REPORT
レポート
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大学選手権ファイナルステージ決勝・筑波大学戦
2013/01/15
「前人未到の地で見たものは、支えてくれた方々への『感謝』」
1月13日(日)・国立競技場
○帝京大学 39-22 筑波大学●
《帝京大学》
[FW]①森川⇒竹井 ②泉 ③出渕⇒猿渡 ④小瀧 ⑤マニング ⑥イラウア⇒大和田 ⑦松永(浩) ⑧李⇒坂手
[BK]⑨流⇒天野 ⑩中村 ⑪磯田 ⑫荒井(基) ⑬権⇒朴 ⑭小野(寛)⇒南藤 ⑮竹田
《筑波大学》※先発のみ
[FW]①古賀 ②彦坂(圭) ③大川 ④園中 ⑤鶴谷 ⑥水上 ⑦粕谷 ⑧山本
[BK]⑨内田(啓介) ⑩片桐 ⑪福岡 ⑫中靍 ⑬山下(昂) ⑭彦坂(匡) ⑮内田(啓太)
いよいよ大学選手権4連覇にチャレンジするときがやってきた。対戦相手は対抗戦で唯一の敗戦を喫している筑波大学。敗戦の悔しさを力に換えて、この1ヵ月半での成長を見せることができるか。
対抗戦ではボールに絡まれて奪われ、切り返される形で失点した。この試合では、ブレイクダウンでどれだけボールをキープし続けられるかがポイントとなりそうだ。さらに、筑波大学には一人でトライを取り切れる個人技の持ち主がいる。彼らを組織的なディフェンスと激しいタックルで止め切れるかどうかにも注目だ。
進化し、成長した帝京ラグビーを見せることができれば、結果は自ずとついてくる。
あとは自分を信じ、仲間を信じて、80分間、全力でやり切るだけだ。
【前半】
試合前キックオフ直前のロッカールーム。岩出監督は選手たちの目を瞑らせ自らのiPodを取り出し、メロディを鳴らし始めた。
その曲は、ゆずの『栄光の架橋』。
「いくつもの日々を越えて 辿り着いた今がある だからもう迷わずに進めばいい 栄光の架橋へと…」
自然と気持ちも高まる帝京の選手たち。珍しく涙を見せる選手もいる。さあ、「思い切ってやってこい」。
今季一番の高揚感の中、選手達はロッカーを飛び出していく。あとは「確かに歩んできた道」の成果を出し切るだけだ。
緊張感からか、開始早々は両チームともにノックオンが続く。だがここでFW陣は、今日はスクラムで圧倒できることを確認することになる。
序盤はミスと反則から守りの時間帯に。だが、受けることなく、自分たちから攻めのディフェンスを展開する。そして、この攻めのディフェンスがチャンスを生む。WTB磯田の好タックルでボールがこぼれると、拾った筑波がキック。このボールをWTB小野(寛)が取ると、そこから徹底して継続し続ける。
FL松永(浩)、SO中村、CTB荒井(基)、SH流らが突破を図る。実に20回近くラックを続けて前進。
最後は荒井(基)から磯田へとすばやいパスが渡ってトライを奪う。
FWはしっかりと相手に体を当て、ディフェンスがラック周辺に集まったところでBKが相手の手薄なスペースを突くという、この試合の戦い方を宣言するかのような連続攻撃を見せた。
ただし、これができるのも、接点での2人目の寄りが相手よりも速く、しかも激しく相手を押し戻せることが条件。そうでないと途中でターンオーバーを許してしまう。20回近く連続でボールを継続できたことは、接点での圧力が十分に通用することを意味していた。
FW、BK一体の連続攻撃の手を緩めない帝京。スクラムも安定しているので、連続攻撃の起点もぶれない。
圧巻は19分。攻め込まれて、自陣ゴール前5mでのマイボールスクラム。ここから連続攻撃が始まる。BK展開で荒井(基)が抜け出し、つかまっても再度BKへ。
FW陣もアタックラインに参加して、松永(浩)、FLイラウアらが前進。最後は中村が相手ディフェンスのギャップを見逃さずにトライ!
もちろん、守りでも激しさを前面に出す。No8李、中村らの好タックルからターンオーバー。筑波の個人技の持ち主たちも、流、FB竹田、LO小瀧、イラウア、荒井(基)、小野(寛)らのタックルで防ぐ。
この日は集中力とコミュニケーションも抜群。連続攻撃で相手ディフェンスがいなくなった外に、流がキックパス。
しっかりとコミュニケーションできていた小野(寛)が走り込んでトライ!
