REPORT

レポート

トップ
   
レポート
   
全国大学選手権セカンドステージ第1戦・朝日大学戦

全国大学選手権セカンドステージ第1戦・朝日大学戦

2013/12/09

「全国大学選手権セカンドステージ第1戦・対朝日大学戦」
 
12月8日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(勝ち点9)102-5朝日大学(勝ち点0)●

《帝京大学》
[FW]
(1)竹井(勝)⇒高田(2)竹井(勇)(3)浅堀(4)金(5)今村(6)飯野(7)亀井⇒服部(8)河口
[BK]
(9)塚本(10)朴⇒伊藤(玖)(11)宮崎(12)野田⇒木崎(13)黒木(14)村澤(15)川久保
 
《朝日大学》※先発のみ
[FW]
(1)清水(2)山本(3)佐藤(4)小澤(5)バイラヌ(6)宮坂(7)芝木(8)磯谷
[BK]
(9)金(10)工藤(11)室田(12)小川(13)坂本(14)西村(15)西川

【前半】【得点経過】
【5分】帝7-0朝
ペナルティからSH塚本がクイック・リスタート。つかまってラックになるも、PR竹井(勝)が前に出て、そのままトライ。ゴール成功。
 
【18分】帝14-0朝
ゴール前5mのマイボール・スクラム。押し込んで、No8河口が持ち出し、前進。ラックになり、SH塚本からSO朴へパス。朴が仕掛けて抜け出し、トライ。ゴール成功。
 
【26分】帝21-0朝
マイボール・ラインアウトからモールに。モールを押し込み、LO今村が押さえてトライ。ゴール成功。
 
【31分】帝28-0朝
ラックで相手ボールをターンオーバー。SH塚本からFB川久保へパス。川久保が前進する。つかまってラックになるも、SH塚本-WTB村澤-CTB野田と渡り、トライ。ゴール成功。
 
【34分】帝33-0朝
マイボール・ラインアウトからモールを形成。押し込んで、No8河口が抜け出してトライ。
 
【38分】帝38-0朝
WTB宮崎が前進。さらにFB川久保が前進。ラックになるも、SH塚本-No8河口と渡り、河口がタッチ際でタックルを受けながらも、体をうまく使ってグラウンディングし、トライ。
 
【42分】帝45-0朝
FW、BKで連続攻撃。CTB黒木が前進。ラックになるも、SH塚本-CTB野田とパスが渡り、野田がタックルを受けながらも前に出てトライ。ゴール成功。
 

 【後半】【得点経過】
【2分】帝52-0朝
ターンオーバーから連続攻撃でボールをつなぐ。SH塚本からPR浅堀へとパス。浅堀が相手ディフェンスを2人弾き飛ばしてからWTB村澤へとパス。村澤が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【4分】帝52-5朝
ターンオーバーされ、つながれて、トライを奪われる。
 
【9分】帝57-5朝
ペナルティからSH塚本がクイック・リスタート。FB川久保へパスし、川久保が前進。さらに、WTB宮崎へパス。宮崎がディフェンスをかわしてトライ。
 
【13分】帝64-5朝
SO朴が仕掛けて前進。朴からFB川久保-WTB宮崎と渡り、宮崎がトライ。ゴール成功。
 
【16分】帝71-5朝
CTBに回った村澤が前進し、ゴール前へ。ラックになるも、SH塚本-SO朴と渡る。再度ラックなり、塚本が仕掛けて前進。つかまるも、PR浅堀が持ち出して前進して、トライ。ゴール成功。
 
