、頑張っていきたいと思います。」
SH片岡祐二(1年)
京都成章高校出身
身長158cm/体重68kg
「自分の強みは低く刺さるタックル、勢いのあるテンポを作るアタックです。課題は、状況判断です。まだまだ甘いので、的確な判断ができるようにしたいと思っています。帝京大学ラグビー部は、クラブハウスに充実したトレーニングルームがあるなど、施設面のすばらしさがあり、食事での栄養管理もしっかりなされています。また、4年生が仕事をして僕たち1年生に手順を教えてくれるなど、とてもすばらしい環境があると感じています。今後はAチームに上がって、チームに貢献できるように、自ら積極的に頑張っていきたいと思います。」
左から鎌田イリヤ、片岡祐二
《NEXT MATCH》
第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会3回戦
対流通経済大学大学(http://rku-rugby.jp/)
12月15日(日) 熊谷ラグビー場
12時キックオフ
過去の対戦成績:大学選手権2勝
[流通経済大学の直近5戦]
9月14日 ○64-33中央大学(関東大学リーグ戦1部)
11月3日 ○57-33専修大学(関東大学リーグ戦1部)
11月9日 ○22-21大東文化大学(関東大学リーグ戦1部)
11月16日 ●21-26東海大学(関東大学リーグ戦1部)
11月30日 ○43-25法政大学(関東大学リーグ戦1部)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
●帝京大学(4勝3敗)24-29慶應義塾大学(3勝4敗)○
《帝京大学》
[FW]
(1)近藤(2)照内⇒李(承爀)(3)細木(4)マクロビー(5)水谷(6)トンガタマ(7)本郷⇒野田(8)ツイナカウヴァドラ
[BK]
(9)土永⇒末(10)押川⇒高本(11)小村(12)李(承信)(13)岡村(14)木村(15)奥村
《慶応義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)有賀(2)原田(3)大山(4)川端(5)今野(6)川合(7)山本(8)濱野
[BK]
(9)上村(10)中楠(11)佐々木(12)エノサ(13)三木(14)宮本(15)沖
【前半】【得点経過】
【3分】帝7-0慶
スクラムから連続攻撃。ラックから、LOマクロビーが持ち出してトライ。ゴール成功。
【10分】帝7-5慶
スクラムから攻められ、トライを奪われる。
【23分】帝7-12慶
スクラムから攻められ、トライを奪われる。
【30分】帝7-19慶
ターンオーバーから攻められ、トライを奪われる。
【後半】【得点経過】
【2分】帝7-24慶
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【10分】帝14-24慶
ペナルティからクイック・リスタートして連続攻撃。ラックから、PR細木が持ち出してトライ。ゴール成功。
【16分】帝14-29慶
ラインアウトからモールを押し込まれ、トライを奪われる。
【18分】帝19-29慶
キックカウンターから連続攻撃。ラックから、FLツイナカウヴァドラが持ち出し、前進。タックルを受けながらも、SH末にパス。末が抜け出し、走り切ってトライ。
【21分】帝24-29慶
ターンオーバーから連続攻撃。SH末-CTB李(承信)-WTB木村と渡り、木村が自陣から走り切ってトライ。
《BRIEF REVIEW》
対抗戦最終戦の相手は慶応義塾大学。帝京は、この試合に勝っても負けても、対抗戦の3位と「対抗戦3位枠」での大学選手権出場が決まっている。対して、慶應義塾大学はすでに大学選手権への出場権を逃しており、この試合を最後に今シーズンが終了する。相手の4年生にとっては、学生最後の試合となる。この状況の差が、気持ちの上でどのように作用し、どのようにプレーに影響するのかも注目された。先制したのは帝京。LO水谷、CTB岡村、FL本郷らの前進でゴール前へ。ペナルティでスクラムを選択して、FWで攻撃し、LOマクロビーがトライ。これでほっとしたのか、帝京は攻めている局面でのミスが多発する。対して、相手は失点で目が覚めたのか、今季最終戦への執念のプレーが帝京に襲い掛かる。