終盤、守る展開となるもLOマニング、HO泉のダブルタックルなどで防ぎ、前半を22-10としてハーフタイムを迎えることとなった。
【得点経過】
【8分】帝5-0筑
WTB磯田が好タックル。こぼれ球を筑波がキック。WTB小野(寛)が拾って、連続攻撃を開始。つなぎにつないで、最後はCTB荒井(基)からWTB磯田へすばやくパスが渡ってトライ。
【11分】帝5-3筑
帝京の反則からPGを決められる。
【14分】帝8-3筑
筑波のノットロールアウェイの反則で得たPGをSO中村が決める。
【19分】帝15-3筑
自陣ゴール前5mでのマイボールスクラム。ここからまずはBK展開し、CTB荒井(基)が抜け出してゲイン。さらにBKで攻めたのち、FL松永(浩)が抜け出す。FLイラウア、FB竹田らがライン参加して、CTB権からWTB小野(寛)へ。止められるが、SO中村が相手ディフェンスのギャップを見逃さず、走り込んでトライ。ゴール成功。
【32分】帝22-3筑
帝京ボールのラインアウト。やや乱れるも、SH流が取ってWTB小野(寛)へ。
つかまるが、今度はFWで前進。ゴール正面のラックから出たボールを流が左外へとキックパス。
小野(寛)が走り込んでキャッチしてトライ。ゴール成功。
【34分】帝22-10筑
帝京のパスミスでボールを奪われ、筑波のWTBがキック。自分で拾い、個人技で持っていかれてトライを奪われる。
【後半】
いい形で得点を重ねた前半。後半も大きな修正は必要なく、しっかりとボールを継続していくことを確認する。
後半が始まり、筑波も猛攻を見せるが、帝京のディフェンスはしっかりと前で止める。筑波の展開に対しても、むやみに飛び込んだりせず、組織的に守る。小瀧、荒井(基)らの好タックルも光る。
スクラムからの連続攻撃で攻めるという帝京のプランは、後半もしっかりと結果につながっていく。10分にはハーフウェイライン付近でのマイボールスクラムから、FW、BKで継続。最後は松永(浩)が相手ディフェンスを引き摺りながらトライ。
こうした連続攻撃は、当然のことながら、各選手ともかなりの距離を走ることになる。この走りが遅れた瞬間、ボールキャリアは孤立し、相手ディフェンスの餌食となる。だが、どの接点でもそれをさせまいと、FWもBKも走り続ける。
スクラム最前線で体を張るFW第一列のPR、HO陣も走り続ける。16分には、HO泉がアタックラインに入り、相手ディフェンスを引きつけてのすばやいパスがPR森川へと渡って、森川が走り切ってトライ。FW第一列がまるでBKのような働きをしてのトライだ。PR出渕もこぼれ球へすばやく反応する。
個人技で持っていかれるシーンもあるが、トライ寸前、流のタックルで相手のノックオンを誘うなど、ディフェンスの集中力は途切れない。途中出場のNo8坂手、PR竹井、PR猿渡、WTB南藤らも好タックル。FL大和田は縦への突破でスタンドを沸かせる。
地域で攻め込まれていても継続への意識が高いので、ボールを奪えば、一転チャンスとなる。自陣22mライン付近からの相手ボールのラインアウトを奪うと、BKへと展開。すばやく反応したFB竹田がライン参加して人数を余らせると、丁寧に一人ずつパスを回していく。磯田が突破し、最後はCTB権からのナイス・パスを受けた竹田が、タッチライン際を走り切り、タックルを受けながらもトライ。自陣ゴールエリアから走り続けてのトライだ。
ホーンが鳴っても最後まで追いすがってくる筑波だが、猿渡が好タックル。泉、SH天野、SO朴、PR竹井がラックに入ってターンオーバー。朴はすばやくラックから抜け出し、後方に下がる。天野がラックに巻き込まれてノーハーフ状態だったが、FL松永(浩)が落ち着いてボールアウト。朴がタッチに蹴り出した瞬間、大学選手権4連覇という輝く歴史を新たに書くこととなった。
抱き合う選手たち。赤い旗が振られるスタンド。そこにはまさに一体感があった。
シーズン中、多くの選手たちが「国立で泉キャプテンに優勝インタビューをさせたい」と語っていた。その泉キャプテンのインタビューは、終始、仲間やスタッフ、そして応援してくださった方々への感謝の言葉が綴られていた。
大学選手権4連覇を達成したことでチームも一区切りとなり、学生たちは試験期間へと突入する。だが、このチームでの戦いはまだまだ終わらない。2月2日から始まる日本選手権でも、ファンを魅了する全力プレーを見せてくれることだろう。
【得点経過】
【10分】帝29-10筑
ハーフウェイライン付近で帝京ボールのスクラム。CTB荒井(基)、SO中村が前進。No8坂手、FB竹田、FLイラウアらが継続。中村―荒井(基)と渡り、さらにFL松永(浩)が突破。相手ディフェンスのタックルを受けながらも、振り切ってトライ。ゴール成功。
【16分】帝34-10筑
筑波ボールのラインアウト。こぼれ球をFL松永(浩)が拾ってラックに。SO中村が相手ディフェンスをかわすように横へと走り、FB竹田へパス。竹田が前進し、つかまるが、流がすばやくCTB荒井(基)へパス。荒井からHO泉へパスが渡り、泉はPR森川へすばやくパス。森川がディフェンスを振り切ってトライ。
【30分】帝39-10筑
自陣22mライン付近で筑波ボールのラインアウト。こぼれ球をSH流が拾って、No8坂手へパス。SO中村-CTB荒井(基)-CTB権-FB竹田-WTB磯田と展開し、磯田が前進。つかまるが、流から中村-権-竹田とパスが渡り、竹田が相手ディフェンスのタックルを受けながらも左隅にトライ。
【34分】帝39-15筑
筑波に継続され、ラックサイドに走り込んできたWTBを止められず、トライを奪われる。
【39分】帝39-22筑
筑波の継続を許し、SHにトライを奪われる。
《 AFTER MATCH SAY 》
■岩出雅之監督
「今日はこれまでやってきたことがしっかりと出せて、学生の頑張りがプレーに発揮されたゲームで、監督としても本当にうれしく思います。ここまで来るのに、多くの方々にサポートしていただきましたし、そうした方々の思いを学生たちがしっかりとプレーに換えてよく頑張ったなと、心からうれしく思います。
