REPORT
レポート
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第47回全国大学選手権大会・1回戦
2010/12/19
ディフェンス修復で1年越しの戦いに決着!
12月19日(日)・熊谷ラグビー場○帝京大学 39対13 関東学院大学●
《出場メンバー》
①吉田(康) ②森(太) ③坪井⇒西村 ④李 ⑤ボンド ⑥ツイ ⑦吉田(光) ⑧柴田⇒大和田 ⑨滑川 ⑩森田⇒中村(亮) ⑪富永⇒竹田(宜) ⑫橋口 ⑬黒川 ⑭鬼海 ⑮小野
いよいよ開幕した2010大学選手権。帝京の1回戦の相手は、昨年度も緒戦で激突した関東学院大学。今年はきっちりと決着をつけて、次への弾みとしたいところだ。
【前半戦】
WTBに富永、鬼海、CTBに黒川とTBに4年生が3人先発。最終学年としてこの大会に懸ける彼らの“想い”に注目が集まった。
キックオフ直後から気迫のこもったプレーを見せる帝京。LO李、NO.8柴田の好タックルなどで相手の出足を鋭く止める。2分には、一瞬のエアポケットから先制トライを許すも、インゴールに集結した彼らの眼は落ち着きを失っていなかった(0-5)。
すぐさまPGで3点を返した直後には、ブレイクダウンでFL吉田(光)がターンオーバーに成功!そこからすぐに展開すると、ライン参加したFB小野が走り切りこの試合初めてのトライを奪う(8-5)。その後、ターンオーバーを許し攻め込まれるシーンもあるが、WTB鬼海に代表される突き刺さるタックルが相手の突進を止める。
PGで一旦同点に追い付かれるも、20分過ぎからは帝京の怒涛の攻めが始まる。ゴール前中央でペナルティを得ると迷わずスクラムを選択。そこからモールを形成しゆっくりと押し込んで、吉田(光)がトライ。
このトライで固さのほぐれた帝京は、その直後、相手ボールのラインアウトを奪い取ると、SH滑川がハイパント。こぼれたボールを柴田が拾ってトライ。試合後岩出監督が吐露したように、分析から見えた相手の穴をしっかりと攻め切っての価値あるトライとなった。
なおも攻勢をかける帝京。32分には、ラックから吉田(光)が縦に突破。再度のラックから出たボールを滑川が大外へキックパス。転がるボールを富永が落ち着いて拾い加点。派手さはないが、FW第3列が完全に相手を上回る帝京の真骨頂のトライでもあった。
その後も、SO森田が仕掛けてラインブレイクから(李がフォローして、)最後はFLツイがトライ。前半終了間際には、ツイのターンオーバーからチャンスをつくり、CTB橋口からの飛ばしパスを受けた黒川がパスダミーを見せながら相手をかわし39-8で前半を終えることとなった。
前半は前に出るディフェンスからのターンオーバーも随所に見られ、そこからのFW・BK一体となった攻撃という帝京らしいラグビーを披露。後半は関東も意地を見せてくることが予想されたが、前半でほぼ勝負を決した見事な戦いぶりであった。
【後半戦】
前半、ほぼ100%で駆け抜けた帝京。(相手の関東も地力のあるチームゆえ)後半は自ずとスピードダウンする展開も十分に予測された。話はやや飛躍するが、帝京としてはいかに今後に向けた“形”を残せるかに注目が集まった
案の定、ビハインドを取り戻すべく波状攻撃を仕掛ける関東。帝京は10分にトライを献上し、その後も守りの時間帯となる。
がしかし、帝京は橋口、黒川、吉田(光)、また途中出場のSO中村(亮)、FL大和田(短時間出場ながら十分なインパクト!)らの身を挺したタックルで相手の出足を止める。
今度は攻めに転じたい帝京。だが、ハンドリングミスやラインアウトミス、ペナルティなどで攻めきれない。だが、それでも集中を切らさず、相手の度重なる攻撃を防ぎ続けたのは十分に賞賛に値。結束力も格段に高まっている様子も窺えた。
結局後半はスコアこそならなかったが、相手の攻めを見事な集中力で防ぎ切り、39-13で大学選手権1回戦を勝利で飾った。
ここ数戦、ややほころびを見せていたディフェンス力が戻り、攻め込まれながらもしっかりと守る切ることができた。攻めの前半、守りの後半となったが、それぞれ帝京らしさが共存するゲームだった。次戦に向けては、今日のいいイメージを保持しつつ、さらなる成長を遂げていきたい。
