REPORT
レポート
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第47回全国大学選手権大会・2回戦
2010/12/26
FW、BK完全制圧! いざ国立へ
12月26日・秩父宮ラグビー場○帝京大学 38対7 慶應義塾大学●
《出場メンバー》
①吉田(康) ②森(太)⇒小幡 ③西村⇒坪井 ④菅原⇒李 ⑤ボンド ⑥ツイ ⑦吉田(光) ⑧柴田 ⑨滑川 ⑩森田 ⑪富永 ⑫南橋 ⑬黒川 ⑭鬼海 ⑮竹田(宜)
関東学院大学撃破で勢いに乗る帝京の2回戦の相手は、わずか3週間前、対抗戦で敗れた慶應義塾大学。帝京の強みを前面に出して雪辱を果たしたいところだ。
【前半戦】
いよいよ決戦の時。試合直前、ウォーミングアップ場での帝京フィフティーンは、程よく高いテンションを保ちながらも、同時に冷静さも感じられ、バランスの取れた様子。俄然、好ゲームへの期待が広がった。
案の定、キックオフ直後から帝京はアクセル全開。ラインアウトからのボールをFLツイ―WTB富永とつなぐなど、FW、BK一体となってゴール前まで運ぶ。モール・コラプシングの反則を得ると、ここは迷わずスクラムを選択。強力なプッシュで慶應はコラプシングの反則を続け、開始早々にペナルティトライで先取点を挙げる(7-0)。
その後もスクラム、ブレイクダウンで圧倒し、ボールをキープし続ける帝京。例え相手ボールになっても、LO菅原の身を挺したタックルやPR吉田のターンオーバーなどですぐに奪い返し、相手の攻撃の芽を素早く摘む。
PGで3点追加した後の15分には、スクラムからツイ―CTB黒川とつなぎ、最後は再三、縦への突破を見せていた富永が左隅にトライ(15-0)。
その後は攻められる時間帯もあるが、好タックル連発でしっかりと相手の攻撃を止める。No8柴田、WTB鬼海、FB竹田(宜)らの突き刺さるタックルに、2人目、3人目もしっかりとフォロー。復帰戦となるCTB南橋もブランクを感じさせない好タックルを連発する。
圧巻は20分過ぎ。相手の猛攻に吉田(康)がナイスタックル! すると鬼海が相手のフォロワーをきれいにスイープして、PR西村がターンオーバー。セットプレー、接点ともに完全制圧。(帝京がラインアウトでノットストレートを犯しても、相手がラインアウトを選択せざるをえないほどスクラムを押しまくり、)33分には相手ボールスクラムからこぼれたボールをツイが押さえて、追加点。前半終了間際に1本返されるも、試合の主導権は完全に帝京が握る。前半は23-7で折り返すこととなった。この日の澄み渡った空を連想させる晴れやかな帝京の40分であった。
【後半戦】
前半はあらゆる局面で圧倒した帝京。後半もかたいディフェンスで失点を防ぎつつ、ここはじっくりと攻めていきたい。
帝京の勢いは止まらない。7分、敵陣22mやや外側でのラインアウトからモールを形成すると、そのまま22m以上押し切ってトライ!(28-7)。イケイケムードは止まらない。
20分にはSO森田、菅原の突破で大きくゲイン。相手ボールスクラムになるが、プッシュしてターンオーバーし、モールを形成すると、これも押し切って柴田がトライ(33-7)。
その後は冷静にボールキープを続ける時間帯を楽しむ選手、そして赤い帝京ファンの独壇場。SH滑川がうまくコントロールし、FWでボールをつなぎながら、状況を見てBKに展開、ラックからまたFWと、まさにFW、BK一体のラグビーを披露。
ボールを取られても、途中出場のLO李、PR坪井らが好タックルを見せる。森、坪井らの表情にはenjoyの真骨頂、笑みすら浮かぶ。
ボールを獲得すると、また滑川がスローテンポに修正し、ボールキープの時間を増やす。相手が焦りを感じるような、うまい時間の使い方を続けた。反則で相手ボールになった39分。外へ展開されるボールを鬼海が前に出るディフェンスで見事にパス・インターセプト。そのまま走り切ってダメ押しのトライを決め、38-7でノーサイドとなった。
FW戦で圧倒的優位に立ち、BK展開も有効に使って前に出たアタックもさることながら、全員がしっかりと前に出るディフェンスを意識。接点でのフォロープレーも的確にこなすなど、攻守にわたって輝きを見せたゲームとなった。まさに今シーズンのベストゲームとも言える内容で、次戦に向けて大きな弾みとなった。いよいよ国立へ。このチームはあくまでもチャレンジャー、失うものはない。さらにenjoyするのみだ。
《試合後のコメント》
□岩出雅之監督
