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練習試合 早稲田大学戦

練習試合 早稲田大学戦

2013/07/01

「練習試合 対早稲田大学戦」
 
6月30日(日)・ニッパツ三ツ沢球技場
○帝京大学 22-17 早稲田大学●

《帝京大学》
[FW]
(1)森川(2)坂手(3)深村⇒浅堀⇒竹井(4)小瀧⇒今村(5)町野(6)イラウア⇒大和田(7)杉永(8)李
[BK]
(9)流(10)中村(11)田中⇒松田(12)牧田⇒金田(13)権(14)前原(15)森谷
 
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)大瀧(2)須藤(3)垣永(4)近藤(5)河野(6)金(7)池本(8)佐藤
[BK]
(9)岡田(10)小倉(11)深津(12)坪郷(13)藤近(14)荻野(15)廣野

【前半】【得点経過】
【4分】帝0-5早
相手ボールのラインアウト。モールから展開され、ディフェンスの裏にキックを蹴られる。そのボールを押さえられて、トライを奪われる。
 
【30分】帝7-5早
ペナルティからSH流がクイック・リスタートで展開。FB森谷へと渡り、森谷が相手ディフェンスをかわしてトライ。ゴール成功。
 
【41分】帝14-5早
連続攻撃で前進。ゴール前のラックからSH流-SO中村-CTB牧田-CTB権-WTB前原と渡り、前原がトライ。ゴール成功。
 

 【後半】【得点経過】
【9分】帝19-5早
マイボール・ラインアウトが乱れてボールを失うも、ラックでターンオーバー。SH流が持ち出してそのままトライ。
 
【25分】帝19-12早
帝京のペナルティからクイック・リスタートで展開され、トライを奪われる。
 
【33分】帝19-17早
相手ボールのラインアウトからモールに。相手SHに抜け出され、トライを奪われる。
 
【43分】帝22-17早
CTBに回っていた中村がPGを決める。
 

《  BRIEF REVIEW  》

春の締めくくりの試合は、大勢の観客が見守る中キックオフ。帝京は開始早々に失点するも、その後は押し込む展開。相手も必死のディフェンスで耐えるが、30分にはFB森谷が仕掛けてトライ。さらに、この日はPR森川、HO坂手、LO小瀧、FLイラウア、FL杉永らFW陣が奮闘。激しく体を当てて前に出る。ディフェンスでも一人一人がしっかりとタックルに行き、相手の前進を阻む。得点面では、終盤追い上げられるが、帝京はこの時期ならではのテスト施策を存分に実施したなかで、試合の方もきっちり勝利した。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「お互いに粘り強く、気合いの入った、とても気持ちのいい試合だったと思います。お客様もみな満足されたのではないかと思います。この時期に、こうした熱いゲームができたことに対して、早稲田大学さんに感謝申し上げたいと思います。
今日は、春にやってきたこと、特に集中力とか激しさとか粘り強さといったメンタルの部分を中心に、一つ一つの精度につながっていくようなベースとなるハートの部分をしっかり出し切ることをテーマにして臨みました。いいところもたくさんありましたが、ゲームのなかで甘さにつながった部分もありました。それでも、クロスゲームを勝ち切れたというところは評価したいと思います。
早稲田大学さんとは夏合宿でも対戦しますし、もちろん、対抗戦でも対戦します。また、組み合わせにもよりますが、大学選手権でも対戦することになるだろうと思っています。それぞれの試合で、今日のゲームよりもさらに成長した姿を、そして今日以上の好ゲームを多くのファンの皆様にお見せできるよう、努力していきますので、引き続きご声援のほど、よろしくお願いいたします。」