【21分】帝76-5朝
FWでの連続攻撃からBK展開へ。SH塚本-SO朴と渡り、朴がインゴールへゴロキック。走り込んだWTB木崎が押さえてトライ。
 
【26分】帝83-5朝
ペナルティからSH塚本がクイック・リスタート。LO金にパス。金が前進してトライ。ゴール成功。
 
【32分】帝90-5朝
ペナルティからFL服部がクイック・リスタート。そのまま持ち込んでトライ。ゴール成功。
 
【35分】帝97-5朝
ラインアウトから連続攻撃。ラックからSH塚本からWTB宮崎へとパス。宮崎がディフェンスをかわして前進し、トライ。ゴール成功。
 
【38分】帝102-5朝
ゴール前のスクラムからNo8河口が持ち出してトライ。
 

《  BRIEF REVIEW  》

大学選手権セカンドステージ第1戦は対朝日大学戦。帝京は若手中心のメンバーで挑む。立ち上がりは全国舞台の緊張からか、両チームともミスが散見したが、帝京は徐々に修正。相手の前に出る速いディフェンスにもひるまず、体を当てていく。竹井(勝)、浅堀のPR陣、4年生LO今村、FL飯野らが奮闘。WTB村澤は好タックルでボールを奪う。CTB野田は常に相手とぶつかる起点となって、前進する。後半は、「距離感を修正した」というFB川久保-WTB宮崎のラインが効果的に機能。トライを量産していく。攻められるシーンもあるものの、全員でしっかりと守り切り、102-5で勝利した。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「大学選手権の最初の試合ということで、次にしっかりとつながっていくような、積み上げができるゲームにしていきたいと思って臨みました。メンバー的には、今日はやや若いメンバーを中心に起用しました。そういう意味で少し甘くなるかなと想像しながら見守っていましたが、朝日大学さんのしっかりと、一生懸命に当たってくる姿勢に勉強させていただいた部分もたくさんありました。前後半を通して、ボール周りのところで、もう少しコントロールできていたら、及第点を出せたと思うのですが、相手の特徴やレフェリングの特徴を見極めながら、どこに対してどういうプレーをしていけばいいのかという点に関して、少し甘さがあったと感じました。特に後半はひたむきなプレーが多く見られたので、次週からのゲームでコアとなるメンバーは、今度は自分たちでリズムや勢いを作っていってほしいと思っています。朝日大学さんは初出場というフレッシュな、よどみのない気持ちとプレーを勉強させていただきました。敬意を表すと同時に感謝の気持ちでいっぱいです。」
 
■ゲームキャプテン・PR竹井勝彦(4年)
「今日の試合は若いメンバー中心でしたが、思い切りのいい、すがすがしいゲームをしようと言って臨みました。朝日大学さんのプレッシャーを受けるシーンが多く、前半はミスが多かったのですが、後半はそこを修正することができたところもあり、一つ一つ、点数を積み上げていけたことがこういった結果につながったのだと思います。若いメンバーが多い中、今日はゲームキャプテンとして、一人一人への気配りを意識しました。自分が今までキャプテンにサポートしてもらっていた部分を、今度は後輩たちにやっていかなければいけないと思い、みんなが思い切ってプレーできるように、ウォームアップからサポートし、チームをまとめていったつもりです。実際にみんなも思い切ってやってくれたと思います。今日出たメンバーの活躍がいい刺激になって、これからの試合、一つ一つ勝ち進んでいけるように、努力していきたいと思います。」
 
■後半、BKラインのコンビネーションを修正し、3トライの活躍・WTB宮崎詠基(2年)
「初めての秩父宮でファーストジャージを着て試合をするということで、最初は不安や緊張もあり、少し受けてしまった印象がありました。でも、途中から自分で切り替えて、できることをしっかりやろうと思えるようになりました。前半はFBの川久保さんと自分との距離が少し広くて、パスが受けづらかったのですが、ハーフタイムにそこを話し合って修正でき、後半はいいプレーが出せるようになりました。ただ、ディフェンス面で課題が見えたので、アタックだけではなく、ディフェンスでもチームのみんなに信頼されるような選手になりたいです。今後も試合に出られるように、日々の練習から、細かいことにも一つ一つ取り組んでいきます。」
 