帝京のミスでピンチを招き、それらがことごとく失点につながっていく。前半に3トライを奪われ、7-19でハーフタイムを迎えた。後半もその流れが変えられない。2分にトライを奪われ、7-24となる。10分、ようやく帝京の時間帯になり、FWで攻め込んでPR細木がトライを奪う。1本返されるものの、SH末、WTB木村がスピードを活かしたトライを見せ、5点差まで迫る。残り時間は20分。十分に逆転可能な状況と言えたが、ここから相手の最後の執念が帝京の執念を上回り始める。帝京は攻め込みながらも取り切れず、最後にミスをしてしまうという展開が続き、得点を奪えない。試合終了直前、SO高本、WTB小村のキックでチャンスを作るも、ラックでターンオーバーされて万事休す。24-29で帝京は対抗戦最終戦を落とした。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「対抗戦のラストゲームでしたが、慶應義塾大学さんは今日が今シーズンの最後のゲーム、我々は次につなげていくゲーム、その差がどう出るかを学生たちに問いながら、試合に送り出しました。残念ながら、我々の甘い部分がたくさん出てしまった試合になりましたが、その甘さを感じさせていただいたことは、成長の機会をいただいたものと思っています。今日のゲームの苦い経験を、次に活かしていけるチャンスをいただいているわけですから、学生たちにはこれを無駄にすることなく頑張ってほしいと思っています。今日はケガをしている選手を無理させなかったこともあり、新しい選手も多く出場しました。彼らがどのくらいのプレー勘を持っているのかを見たかったのと、苦い経験になったとしても、その経験をすることに大きな意味があるだろうと思って送り出しましたが、経験を積んでほしい選手が早々にケガをしてしまうなど、なかなか難しいところがありました。チームがうまくいかなかった部分は、やはり我々の隙だと思っています。対抗戦はこれで終わりましたが、大学選手権では厳しいプレーが出るようないい準備を、学生たちにはしてほしいと期待しています。今日は、慶應義塾大学さんのすばらしさを感じさせていただきましたので、大学選手権では我々がそうしたものを出していけるように頑張りたいと思います。慶應義塾大学さんとは、また来季、お互いに切磋琢磨しながら、いいゲームができたらと思っています。」
■キャプテン・FL本郷泰司(4年)
「今日の試合、対抗戦の最後のゲームということで、大学選手権につながる厳しいゲームをしようと言って、試合に臨みました。また、常に立ち続けて、リロードし続けることをテーマに臨みました。前半、厳しいプレーができず、ぬるくなってしまい、慶應義塾大学さんの意地を持った、勢いのあるプレーに対して受けてしまったことが失点につながってしまいました。タックルでしっかり入りきれなかったところが、反省点として出ました。それを前半で修正することができず、そのままずるずると行ってしまいました。後半は、自分たちの強みである、アンストラクチャーのところからの攻撃で得点することができましたが、試合を通じて細かなミスが重なってしまい、自分たちが勢いに乗れず、慶應義塾大学さんに勢いを与える形になってしまいました。今日の敗因は、スイッチの入りが遅かったことと、相手の攻撃に対して受けてしまったこと。しかし、僕たちは大学選手権に出場できる立場なので、この苦い経験を必ず次に活かすために、練習から厳しさを持ってやり切って、大学選手権では一戦一戦、勝ち切れるチームになれるように、頑張っていきたいと思います。」
■ぬるさやミスを反省するも、後半の追い上げには手応え・CTB岡村晃司(3年)
「今日は自分たちのミスで相手に勢いを与えてしまったことと、自分たちのぬるさが出てしまったゲームでした。自分としては、久しぶりのAチームの試合で緊張もあったのですが、しっかり自分のやるべきことをやろうと思って、試合に臨みました。ですが、春シーズンの試合や練習試合とは雰囲気が全然違いました。慶應義塾大学さんは今日が今シーズン最後の試合なので、思い切ったプレーをすることは分かっていたのですが、こちらのディフェンスのぬるさや、雑なプレーでのミスなどで自滅してしまいました。ただ、最後は追い上げることができたので、自分たちも力を出し切れればやれるという手応えは得られました。対抗戦は早稲田さん、明治さん、慶應義塾さんに負けてしまいましたが、次からは負けたら終わりの大学選手権なので、ここまでに出た課題を修正して、しっかり頑張りたいと思います。」
