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2014関東大学春季大会 第3戦・流通経済大学戦

2014関東大学春季大会 第3戦・流通経済大学戦

2014/05/12

「2014関東大学春季大会 第3戦・対流通経済大学戦」
 
5月11日(日)・ニッパツ三ツ沢球技場
○帝京大学71-5流通経済大学●

《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒森川(2)前田⇒坂手(3)東恩納⇒深村(4)金⇒飯野(5)町野(6)イラウア⇒服部(7)亀井(8)杉永
[BK]
(9)流⇒荒井(10)朴⇒松田(11)磯田(12)森谷(13)濱野⇒岡田(14)尾崎(15)鎌田
 
《流通経済大学》※先発のみ
[FW]
(1)古村(2)小倉(3)山根(4)水木(5)今野(6)兼村(7)花澤(8)リサレ
[BK]
(9)黒木(10)東郷(11)合谷(12)木村(13)テアウパ(14)八文字(15)桑江

【前半】【得点経過】
【13分】帝0-5流
ラインアウトからモールとなり、FWに抜け出されて、トライを奪われる。
 
【22分】帝7-5流
ペナルティからSH流がクイック・リスタート。CTB森谷が抜け出す。つかまりかけるも、うまくCTB濱野へとパス。さらにWTB尾崎へとつないて、尾崎がトライ。ゴール成功。
 
【25分】帝14-5流
ラインアウトからモールを押し込む。ラックになるも、PR徳永が持ち出してトライ。ゴール成功。
 
【29分】帝19-5流
SO朴が前方へゴロキック。WTB尾崎が快足を飛ばして追い付き、インゴールで押さえてトライ。
 
【31分】帝24-5流
ゴール前のペナルティから、クイック・リスタート。PR東恩納-LO金と渡り、金が押さえてトライ。
 
【34分】帝31-5流
ラックから、SH流-SO朴-No8杉永-FL亀井と渡り、亀井が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【39分】帝38-5流
ラインアウトからSH流-SO朴と渡り、朴が抜け出す。さらにCTB濱野へとパスし、濱野がトライ。ゴール成功。
 
 

 【後半】【得点経過】
【16分】帝45-5流
ラックからSH流-SO松田と渡り、松田が前進。さらにCTB濱野へとパスし、濱野がトライ。ゴール成功。
 
【20分】帝52-5流
FWで連続攻撃。最後はNo8杉永が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【24分】帝59-5流
FW、BKの連続攻撃で前進。ラックからSH荒井-SO松田-CTB森谷-CTB濱野-WTB尾崎とつなぎ、尾崎がトライ。ゴール成功。
 
【27分】帝64-5流
FW、BKの連続攻撃で前進。ラックの後ろから走り込んできたCTB森谷がSH荒井からのパスを受け、抜け出す。そのままトライ。
 
【42分】帝71-5流
ペナルティからNo8杉永がクイック・リスタート。WTB磯田へパスし、磯田が抜け出す。さらにSH荒井へとパスが渡り、荒井がトライ。ゴール成功。
 
 

《  BRIEF REVIEW  》

関東春季大会第3戦は、昨季リーグ戦1位の流通経済大学戦。前半の立ち上がりは一進一退の攻防が続く。ゴールデンウィーク期間の長期休養直後の試合のためか、公式戦慣れしていない選手が多いためか、やや硬さの見える帝京。13分には、アンラッキーな流れもあり、先制トライを奪われる。しかし、これで目が覚めたのか、硬さも取れ、動きもよくなっていく。そして、20分過ぎからは怒涛の攻撃でトライの山を築く。特にCTB森谷を起点とした攻撃が機能し、CTB濱野とのコンビネーションで何度もゲインラインを突破する。守っても、WTB尾崎のナイスタックルなどで前進を許さない。責められても、前に出るディフェンスでゴールラインを割らせない。途中出場組も奮闘。HO坂手が相手ディフェンスを弾き飛ばし、LO飯野、FL服部らも激しいプレーを見せる。後半も攻め続け、71-5で春季大会3連勝を飾った。
      
《  AFTER MATCH SAY  》
 
■岩出雅之監督
「今日はBチーム、Cチームから上がった選手もいたこともあり、やや緊張していた選手もいたようですし、逆に余裕のある選手もいたと思います。余裕にはいい余裕と隙のある余裕がありますが、特に前半の立ち上がりは、過度に緊張した選手とオーバーリラックスしてしまっている選手が混ざった精神状態で臨んでしまっていたようです。そうなると、噛み合わせが悪くなるのですが、自己観察をして、修正して、高めていけるようになるための第一歩として自分たちを見直せるいいゲームになったと思います。まずは、自分がどういう状態なのかを自分に問いかけられることが大切ですが、それができた選手もたくさんいたように思います。経験の浅い選手たちも、こうした公式戦を経験するという場数を踏むことで、チームとしての層も厚くなって、そこから本物になっていくのだと思います。今後もおごることなく、気を引き締めてしっかり戦っていきたいと思います。」
 
