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全国大学選手権セカンドステージ第2戦・関西学院大学戦

全国大学選手権セカンドステージ第2戦・関西学院大学戦

2013/12/16

「全国大学選手権セカンドステージ第2戦・対関西学院大学戦」
 
12月15日(日)・近鉄花園ラグビー場
○帝京大学(勝ち点15)78-5関西学院大学(勝ち点1)●

《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒竹井(勝)(2)坂手(3)深村⇒東恩納⇒浅堀(4)飯野(5)小瀧⇒町野(6)イラウア(7)杉永⇒河口(8)大和田
[BK]
(9)流⇒塚本(10)松田(11)磯田(12)牧田⇒中村(13)権⇒野田(14)森谷(15)竹田
 
《関西学院大学》※先発のみ
[FW]
(1)森(2)浅井(3)金(寛)(4)古城(5)金(成)(6)竹村(7)中村(8)徳永
[BK]
(9)徳田(10)平山(11)中井(12)鳥飼(13)水野(14)畑中(15)高

【前半】【得点経過】
【15分】帝7-0関
ラインアウトからモールを形成。押し込んでFLイラウアが押さえてトライ。ゴール成功。
 
【20分】帝14-0関
FB竹田のキックにBK陣が猛チェイス。CTB権、WTB 森谷らの好タックルでターンオーバー。 ラックからFL杉永がパスアウトし、CTB権-SH流-LO 小瀧-WTB磯田とパスが渡り、磯田がディフェンスを振り切ってトライ。ゴール成功。
 
【28分】帝21-0関
ラックからPR森川が、後ろから走り込んできたLO飯野へとパスアウト。飯野が抜け出し、そのままトライ。ゴール成功。
 
【37分】帝26-0関
ラックからSH流-CTB牧田-FB竹田と渡る。竹田はタックルされるも粘って、牧田へ手渡しパス。牧田が抜け出してトライ。
 
【40分】帝33-0関
ラックからSH流-SO松田-CTB牧田と渡り、牧田が抜け出してトライ。ゴール成功。
 

 【後半】【得点経過】
【4分】帝40-0関
ラインアウトからモールを形成。HO坂手が持ち出してトライ。ゴール成功。
 
【8分】帝47-0関
ペナルティからSH流がクイック・リスタート。CTB牧田へパスし、牧田がディフェンスを1人かわしてからWTB磯田へパス。磯田が走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【11分】帝47-5関
ゴール前のラインアウトからFWで攻められ、トライを奪われる。
 
【20分】帝54-5関
相手ボールのスクラムを押してターンオーバー。No8 大和田が拾って前進。さらにHO坂手、PR竹井(勝)が前進。ラックになるがSH流-SO松田と渡り、松田が仕掛けて前進し、トライ。ゴール成功。
 
【23分】帝59-5関
FB竹田のキックをチェイスしたCTB野田が好タックルしてターン オーバー。ラックからSH流-WTB磯田-HO坂手とパスが渡り、坂手が抜け出してトライ。
 
【26分】帝66-5関
PR竹井(勝)が好タックルしてターンオーバー。ラックからPR東恩納-SH流へとパス。 さらにCTBへ回った森谷へとパスが渡り、森谷が前方へキック。追いかけたSO中村が拾ってトライ。ゴール成功。
 
【31分】帝71-5関
CTB森谷が前進。ラックからFLイラウアがパスアウトし、SO 中村-CTB野田とつなぐ。野田が相手ディフェンスを振り切ってトライ。
 
【40分】帝78-5関
SO中村が相手のパスをインターセプト。そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。
 