■通用する部分も確認し、次へ向けて気を引き締める・SO高本幹也(1年)
「今日は後半、リードされている局面での出場で、しっかり逆転しようという気持ちで挑んだのですが、僕のミスで相手にボールを取られるシーンがあったので、そこは修正しなければいけない点だと思います。普通にアタックしていけばよかった場面も多かったのですが、ミスも多く出てしまい、そこが敗因だったかなと思っています。裏へのキックなどはしっかり通用するとわかったのですが、タッチキックの精度が低かったので、そこも修正点だと思います。次からは負けられない戦いなので、しっかり気持ちを引き締めてやっていきたいと思います。」
《PICK UP PLAYERS》
悔しさを糧に、誇りを「奪還」する戦いに挑む
LO 野田響(3年)
Hibiki Noda
医療技術学部スポーツ医療学科
荒尾高校出身
身長187cm/体重113kg
■Aチームは久しぶりでしたが、どんな気持ちで試合に臨んだのでしょうか。
「ファーストジャージを託されている身として、帝京大学ラグビー部の代表として自分の全力をぶつけようと思って、試合に臨みました。」
■前半途中からの出場でした。ゲームに入るときはどんなことを考えて入ったのでしょうか。
「一心不乱にやるしかないという気持ちでした。自分の全部を出し切るという思いで入りました。慶應義塾大学さんはこの試合が今シーズンの最後というもわかっていましたので、その気迫に負けないように、自分も全力を出していこうという気持ちでした。」
■プレーしてみてどうでしたか。
「慶應義塾大学さんの気迫は予想以上で、その気迫に押されるところがありました。自分はまだまだ未熟で、自分のミスで相手のトライにつながってしまった場面があったので、そこは厳しく修正していかなければいけないと思いました。とても悔しい気持ちになったので、自分の弱い部分を直していかなければと思っています。」
■対抗戦3連敗してしまいましたが、帝京は同様の状況から大学選手権で優勝した年もありました。大学選手権へはどのような思いを持っていますか。
「今日の試合は負けてしまいましたが、ここから自分たちの誇りをもう一度、取り戻して、相手を圧倒できるプレーをしていけるように、『奪還』できるように、練習していきたいです。」
■今年はワールドカップがあり、帝京の先輩たちが大活躍しました。野田選手の母校荒尾高校の先輩の流大選手(現・サントリー・サンゴリアス)も頑張りました。彼らのプレーを見ていて、何か得たものはありましたか。
「見ていて、本当に『かっこいいな』と思い、自分もあそこを目指して頑張りたいという気持ちも持ちました。そこに行くにはまだまだ未熟ですが、ここから未熟な部分を改善して、強みにしていけるようにしたいです。」
■改めて、大学選手権への意気込みをお願いします。
「まずは、ケガなく練習に励んで、試合の日を無事に迎えることと、自分の強みであるボールキャリーの部分をもっと強化して、弱みであるディフェンスを改善して強みに変えていけるように、残りの時間を大事にして、練習に取り組みたいと思っています。」
FL本郷のケガがあり、前半26分からの出場となった。本人も語るようにたしかにミスもあったが、体を張ったプレーも数多く見られた。ディフェンスの甘さが自身の課題であることを自覚し、強みに変えていきたいと決意を語る。そのディフェンスに厳しさが出て、187cm、113kgという恵まれた体を活かす激しさ、しぶとさが身についていけば、チームにとっても欠かせない存在となっていくに違いない。
《COLUMN》
―― 史上最強の4年力 ――
このコラムではもう何度も触れていますが、それでも今回また、ご紹介せざるを得ないでしょう。吉田光治郎キャプテン(現・キヤノンイーグルス)の代、小野寛智BKコーチが2年生、さきのワールドカップ日本代表で言うと、ツイ ヘンドリック選手が4年生、中村亮土選手が1年生の年の話です。
対抗戦終盤に3連敗し、暗中模索とも言える状況で「伝説の4年会」が開かれました。そこで吉田キャプテンが「みんなの力を俺に貸してくれ」と真剣な表情で発言。普段は明るく「俺について来い」というタイプの吉田キャプテンの鬼気迫る発言に、4年生が共感して結束。そこから奇跡のVロードが始まったという、テレビドラマにもなりそうなストーリーが展開されました。そして、大学選手権連覇(V2)を成し遂げたのでした。