■攻守ともに激しさを見せ、キックチェイスにも奔走・WTB村澤大洋(2年)
「初めての公式戦がこの大学選手権ということで、とても光栄に思います。ただ、前半、ちょっとふがいないプレーが出てしまったのは反省点です。ハーフタイムに監督や仲間たちから声を掛けられ、後半は気持ちを入れ直して臨めたのですが、前半は大きな反省点だと思っています。いいプレーもあったのですが、課題も多く出た試合でした。ムラのあるプレー、周りの人に助けてもらうプレーをしてしまうと、厳しい相手には通用しないので、そういうところをこれから修正していきたいです。アタックの激しいところを出せたのは、個人的にはうれしいですし、これからも自分の強みにしていこうと思えました。今日はWTBで先発し、途中からCTBに移りましたが、そういうときにもしっかりと対応していけるプレーヤーにならないといけないと思います。来年は3年生になって、下級生を引っ張っていかなければいけない立場になるので、甘い気持ちは捨てて、厳しいプレーをする選手になっていきたいです。」
 
■激しさだけでなく、クイック・リスタートなど器用さも見せた・FL服部航介(2年)
「今日はリザーブからでしたが、自分らしいプレーで流れを変えられるようにという気持ちで入りました。入って最初のプレーで、ジャッカルしてターンオーバーできたので、そこはよかったです。アタック面では、インコンタクトでのミスが多かったので、しっかりドライブしていって、そこからゲインして、次のポイントでトライにつながるようなアタックを意識していました。アグレッシブなところが自分の持ち味なので、今日はその部分が出せてよかったです。これからも自分の長所を生かし、メンバーに入ってチームに貢献できるように頑張りたいです。」
 
■急遽指名されたSOでもしっかり対応・SO伊藤玖祥(2年)
「公式戦初出場ということもあり、個人的には強い思い入れもあったのですが、それ以上に、昨日、4年生がいい試合(12月7日に行われた、対東京都市大学戦)をされていたので、4年生のためにもワンプレー、ワンプレー集中してやろうと思っていました。緊張はあったのですが、途中出場で出ていくときにスタンドから自分の名前を呼んでくれる部員がたくさんいて、それがとてもうれしかったですし、気持ちもほぐれました。一本ラインブレイクできたのはよかったのですが、まだまだ甘いプレーもあるので反省です。自分は本来、SHをやっているのですが、試合中に『SOで行くぞ』と言われ、逆に思い切っていこうと切り替えることができました。これからも部員全員がまとまって、4年生を見習って頑張っていきたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
高い修正能力で後半はのびのびとプレーできた
FB 川久保龍太郎(4年)
Kawakubo Ryutaro
1991年10月29日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長172cm/77kg
熊本西高校出身
 
■まずは今日の試合の感想を聞かせてください。
「今日は入りを大事にしようと思って試合に臨んだのですが、入りのところであまりいい試合ができなくて、4年生としてもっと引っ張っていかなければということを改めて感じました。」
 
■途中からは特にアタックの部分で、FBとしてとてもよく機能していましたね。
「ありがとうございます。後半はいいプレーがたくさん出たと思います。自分たちのやるべきことがしっかりできていたので、いいプレーにつながったのだと思います。」
 
■WTBの宮崎くんとのコンビネーションがとてもよかったように見えました。
「前半、少し合わないところがあったので、ハーフタイムに修正して、それが後半うまく出せたと思います。自分も含めて、こうした大きな試合が初めてというメンバーも多かったこともあり、BKラインが広くなったり、浅くなったりしたところがありました。でも、試合中に修正できたことはよかったと思います。」
 
■試合前はどんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「ダウンボールとか、ボールの持ち方、扱いなど、一つ一つを丁寧にやろうという話はしていました。」
 
■「4年生として」という話がありましたが、リーダーシップという点ではどうでしたか。
「BKリーダーとしては野田滉貴が引っ張ってくれていましたが、途中で抜けてしまったので、僕がリーダーシップを取っていかなければと思ってプレーしました。ただ、入りのところからしっかりやらなければいけなかったと反省しています。試合の中でリズムや雰囲気を変えられるような人間になっていきたいです。緊張もあったのですが、初めてのメンバーが多く、そうした雰囲気になる可能性があることがわかっていたはずで、そこはもっと改善できたのではないかと思っています。」
 
