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~ひたむきなキャプテンの想い~ 『みんなで勝利を掴み取れ‼』
2012/10/12
~ひたむきなキャプテンの想い~
『みんなで勝利を掴み取れ‼』
帝京大学ラグビー部キャプテン泉敬。まだ笑顔にもあどけなさの残る大学4年生だ。彼がキャプテンに就任して半年。今年のチームの現状、成長、そしてキャプテンとしてのあり方について、彼はどのように考えているのだろうか。
【泥を楽しむ】
まずは岩出監督が「泉の成長にもつながった」と評してくれた夏合宿から振り返ろう。約2週間の濃密な時間は、チームにとってもキャプテンにとっても、成長を感じられるとても充実したものとなった。泉自身、選手としてキャプテンとして大きなステップアップができた大変重要な合宿となったようだ。
キャプテンとしての迷いやネガティブな思考を拭い去ってくれたのは、監督の言葉、そして仲間の存在であったようだ。
■泉敬
『夏合宿の最後の早稲田戦は、前半はチームとして全体で戦うことができた試合になりました。後半も誰一人、集中力が欠けることなく我慢強いプレーができたことが勝利につながったのだと思います。自分だけではなく、周りの選手も声を出して声をかけ合って、まとまることができたのではないかと思います。
夏合宿で挙げた「ディテール」というテーマ。春シーズンで出た課題や成果を、一つ一つをより細かく考えてできたと思います。タックル一つにしてもただやるのではなく考えて取り組むようになりました。そういう動作、一つ一つを大事にすることができました。例えば、フォワードが組むスクラム。それを前の3人だけが頑張るのではなく、8人全員が意識して取り組むことができました。8人全員でスクラムはどういう構造でできているのか、どのような姿勢で組んだらいいか、どうやったら押せるのかを考えました。そこを全員でこだわったので、どうやって声をかければ良いかが今まで以上にわかってきました。一人一人の意識を高めることで一歩前進できたと思います。
合宿後半は疲労がたまってきますが、そんな時にどれだけ意識を上げられるか、それをどうやってエネルギーにするかが大事だと考えていました。練習前のミーティングではそういった部分やメンタルを中心に話をしました。みんなで話すことによってより一人一人の意識が上がった気がします。日本一になるための準備をやってきている意識はあります。
自分自身キャプテンをやっていて「自分のキャプテン像はなんだっけ。」とネガティブになってしまった時がありました。そんな時、監督に「お前の自分自身の良さは何だ?」と聞かれて、「泥臭さです。」と答えたんです。そうすると監督は、「本当にそうか?」と自分に投げかけてくれたんです。その時の監督の言葉がすごく胸に響きました。「物事を綺麗に行おうと、頭を使おうとしている。泥を楽しむことができていないのでは?」と、問いかけていただいて、今までの自分の姿に気づかされました。
そこで気持ちを切り替えました。おもいっきり泥臭くやろう!と。「ブレたら駄目だ。一人じゃない、周りには仲間がいるんだぞ。」監督の言葉を噛み締めました。
夏合宿で完成ではない。これから先、今までやってきたこと、出てきた課題を忘れずに、やり続けることが大事だと思っています。
普段、120%を出せる練習をしています。試合では、80~100%の力しか出せないかもしれないので、練習の時から「やりきる」ということを意識しています。』
【みんなで強くなる】
常に周りを見て、声をかけ様々な場面でリーダーシップを発揮する泉だが、彼は逆に他の部員からもたくさんの刺激を受けているという。彼の生まれながらに持っている豊かな感性、優しさが今日のチームの温かさを作り上げている。
■泉敬
『1年生の高野(PR・保善)がCDの早稲田戦でチームのMVPをとった時に、彼が嬉しくて涙を流していたんです。その姿を見て、こういう純粋な気持ちを忘れたらいけないな、と思いました。合宿中のCDチームの試合や練習を見て自分自身のモチベーションも、すごく上がりました。それと同時に、自分の中で「今年のチーム、みんなで頑張って行こう!」という気持ちもさらに強くなりました。今まで積み上げてきたもの、これからやっていこうとするものを明確にして、一戦一戦を戦っていきたいです。
早稲田大学は夏合宿では勝利しましたが、やっぱり強いです。実際、まだまだ負けている部分もあります。そういう意味でも意識はしています。だけど、自分たちは自分たちのやることをやれば、勝ち進めると思います。筑波大学とは毎年、接戦です。特別視はしていませんが、しっかりと気持ちを入れていかないといけないと思っています。もちろん明治も慶應も、全部の相手に全力で立ち向かいます。試合が始まったら、目指すラグビーを出し切る。それだけです。チームを優勝させたいです。みんなで勝ちたいです。』
【全てのものを力にかえて】
試合の話、練習中の意識の話、様々な話をする中で泉キャプテンの口からは、たくさんの人への感謝の言葉が次々と溢れ出てきていた。泉は、部員だけではなくスタッフやそれ以外、帝京大学ラグビー部を取り巻く全ての人たちに目を向け、感謝の気持ちを持ち、その人たちのためにも頑張ろうという強い思いがあるようだ。
■泉敬
『いつも僕ら選手のために力を貸してくださるスタッフの皆さんや、応援してくださっている方々には本当に感謝しています。自分たちが今こうして頑張れるのも、たくさんの方々のおかげです。あと自分にとっては、特に今年亡くなった祖父の影響は大きかったです。いつも応援してくれていました。祖父と僕は同じHOというポジションなんです。だから余計に頻繁に声をかけてくれました。「国立には絶対見に来てね!」と言っていたのです。最後の最後まで本当に僕のことを応援してくれていました。祖父が病の床に臥せている時、僕が帝京大学の旗を振ったんです。それを見て凄く喜んでくれて、あの時のあの姿は忘れられません。僕は、祖父のことを心の隅にいつも考えています。祖父のためにも勝ちたいです。祖父にはその姿を見せたいです。最後にみんなで笑っている姿を。そのためにも、みんなで戦います。仲間や周りを取り巻く全ての人たちと同じ感動を分かち合いたいです。これからも帝京大学ラグビー部をよろしく御願い致します!』
【No Side!!~取材後記~】
泉キャプテンの言葉には、常に温かさを感じます。話しているこちらもいつのまにか笑顔になります。グラウンドの上では、勇ましい表情で戦う彼ですが、一旦グラウンドを下りるとそこには優しくチームを支える彼の姿がありました。年上からは可愛がられ、後輩からは慕われる、そんな泉キャプテン。常に周りに気を配り声をかける、彼の人望の厚さには納得させられます。泉キャプテンの力強いハートを武器に前進する、帝京大学ラグビー部の更なる躍進に注目しましょう‼
[ライター・プロフィール]
あいすけ(青木愛)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属
神奈川県平塚市出身。
中学1年から柔道を始める。元全柔連強化指定選手、弍段。
現在、「近代柔道」誌連載エッセイ『一本笑負』ほか、執筆活動を展開中。
また、大学3年からNSC東京に通い現在は芸歴4年目。
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