ゲームに関しては、対抗戦から大学選手権を通してどれだけ伸びているか、チャレンジした部分がしっかり出せたのではないかと思います。特に筑波大学さんには対抗戦の最終戦で敗戦を喫していますので、その敗戦の原因をしっかりと分析して、相手を越えていけるようなトレーニングと、実際にうちのチームがこの短期間でできるのかという部分とを考えて、前向きなチャレンジをしてきました。
準決勝、決勝と学生の成長を感じましたし、チャレンジしたことに意味があったなと実感しています。ここまで来られたのは、敗戦の悔しさを含めて対戦相手の筑波大学さんから学ばせていただき、また対抗戦の各チーム、そして大学選手権で戦わせていただいた中で、学生が得たものがたくさんあったからだと思っています。その各チームに敬意を表するという意味でも、しっかりと戦うことが恩返しになると思っていました。そうした部分も出せたのではないかと思っています。
大学選手権4連覇を達成することができましたが、今思いますと、初優勝までの経験が初優勝へとつながり、その後の一年一年へとつながって、今日のV4になったのだと感じています。今日のチームがもし初優勝を目指すチームだったとして、今日のようなプレーができたかどうかと問えば、必ずしもできていなかっただろうと思います。ですから、今日の経験も次への糧となるように、守るべきところは守りながら、新しいものへと挑戦していきたいと思っています。今後ともご支援、ご声援をお願いいたします。本当にありがとうございました。」
■スクラムだけでなくフィールドプレーでも活躍・PR出渕賢司(4年)
「一年間、この日のためにやってきて勝つことができ、みんなと一緒に笑顔で終えることができて本当に素直にうれしいです。試合前は『やってやろう』という気合いと同時にちょっと緊張もしていたのですが、もう80分しかないので、この80分、思い切ってやろうと思って臨みました。前半はスクラムもフィールドプレーもそこそこ行けていたと思うのですが、後半は少し足が止まってしまい、ペナルティが増えてしまったところはまだまだ自分の甘さを感じてしまいました。この帝京大学ラグビー部ではラグビーだけでなく、人間性の部分だったり、社会に出て生きていく力であったり、そういうことを学べる環境があるので、後輩たちにはそういったことも含めて、いろいろなことを学んで行ってほしいと思います。」
■献身的に体を当て続けた・LOジョシュア・マニング(4年)
「まだ徐々に実感が湧きつつあるという感じですが、この優勝という場所にまた帰ってこられたことをうれしく思います。試合前はものすごく緊張していましたが、チャレンジすることだけを考えて臨みました。その緊張も、キックオフの笛が鳴ったときからはとけて、試合に集中して、やってきたことをしっかり出そうと思えるようになりました。ハーフタイムは、前半のとおりにいままでやってきたことを出し続けよう、後半も我慢し続けようということをお互いに話し合いました。5連覇を目指す後輩たちにとって、一年間という時間は長くて、トレーニングもきつくてつらいときもあるかもしれませんが、優勝というものはそれに値するものなので、監督、コーチをはじめとしたスタッフ、そして仲間たちを信じて一年間頑張ってほしいと思います。」
■アタック、ディフェンスともに体を張り続けた・FL松永浩平(4年)
「これまで支えてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。この一年間、ずっとこの日を目標に頑張ってきたので、勝てたということが本当にうれしいです。この優勝を後輩に残すことができたこともよかったです。試合前は、チームとしてまずコンタクトの部分で勝とう、そしてセットプレーでプレッシャーをかけようという話をしていました。個人的にはタックルとブレイクダウンでがんがん行って、自分らしいプレーができたらいいなと思っていました。前半いい形で得点を重ねることができましたが、その中での甘いプレー、欲が出たプレーがあったので、ハーフタイムにはそういうところに厳しさをもって、0対0の気持ちで臨もうという話をしました。帝京大学ラグビー部には、上級生がグラウンドの中でも外でもお手本となるような文化があると思います。グラウンドの中なら、しんどいときでも上級生が引っ張っていくような、グラウンドの外なら人の嫌がることを率先してやったり、規律の部分で上級生がすべてのお手本となっているところが、部の中でいい循環になっていると思います。来年度は後輩たちが5連覇を目指すことになりますが、それをプレッシャーに感じるのではなく、先の目標を見据えつつも、目の前のことを一つ一つ真摯にやっていくことが大事になると思います。日々、感謝の気持ちを忘れずに生活していってほしいと思います。」
■何度もラインブレイクし、ピンチを救う好タックルも連発・CTB荒井基植(4年)
「本当に言葉が出ないほどうれしいです。自分たちがこの一年間にやってきたことを、80分間という短い時間に全部出し切ろうと思って臨みました。自分だけでなく、いままで一緒にやってきた部員146人とスタッフの方々が協力してくれた分まで、しっかりと出し切ろうと思っていました。前半、いい形で得点を重ねることができたのですが、点差というのはまったく気にならず、一つ一つのプレーに集中することができていました。帝京大学ラグビー部は、みんな一人一人が謙虚で、何事に対しても真摯に取り組む姿勢があり、そこは本当にこの部の誇れるところです。前人未到の4連覇を成し遂げ、一つの歴史を作ることができましたが、この部はこれからもまだまださらにいいクラブになっていけると思いますし、そうなっていってほしいので、後輩たちにはこれからも岩出監督の指導を本当の意味で自分のものにしていけるように頑張ってほしいです。」
■高い集中力でいい時間帯にトライを奪った・WTB小野寛智(4年)