「今日のゲームは、選手の頑張りの一言に尽きると思います。今日は『タックルをして勝負を決めよう』『前半から勝負に出よう』と言って送りだしましたが、選手たちはそのとおりにやってくれました。対抗戦の各上位校との厳しいゲームを経験し、学生たちがその厳しさをしっかりと受け止めてこの3週間の練習に取り組み、たくましいプレーをしてくれました。ライバル校のみなさんには、厳しさを教えてもらえたという意味でとても感謝しています。
対抗戦では帝京ラグビーを進化させるためのさまざまなチャレンジに取り組みましたが、負けたら終わりの大学選手権では帝京の強みを出し、相手の嫌がるところを出して戦おうということで、勝負につながる部分に絞りきって戦いました。またディフェンス面で判断とスキルが向上したことは、学生たちの自信につながっていると思います。
次の試合は、今日の慶應大学さんの魂も含めて、対抗戦を通して得たものすべてを財産として戦って行きたいと思っています。学生たちにも油断はないと思います。チャレンジャーとしてしっかり戦いたいと思います。本日は、多くの皆様方に応援をいただきありがとうございました。次の準決勝もよろしくお願いいたします。最後になりましたが、慶應大学の関係の皆様、選手、そして、林監督ありがとうございました。」
□キャプテン・FL 吉田光治郎(4年生)
「今日は対抗戦で負けたリベンジをしようと、この3週間準備してきたことがすべていい方向に出て、とても満足しています。『慶應さんの粘り強さに勝って自信にしよう』と試合前に言っていたので、とても大きな自信になりました。この3週間は80%くらいディフェンスの練習に取り組んだのですが、それがうまく出せたと思います。また、スクラムにもこだわってきたので、最初にペナルティトライという形で取れたことが、この試合の流れをつかんだ大きな要因だったと思います。
この3週間でチームが一つになれたという実感があります。B、C、Dチームの部員たち、スタッフのみなさん、ファンのみなさんのサポートがあったからこそ今のAチームがありますし、サポートしてくれる仲間のためにも自分たちが体を張らなくちゃいけないという心構えでやれています。また、他の4年生が自分を支えてくれるおかげで、チームがここまでまとまることができたと思っています。
次もディフェンス。タックルから今日のように自分たちのペースで試合を進めて、絶対勝ちます」
□FW戦圧勝の立役者・PR 吉田康平(3年生)
「今日はFWで乗って行けて、さらにBKもそれに乗ることができ、チーム一丸となっていい試合ができました。特にスクラムで相手にプレッシャーをかけられて、相手の攻めたいように攻めさせなかったことと、前に出たディフェンスで相手の攻めを封じられたことが大きかったです。自分としては、もっとディフェンス面で貢献したいと思っています。次は厳しいFW戦になると思いますが、圧倒したいです。次も勝ちます」
□FWの核として奮闘・HO 森太志(4年生)
「自分たちのやってきたことがここにきてやっとできるようになりました。すごく成長できていると思います。スクラムもブレイクダウンもモールも、今日、慶應大学さんといい試合をさせてもらったことでさらに成長できたので、国立競技場での試合に向けて自信になりました。
東海大学さんは去年、すばらしい決勝戦をやらせてもらった相手なので、今年もしっかりと準備をして、反対側の試合(早稲田大学対明治大学戦)よりもいい試合をお見せしたいと思います」
□アタック、ディフェンスとも随所で活躍・LO ティモシー・ボンド(3年生)
「今日はチーム全体がすごく盛り上がっていて、一人ひとりが責任をもって自分の仕事をしていたと思います。こうした激しさ、厳しさは昨シーズンに感じて以来のような気がします。ゲームも非常にENJOYできました。サポートしてくださったみなさんやファンのみなさんにも、こうした雰囲気をお見せでき、うれしく思います。次は東海大学もリベンジを狙って、全力で準備して試合に臨むことでしょう。こちらも今日以上のレベルで臨み、いいゲームをしたいと思います」
□接点からのボールをしっかりコントロール・SH 滑川剛人(3年生)
「正直、すごくうれしいです。今日はアップからみんながいつもと違うというか、負けたくないという気持ちが前面に出たアップだったので、これはいけるという確信がありました。今日は本当に、ゲームをやっていて楽しかったです。
東海大学は公式戦無敗でここまで来ていて、こちらは対抗戦4位から這い上がっているチーム。チャレンジ精神をもって、初心に返って戦いたいと思います」
