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練習試合 早稲田大学戦

練習試合 早稲田大学戦

2013/08/28

「練習試合 対早稲田大学戦」
 
8月25日(日)・サニアパーク・メイン(菅平)
○帝京大学 39-24 早稲田大学●

《帝京大学》
[FW]
(1)森川(2)坂手(3)東恩納⇒深村(4)小瀧(5)町野⇒飯野(6)イラウア⇒大和田(7)杉永(8)李
[BK]
(9)流(10)中村(11)磯田(12)野田⇒牧田(13)権(14)松田⇒森谷(15)竹田
 
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)大瀧(2)清水(3)垣永(4)黒木(5)桑野(6)金(7)布巻(8)佐藤
[BK]
(9)岡田(10)小倉(11)深津(12)坪郷(13)藤近(14)荻野(15)滝沢

【前半】【得点経過】
【2分】帝0-7早
展開される中、帝京ディフェンスが足を滑らせトライを奪われる。
 
【15分】帝5-7早
スクラムからFWで攻め、最後はHO坂手がトライ。
 
【19分】帝5-15早
スクラムから展開され、前に出られてトライを奪われる。
 
【23分】帝12-14早
スクラムからNo8李が前進。相手ディフェンスを弾き飛ばして、そのままトライ。 ゴール成功。
 
【31分】帝19-14早
スクラムからFWで前へ。PR森川が抜け出して、そのままトライ。ゴール成功
 

 【後半】【得点経過】
【1分】帝19-19早
相手二人にパスを交互に回され、抜かれて、トライを奪われる。
 
【8分】帝24-19早
ラインアウトからFW、BKで前進。FB竹田が前に出て、そのままトライ。
 
【11分】帝24-24早
ラインアウトからモールを作られ、サイドを抜かれて、トライを奪われる。
 
【20分】帝31-24早
ラインアウトからFWで前進。LO町野が飛び込んでトライ。ゴール成功。
 
【24分】帝36-24早
ゴール前でのラインアウトからのこぼれ球にLO飯野がすばやく反応。インゴールで押さえてトライ。
 
【39分】帝39-24早
SO中村がPGを決める。
 

《  BRIEF REVIEW  》

Aチームの夏合宿最後の試合は、対抗戦のライバル早稲田大学戦。春にも5点差の好ゲームを展開したが、この試合も両チームの選手たちの気持ちと気持ちが真っ向からぶつかり合って、多くのファンが駆けつけた菅平の地を沸かせた。
この日の帝京は、まずFWで攻め、ディフェンスの穴を見つけたらBKへと展開する形を軸に、多彩な攻撃を見せる。特にFW陣はPR森川、HO坂手らの力強い前進、LO小瀧らの献身的なタックルなどで夏合宿の充実ぶりを示した。前半は先制されるも、追いかけ、最後は逆転。
ハーフタイムで岩出監督から「うまくいかないのは成長するチャンス。楽なゲームをしても楽しくない。この厳しい状況を楽しもう」とのアドバイスで、選手たちにも笑顔が戻る。
後半は、追いつかれても、しっかりと突き放す展開で、最後にLO町野や替わって入ったLO飯野らが すばらしい動きを見せて加点。夏合宿をいい形で締めくくることができた。
なお、続いて行われたBチームの試合も白熱。1点リードされた後半39分。キックオフのボールをLO飯野がナイスキャッチ。しっかりとボールをつなぎ、SO山崎が逆転のトライ。17-13で勝利した。

