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レポート
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第36回UTY招待ラグビー
2014/05/19
「第36回UTY招待ラグビー」
《帝京大学》
[FW]
【後半】【得点経過】
《 BRIEF REVIEW 》
2年ぶりとなるUTY招待ラグビー。山梨のテレビ局UTYで生放送される注目度の高い一戦だ。相手は対抗戦グループのライバル筑波大学。一昨年度の大学選手権決勝を戦った強敵だ。前半は互いに一進一退。PGで先制されるも、帝京が押し気味に試合を進める。しかし、相手の出足の速いディフェンスや自らのミスもあり、得点にまで至らない。逆にミスから切り替えされて、自陣ゴール前まで運ばれると、守りの時間帯となる。それでもFW、BK必死のディフェンスでゴールラインを割らせない。だが、前半終了間際に相手の個人技で持っていかれ、3-10とリードを許してハーフタイムとなった。ここで帝京はもう一度、うまくいかない原因を冷静に見つめ直すと同時に、激しさを出すための気持ちの切り替えを図った。この修正がうまくいき、後半は完全に帝京がゲームの流れを支配する。前半は見られなかったラックでのターンオーバーもあり、FB鎌田、両WTB磯田、尾崎に加え、大型ルーキーFB岡田、SO松田らが縦横無尽に走り抜け、立て続けに4トライを奪う猛攻。最後まで攻撃の手を緩めず、35-17で勝利した。
もともと運動量には定評がある。この日は28℃という暑さもあり、本人は運動量に満足していないようだが、ピンチを未然に防ぐプレーも随所に見られた。課題に挙げるパワープレーも、日々、ウエイトトレーニングに励み、今後の成長が見込まれる。パワーとスタミナ、さらに状況判断と、まだまだ伸びしろも十分。強みと課題が自身の中で明確になっているので、成長も早いはず。秋にはチームの中で重要な存在となっているかもしれない。レスリングで中学全国2位の経歴を持つ原石が、さらに輝きを増す。
《 COLUMN 》
《 NEXT MATCH 》
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
5月18日(日)・山梨中銀スタジアム
○帝京大学35-17筑波大学●
《帝京大学》
(1)森川⇒徳永(2)前田⇒坂手(3)東恩納⇒深村(4)飯野(5)町野(6)服部⇒小野(7)亀井(8)杉永
[BK]
(9)荒井⇒流(10)松田(11)磯田(12)森谷(13)濱野⇒山崎(14)尾崎(15)鎌田⇒岡田
《筑波大学》※先発のみ
[FW]
(1)橋本(2)村川(3)岸(4)目崎(5)伊吹(6)水上(7)奥山(8)山本
[BK]
(9)吉沢(10)松下(11)久内(12)野口(13)亀山(14)本村(15)山下
【前半】【得点経過】
【前半】【得点経過】
【3分】帝0-3筑
ペナルティからPGを決められる。
【15分】帝3-3筑
相手がスクラムでコラプシングの反則。SO松田がPGを決める。
【37分】帝3-10筑
相手ボールのスクラムからSHに抜け出され、走られてトライを奪われる。
【後半】【得点経過】
【5分】帝8-10筑
ターンオーバーからHO坂手が突破。ラックからSH流-FB鎌田と渡り、鎌田がディフェンスを次々とかわしてトライ。
【9分】帝13-10筑
ペナルティからSH流がクイック・リスタート。走り込んだWTB磯田へパスし、磯田が抜け出してトライ。
【14分】帝20-10筑
ラックからSH流-CTB森谷-CTB濱野-WTB尾崎と渡り、尾崎が抜け出してトライ。ゴール成功。
【21分】帝25-10筑
CTB森谷の突破。ラックになるもSH流-SO松田-CTB濱野-WTB磯田と渡り、磯田がトライ。
【25分】帝25-17筑
ノックオンしたボールをうまく拾われ、攻められて、トライを奪われる。
【37分】帝30-17筑
CTB森谷が突破。ラックになるも、SH流-CTB山崎-FB岡田と渡り、岡田がトライ。
【42分】帝35-17筑
