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第43回京都ラグビー祭
2014/05/27
「第43回京都ラグビー祭」
《帝京大学》
[FW]
【後半】【得点経過】
《 BRIEF REVIEW 》
西京極総合運動公園で行われた京都ラグビー祭。対戦相手は昨季、関西リーグ1位の立命館大学。ここ数年「打倒帝京」を声高に目標に掲げる関西の強豪だ。帝京は開始6分であっさり先制するものの、その後は暑さ、そして大勢の観客で埋まったスタジアムの緊張感、さらには相手の必死のディフェンスもあり、攻め続けながらもミスでチャンスを潰す展開が続く。だがミスから攻め込まれるシーンもあるが、PR森川、HO坂手、WTB岡田らのナイスタックルで防ぐ。守りで激しさを出すと、攻めにもリズムが生まれる。初先発のSO金村らの思い切りのいい仕掛けからの前進や、ピンチのシーンでのターンオーバーから一気にトライに持っていくなど、その後は着実に加点し、前半を29-0で折り返す。ハーフタイムには岩出監督から「ゲームの勝敗ではなく、ワンプレーワンプレーにこそ価値がある。暑さでしんどくてもワンプレーに集中しよう」と声がかかる。後半は、得点こそ伸びないものの、安定した戦いが続く。初出場のFL高橋、CTB石垣らもいい動きを見せる。久々の出場となったSO金田、SH岩本らも落ち着いたプレーを見せ、帝京は後半も相手に得点を許さず、48-0で勝利した。
もともとCTBだったが、岩出監督の「あの思い切りのよさはSOでこそ生きる」との見立てで、SOにコンバート。Bチームの試合ですぐに結果を出し、今回の遠征では先発出場となった。岩出監督は「彼はまだまだこれからです。これまでは褒めて育てる段階でしたが、これからは自分で成長していく段階へと移っていくでしょう。今日もけっして悪くありませんでしたが、もっと高いレベルのスタンダートにチャレンジしてほしいです」と語る。SOとしてのゲームコントロールのスキルを向上させていくことで、今後、大きな成長が期待できる。新星がまた一つ、光を放ち始めた。
《 COLUMN 》
《 NEXT MATCH 》
(文/木村俊太)
5月25日(日)・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場
○帝京大学48-0立命館大学●
《帝京大学》
(1)森川(2)坂手(3)深村⇒浅堀(4)飯野⇒町野(5)金(6)イラウア⇒高橋(7)杉永(8)河口⇒東恩納
[BK]
(9)流⇒岩本(10)金村⇒金田(11)磯田(12)森谷(13)濱野⇒石垣(14)岡田⇒鎌田(15)尾崎
《立命館大学》※先発のみ
[FW]
(1)後藤(2)高島(3)西村(4)川上(5)西澤(6)小原(7)萩原(8)中村
[BK]
(9)三輪(10)宗像(11)蔵田(12)市原(13)宮本(14)三島(15)宮田
【前半】【得点経過】
【前半】【得点経過】
【6分】帝5-0立
SO金村が前進。つかまってラックになるも、SH流-CTB森谷と渡り、森谷が抜け出す。さらにWTB磯田へとパスし、磯田が左隅にトライ。
【13分】帝10-0立
ラインアウトからFWで連続攻撃。最後はLO飯野が押し込んでトライ。
【19分】帝17-0立
ラックでターンオーバー。磯田が抜け出し、独走してトライ。ゴール成功。
【26分】帝24-0立
FWで連続攻撃。CTB濱野が縦に切れ込んで突破し、ラックになると再度FWで前へ。最後はHO坂手が押さえてトライ。ゴール成功。
【32分】帝29-0立
攻め込まれたところからターンオーバー。SH流-WTB岡田と渡り、岡田が前進。フォローした流にパスし、さらにLO飯野へパス。飯野が抜け出す。ゴール前でつかまるも、WTB磯田へパスし、磯田がトライ。
【後半】【得点経過】
【17分】帝34-0立
ラックからSH流-SO金田へとパス。さらにWTBに回った尾崎へとパスが渡り、尾崎が抜け出す。そのまま走り切ってトライ。
【27分】帝41-0立
ラインアウトから連続攻撃。最後はCTB森谷からPR森川へとパスが渡り、森川が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