■キャプテン・SH流大(4年)
「前半の立ち上がりの時間帯、体の大きな相手に対して真正面からぶつかってしまい、そこでボールに絡まれたりして、自分たちのテンポでできないところがありました。その後、要所要所で修正して、トータル的には今の段階ではいいゲームになったと思います。相手が元気な時間帯でも、こちらはそれを上回る元気さ、フレッシュさが必要なのですが、緊張してファイトできなかった選手もいたりして、ゲームの入りのところは反省点だったと思います。攻撃に関しては、練習でやっていたことがいくつか出せたので、そこは練習の成果が出たという意味でよかったと思いますが、それ以上にタックルの精度やボールキャリアの姿勢といったベーシックな部分をもっと見直していかなければと思いました。春はチームとして一つ一つ成長していけるようなゲームをしていこうと言っているので、来週以降もいい準備をして、今日よりもレベルアップした試合になるように頑張ります。」
 
■気持ちの切り替えがうまくいき、自身のプレーにも納得・PR徳永一斗(3年)
「前回の試合、体調不良で出られなかったこともあり、今日は少し緊張してしまいました。ハーフタイムに岩出監督から、緊張とリラックスについてのアドバイスをいただき、後半は切り替えてできました。トライもありましたが、たまたま自分のところにボールが来たというだけで、チームで取ったトライだと思っています。スクラムは前半、少し押される場面があったのですが、そこは修正して、後半は安定させることができたと思います。春シーズンの後半に向けて、スクラム、ディフェンスをしっかりやっていきたいと思います。」
 
■攻守にわたって大きな存在感を示した・CTB濱野大輔(3年・ゲームMVP)
「公式戦3試合目で、少しずつですが、リラックスして試合に臨めるようになっています。また、今日は対面に外国人選手がいましたが、しっかり低いタックルで止めようという意気込みで臨みました。最初のタックルでしっかり入れたので、そのあとも自信を持って低いタックルができました。外国人選手でも低いタックルをすれば絶対に倒せると思っていたので、しっかり前に出て止めるという強い気持ちを持ち続けることができました。いっしょにCTBをやっている森谷がいい動きをしていたので、しっかりサポートについていこうと思って、常にそれをイメージしてプレーしましたが、いい形でゲインできてトライにつながってよかったです。CTBとしてのコミュニケーションなど、まだまだ足りないところがありますが、まずはAチームに定着できるように、一日一日を大切にして、日々の練習を積み重ねていって、チームに信頼されるCTBになっていきたいです。」
 
■短時間ながら公式戦で貴重な経験を積んだ・CTB岡田優輝(1年)
「初めてのAチームでの試合でしたが、高校生相手とは違って、体の大きさやスキル面でまだまだ自分の足りない部分が多いと実感するゲームになりました。この試合を経験して、そういった反省点を見つけることができたのは、とてもよかったと思います。U20日本代表を経験させていただき、世界と戦ういい経験ができました。今後はもっともっと努力して、チームに貢献できるようになりたいで す。」
 
《  PICK UP PLAYERS  》
 
スピードに加え、パワーも増加中
FB 鎌田 健太郎(2年)
KAMATA KENTARO
1994年8月27日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長179cm/77kg
佐賀工業高校出身
 
■今日のゲームを振り返って感想を聞かせてください。
「前半はボールを持つ機会も多く、自分のスピードが生かせたと思うのですが、後半、走り切れていないところがあったので、そこは今後の練習で克服していきたいです。」
 
■Aチームでの先発出場は初めてでしたが、気持ちの部分ではどうでしたか。
「やはりちょっと緊張してしまいました。次からはいい緊張感を楽しめるようにしたいです。」
 
■前半のよかった点について、具体的に教えてください。
「2対1でラインブレイクできたシーンなどですね。ただ、そのあとタックルされて止められてしまったので(ハイタックルでペナルティを得たが)、あそこは止められないようにしたかったです。」
 
■ディフェンス面はどうでしたか。
「タックルミスをしてしまいましたが、今後の練習で、緊張していてもしっかりタックルできるプレーヤーになっていきたいです。」
 
■自身のセールスポイントはどんなところでしょうか。
「自分ではタックルがセールスポイントだと思っているので、ディフェンス面でチームに貢献していきたいです。」
 
■今、取り組んでいることはありますか。
「Aチームの中では一番体が細いので、ウエイトトレーニングと体重を増やすための食事に力を入れて取り組んでいます。」
 
■今後への意気込みを聞かせてください。
「FBには同期の重一生など、いい選手がたくさんいるのですが、彼らに負けないようにタックルやスピードを生かしたプレーをしっかりやっていきたいと思います。」
 
今シーズンの春季大会では過去2戦とも出場しているが、先発出場は初めて。その緊張があったと言うが、ほとんど感じさせない安定感のある、伸び伸びとしたプレーを見せた。本人も語るようにFBのポジション争いは熾烈だが、思い切りのよさとタックルへの意識の高さによりいっそう磨きがかかれば、今後、大きな成長も期待できる。体作りに積極的に取り組んでおり、体重も増加。スピードと思い切りのよさにパワーが加われば、ポジション争いはさらに熾烈さを増すことになりそうだ。