SH流が仕掛けて大きく前進。ラックからLO飯野-CTB山崎-HO坂手-SO松田と渡り、松田がトライ。
《 BRIEF REVIEW 》
2年ぶりとなるUTY招待ラグビー。山梨のテレビ局UTYで生放送される注目度の高い一戦だ。相手は対抗戦グループのライバル筑波大学。一昨年度の大学選手権決勝を戦った強敵だ。前半は互いに一進一退。PGで先制されるも、帝京が押し気味に試合を進める。しかし、相手の出足の速いディフェンスや自らのミスもあり、得点にまで至らない。逆にミスから切り替えされて、自陣ゴール前まで運ばれると、守りの時間帯となる。それでもFW、BK必死のディフェンスでゴールラインを割らせない。だが、前半終了間際に相手の個人技で持っていかれ、3-10とリードを許してハーフタイムとなった。ここで帝京はもう一度、うまくいかない原因を冷静に見つめ直すと同時に、激しさを出すための気持ちの切り替えを図った。この修正がうまくいき、後半は完全に帝京がゲームの流れを支配する。前半は見られなかったラックでのターンオーバーもあり、FB鎌田、両WTB磯田、尾崎に加え、大型ルーキーFB岡田、SO松田らが縦横無尽に走り抜け、立て続けに4トライを奪う猛攻。最後まで攻撃の手を緩めず、35-17で勝利した。
《 AFTER MATCH SAY 》
■岩出 雅之監督
「まずは、2年ぶりにご招待いただいたUTYならびにスポンサーの皆様、山梨県ラグビー協会の皆様、当日の運営にご協力いただいた皆様、キッズエスコートに参加してくださったお子さんたちならびに保護者の皆様に感謝申し上げます。こうしたすばらしい舞台で試合をさせていただき、選手たちにとってもいい経験になったことと思います。今日は、心技体のコンディションをしっかりするということを、もう一度、具体的に考えることができるゲームになったと思います。マイナスに考えるのではなく、みんながどう気付いて、どう考えていくかという問いかけを試合の直後にもしましたが、そうした点でも学ぶべきところが多かった試合になりました。ゲーム自体を大切にするという原点を彼ら自身が理解できたとき、もっともっと成長できることでしょう。今日の前半のようにうまくいかないときに、具体的にどう対応するかが大切なので、各自もう一度、しっかり考えて、学んでほしいと思います。反省というよりも、次へ
向けての修正が彼ら自身でできるかどうかが大事なので、その点を期待します。遠征が続きますが、ゲーム自体もよりいいグラウンドで、いい環境でやらせていただけますし、試合前日までのコンディションと試合当日のコンディション、そしてゲームの中でのコンディションを学べるいい機会になると思っています。」
■キャプテン・SH 流 大(4年)
「前半、後半を通じて、少し帝京大の甘さが出た試合だったと思います。特に前半はベンチから『なにか噛み合っていない』と感じながら見ていたのですが、みんながちょっとネガティブになっているように見えました。自分が出たときには、『もっとポジティブに、これまでのことを引きずらないで次に向かっていこう』と話しました。一つ一つのミスや問題に対して、自分たち自身が話をして解決するということが後半に少しずつできたので、そこが後半のスコアにつながったのかなと思っています。遠征が続きますが、まずは次戦の立命館大学戦に向けてしっかり準備して、さらに再来週のトップリーグ、豊田自動織機戦にもチャレンジしていきたいです。」
■フィールドプレーで体を張って前に出続けた・PR 森川 由起乙(4年)
「前回の試合に続いて、前半の40分を自分たちでコントロールできず、いいテンポに持っていくことができませんでした。しんどいとき、苦しい時間帯に自分たちで、ややネガティブになってしまいました。その流れを変えるような声掛けができないなど、コミュニケーション能力がまだまだ足りなかったのだと思いますが、いい課題をいただいたと思っています。次に向けて修正していきたいですが、監督、コーチから言われて修正するのではなく、自分たちでそこを変えていける力をつけなければいけないと実感しています。ただ良い部分もたくさんありますし、ポジティブに考えています。今日は、後半からスイッチが入った感じですが、前半から出る15人がしっかりゲームの流れを作っていけば、前半から帝京の形が出て、もっといいゲームができると思います。」