ここから結束した4年生たちが、Aチームのためにできることを何でも率先してやるようになり、チームはあっという間に強くなっていきました。「4年力」が最大限に発揮された年だったと言っていいかもしれません。
「Aチームのためにできること」にはラグビーに関することと、それ以外のことがありました。挙げたらキリがありませんが、ラグビーに関することで言えば、Aチームの練習相手となって、それまで以上に体を張り続けました。ラグビー以外のことで言えば、Aチームに負担をかけないように、先回りして仕事をやっていきました。
当時を思い出してみますと、Aチームのメンバーからは、特に練習相手として体を張り続けてくれたことへの感謝の言葉を多く聞いたように思います。中にはそのハードな練習で実力をつけて、練習相手のつもりが、いつの間にかメンバーに選ばれていたという選手もいたようですが、ほとんどの選手は、自分には出場のチャンスがほとんどないにもかかわらず、Aチームのために全力で体を張り続けました。
「うちのBチームは、対戦相手としては大学最強だと思っています。その最強チームと本気の練習をしてきたのだから、他大学に負けるはずがありません。」
そんな発言をしてくれた選手もいました。Bチームに対するリスペクトと愛情を感じます。
さて、今シーズンのチームはここからどう進んで行くのでしょうか。V2の年を超える「史上最強の4年力」は発揮されるのでしょうか。期待しつつ、見守りたいと思います。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
FL・No8鎌田イリヤ(1年)
御所実業高校出身
身長175cm/体重91kg
「自分の強みは激しいタックルとジャッカルです。課題はリアクション。特にアタック時に、倒れた後、起き上がるのが遅いので、倒れても何度も立ち上がるように心掛けています。帝京大学ラグビー部は、上級生がいろいろな仕事を、1年生を巻き込みながらやってくれますし、練習でも僕たちを上手に巻き込んで、さらに優しく接してくださいます。そうした先輩方を見習いながら成長できるすばらしい環境があると思います。しばらくリハビリが続いていましたが、ここからは、まずはプレーの感覚を取り戻して、少しでも上のチームに上がりたいと思っています。今後は、今年中にBチーム以上、できればAチームに上がることを目標にして、頑張っていきたいと思います。」
SH片岡祐二(1年)
京都成章高校出身
身長158cm/体重68kg
「自分の強みは低く刺さるタックル、勢いのあるテンポを作るアタックです。課題は、状況判断です。まだまだ甘いので、的確な判断ができるようにしたいと思っています。帝京大学ラグビー部は、クラブハウスに充実したトレーニングルームがあるなど、施設面のすばらしさがあり、食事での栄養管理もしっかりなされています。また、4年生が仕事をして僕たち1年生に手順を教えてくれるなど、とてもすばらしい環境があると感じています。今後はAチームに上がって、チームに貢献できるように、自ら積極的に頑張っていきたいと思います。」
左から鎌田イリヤ、片岡祐二
《NEXT MATCH》
第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会3回戦
対流通経済大学大学(http://rku-rugby.jp/)
12月15日(日) 熊谷ラグビー場
12時キックオフ
過去の対戦成績:大学選手権2勝
[流通経済大学の直近5戦]
9月14日 ○64-33中央大学(関東大学リーグ戦1部)
11月3日 ○57-33専修大学(関東大学リーグ戦1部)
11月9日 ○22-21大東文化大学(関東大学リーグ戦1部)
11月16日 ●21-26東海大学(関東大学リーグ戦1部)
11月30日 ○43-25法政大学(関東大学リーグ戦1部)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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