《  COLUMN  》
 
――緊張とリラックス――
 
春季大会3戦目。過去2試合は百草グラウンドで行われ、ホーム&アウェイで言えば「ホーム」の環境で試合をしていました。しかし、この日の試合会場はニッパツ三ツ沢球技場。アウェイではありませんが、普段とは違った雰囲気を感じさせます。
 
さらに、出場が初めての選手、あるいは先発が初めての選手もいました。久しぶりの公式戦という選手もいました。独特な雰囲気に、彼らがやや緊張してしまうのも無理からぬところです。
 
過度な緊張は、当然ながらプレーのパフォーマンスに悪影響を与えます。ならばリラックスした状態がベストなのかと言えば、必ずしもそうではありません。岩出監督は「オーバーリラックス」という言葉で表現していますが、過度にリラックスした状態もまた、パフォーマンスに悪影響を与えます。
 
もう一つ、自分では気づかないケースもあり得ます。
 
がちがちに緊張していて自分を見つめる余裕もないとか、自分ではちょうどいいと思っていたのに時間とともにオーバーリラックスになっているなどということもあるでしょう。そういうときは、周りの選手、特に上級生や経験豊富な選手たちのリーダーシップが問われることになります。過度に緊張している選手がいたら、リラックスできるような言葉を掛けたり、オーバーリラックスの選手がいたら、喝を入れたりします。
 
直接的に言葉で伝えるだけがリーダーシップではありません。プレーで見せることも、リーダーシップを発揮するための有効な手段です。オーバーリラックスしてしまっている選手の目の前で、大きくて強い相手への激しいタックルを見せつけるとか、痛いプレーに何度も積極的に参加するといったことは、自分の気持ちを高めると同時に周囲の選手たちにも大きな影響を与えることでしょう。
 
さて、この試合、特に前半の立ち上がりで過度な緊張状態にあった選手、逆にオーバーリラックスしていた選手の両方がいたようです。チームの精神状態がまちまちだと、プレーもうまく噛み合いません。先制トライを許すなど、20分過ぎまでは攻め込みながらも得点できない時間帯が続きました。
 
その後は修正がうまくいき、得点を重ねていきますが、本当は試合開始直後からこうした精神状態で臨めるのが理想です。トップリーグなど本当に強い相手の場合、この時間帯の失点によって試合が決してしまうこともあり得ます。
 
今日の試合は大勝できましたが、大勝の中からもたくさんの「学び」を得られた好ゲームでした。精神状態の修正という、高いレベルでの成長が見られました。
 
これはもちろん、ラグビーで役立つだけではありません。社会に出た時、どんな状況に置かれても乗り切れる精神力を養うとともに、組織で仕事をする際、他のメンバーの精神状態にも気配りでき、組織をうまく機能させるためのリーダーシップを養うことにもつながっていくのです。
 
この試合、チームMVPに選出されたCTB濱野選手は、決して派手な 選手ではありませんが、ここ数試合、精神面も充実しているのでしょう。振れ幅の少ないブレな いプレーを見せてくれています。
 
ナンバー8杉永選手、ウイング磯田選手なども経験値からくる高いパ フォーマンスを、毎試合見せてくれています。春シーズン。思い切りチャレンジし、さらにメンタルスキルの高くなっ た選手たちを秋シーズンに見れることを楽しみに待ちたいと思います。
 
 
 
 
《  THE NEW FACE 》
 
ニューフェースたちの声を紹介します。
 
FB 元田 翔太(1年)
熊本工業高校出身
身長177cm/体重87㎏
「自分はキックカウンターが得意です。ディフェンスでも体を張ったプレーをしますが、攻撃の方が得意だと思っています。体がまだできていないので体作りをすることと、キックの練習に力を入れています。高校時代、岩出監督から『帝京大学はラグビーだけじゃなく、人物を育てることに力を入れているよ』とうかがい、自分の人生がよくなる選択をしたいと思い、帝京大学に進むことに決めました。入ってみて、やはり規律がしっかりしていて、先輩方に教えてもらいながらですが、少しずつ成長できているのかなと思っています。少しでも早く上のチームに食い込んでいけるように練習をして、将来は大学選手権等で活躍できるプレーヤーになりたいです。」
 
No8 岩永 健太郎
長崎南山高校出身
身長171cm/95㎏
「アタックと相手を飛ばすプレーが得意です。ただ、ディフェンス面は自分の一つの課題で、ディフェンスで相手を弾き飛ばすプレーがしっかりできるようにと思って練習しています。入学前に高校時代の監督さんに『お前には帝京大学が合っている』と言われて、帝京大学に行きたいと思いました。まだ入学してから短い期間しか経っ ていませんが、自分の選択は間違っ ていなかったことを日々実感しています。まずは自分がやれることをしっかりやって、早く上のチームで試合に出られるように頑張ります。」
 
 
《  NEXT MATCH  》
 
第36回UTY招待ラグビー
筑波大学戦
5月18日(日)・山梨中銀スタジアム
13時キックオフ

(文/木村俊太)

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