負けの許されないノックダウントーナメント。だからこそ、部員一丸となって“ENJOY!”してもらいたい。
《試合後のコメント》
□岩出雅之監督
「大学選手権がいよいよ始まりました。このゲームから爆発させていこうということで、いいゲームをするためにいいディフェンスからスタートしようと言って選手を送り出しました。前半はいい形で攻めることができたと思います。後半は反省すべき部分がチェックできて、そういう意味でも、全体としていいゲームだったと思います。気を引き締めて次に臨むためにも、後半はいい薬になったのではないでしょうか。短期決戦ですのであまりマイナスには考えずに、前後半ともに次に活かすためのプラス材料として考えていきたいと思います。
まずはいいスタートを切ることができましたので、この勝利をチームの勢いに変えて、次のゲームに臨みたいと思います。出場のメンバーは、多くの応援していただく方々の想いと部員全員の想いをタックルで発揮してくれるはずです。TeamTEIKYOとして、選手、皆さん共にEnjoy、Teamworkで行きましょう。」
□キャプテン・FL 吉田光治郎(4年生)
「優勝に向かっていくために非常に重要な試合でしたが、この2週間練習したことが前半は出せたかなと思っています。隙をつくらないようにと思っていたのですが、後半、点差が開いたために心のどこかにエアポケットのように隙ができてしまいました。
次の慶應大学さん相手には80分間集中しないと勝てないと思うので、今日の試合を反省して、また1週間、練習に励みたいと思います。自分たちはディフェンスのチーム。この2週間はそこにこだわって練習してきたので、それが出せたのはとても自信になる試合ができました。次戦もまずは前に出て相手にプレッシャーをかけるディフェンスとブレイクダウンにこだわって、それに帝京の強みであるFW・BK一体となった攻撃で、自分たちのペースで試合ができるようにしたいです。
スタンドで応援してくれる方々や部員たちみんなの声も絶対に力になるので、出場している選手だけでなく、全員の力で選手権を勝ち進んで行きたいです」
□セットプレーを牽引した・HO 森太志(4年生)
「自分たちのいい形を出すことができました。取り切るべきところで取れたという感覚は久しぶりでしたが、あそこまで行ければ取れるんだという自信がついたので、来週もしっかりチャレンジしていきたいです。
後半は攻められましたが、しっかり我慢できたと思います。自分たちはディフェンスのチームなので、攻められたときに我慢してしっかりディフェンスできたのはよかったと思います。厳しい時間帯も『ここで成長するんだ』と声を掛け合っていました。負けたら終わりという試合が続きますが、むしろしっかりと全員が気持ちをつくって試合に入れるので、自分たちには向いているかもしれません」
□冷静なコントロールでトライを演出・SO 森田佳寿(3年生)
「ここ3試合はファーストタックルが甘かったり、ブレイクダウンで圧力がかけられなかったりしてディフェンスでなかなか前に出られなかったので、この2週間はもっと前に出る意識をもとうという課題に取り組んできました。前半1本目に取られたトライ以外は、練習でやってきたことが出たと思います。前に出るディフェンスができたことで、いいターンオーバーもできたと思います。前に出るために内側のFWもしっかり返ってきてくれました。ただ、オプションの精度の低いところもあったので、またこの1週間でしっかりと修正していきたいです。帝京のラグビーはディフェンスからなので、次の試合もまずはディフェンスをしっかりとやりたいと思います」
□久々の先発で攻守に活躍・CTB 黒川勝平(ゲームMVP・4年生)
「タックルからチームを盛り上げていこうと思って臨みました。できた面とできなかった面があったのですが、自分の中では次につながるいいゲームでした。トライシーンは飛ばしパスをもらって裏に出たのですが、周りが自分をうまく活かしてくれたので、自分はそこに走り込むだけでした。ただ、ここは絶対にトライを取り切ろうと思って走って、取り切れたのはよかったと思います。