【30分】帝48-0立
ラックでターンオーバー。SH流からHO坂手へとパス。さらにWTB磯田へとパスが渡り、磯田が走り切ってトライ。ゴール成功。
《 BRIEF REVIEW 》
西京極総合運動公園で行われた京都ラグビー祭。対戦相手は昨季、関西リーグ1位の立命館大学。ここ数年「打倒帝京」を声高に目標に掲げる関西の強豪だ。帝京は開始6分であっさり先制するものの、その後は暑さ、そして大勢の観客で埋まったスタジアムの緊張感、さらには相手の必死のディフェンスもあり、攻め続けながらもミスでチャンスを潰す展開が続く。だがミスから攻め込まれるシーンもあるが、PR森川、HO坂手、WTB岡田らのナイスタックルで防ぐ。守りで激しさを出すと、攻めにもリズムが生まれる。初先発のSO金村らの思い切りのいい仕掛けからの前進や、ピンチのシーンでのターンオーバーから一気にトライに持っていくなど、その後は着実に加点し、前半を29-0で折り返す。ハーフタイムには岩出監督から「ゲームの勝敗ではなく、ワンプレーワンプレーにこそ価値がある。暑さでしんどくてもワンプレーに集中しよう」と声がかかる。後半は、得点こそ伸びないものの、安定した戦いが続く。初出場のFL高橋、CTB石垣らもいい動きを見せる。久々の出場となったSO金田、SH岩本らも落ち着いたプレーを見せ、帝京は後半も相手に得点を許さず、48-0で勝利した。
《 AFTER MATCH SAY 》
■岩出 雅之監督
「今日は試合前とハーフタイムに『ゲームの価値を自分たちで作っていこう』という話をしました。どの試合においても、自分たちの目指すものに対してチャレンジしていこうといことです。勝ち負けだけに価値を置いてしまうと、今日のようなコンディションでは暑さに負けて、甘さが出てしまいます。ゲームの中での自分たちのイメージに対して、しっかりと挑戦していってほしいと言って送り出しました。また、今日はAチームでの試合が初めて、あるいは久しぶりというメンバーも多くいました。彼らにはここをターニングポイントとして、今後、大きく成長してくれることを期待しています。地元出身の選手も何人もいましたが、彼らには家族や知人に自身のプレーを見てもらいたいという、気持ちの上での原点を思い出してくれたら、これからも努力し続けるモチベーションになるのではないかと思っています。最後になりましたが、立命館大学の選手、関係者の皆様、ご招待いただいた京都府ラグビー協会の皆様、キッズエスコートをしてくれた子どもさんならびに保護者の皆様、そしていっぱいのスタンドで観戦してくださった皆様に感謝申し上げます。すばらしい環境でラグビーをさせていただき、ありがとうございました。」
■キャプテン・SH 流 大(4年)
「試合前、今日の勝ち負けだけではなく、自分たちが目指す『V6』『打倒トップリーグ』に向けてチャレンジしていこうと言って臨みました。ただ、暑さもあって、甘さが出てしまい、ミスが多いゲームになってしまいました。また、今日はAチームが初めてというメンバーも何人かいましたが、誰が出ても帝京のAチームのスタンダードを崩さないプレーをしようと言いました。特に一緒にハーフ団を組んだSOの金村をしっかりカバーするのも自分の役割だと思ったので、コミュニケーションを多く取るように心掛けました。自分自身はジャパンとチームを往復するような形になっていますが、ジャパンで学んだことをチームに還元できるようにしていきたいです。次戦は春の一つのターゲットとしている、トップリーグの豊田自動織機さんとの戦いですが、『打倒トップリーグ』という目標を成し遂げる上で非常に大事な試合になると思います。今日の反省も含めて、いい準備をして、しっかり勝ちに行きたいと思います。」
■随所に激しさを見せ、走り回った・LO 飯野 晃司(2年)