「本当にうれしいという一言です。一人一人が一年間、しっかり努力して来られたことが今日の結果になっていると思います。ここまで支えてくださった多くの方々に感謝したいです。ゲーム前は不安もなく、自分たちのやってきたことをやり切ろうという気持ちで臨めました。ハーフタイムにも確認したことなのですが、我慢強く、少しずつでもいいので前進していこうということで、そのとおりにできた試合だったと思います。キックパスをもらってトライにつなげられたシーンでは、SHの流とうまくコミュニケーションが取れましたし、全体としてもいい集中力を発揮できたと思います。今回、4連覇したことで新たな歴史を作ったのですが、後輩たちには5連覇を意識するのではなく、『日本一』に向かってしっかり努力して、成長していってほしいと思います。」
■ターンオーバーにつながる好タックルを見せた・PR猿渡康雄(4年)
「本当にうれしいです。最高の日です。後半途中からの出場でしたが、4年生でこの決勝の舞台に立てるというのは一生に一度のことなので、すべてを出し切って、やれることは全部やろうと思って臨みました。コミュニケーションの部分でもっとこうしておけばというのもあるにはあったのですが、最後にターンオーバーにつながるいいタックルもできましたし、全体としてもよかったと思います。自分の見せ場だと思っているスクラムを組む機会がなかったのは残念でしたが、それでも優勝につながるプレーができたので、とてもよかったです。すばらしい舞台でそうしたプレーができたのは、仲間がいてくれて、いつも応援やサポートをしてくれたからです。また、監督はじめスタッフの方々のサポート、そしてスタンドで声援をくださるみなさんの声をエネルギーに換えて、そういった方々のためにも恥じないプレーをしていこうという気持ち、感謝の気持ちがあるからこそ、苦しい場面でも頑張れました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。後輩たちは5連覇に向けた新たなチャレンジが始まりますが、まずはチャレンジャーとして、一つ一つを積み重ねていってほしいです。いろいろなプレッシャーもあると思いますが、それに負けず、自分たちのやりたいこと、やるべきことをしっかりやっていってほしいと思います。」
■プレーだけでなく、試合前からチームの士気を高めることに貢献・SH天野寿紀(4年)
「去年の森田(佳寿前キャプテン・現東芝)さんも言っていましたが、『幸せってこういうことを言うんだな』という気持ちです。それはこの仲間、スタッフみんなで勝てたという喜びです。ここまで来られたのは、出ている選手だけでなく、146人の部員、スタッフ、そして応援してくださった方々、支えてくださった方々がいたからこそなので、感謝の気持ちでいっぱいです。この日のために一年間、みんなで苦しいことも痛いこともやってきたので、最後にここですべてを出し切ること、自分が出たらしっかりチームをまとめて、最後にみんなで笑えるように頑張ろうと思っていました。僕たちは本当に『仲間のためにも頑張ろう』という気持ちでプレーしているので、一番しんどくて苦しい場面でも頑張れるのだと思っています。自分は学生コーチとの両立でたいへんだったのではとよく言われました。もちろん、しんどいこともありましたが、学生コーチの他にメンバーともいろいろな話をしてしっかりやってきたつもりですし、最後にここでみんなで笑おうということを目指してやってきたので、しんどかったことなど今は全部吹き飛んでいます。後輩たちは、自分たちのやってきていることを信じて、油断することなく、感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしいです。」
■後半、安定したプレーでチームを引き締めた・WTB南藤辰馬(4年)
「去年の優勝のときから、今日優勝することを目標に一年間やってきたので、それが達成できてとてもうれしいです。今日は決勝戦だからといって特に緊張することもなく、みんなで『自分たちのやってきたことを、自信を持ってやり切ろう』と言っていましたし、自分も準備してきたことに何も不安はなかったので、あとはやってきたことをやるだけだと思っていました。ほどよい緊張感をもって、いい形で臨めたと思います。後半途中からの出場でしたが、リードしている場面でしたので、4年生としてチームを引き締められるようにと思って入りました。毎年、去年のチームを超えようと言ってやってきましたが、後輩たちも、来年以降、さらに進化して、またこの舞台で今日のような大きな喜びをつかめるように頑張ってほしいです。各校が帝京大学をターゲットにしてくると思うのですが、それに負けず、ぶれずに一年間やり切ってほしいと思っています。」
《 PICK UP PLAYERS 》
仲間、スタッフ、ファン、そして対戦相手にも「ありがとう」
キャプテン HO 泉敬(4年生)
IZUMI HIRO
1990年8月24日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
常翔学園高校出身
身長175㎝/体重103㎏
■大学日本一、そして大会4連覇、おめでとございます。いまの気持ちを聞かせてください。
「本当にありがとうございます!ここまで支えてきてくださった多くの方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。146人の仲間たち、スタッフの方々、応援してくださった方々に恩返しができてよかったです。」
■ゲームとしては、どのように進めて行こうと考えていたのでしょうか。
「前半から様子を窺うようなことはせず、自分たちから接点でたたみ掛けることを心掛けていました。全員がそういう意識を持って、相手に体をぶつけて行くことができたと思います。今日はセットプレーも含めて、コンタクトの部分で勝つことができたと思います。」
■相手の筑波大学は対抗戦で敗れた相手でした。その意識も当然強かったと思いますが、そこはどのように考えていましたか。