《  BRIEF REVIEW  》

大学選手権セカンドステージ第2戦は、会場を近鉄花園ラグビー場に移して、関西学院大学との戦いとなった。試合開始直後はお互い譲らず、一進一退の攻防が続く。前半15分に帝京がラインアウト・モールからトライを奪って均衡を破ると、そこからは終始、帝京ペースとなる。久々の先発出場となったCTB権、FB 竹田らもそのブランクをまったく感じさせない好プレーを連発する。後半に入っても、帝京の勢いは変わらない。攻められる場面もあるが、SO松田、LO飯野、CTB牧田、WTB 森谷らの献身的な働きに加え、途中出場のPR竹井 (勝)、FL河口、CTB野田、SO中村らが好タックルを見せ、しっかりと防ぐ。攻めてはまさに全員攻撃。特にFW陣は、ラックからピック&ゴー で自ら持ち出して前進するだけでなく、全 員がSHかと思わせるような絶妙なパスアウトでBK陣へボールを供給。 最後まで集中力を切らさずに攻め続けた帝京が76-5 で勝利し、勝ち点6(セカンドステージの合計勝ち点15)を獲得した。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「大学選手権2戦目ということで、チー ムを勢いづけるためにも、しっかりとした気持ちで臨むように学生を鼓舞しながら、今日の試合に臨みました。セカンドス テージ3試合でよりいっそう成長してファイナルステージに上がっていけるように、挑戦者としての気持ちを忘れずに、技術的なことも精神的なことも含めて、一つ一つしっかりと積み上げていけるように、気持ちを高めながら挑んだつもりです。最初の出足のところは、少し丁寧に行きすぎているところがあったかと思いますが、途中からはいい集中力を見せ、それを最後まで持続してくれたと思います。関西学院大学さんの果敢なタックルと2人目、3 人目としっかりとカウンターをかけてくるディフェンスに対して、われわれも勉強させていただいたと思っています。今 日のゲームの中で出た課題を修正し、そして学生たち自身の気持ちの部分を整えながら、今後も一試合ごとに成長して、毎試合、常に自分たちとしての今年のベストチームであり続けられるようにしていきたいと思います。」
 
■キャプテン・SO中村亮土(4年)
「今日の試合はコンタクトのエリアで自分たちがコントロールして前に出ようと言って臨みました。前半、関西学院大学さんのプレッシャーも強く、すばらしいディフェンスもあった中でのプレーでしたが、そこで受けずに体をしっかりと当て続けたことで、自分たちにとっていい流れになる時間帯を多く作れたのではないかと思っています。この結果も、小さなプレー、激しいブレイクダウンの積み重ねができたことで、相手に疲労感を与えられたからだと思うので、これからまた修正すべき点は修正して、次のセカンドステージ最終戦に臨みたいと思います。」
 
■久々の先発でスクラムの安定に貢献・PR深村亮太(2年)
「今日はスクラムとディフェンスというところに目標をおいて臨みました。スクラムは今までフォーカスしてきたことができていたと思うのでよかったです。ディフェンスは、コミュニケーションが足りないところもあったのですが、これまでに比べるとよくなっていると思います。次もスクラムで勝って、ターンオーバーをたくさんできるように頑張ります。」
 
■体を張ったプレーでチームを鼓舞した・No8大和田立(4年)
「今日は『挑戦心』というテーマで、最初からブレイクダウンでガツガツ行こうと言って、臨みました。今の現状に留まらず、一歩でも成長できるように、そして自分がチームのための起爆剤になれるようにと思っていました。上級生が少なかったこともあり、リーダーシップを取ることも心掛けました。いい感じで自分が体を張れて前に出たプレーもありましたが、起爆剤としてはまだまだ50%ぐらいだったので、100%出し切れるようにしたいです。次はセカンドステージ最終戦。今まで積み上げてきたものをゲームで出し切れるように、そしてファイナルステージに向けて成長できるゲームにしたいです。」
 