■スクラムを安定させるもさらに高いレベルを目指す・PR 東恩納 寛太(4年)
「前半の立ち上がりが大きな課題だったのですが、筑波大学さんのブレイクダウンに受けてしまって、スローテンポにさせられ、そこからミスをしてしまったり、ボールを取られたりといったことが多くなってしまいました。前半の最後ぐらいからテンポもよくなり、後半はよくなったと思います。スクラムに関しては、相手にプレッシャーを与えてターンオーバーするところまではまだできていないので、次からはそこをもっと意識して、8人でまとまってしっかり押して、FWからいいテンポで流れを作っていけるようなゲームにしたいと思います。」
■ゲームメイクの更なるスキルアップを誓った・SH 荒井 康植(3年)
「相手が強豪チームということで、スタートから出られることに対して、自信をもってポジティブに行こうと思って臨んだのですが、前半、自分がコントロールしなければいけないFW陣にいいテンポを作ってあげられなくて、トライを取ることができませんでした。うまくいかないときこそ、余裕を持たなければと思いました。テンポを作るためにも、自分がしっかりゲームメイクしなければいけないということを改めて学ばせてもらった試合になりました。これから、このFWのコントロールを重点的に練習していきたいです。」
■新たなポジションながら2トライに絡む活躍・CTB 山崎 雄希(4年)
「後半の残り10分というところからの出場でしたが、自分が出ることでみんなが前に出られるように、チームに活気を与えられるようにと思ってプレーしました。普段はSOですが、試合前に『CTBで出るかもしれないので、ディフェンスをしっかりやるように』と言われていました。今日はチームのテンポがよくなった時間帯で出させてもらえたのですが、停滞しているときでも前に出られるいい判断ができるプレーをしたいです。これからもしっかり努力して、Aチームで出て、チームに貢献できるように頑張ります。」
《 PICK UP PLAYERS 》
走る!当たる!運動量と激しさで急成長中!
FL 服部 航介(3年)
HATTORI KOSUKE
1993年6月4日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長181cm/90kg
和歌山工業高校出身
■久しぶりの先発出場でしたが、振り返って感想を聞かせてください。
「筑波大学さんはブレイクダウンにかけてくるので、それに負けないように、しっかり越えていってテンポを作れるようにと意識して臨んだのですが、自分としてはそのブレイクダウンのところで越えていくプレーができていなかったので、そこは反省点です。」
■後半は、入りのところからいいテンポでできていたように見えました。
「はい。でも、前の試合でも前半の入りのところがあまりよくなかったので、今日は前半の入りを大事にしようと言って臨んだのですが、そこはうまくいきませんでした。」
■ブレイクダウン以外で意識したのはどんな点でしょうか。
「FLとして、タックルと運動量ですね。とにかく、人よりも走って、しっかりポイントに入ることを意識しました。」
■そこはかなりよかったように思いますが、自己評価はいかがですか。
「暑さもあって、走れていない時間帯があったので、次からはもっと走りたいです。」
■普段の練習で、特に力を入れて取り組んでいることはありますか。
「タックル後のリアクションを素早くして、相手のボールに早くプレッシャーを掛けることを意識して練習しています。」
■自身の強みはどんなところでしょうか。
「『走る』ところです。走ることが自分の強みなので、そこを伸ばして、生かしていきたいと思います。」
■では、今後の目標を聞かせてください。
「もっとブレイクダウンで力強いプレーができて、かつ人よりも走れるFLになります。」
《 COLUMN 》
――FW第一列の取り組み――
FW第一列が今、力を入れているのはやはり「スクラム」。皆「まだまだこれから」と話すものの、具体的にさまざまな取り組みがなされているようです。PR東恩納はこう語ります。