「対抗戦で筑波大学さんに敗れた日から『この悔しさを絶対に忘れないで、エネルギーに換えていこう』と言い続けてきました。146人の部員、そして監督、スタッフの方々と、帝京大学ラグビー部が一丸となって、日々過ごしてきました。そういった意味でも、この一戦はこれまでやってきたことすべてが出せたゲームだったのではないかと思っています。いろいろなことを学ばせていただいた筑波大学さんには、心から敬意を表したいと思います。」
■今日はスタンドの赤い色、そして赤い旗もとても多かったです。毎年、赤い応援席の面積が大きくなっているように思いますが、スタンドで応援してくださった方々への気持ちを教えてください。
「赤く染まったスタンドを見たり、『帝京頑張れ』の声を聞いたりすると、本当に苦しいところで力を与えてもらえます。同時に、『ああ、帝京大学ラグビー部は、本当に多くの人に愛されているんだな』と実感します。そういう大学に来ることができて、本当に幸せです。」
■では、その応援してくださった方々へのメッセージをお願いします。
「みなさまのおかげで4連覇という偉業を達成することができました。この4連覇、大学日本一という名に恥じないように、これからも帝京大学ラグビー部はしっかりと精進していきますので、今後とも応援よろしくお願いします。」
最後の最後まで、泥臭く、ひたむきにプレーした泉キャプテン。その人柄は誰もが認め、グラウンド外でも彼の人格そのものがキャプテンシーとなってチームを引っ張った。昨年度までAチームでの試合出場の経験が少なく、シーズン当初は自身のキャプテンシーに悩むこともあったというが、岩出監督は「経験の少ないキャプテンだったがために、それを支えようと、周りも一緒に成長してくれた」と評す。キャプテンに依存するのではなく、全員が成長できるチームとなること。それもまた立派なキャプテンシーだ。「今日、みんなで一緒に笑うためにやってきた」と語る泉キャプテンの顔からは終始、笑顔が絶えなかった。
《 NEXT MATCH! 》
『第50回日本選手権大会』(http://www.rugby-japan.jp/ticket/)
1回戦:2月2日(土) 場所・時間・対戦相手未定
日本選手権1回戦の場所、時間、対戦相手は決まり次第、当ホームページでお知らせします。
(文・木村俊太/写真・志賀由佳、川本聖哉)
1月13日(日)・国立競技場
○帝京大学 39-22 筑波大学●
《帝京大学》
[FW]①森川⇒竹井 ②泉 ③出渕⇒猿渡 ④小瀧 ⑤マニング ⑥イラウア⇒大和田 ⑦松永(浩) ⑧李⇒坂手
[BK]⑨流⇒天野 ⑩中村 ⑪磯田 ⑫荒井(基) ⑬権⇒朴 ⑭小野(寛)⇒南藤 ⑮竹田
《筑波大学》※先発のみ
[FW]①古賀 ②彦坂(圭) ③大川 ④園中 ⑤鶴谷 ⑥水上 ⑦粕谷 ⑧山本
[BK]⑨内田(啓介) ⑩片桐 ⑪福岡 ⑫中靍 ⑬山下(昂) ⑭彦坂(匡) ⑮内田(啓太)
いよいよ大学選手権4連覇にチャレンジするときがやってきた。対戦相手は対抗戦で唯一の敗戦を喫している筑波大学。敗戦の悔しさを力に換えて、この1ヵ月半での成長を見せることができるか。
対抗戦ではボールに絡まれて奪われ、切り返される形で失点した。この試合では、ブレイクダウンでどれだけボールをキープし続けられるかがポイントとなりそうだ。さらに、筑波大学には一人でトライを取り切れる個人技の持ち主がいる。彼らを組織的なディフェンスと激しいタックルで止め切れるかどうかにも注目だ。
進化し、成長した帝京ラグビーを見せることができれば、結果は自ずとついてくる。
あとは自分を信じ、仲間を信じて、80分間、全力でやり切るだけだ。
【前半】
試合前キックオフ直前のロッカールーム。岩出監督は選手たちの目を瞑らせ自らのiPodを取り出し、メロディを鳴らし始めた。
その曲は、ゆずの『栄光の架橋』。
「いくつもの日々を越えて 辿り着いた今がある だからもう迷わずに進めばいい 栄光の架橋へと…」
自然と気持ちも高まる帝京の選手たち。珍しく涙を見せる選手もいる。さあ、「思い切ってやってこい」。
今季一番の高揚感の中、選手達はロッカーを飛び出していく。あとは「確かに歩んできた道」の成果を出し切るだけだ。
緊張感からか、開始早々は両チームともにノックオンが続く。だがここでFW陣は、今日はスクラムで圧倒できることを確認することになる。
序盤はミスと反則から守りの時間帯に。だが、受けることなく、自分たちから攻めのディフェンスを展開する。そして、この攻めのディフェンスがチャンスを生む。WTB磯田の好タックルでボールがこぼれると、拾った筑波がキック。このボールをWTB小野(寛)が取ると、そこから徹底して継続し続ける。
FL松永(浩)、SO中村、CTB荒井(基)、SH流らが突破を図る。実に20回近くラックを続けて前進。
最後は荒井(基)から磯田へとすばやいパスが渡ってトライを奪う。
FWはしっかりと相手に体を当て、ディフェンスがラック周辺に集まったところでBKが相手の手薄なスペースを突くという、この試合の戦い方を宣言するかのような連続攻撃を見せた。
ただし、これができるのも、接点での2人目の寄りが相手よりも速く、しかも激しく相手を押し戻せることが条件。そうでないと途中でターンオーバーを許してしまう。20回近く連続でボールを継続できたことは、接点での圧力が十分に通用することを意味していた。
FW、BK一体の連続攻撃の手を緩めない帝京。スクラムも安定しているので、連続攻撃の起点もぶれない。
圧巻は19分。攻め込まれて、自陣ゴール前5mでのマイボールスクラム。ここから連続攻撃が始まる。BK展開で荒井(基)が抜け出し、つかまっても再度BKへ。
FW陣もアタックラインに参加して、松永(浩)、FLイラウアらが前進。最後は中村が相手ディフェンスのギャップを見逃さずにトライ!
もちろん、守りでも激しさを前面に出す。No8李、中村らの好タックルからターンオーバー。筑波の個人技の持ち主たちも、流、FB竹田、LO小瀧、イラウア、荒井(基)、小野(寛)らのタックルで防ぐ。
この日は集中力とコミュニケーションも抜群。連続攻撃で相手ディフェンスがいなくなった外に、流がキックパス。
しっかりとコミュニケーションできていた小野(寛)が走り込んでトライ!