■SOとして落ち着いたプレーでゲームをコントロール・SO松田力也(1年・ゲームMVP)
「久しぶりのSOということで、しっかり周りの人たちとコミュニケーションを取って、(流)大さんと一緒にゲームを作っていこうと思って臨みました。だいぶ、前を見ることができるようになってきたので、自分の前があいたら、そこで勝負していこうと思っていましたが、しっかり前に出られた場面もあってよかったです。でも、まだまだ未熟なところも出て、もっと自分が指示を出せばよかったのにできなかったところもあったので、そこは反省点だと思っています。改善すべき点、挑戦していくべき点があるので、毎試合毎試合、成長できるように、これからも頑張っていきたいと思います。」
 
■いい形でボールをもらい、2トライを奪取・WTB磯田泰成(3年)
「今日はコンタクト・エリアでしっかり圧力をかけて勝っていくということを試合前の目標にして臨みました。前半は相手の圧力に少し押されるところもあったのですが、しっかりと修正して、制圧できたところが今日の勝因だったと思います。セカンドステージはあと一試合。ここでいい勝ち方をして、ファイナルステージにつながるような試合にしたいと思います。」
 
■久しぶりのゲームとは思えないほどの激しいタックルを連発・CTB権裕人(3年)
「復帰戦ではありましたが、これまでどおり、自分のやるべきことをしっかりと明確にして、泥臭くひたむきにやろうと心掛けて試合に臨みました。コンディションはとてもいいです。プレーも普通にと言いますか、久々にしてはよくできたと思います。今日出た課題をしっかりと改善して、次戦以降も一歩一歩成長していきたいと思います。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
相手の突進にもひるまず、キックオフ・ボールをしっかりキャッチ
LO 飯野晃司(1年)
Iino Koji
1994年10月12日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長189cm/101kg
三好高校出身
 
■今日はどんなことを考えて試合に臨んだのでしょうか。
「入りのところからタックルをしっかりやろうと思って臨みました。ここ数試合、タックルがうまく決められないところがあったので、練習でもタックルにフォーカスしてやってきました。」
 
■実際にプレーしての感想を聞かせてください。
「タックルは、下に入り過ぎて飛び込んでしまったプレーが何本かあったので、それは修正したいです。キックオフの空中戦においては、自分の持ち味が発揮できたかなと思っています。」
 
■今日、自身として一番よかったところはどんなところだったでしょうか。
「相手がキックオフを両側に蹴ってくる中、自分の側に関してはしっかり全部キャッチできたところは、よかったと思います。」
 
■自身が一番成長できていると思うのは、どんなところでしょうか。
「一つ一つのブレイクダウンの質だったり、どこに寄るべきかという判断力のところが、練習や試合を通じて学べていると思います。」
 
■自身のアピールポイントはどこでしょうか。
「運動量と元気さをしっかりアピールしていかなくてはと思っていますし、アピールできているところだと思っているので、そこは今後も継続していきたいと思っています。」
 
■「花園」という舞台でしたが、何か特別な意識はありましたか。
「高校生のときからの憧れの舞台で、最初の方は緊張と言いますか、興奮もしていましたが、やっていくうちにプレーに集中でき、途中からは落ち着いてできたと思います。」
 
■今後への意気込みをお願いします。
「すばらしい先輩両LOがいらっしゃる中で、自分が使ってもらえていることを誇りに思いますし、また責任も感じます。その責任を果たせるように、しっかり頑張っていきたいと思います。」
 
以前はリザーブからの途中出場が多かったが、ここ2戦は先発して80分間フル出場。
この試合は特に、キックオフ・ボールのキャッチで安定感を見せた。また、前半28分にラックの後ろからいい角度で走り込んでボールをもらい、トライを奪ったように、1年生とは思えない冷静な判断力を持っている。自身が語るように運動量も多く、強さ、激しさもある。1年生ゆえ、伸びしろも十分。今後、どこまで成長してくれるのか、目が離せない。



《  COLUMN  》
 
――「花園」の魔力――
 
セカンドステージ第2戦の関西学院大学戦は、「ラグビーの聖地」近鉄花園ラグビー場で行われました。秩父宮ラグビー場も、初めてプレーする選手はかなり緊張すると言いますが、ここ花園はその感覚とはちょっと違った、独特の「思い」があると言います。
 