 
■キャプテン・SO中村亮土(4年)
「今日は、お互い厳しいプレーをし合って、とても引き締まったゲームになりました。どちらも、接点のところで前に出ようというところを出し合えたと思います。こういう厳しいゲームを春シーズンの最後にできたことは、大きな収穫だったと思います。やはり、帝京は常にチャレンジャーとして、これからも挑戦心を忘れずにやっていかなければいけないと思いました。試合前、選手間では『2人目の寄りの速さの部分をしっかり意識していこう』と言っていました。ディフェンスでもアタックでも、1人目はもちろんのこと、2人目が速くサポートして、そこで圧力をかけていこうということでした。できた部分もありましたが、自分も含めて、まだチームがボールの動かし方のところでフィットしていない部分もありました。ただ、ここは今後しっかり取り組んでいくことで、問題なく改善できると思っています。今後、厳しいゲームで勝負を分けるのは、基本的な部分がきちんとできるかどうかだと思うので、タックル、パスキャッチといったことをもっと正確にできるように練習を積み重ねていきたいと思います。」
 
■攻守にわたり、激しく体を当て続けた・FL杉永亮太(3年)
「クロスゲームを勝てたことはうれしいですが、接点の部分でまだまだ課題が残る試合になりました。前半、少し受けてしまった時間帯がありました。今日は、タックルとジャッカル(タックル後にすぐに立ち上がってボールを奪うプレー)にフォーカスして臨みましたが、リアクションを意識して、自分では70~80点ぐらいはできたかなと思っています。ここからしばらくオフになりますが、リフレッシュと同時に、自分自身の課題の克服にも取り組んでいきたいと思います。」
 
■終始、落ち着いたプレーで勝利に貢献・FB森谷圭介(2年)
早稲田大学さんとは、去年も3回対戦させていただいていて、その気合いがすごいのはわかっていましたが、やや受けに回ってしまったと思います。個人としてはコンタクトの激しさ、1対1で負けないようにと思って臨みました。最初は少し緊張していたのですが、途中からは自分のプレーができたかなと思います。トライのシーンはFWがうまく相手の人数を減らしてくれて、そのあとたまたま自分のところにボールが来ただけなので、全員で取ったトライだと思っています。今日のように、FWが相手をくずしてくれたところでしっかりと取り切れるBKを目指しています。春シーズンはSOとFBをやったのですが、どちらのポジションでも、去年にはなかった気持ちの余裕のようなものを自分の中で感じられるようになってきました。練習に対しても、去年よりも厳しく取り組んでいるつもりですが、まだまだ甘いところもあるので、さらに進化して、将来はチームの核となれるようにもっともっと努力していきたいです。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
デビュー戦ながら大器の片鱗を見せる
WTB 松田力也(1年)
MATSUDA RIKIYA
伏見工業高校出身
 
■まずは今日のゲームを振り返って感想を聞かせてください。
「自分のデビュー戦でしたので、すごく緊張しました。また、WTBというポジションはこれまであまり経験したことがなかったので、動きの部分でもまだわかっていないことがありましたし、タックルをはずされた場面もあったりと、課題の見えたゲームになりました。」
 
■リザーブでしたが、試合開始数分で入ることになりました。心の準備などはできていましたか。
「はい。監督からは試合前に『いつ入ることになるかわからないので、しっかり準備しておくように』と言われていました。心の準備はできていたので、すんなり入ることができました。」
 
■自身の強みはどこでしょうか。
「まずは判断力の部分でしょうか。あとはキックやパスのスキル、また、ランでゲインして、味方を生かすプレーをするといったところが強みだと思っています。」
 
■U-20日本代表での経験は自身の成長にどう影響していると思いますか。
「海外の大きな相手と対戦できたことで、接点の部分での自信になったと思います。」
 
■帝京大学ラグビー部の印象を聞かせてください。
「先輩方がとても優しく、温かいです。何でも丁寧に教えてくださいます。上級生の先輩方がしっかりチームを引っ張っているというのが、強さの秘密の一つなのだと感じています。」
 