終盤、守る展開となるもLOマニング、HO泉のダブルタックルなどで防ぎ、前半を22-10としてハーフタイムを迎えることとなった。
【得点経過】
【8分】帝5-0筑
WTB磯田が好タックル。こぼれ球を筑波がキック。WTB小野(寛)が拾って、連続攻撃を開始。つなぎにつないで、最後はCTB荒井(基)からWTB磯田へすばやくパスが渡ってトライ。
【11分】帝5-3筑
帝京の反則からPGを決められる。
【14分】帝8-3筑
筑波のノットロールアウェイの反則で得たPGをSO中村が決める。
【19分】帝15-3筑
自陣ゴール前5mでのマイボールスクラム。ここからまずはBK展開し、CTB荒井(基)が抜け出してゲイン。さらにBKで攻めたのち、FL松永(浩)が抜け出す。FLイラウア、FB竹田らがライン参加して、CTB権からWTB小野(寛)へ。止められるが、SO中村が相手ディフェンスのギャップを見逃さず、走り込んでトライ。ゴール成功。
【32分】帝22-3筑
帝京ボールのラインアウト。やや乱れるも、SH流が取ってWTB小野(寛)へ。
つかまるが、今度はFWで前進。ゴール正面のラックから出たボールを流が左外へとキックパス。
小野(寛)が走り込んでキャッチしてトライ。ゴール成功。
【34分】帝22-10筑
帝京のパスミスでボールを奪われ、筑波のWTBがキック。自分で拾い、個人技で持っていかれてトライを奪われる。
【後半】
いい形で得点を重ねた前半。後半も大きな修正は必要なく、しっかりとボールを継続していくことを確認する。
後半が始まり、筑波も猛攻を見せるが、帝京のディフェンスはしっかりと前で止める。筑波の展開に対しても、むやみに飛び込んだりせず、組織的に守る。小瀧、荒井(基)らの好タックルも光る。
スクラムからの連続攻撃で攻めるという帝京のプランは、後半もしっかりと結果につながっていく。10分にはハーフウェイライン付近でのマイボールスクラムから、FW、BKで継続。最後は松永(浩)が相手ディフェンスを引き摺りながらトライ。
こうした連続攻撃は、当然のことながら、各選手ともかなりの距離を走ることになる。この走りが遅れた瞬間、ボールキャリアは孤立し、相手ディフェンスの餌食となる。だが、どの接点でもそれをさせまいと、FWもBKも走り続ける。
スクラム最前線で体を張るFW第一列のPR、HO陣も走り続ける。16分には、HO泉がアタックラインに入り、相手ディフェンスを引きつけてのすばやいパスがPR森川へと渡って、森川が走り切ってトライ。FW第一列がまるでBKのような働きをしてのトライだ。PR出渕もこぼれ球へすばやく反応する。
個人技で持っていかれるシーンもあるが、トライ寸前、流のタックルで相手のノックオンを誘うなど、ディフェンスの集中力は途切れない。途中出場のNo8坂手、PR竹井、PR猿渡、WTB南藤らも好タックル。FL大和田は縦への突破でスタンドを沸かせる。
地域で攻め込まれていても継続への意識が高いので、ボールを奪えば、一転チャンスとなる。自陣22mライン付近からの相手ボールのラインアウトを奪うと、BKへと展開。すばやく反応したFB竹田がライン参加して人数を余らせると、丁寧に一人ずつパスを回していく。磯田が突破し、最後はCTB権からのナイス・パスを受けた竹田が、タッチライン際を走り切り、タックルを受けながらもトライ。自陣ゴールエリアから走り続けてのトライだ。
ホーンが鳴っても最後まで追いすがってくる筑波だが、猿渡が好タックル。泉、SH天野、SO朴、PR竹井がラックに入ってターンオーバー。朴はすばやくラックから抜け出し、後方に下がる。天野がラックに巻き込まれてノーハーフ状態だったが、FL松永(浩)が落ち着いてボールアウト。朴がタッチに蹴り出した瞬間、大学選手権4連覇という輝く歴史を新たに書くこととなった。
抱き合う選手たち。赤い旗が振られるスタンド。そこにはまさに一体感があった。
シーズン中、多くの選手たちが「国立で泉キャプテンに優勝インタビューをさせたい」と語っていた。その泉キャプテンのインタビューは、終始、仲間やスタッフ、そして応援してくださった方々への感謝の言葉が綴られていた。
大学選手権4連覇を達成したことでチームも一区切りとなり、学生たちは試験期間へと突入する。だが、このチームでの戦いはまだまだ終わらない。2月2日から始まる日本選手権でも、ファンを魅了する全力プレーを見せてくれることだろう。
【得点経過】
【10分】帝29-10筑
ハーフウェイライン付近で帝京ボールのスクラム。CTB荒井(基)、SO中村が前進。No8坂手、FB竹田、FLイラウアらが継続。中村―荒井(基)と渡り、さらにFL松永(浩)が突破。相手ディフェンスのタックルを受けながらも、振り切ってトライ。ゴール成功。
【16分】帝34-10筑
筑波ボールのラインアウト。こぼれ球をFL松永(浩)が拾ってラックに。SO中村が相手ディフェンスをかわすように横へと走り、FB竹田へパス。竹田が前進し、つかまるが、流がすばやくCTB荒井(基)へパス。荒井からHO泉へパスが渡り、泉はPR森川へすばやくパス。森川がディフェンスを振り切ってトライ。
【30分】帝39-10筑
自陣22mライン付近で筑波ボールのラインアウト。こぼれ球をSH流が拾って、No8坂手へパス。SO中村-CTB荒井(基)-CTB権-FB竹田-WTB磯田と展開し、磯田が前進。つかまるが、流から中村-権-竹田とパスが渡り、竹田が相手ディフェンスのタックルを受けながらも左隅にトライ。
【34分】帝39-15筑
筑波に継続され、ラックサイドに走り込んできたWTBを止められず、トライを奪われる。
【39分】帝39-22筑
筑波の継続を許し、SHにトライを奪われる。
《 AFTER MATCH SAY 》
■岩出雅之監督
「今日はこれまでやってきたことがしっかりと出せて、学生の頑張りがプレーに発揮されたゲームで、監督としても本当にうれしく思います。ここまで来るのに、多くの方々にサポートしていただきましたし、そうした方々の思いを学生たちがしっかりとプレーに換えてよく頑張ったなと、心からうれしく思います。
ゲームに関しては、対抗戦から大学選手権を通してどれだけ伸びているか、チャレンジした部分がしっかり出せたのではないかと思います。特に筑波大学さんには対抗戦の最終戦で敗戦を喫していますので、その敗戦の原因をしっかりと分析して、相手を越えていけるようなトレーニングと、実際にうちのチームがこの短期間でできるのかという部分とを考えて、前向きなチャレンジをしてきました。
準決勝、決勝と学生の成長を感じましたし、チャレンジしたことに意味があったなと実感しています。ここまで来られたのは、敗戦の悔しさを含めて対戦相手の筑波大学さんから学ばせていただき、また対抗戦の各チーム、そして大学選手権で戦わせていただいた中で、学生が得たものがたくさんあったからだと思っています。その各チームに敬意を表するという意味でも、しっかりと戦うことが恩返しになると思っていました。そうした部分も出せたのではないかと思っています。