      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「まずは、春に続いて、最後まで厳しいゲームをしてくださった早稲田大学さんに感謝を申し上げたいと思います。また、遠方まではるばる足を運んでくださった、たくさんのファンの方々にお礼申し上げます。
早稲田大学さんはとても粘り強く、最後まで諦めることがありませんでした。おそらく、今日の試合をご覧になったファンの皆さまも同じように感じておられるかと思いますが、やっている私たちも、結果うんぬんではなく、ゲームそのものを楽しむことができました。
この夏合宿では、春にあまりやれなかったアタック面にフォーカスして練習を積んできました。この試合で出せた部分も、そうでなかった部分もありましたが、これは厳しいゲームを経験することからしかわからないので、そういう意味でも今日のゲームは大変有意義だったと思います。
今後は夏合宿で身につけたスキルの精度をよりいっそう高めていくとともに、合宿ではあまり取り組まなかったディフェンス面にも力を入れて練習していきます。
まもなくシーズンを迎えますが、学生たちは大学選手権優勝、そして打倒トップリーグ4強という目標に向かって、さらに頑張っていきますので、どうか今後とも温かく見守っていただけたらと思います。」

 
■キャプテン・SO中村亮土(4年)
「今日はやろうとしていたことは明確で、この合宿でやってきたことをしっかり出そうと言って試合に臨みました。できたところもありましたが、ちょっとしたハンドリングミスやペナルティが試合の流れを途切れさせてしまう場面があったので、そこの精度を上げていかないといけないと思いました。また、早稲田大学さんはとても気持ちが入っていたので、こちらは受けに回らないようにしようと思っていました。春のゲームに比べればよかったと思いますが、さらにレベルアップできるように、これからまたしっかり練習して、積み上げていきたいです。今後もやるべきことを明確にしてやっていきますが、まずは今日のゲームで勝利できたことを自信にして、シーズンでいいスタートが切れるように、時間を大切にしながら練習に励みたいと思います。」
 
献身的に体を張り続け、勝利に貢献した・PR森川由起乙(3年)
「今日は、どんなに苦しいゲームになってもリーダーシップを取っていこうと思って臨みました。ただ、試合後、岩出監督からも『これからだぞ』という言葉をいただいたように、まだ自分のことで精一杯で、周りにいい影響を与えることができていなかったので、もっとリーダーシップを発揮できるように頑張りたいです。自分のプレーとともに、周りを引っ張っていけるようになりたいと、今日のゲームで特に感じました。この夏合宿で厳しいゲームができたことは、チームとしても、自分としてもいい経験になったと思います。自分たちの足りないところもわかりましたし、いいところも見えたので、足りないところを修正して、いいところを伸ばしていきたいと思います。」
 
■カウンターアタックを何度も見せ、チャンスを作った・FB竹田宜純(4年)
「クロスゲームで厳しい場面もたくさんあったのですが、自分としては楽しくプレーさせてもらえました。ただ、自分も含めて、全体に軽いプレーでのミスが多かったことと、タックルミスがあったのが少し残念です。クロスゲームになってしまった原因も、このあたりにあったと思います。ゲーム自体はとてもいい緊張感の中でやらせてもらい、いいプレーも出て、自分自身、乗っていけたと思います。自分たちの目標は大学選手権優勝と打倒トップリーグ・ベスト4なので、これからもそこへ向けて、一歩一歩、積み上げていきたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
夏を経て、よりいっそうパワーアップした
LO 小瀧尚弘(3年)
KOTAKI NAOHIRO
1992年6月13日生まれ
経済学部経済学科
鹿児島実業高校出身
身長194㎝/体重112㎏
 
■今日のゲームの感想を聞かせてください。
「苦しいゲームで、最初のうちは楽しめなかったのですが、後半は苦しい局面も楽しむことを意識してやれたことが勝利につながったように思います。」
 
■いいプレーが何度も見られました。
「練習してきたことが出せて、いいプレーにつながったシーンがあったのはよかったと思います。」
 
■夏合宿全体を振り返って、その充実度はどうですか。
「体にも気を使って、スキルのみならず、体のコンディションに関しても充実した夏合宿になったと思います。」
 
■春はケガがあって、あまり試合には出られませんでしたが、もうその影響はなさそうですね。
「そうですね。ケガをしていても、体づくり(ビルドアップされ現在112kg)はしっかりとやっていましたので、フィジカル面ではむしろアップしていると思います。気持ちの面でも、1年生が自分のポジションで頑張っているのを見て『負けられない』と思っていました。自分はまだまだ成長できると思っているので、もっともっと練習して、いいプレーをしたいです。」
 