■今日はWTBでの出場でしたが、どう感じましたか。
「経験が長い分、FBのほうが今はしっくりきますが、いろいろなポジションを経験することで自分の幅も広がると思います。なので、やれるポジションにはどんどんチャレンジしていきたいです。もちろん、FBとしても成長していきたいので、竹田宜純さんというすばらしいプレーヤーを見習って、今年一年で竹田さんのいいところをしっかり吸収して、それを自分のものにすることで成長につなげていきたいです。竹田さんを越えるつもりで、自分の可能性にチャレンジしていきたいです。」
 
■今後への抱負をお願いします。
「今日、試合に出て、自分の足りない部分が明確になりました。具体的には、1対1のディフェンス、もっと体を大きくすること、WTBとしての動きといった部分です。こうした課題を克服するためにやるべきことはたくさんあるので、それらをしっかりやって、対抗戦でチームの戦力になれるように努力していきたいです。」
 
昨年度の花園を沸かせた松田が、デビュー戦から落ち着いたプレーを見せた。慣れないWTBというポジションもしっかりとこなし、その器用さも見せてくれた。いきなりの破壊力全開とまではいかなかったかもしれないが、その大器の片鱗は十分に示した。自身も課題を口にするように、まだまだ成長途上。その成長ぶりを長い目で見守りたい。

《  COLUMN  》
 
―目標を再確認し、モチベーションにつなげるための好ゲーム―
 
ニッパツ三ツ沢球技場へと向かう道すがら、早稲田大学のOBと思しき年輩の方々の会話が聞こえてきました。
 
「昨日はDチームは引き分け、BとCは早稲田が勝ったよ。」
 
「でも、帝京はメンバーを前後半でほとんど入れ替えてるから、Bの後半はC、CはD・Eチーム、Dは実質の6、7軍だよ」
 
「そうなんだ。でも今日のAチームは、なんとか下のチームの想いをつないでほしいね」
 
試合の方は、さすがの伝統校・早稲田、手に汗握る接戦となりました。
 
帝京は「大学日本一、打倒トップリーグ」という目標を掲げて、春から頑張ってきました。今日の試合は、この目標が本当にリアルな目標として機能するか、それとも「打倒トップリーグは単なるスローガンで、やはり目標は大学日本一だけ」となるかの大事な分かれ道になるのではないかと思って見守りました。
 
もし、目標が「大学日本一だけ」だったら、今日のゲームはこんな評価になるでしょう。
 
「危なかったが、なんとか勝ち切ることができた。春シーズン、大学相手には全勝だ。このまましっかり練習していけば、きっと大学日本一になれるだろう。」
 
こう評価すれば、現状の延長線上に目標達成が見えてきます。
 
ですが、「打倒トップリーグ」という目標がリアルに機能していたとしたら、どうでしょうか。
 
ある選手は試合後にこう言いました。
 
「もちろん相手をリスペクトしています。早稲田大学の厳しさをしっかりと越えきる力を油断することなくつけることは大切です。その上で、『打倒トップリーグ』という大きな目標もぶれてはいけない。目標を掲げているのに、大学生相手にこんな試合をしていてはいけないと思いました。」
 
その眼を見ると、間違いなく本音とわかりました。
 
一方で岩出監督は試合後、こうコメントされました。
 
「春はずっとビッグスコアで勝ってきたからか、ロッカールームから出てくる時の雰囲気に緊張感が少ないのを感じました。その心理にスイッチを入れてくれる最高の試合になったはずです」。さらに「早稲田さんはおそらくかなり研究されているでしょう。ただ、それはわかった上で、敢えてそこにアタックをしかけました。春から積み重ねたものがどれだけ出せるかなと思っていましたので」と話されていました。この時期は戦術上の駆け引きより、個々の強さをどれだけ発揮できるかに着目していたようです。
 
この日の試合は、帝京が目指す「打倒トップリーグ」という真の目標の意義をも再確認させてくれました。そして、帝京の選手たちは、これをしっかりと今後のモチベーションに変えていきます。
 

《  NEXT MATCH  》
 
このゲームで、春シーズンの日程はすべて終了しました。今後のスケジュールについては、このホームページで随時更新していきますので、ご確認ください。

(文/木村俊太、写真/川本聖哉)

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