大学選手権4連覇を達成することができましたが、今思いますと、初優勝までの経験が初優勝へとつながり、その後の一年一年へとつながって、今日のV4になったのだと感じています。今日のチームがもし初優勝を目指すチームだったとして、今日のようなプレーができたかどうかと問えば、必ずしもできていなかっただろうと思います。ですから、今日の経験も次への糧となるように、守るべきところは守りながら、新しいものへと挑戦していきたいと思っています。今後ともご支援、ご声援をお願いいたします。本当にありがとうございました。」
■スクラムだけでなくフィールドプレーでも活躍・PR出渕賢司(4年)
「一年間、この日のためにやってきて勝つことができ、みんなと一緒に笑顔で終えることができて本当に素直にうれしいです。試合前は『やってやろう』という気合いと同時にちょっと緊張もしていたのですが、もう80分しかないので、この80分、思い切ってやろうと思って臨みました。前半はスクラムもフィールドプレーもそこそこ行けていたと思うのですが、後半は少し足が止まってしまい、ペナルティが増えてしまったところはまだまだ自分の甘さを感じてしまいました。この帝京大学ラグビー部ではラグビーだけでなく、人間性の部分だったり、社会に出て生きていく力であったり、そういうことを学べる環境があるので、後輩たちにはそういったことも含めて、いろいろなことを学んで行ってほしいと思います。」
■献身的に体を当て続けた・LOジョシュア・マニング(4年)
「まだ徐々に実感が湧きつつあるという感じですが、この優勝という場所にまた帰ってこられたことをうれしく思います。試合前はものすごく緊張していましたが、チャレンジすることだけを考えて臨みました。その緊張も、キックオフの笛が鳴ったときからはとけて、試合に集中して、やってきたことをしっかり出そうと思えるようになりました。ハーフタイムは、前半のとおりにいままでやってきたことを出し続けよう、後半も我慢し続けようということをお互いに話し合いました。5連覇を目指す後輩たちにとって、一年間という時間は長くて、トレーニングもきつくてつらいときもあるかもしれませんが、優勝というものはそれに値するものなので、監督、コーチをはじめとしたスタッフ、そして仲間たちを信じて一年間頑張ってほしいと思います。」
■アタック、ディフェンスともに体を張り続けた・FL松永浩平(4年)
「これまで支えてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。この一年間、ずっとこの日を目標に頑張ってきたので、勝てたということが本当にうれしいです。この優勝を後輩に残すことができたこともよかったです。試合前は、チームとしてまずコンタクトの部分で勝とう、そしてセットプレーでプレッシャーをかけようという話をしていました。個人的にはタックルとブレイクダウンでがんがん行って、自分らしいプレーができたらいいなと思っていました。前半いい形で得点を重ねることができましたが、その中での甘いプレー、欲が出たプレーがあったので、ハーフタイムにはそういうところに厳しさをもって、0対0の気持ちで臨もうという話をしました。帝京大学ラグビー部には、上級生がグラウンドの中でも外でもお手本となるような文化があると思います。グラウンドの中なら、しんどいときでも上級生が引っ張っていくような、グラウンドの外なら人の嫌がることを率先してやったり、規律の部分で上級生がすべてのお手本となっているところが、部の中でいい循環になっていると思います。来年度は後輩たちが5連覇を目指すことになりますが、それをプレッシャーに感じるのではなく、先の目標を見据えつつも、目の前のことを一つ一つ真摯にやっていくことが大事になると思います。日々、感謝の気持ちを忘れずに生活していってほしいと思います。」
■何度もラインブレイクし、ピンチを救う好タックルも連発・CTB荒井基植(4年)
「本当に言葉が出ないほどうれしいです。自分たちがこの一年間にやってきたことを、80分間という短い時間に全部出し切ろうと思って臨みました。自分だけでなく、いままで一緒にやってきた部員146人とスタッフの方々が協力してくれた分まで、しっかりと出し切ろうと思っていました。前半、いい形で得点を重ねることができたのですが、点差というのはまったく気にならず、一つ一つのプレーに集中することができていました。帝京大学ラグビー部は、みんな一人一人が謙虚で、何事に対しても真摯に取り組む姿勢があり、そこは本当にこの部の誇れるところです。前人未到の4連覇を成し遂げ、一つの歴史を作ることができましたが、この部はこれからもまだまださらにいいクラブになっていけると思いますし、そうなっていってほしいので、後輩たちにはこれからも岩出監督の指導を本当の意味で自分のものにしていけるように頑張ってほしいです。」
■高い集中力でいい時間帯にトライを奪った・WTB小野寛智(4年)
「本当にうれしいという一言です。一人一人が一年間、しっかり努力して来られたことが今日の結果になっていると思います。ここまで支えてくださった多くの方々に感謝したいです。ゲーム前は不安もなく、自分たちのやってきたことをやり切ろうという気持ちで臨めました。ハーフタイムにも確認したことなのですが、我慢強く、少しずつでもいいので前進していこうということで、そのとおりにできた試合だったと思います。キックパスをもらってトライにつなげられたシーンでは、SHの流とうまくコミュニケーションが取れましたし、全体としてもいい集中力を発揮できたと思います。今回、4連覇したことで新たな歴史を作ったのですが、後輩たちには5連覇を意識するのではなく、『日本一』に向かってしっかり努力して、成長していってほしいと思います。」
■ターンオーバーにつながる好タックルを見せた・PR猿渡康雄(4年)
「本当にうれしいです。最高の日です。後半途中からの出場でしたが、4年生でこの決勝の舞台に立てるというのは一生に一度のことなので、すべてを出し切って、やれることは全部やろうと思って臨みました。コミュニケーションの部分でもっとこうしておけばというのもあるにはあったのですが、最後にターンオーバーにつながるいいタックルもできましたし、全体としてもよかったと思います。自分の見せ場だと思っているスクラムを組む機会がなかったのは残念でしたが、それでも優勝につながるプレーができたので、とてもよかったです。すばらしい舞台でそうしたプレーができたのは、仲間がいてくれて、いつも応援やサポートをしてくれたからです。また、監督はじめスタッフの方々のサポート、そしてスタンドで声援をくださるみなさんの声をエネルギーに換えて、そういった方々のためにも恥じないプレーをしていこうという気持ち、感謝の気持ちがあるからこそ、苦しい場面でも頑張れました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。後輩たちは5連覇に向けた新たなチャレンジが始まりますが、まずはチャレンジャーとして、一つ一つを積み重ねていってほしいです。いろいろなプレッシャーもあると思いますが、それに負けず、自分たちのやりたいこと、やるべきことをしっかりやっていってほしいと思います。」