□久々のゲームも好タックル連発・CTB 南橋直哉(3年生)
「対抗戦で惨敗した相手だったので、いい形で勝ててすごくうれしいです。多くの方にご心配をおかけしましたが、足のケガはすっかり完治しました。今日のポイントはディフェンスだったと思います。前に出るディフェンスという意思統一がしっかりできて、80分間やり切れたことが勝因につながったと思います。攻めの姿勢でディフェンスできているのがよかったです。
今日のこの試合を過信ではなく、自信に結びつけて、次に向けていい準備をしていきたいと思います」
□ディフェンスと同時にアタックでのランが光った・WTB 富永浩史(4年生)
「今週取り組んできたディフェンス面をしっかりと試合で出せたことがこの結果につながったので、大きな喜びがあります。対抗戦の慶應戦では自分はケガで出られなかったこともあり、その分も含めて絶対に勝ちたいという気持ちで臨みました。
東海大学はFW、BK一体となったラグビーをしてくるので、それに対していかに前に出るディフェンスができるか、そして今日のように帝京の形をつくって前に出られるかがカギになると思います。今日、いい形で勝てたとはいえ、ちょっとしたミスもあったので、その部分を修正して、今日の延長線上で活かしていきたいと思います」
《PICK UP PLAYERS》
パワーと巧みなコントロールでスクラムを圧倒(ゲームMVP)PR 西村尚記(3年生)
NISHIMURA NAOKI
1989年11月27日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
京都成章高校出身
身長177cm/体重115kg/血液型A型
ニックネーム/ナオキ、得意なプレー/スクラム、郷土自慢/寺がいっぱいある(京都府)
■今日の試合、FW戦で圧倒しましたが、特にスクラムは圧巻でした。
「慶應さんはスクラムをうまく回してくるので、そうさせないように自分が右肩を使ってしっかりと止めて、出ていくときにはしっかりとついていくことを意識してやりました」
■最初のペナルティトライもスクラム戦で勝ったからこそのトライでしたね。
「いままでやってきたことが出し切れてよかったです」
■ブレイクダウンもよかったですね。
「ブレイクダウンも絶対に負けられないという気持ちだったので、入ったらしっかりと最後までやるという気持ちで行きました」
■FWとして一番こだわった部分はどこでしょうか。
「やはりセットプレー、スクラムとラインアウトです。PRとしてセットプレーはしっかりやろうという気持ちでやっています」
■今日はラインアウトもよかったですね。
「慶應大学さんはラインアウトもうまいので、それに負けないように頑張りました」
■対抗戦のときと比較して、今日はどんなところがよかったのでしょうか。
「前回は自分のところでタックルをはずされて行かれてしまったので、今回はタックルをしっかりやろうと思っていました。でも、1本抜かれてしまったのですが。チームとしては、アップからみんなの気持ちも前回とは違っていましたし、今日は本当に完璧な入りができました」
■今日のMVPはどこを評価されてのものだと感じていますか。
「セットプレーと、ターンオーバーできたところかと思います」
■坪井選手と途中で交代するケースが多いですが、二人でいろいろ話すことも多いんですか。
「普通にいろいろ話しますよ。作戦とか。僕は頭から全力で行くタイプなので、後ろに坪井さんがいてくれると心強いです」
■最後に今後への意気込みを聞かせてください。
「東海大学さんはFWも強いので、厳しい戦いになると思いますが、そこで負けないように、特にスクラムをしっかりと組みたいです。絶対、勝ちます」
スクラムの推進力となりFW戦を圧倒。ブレイクダウンではターンオーバーでピンチをチャンスに変える働きをしてゲームMVPを獲得した。ディフェンス力も大幅にアップ。パワーだけでなく、スキルと判断力を兼ね備えたPRは今後も勝負のカギを握りそうだ。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【1月2日(日)大学選手権準決勝 VS東海大学 国立競技場12時15分キックオフ】準決勝は、昨年度、決勝の舞台で1点差の死闘を演じた東海大学が相手。強敵だが、対抗戦、そして大学選手権1、2回戦で体験した厳しいゲームを糧に、チャレンジャーとしてチーム一丸となって挑みたい。
(写真/志賀由佳)
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