■先週、「4年会」が開かれたそうですが、どんな話が出ましたか。
「いろいろな話をしましたが、特に上級生がリーダーシップを取っていかないといけないので、きついとき、しんどいときにこそしっかり声を出したり、プレーする姿で見せたりといったことを、今後はよりいっそうやっていこう!という話をみんなでしました。」
 
■今後へ向けての意気込みをお願いします。
「試合に出させていただく機会があれば、自分のプレーを一生懸命、丁寧にやって行きたいと思います。また、4年生として、みんなのために、そして自分自身のために、残り少ない大学生活を悔いのないように頑張りたいと思います。」
 
ジュニア戦を除いて、公式戦は初出場。だが、4年生として落ち着いたプレーでBKを牽引した。特に後半からはアタックでのライン参加で何度も大きなゲインを見せ、WTBへとパスをつなぐことでトライに結びつけた。ハーフタイムで修正できたという修正力は見事だ。4年生としての自覚も十分。この試合の経験を生かして、今後も「本当の4年力」を見せ続けてくれるに違いない。


《  COLUMN  》
 
――試される「全員力」――
 
この日の対戦相手、朝日大学とは、毎年のように春に練習試合が組まれています。今年は6月にCチームとDチームが対戦し、それぞれ、47-21、57-5という結果でした。朝日大学の吉川充監督に帝京との春の練習試合の意義についてお話を伺ったところ、こんなお答えをいただきました。
 
「最初の頃はDチームとでしたが、最近はCチームとやらせていただけるようになりました。2年前はCチームに100点ゲームで敗れましたが、今年は21-47。やれることが増えてきたという手応えがありました。お手本にしてきたチームとこうした大きな舞台で対戦できて、私個人としても、チームとしても大きな財産をいただいたと思っています。」
 
一方、帝京にとっても、わざわざ岐阜から百草グラウンドまで遠征に来てくれるということを考えると、とてもありがたい対戦相手と言えます。
 
当たり前のことではありますが、どんなチームも対戦相手がいなければ試合はできません。「勝利はゲームに出ていないメンバーも含めて、チーム全員で勝ち取るもの」ですから、対戦するのがCやDチームであっても、その意味はけっして小さいものではないのです。
 
さて、「チーム全員」という話をしましたが、この日のゲームではまさに「チーム全員」が一丸となる光景に出合いました。これまで中心選手として出場していて、今日はメンバーから外れた人たちが、秩父宮ラグビー場近辺の清掃活動を自主的にしていたのです。例えば、流、竹田、権といった部員たちです。
 
帝京の選手たちが毎試合、秩父宮近辺の清掃活動をしているというのは、多くの人がご存じかもしれません。ただ、彼らは誰かにやらされているわけではありません。試合に出ない自分たちがチームにできることは何か、あるいは一人の人間として世の中に対してできることは何かと考えて、自ら動いているのです。
 
もちろん、ゲームに出場したメンバーが若手中心だった、という点も「チーム全員」で勝利をつかむという意味で大きなものがあります。
 
今日の試合に出ていたか否かにかかわらず、一人一人がチームのため、自分のために何ができるかを考え、行動する。それが帝京の「全員力」です。
 
ここからの一戦一戦、いや練習での一日一日において、本当の「全員力」が試されることになります。練習で、試合で、応援で、そして生活全般で「全員力」をいかに発揮できるか。
 
それによって、勝利を得たときの喜びの質も変わってくるに違いありません。
 
 
 
《  NEXT MATCH  》
 
第50回全国ラグビーフットボール選手権大会・セカンドステージ第2戦
対関西学院大学戦(http://www.kgrfc.net/
12月15日(日)・近鉄花園ラグビー場
14時キックオフ
[関西学院大学の直近5戦]
10月27日●12-25同志社大学(関西大学Aリーグ)
11月 9日○38-35立命館大学(関西大学Aリーグ)
11月16日● 6-36天理大学(関西大学Aリーグ)
11月24日○55- 7近畿大学(関西大学Aリーグ)
12月 8日●24-45大東文化大学(大学選手権セカンドステージ)

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

特集一覧