「8人でまとまって低く組むための練習をやっています。」
PR森川はこう教えてくれました。
「1番と2番、2番と3番というように、ミニユニットでの基本を確認してから8人で組むようにしています。まずはミニユニットでしっかりやろうということです。フロントロー(FW第一列)が割れないように、相手にコントロールされないようにするためには僕らのコネクトが大事になるので、そこを重点的に取り組んでいます。」
そして、二人が口を揃えるのは「相馬朋和コーチの存在」です。
帝京大学OBで、昨シーズン、パナソニック・ワイルドナイツでの活躍を最後に現役を引退し、コーチとなりました。パナソニックのコーチですが、時間の許す限り、帝京大学ラグビー部にもスポットコーチとして指導してくれています。
相馬コーチに、自身の選手たちへの影響力について聞いてみると、笑いながらこう語ってくれました。
「僕の存在が大きい? まだ、何もしていませんよ(笑)。今はお互いにチャレンジし合っている状態です。選手たちは『あの人、どんなことを言うんだろう』、僕は『君たちはどんなスクラムが組めるのかな』と。ただ、そういう緊張感を含めて、意識が変わったという表現はできるのかもしれませんね。」
相馬コーチが考える、目指すべき帝京大学のスクラムとは「誰が見てもはっきりと勝っているとわかるスクラム」だと言います。
「『今のスクラム、勝ったの? 負けたの?』というよくわからないスクラムではなく、『さすが帝京のスクラムはすごい』と万人がわかるスクラムを組むこと。それができる選手たちを育てたいですね。出したいときにボールが出せて、取りたいときに取り返せる。そこまでたどり着きたいです。」
岩出監督は相馬コーチのコーチとしての成長にも期待を寄せています。「彼自身が成長してくれれば、帝京の選手たちにとっても、チームにとっても、相馬コーチ自身にとっても、そしてパナソニックにとってもいい形になり、すべてがWin-Winの関係になれます。そのためにも、選手たちが成果を出してくれることを期待したいですね。」
最後に、相馬コーチに「『今後のスクラムの成長に期待してください』と書いてもいいですか」と尋ねたところ、引き締まった顔つきになり、こう言ってくれました。
「その期待に応えていけなければいけないと思っています。まだコーチになってほんの2週間。大きなことは言えませんが、自身の経験はどんどん伝えていきたいですし、それが選手の成長につながると信じています。ファンの皆様にはぜひ、期待を持って見守っていただきたいですね。」
笑顔から一変したその真剣な表情から、自信と決意が伝わってきました。
スクラムはある日突然、強くなるものではないでしょう。しかし、FW第一列の選手たちは、地道な努力を一歩一歩重ねています。その一歩一歩が、シーズンの深まりとともに大きな成果となるはずです。
《 THE NEW FACE 》
ニューフェースたちの声を紹介します。
PR 堀越 康介(1年)
桐蔭学園高校出身
身長174cm/体重100㎏
「ボールを持ってラインブレイクしたり、とにかく走り続けるというのが自分のプレーの特徴です。今はPRをやっていますが、将来的にはHOもやっていきたいと思い、スローの練習も頑張っています。帝京大学ラグビー部は一生懸命やれば強くなれる環境があると聞きましたし、また、人間としても成長できると聞き、選択しました。わからないことを先輩方に質問しても、とても親身になって教えてくださるなど、思っていた以上にすばらしいところです。1年生からレギュラーを目指せるように頑張ります。もっと体を大きくして、ケガをしない体になっていきたいです。」
第43回 京都ラグビー祭
5月25日(日)・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
14時キックオフ
14時キックオフ
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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