■シーズンへ向けての抱負をお願いします。
「まずは試合に出続け、さらにプレーの波がなく、安定したいいプレーができるように頑張ります。」
 
春シーズンはケガで出場機会が少なかったが、その間は体づくりに専念。体重も増え、パワーも大幅にアップした。その自信が、インタビューの口調からも伝わってくる。このゲームでも、好タックルや好アタック、接点での献身的なプレーなどで活躍。もちろん、大きな身長はラインアウトでも核となった。大舞台での経験値も十分。シーズンでもこのパワーを炸裂させて、勝利に貢献してくれるに違いない。

《  COLUMN  》
 
―夏合宿は終わらない―
 
帝京の今年の夏合宿は、主にアタック面にフォーカスして練習に励んだと言います。 春シーズン、あまりアタック面の練習ができなかったので、ここでしっかりとやって おこうということです。
 
いうまでもなくディフェンス面を疎かにしているわけではなく、限られた時間をいかに有効に使うかを考え、「選択と集中」でアタック面を集中的に強化したというわけです。
 
さて、選手たちの声を聞く限り、とても充実した夏合宿を送れたようです。
 
SO中村キャプテンはこう言います。
 
「本当に無駄な時間というものがまったくないスケジュールで、とても充実した生活が送れました。一日一日、練習の質も高めていこうと言って練習に臨んでいましたし、スキルだけでなく、精神的にもレベルを高めることができたと思います。チームとしても、僕があえて何か特別なことをする必要がないほど、いい雰囲気でまとまっていたと思います。」
 
FB竹田はこう言います。
 
「いい意味でゆったりしていて、すごく充実した合宿になりました。チームの雰囲気もさらによくなったと思います。」
 
「ゆったりして」いるのに「無駄な時間がまったくない」という、一見、相反するように見える要素が同居していたところが、かえってその充実ぶりを際立たせているように思えます。
 
「無駄な時間がない」ようにしようとすれば、ともすると、まったくゆとりのないスケジュールになってしまいがちです。そうなると、いわゆる「詰め込み式」になり、本当の意味で定着しないで終わってしまうことになりかねません。
 
しかし、「ゆったりしている」中での効果的なスケジューリングができているので、一人一人に「定着させるための時間」があり、練習の効果がよりいっそう高まっているわけです。
 
この夏合宿の充実ぶりに監督、スタッフも手応えを感じていることだろうと思いましたが、岩出監督はさすがに見ている先が少し違いました。
 
「夏合宿が実り多いものになるかどうかは、これからの努力次第で決まります。ここで身につけられたことは多いですが、それでも限られた時間でできることには限界があります。これをさらに本当の意味で実りあるものにするには、身につけたものの精度を高めたり、効果的に組み合わせたりといった今後の積み上げが大事です。その積み上げは、合宿から帰ったあと、これからの練習でやっていくことになります。だから、夏合宿が実り多いものになるかどうかは、これから次第なのです。」
 
そう、夏合宿は夏合宿で完結するわけではないのです。夏合宿で得たものを、今後の練習でいかにブラッシュアップしていけるか。あるいは、新しく身につけたことと、どのようにうまく組み合わせていけるか。それらはすべて、今後の練習にかかっています。
 
夏合宿は終わりますが、ここで身につけたことは、むしろこれから高めていって、自分たちのものにし、定着させていくことになります。その意味では、夏合宿の内容はまだまだこれからも続いていくことになるのです。
 

《  NEXT MATCH  》
 
関東大学対抗戦 対成蹊大戦
9月15日(日)帝京大学百草グランド
15時キックオフ

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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