自分の強みは足の速さなので、そこでチームの勝利に貢献できたらと思っています。次戦の相手慶應の両CTBは小学校からの幼なじみなのですが、彼らが軸となってくると思うので、しっかりとそこを止めたいです。同じ相手に2回は負けられないので、チーム一丸となって絶対に勝ちたいと思います」
□落ち着いた判断とチェイスでゲームを引き締めた・WTB 富永浩史(4年生)
「去年のチームは“ディフェンスの帝京”だったので、そのディフェンスを取り戻すためにこの2週間準備してきました。攻め込まれていても、そのための練習をしてきたという気持ちがあったので、不安はありませんでした。関東学院さんは個人技の優れた選手が多いので、1対1ではなく、組織的なチームディフェンスで対抗しようと思っていましたが、それができたと思います。
特にFWとBKの連携、そしてチェーンを切らないようにしようということを意識しました。これまでバックスでは4年生は僕だけだったのですが、今日は鬼海、黒川と4年生がいい仕事をしてくれたので、心強かったです。
次の試合でもこの2週間の練習が活かされるような前に出るディフェンスを意識して、慶應大学に挑みたいと思います」
《PICK UP PLAYERS》
突き刺さるタックルでゲームの流れを引き寄せるWTB 鬼海雄次(4年生)
KIKAI YUJI
1988年5月6日生まれ
医療科学部スポーツ医療学科
長崎北陽台高校出身
身長166㎝/体重71㎏/血液型B型
ニックネーム/キカイ、得意なプレー/粘り腰、郷土自慢/『海と山そして坂しかない。だけどそれがいい』(長崎県)
■Aチームで公式戦初出場でしたが感想は。
「最初のタックルミスで点を取られてしまったのが悔しいです」
■そのあとは、ピンチのときにいいタックルをして、試合の流れをつくりました。
「最初のミスを取り返そうと必死でした。自分のアピールポイントはディフェンスだと思っているので、もっともっとディフェンス面でアピールしていきたいと思います」
■試合前はどんな気持ちで臨んだのでしょうか。
「初めての公式戦なので、とにかく思い切っていこうと思っていました。大学選手権は負けたら終わりなので、4年生として悔いが残らないようにと思ってやっています」
■ディフェンスでアピールということでしたが、今日はアタックもよかったですよね。
「ありがとうございます。アタックの力強さ、あとプレーの粘り強さもぜひ見てほしいです」
■オフのときはどんな過ごし方をしていますか。
「最近、ゴルフの打ちっぱなしによく行きます。製薬会社に就職が決まったので、会社で接待ゴルフなんかがあるんじゃないかと思って練習しています(笑)。まだまだうまくないのですが」
■次戦の慶應大学戦への意気込みを聞かせてください。
「前回負けているので、絶対に勝ちたいです。自分としてはとにかく次も出られるようにしっかりと準備したいです。前回はディフェンスが崩されてしまったので、前に出るディフェンスを意識してやっていきたいです」
■最後に今後に向けて一言。
「2連覇に向けて自分ができることをやって、悔いの残らないシーズンにしたいと思っていますので、これからも応援、よろしくお願いします」
公式戦初出場とは思えないハツラツとしたプレーでチームを引っ張った。学生コーチとして練習メニューを作成しながら、自らも練習に励む。地道な努力が最終学年のこの時期に花開いた。次戦以降も、自ら体を張ったプレーで皆を牽引していきたい。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【12月26日(日)大学選手権2回戦 VS慶應義塾大学 秩父宮ラグビー場14時キックオフ】大学選手権2回戦の相手は、12月4日、つい3週間前に敗れた慶應義塾大学。だが、後半残り時間で帝京FWが奪った2トライは、間違いなく互いの脳裏に色濃く染み付いている。そして、ディフェンス力に磨きがかかったいま、前回のようにはいかない。立ちはだかる強敵を打ち破って、進化の証しを見せる時が来た。
(写真/志賀由佳)
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