■プレーだけでなく、試合前からチームの士気を高めることに貢献・SH天野寿紀(4年)
「去年の森田(佳寿前キャプテン・現東芝)さんも言っていましたが、『幸せってこういうことを言うんだな』という気持ちです。それはこの仲間、スタッフみんなで勝てたという喜びです。ここまで来られたのは、出ている選手だけでなく、146人の部員、スタッフ、そして応援してくださった方々、支えてくださった方々がいたからこそなので、感謝の気持ちでいっぱいです。この日のために一年間、みんなで苦しいことも痛いこともやってきたので、最後にここですべてを出し切ること、自分が出たらしっかりチームをまとめて、最後にみんなで笑えるように頑張ろうと思っていました。僕たちは本当に『仲間のためにも頑張ろう』という気持ちでプレーしているので、一番しんどくて苦しい場面でも頑張れるのだと思っています。自分は学生コーチとの両立でたいへんだったのではとよく言われました。もちろん、しんどいこともありましたが、学生コーチの他にメンバーともいろいろな話をしてしっかりやってきたつもりですし、最後にここでみんなで笑おうということを目指してやってきたので、しんどかったことなど今は全部吹き飛んでいます。後輩たちは、自分たちのやってきていることを信じて、油断することなく、感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしいです。」
■後半、安定したプレーでチームを引き締めた・WTB南藤辰馬(4年)
「去年の優勝のときから、今日優勝することを目標に一年間やってきたので、それが達成できてとてもうれしいです。今日は決勝戦だからといって特に緊張することもなく、みんなで『自分たちのやってきたことを、自信を持ってやり切ろう』と言っていましたし、自分も準備してきたことに何も不安はなかったので、あとはやってきたことをやるだけだと思っていました。ほどよい緊張感をもって、いい形で臨めたと思います。後半途中からの出場でしたが、リードしている場面でしたので、4年生としてチームを引き締められるようにと思って入りました。毎年、去年のチームを超えようと言ってやってきましたが、後輩たちも、来年以降、さらに進化して、またこの舞台で今日のような大きな喜びをつかめるように頑張ってほしいです。各校が帝京大学をターゲットにしてくると思うのですが、それに負けず、ぶれずに一年間やり切ってほしいと思っています。」
《 PICK UP PLAYERS 》
仲間、スタッフ、ファン、そして対戦相手にも「ありがとう」
キャプテン HO 泉敬(4年生)
IZUMI HIRO
1990年8月24日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
常翔学園高校出身
身長175㎝/体重103㎏
■大学日本一、そして大会4連覇、おめでとございます。いまの気持ちを聞かせてください。
「本当にありがとうございます!ここまで支えてきてくださった多くの方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。146人の仲間たち、スタッフの方々、応援してくださった方々に恩返しができてよかったです。」
■ゲームとしては、どのように進めて行こうと考えていたのでしょうか。
「前半から様子を窺うようなことはせず、自分たちから接点でたたみ掛けることを心掛けていました。全員がそういう意識を持って、相手に体をぶつけて行くことができたと思います。今日はセットプレーも含めて、コンタクトの部分で勝つことができたと思います。」
■相手の筑波大学は対抗戦で敗れた相手でした。その意識も当然強かったと思いますが、そこはどのように考えていましたか。
「対抗戦で筑波大学さんに敗れた日から『この悔しさを絶対に忘れないで、エネルギーに換えていこう』と言い続けてきました。146人の部員、そして監督、スタッフの方々と、帝京大学ラグビー部が一丸となって、日々過ごしてきました。そういった意味でも、この一戦はこれまでやってきたことすべてが出せたゲームだったのではないかと思っています。いろいろなことを学ばせていただいた筑波大学さんには、心から敬意を表したいと思います。」
■今日はスタンドの赤い色、そして赤い旗もとても多かったです。毎年、赤い応援席の面積が大きくなっているように思いますが、スタンドで応援してくださった方々への気持ちを教えてください。
「赤く染まったスタンドを見たり、『帝京頑張れ』の声を聞いたりすると、本当に苦しいところで力を与えてもらえます。同時に、『ああ、帝京大学ラグビー部は、本当に多くの人に愛されているんだな』と実感します。そういう大学に来ることができて、本当に幸せです。」
■では、その応援してくださった方々へのメッセージをお願いします。
「みなさまのおかげで4連覇という偉業を達成することができました。この4連覇、大学日本一という名に恥じないように、これからも帝京大学ラグビー部はしっかりと精進していきますので、今後とも応援よろしくお願いします。」
最後の最後まで、泥臭く、ひたむきにプレーした泉キャプテン。その人柄は誰もが認め、グラウンド外でも彼の人格そのものがキャプテンシーとなってチームを引っ張った。昨年度までAチームでの試合出場の経験が少なく、シーズン当初は自身のキャプテンシーに悩むこともあったというが、岩出監督は「経験の少ないキャプテンだったがために、それを支えようと、周りも一緒に成長してくれた」と評す。キャプテンに依存するのではなく、全員が成長できるチームとなること。それもまた立派なキャプテンシーだ。「今日、みんなで一緒に笑うためにやってきた」と語る泉キャプテンの顔からは終始、笑顔が絶えなかった。
《 NEXT MATCH! 》
『第50回日本選手権大会』(http://www.rugby-japan.jp/ticket/)
1回戦:2月2日(土) 場所・時間・対戦相手未定
日本選手権1回戦の場所、時間、対戦相手は決まり次第、当ホームページでお知らせします。
(文・木村俊太/写真・志賀由佳、川本聖哉)
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