全国高校ラグビー大会が行われる近鉄花園ラグビー場は、高校生にとってはまさに憧れの場所。出場経験のある選手も、ない選手も、それぞれの胸の内に自分にとっての「花園」という存在がありました。
 
花園出場経験のない選手は、憧れの地にやってきたという緊張と興奮を覚えたと言います。しかも、頭では意識したつもりもないのに、知らぬ間に心臓の鼓動が速くなり、変な息苦しさすら覚えた選手もいたようです。
 
No8大和田はこう語っています。
 
「花園は高校時代からの憧れの地でしたし、初めてプレーする場所でもあったので、思い切り楽しんでやろうと思って臨んだのですが、ゲーム前、ちょっと緊張しているなというのが自分自身でわかるほどでした。意識したつもりはないのに、無意識のうちに何かを感じてしまったみたいです。」
 
WTB磯田は「高校時代、ずっと目標にしていて、一度も行けなかった舞台だったので、最初にグラウンドに入ったときには感慨深いものを感じました。少なからず、緊張もありました。秩父宮とは違った緊張感でしたね。」
 
また、出場経験のある選手たちにとっては、特別な思いがよみがえる場でもあったようです。
 
PR深村はこう語りました。
 
「高校時代、花園の第一グラウンドで、2年連続して関西のチームに負けていたので、そういうちょっと嫌な緊張感はありましたね。」
 
CTB権も複雑な思いを語ってくれました。
 
「高校3年生のとき、脳しんとうを起こしてゲームに出られず、第一グラウンドの芝を踏めていなかったので、そういう部分での緊張感はありました。」
 
SO松田は「去年の1月3日以来でしたが、『ここにまた帰って来られた』という意識はありました。」と語っています。
 
この日、前半15分まで得点できず、少し硬さすら見えたのは、もしかすると「聖地花園」への意識(無意識のうちにしてしまっていた意識)が影響していたのかもしれません。
 
それでも、得点した時間帯あたりからはだいぶ硬さが取れ、普段の帝京の姿に戻っていったようです。
 
「途中からは意識せずにできるようになりました。」(大和田)
「このグラウンドでやれるという喜びも大きかったですし、いい経験になりました。」(磯田)
「花園ということで、とてもいい緊張感で試合ができたと思いますし、僕自身は地元ということもあって、応援に来てくれた人もたくさんいて、いい感じでプレーできました。」(権)
「高校時代の嫌なジンクスを吹っ切ることができました。」(深村)
「憧れの舞台でやれるうれしさ、楽しさを感じながらプレーできました。」(松田)
 
ただ不思議なことに、みな花園への意識を口にしながらも、他の人が花園という場所に対して緊張や意識をしていたのはわからなかったと言います。
 
それぞれの選手一人一人が持っている「花園」への思い。それは本人にしかわからないけれど、大きく、深く、そして本人にもわからないほど熱いものだったようです。この花園での経験は、今後のゲーム、いや一人一人の今後の人生に大きな影響を与えてくれるものになりそうです。
 
そして舞台は花園から再び秩父宮へ。そして最後の国立の鼓動が、いよいよ迫ってきています…。
 
 
 
《  NEXT MATCH  》
 
第50回全国大学ラグビーフットボール選手権大会・セカンドステージ第3戦
対大東文化大学戦(http://www.daito-rfc.com/
12月22日(日)・秩父宮ラグビー場
14時15分キックオフ
[大東文化大学の直近5戦]
11月 2日○34-29東海大学(関東大学リーグ戦)
11月16日○36-17日本大学(関東大学リーグ戦)
11月24日○34-12立正大学(関東大学リーグ戦)
12月 8日○45-24関西学院大学(大学選手権セカンドステージ)
12月15日○87-14朝日大学(大学選手権セカンドステージ)

(文/木村俊太、写真/志賀由佳)

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