「今日は、元気という部分ではいつもどおり声を出していこうと思っていましたが、試合前に岩出監督から『ただ声を出すだけではなく、何を話すかをしっかり考えてから声を出すように』と言われていたので、その点も意識して臨みました。しゃべることに関してはできていたと思うのですが、逆に考えすぎて動きが硬くなった場面もあったので、そこは修正して、より深く考えつつしっかり走れるようにして、次に臨みたいと思います。来週は地元愛知での試合なので、自分のやるべきことを明確にして、まずはメンバーに選ばれるように頑張って、選ばれたら自分の強みである元気のよさとハードワークを前面に出して、応援してくれる地元の人たちの期待に応えられるプレーをしたいと思います。」
■ラインアウトの核となり活躍・LO 金 嶺志(2年)
「今日はミスを減らして、前半の入りをよくしようと言って臨みました。ただ、前半から細かいミスが出てしまって、立ち上がりはあまりよくありませんでした。後半は、スコアはそれほど伸びませんでしたが、気持ちの修正ができて、プレー面にもそれが出ていてよかったと思います。次はトップリーグが相手。今日のような入りでは勝てないと思うので、前半の入りの部分を意識してやっていきたいです。あとはミスをなくすことと、パニックにならずに落ち着いたプレーをして、しっかりチームに貢献できるように頑張りたいと思います。」
■キレのあるランで何度もラインブレイクした・CTB 森谷 圭介(3年)
「今日はゲーム前から、キックを使ったエリアマネジメント、ゲームコントロールを意識してやろうとチーム全体で確認して臨みました。いい判断ができたところもありましたが、ランに頼ってしまった部分も多く、もっとチームのバランスを考えたプレー選択ができるようにしっかり修正したいです。今日出た課題をチーム全体で共有して、チームとしてレベルアップできるように、また個人としても改善点を自分の中で明確にして、しっかり準備をして、来週の豊田自動織機さんにいいチャレンジができるように頑張りたいと思います。」
《 PICK UP PLAYERS 》
思い切りのよさを買われてCTBからSOへとコンバート
SO 金村 良祐(2年)
KANEMURA RYOSUKE
1993年6月26日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長176cm/85kg
常翔啓光学園高校出身
■Aチーム初出場でしたが、試合を振り返っての感想を聞かせてください。
「ちょっと緊張もあって、自分で持っていく場面が多くなってしまったと思います。パスと自分で持っていくプレーとの使い分けをもっとしっかりやっていきたいです。」
■自分で持っていく思い切りのよさは出せたのではないですか。
「まだまだ周りの人たちに引っ張ってもらっているので、自分から指示を出したり、ゲームメイクなどができるようにしたいです。冷静に判断できるように、これからの練習や試合で積み上げていって、SOとして落ち着いたプレーができるようにしたいです。」
■もともとはCTBで、最近SOにコンバートされたんですね。
「はい。両方できるように今はSOの勉強をしっかりやっています。」
■CTBとSOとでは、やはりやるべきことが大きく違うのでしょうか。
「似ているところもありますが、SOはボールに触る機会が多いですし、CTBと違ったもらい方、仕掛け方があって、その中でパスをうまく使っていくという感じです。仕掛けとパスの使い分けがもう少しうまくできたらと思っています。」
■SOとして期待されていることはどんなことだと認識していますか。
「僕の強みは仕掛けてどんどん前に出ていくことなので、そこを期待されていると思っています。岩出監督にも、仕掛けに関しては『思い切って行きなさい。そのあとは周りがカバーしてくれるから』と言っていただいているので、今日は思い切り行けたと思います。」
■手応えを感じられたゲームになったのですね。
「思い切りという部分に関してはそうですね。ただ、ゲームコントロールなどの部分はまだまだです」
■では、今後への意気込みを聞かせてください。
「これからもAチームで出られるように、SOのスキルを上げ、もっと勉強して、周りに引っ張られるのではなく、自分でゲームコントロールができるようになりたいと思います。」
《 COLUMN 》
――ロック陣の取り組み――
今、LO陣は「セットプレーの安定」に力を入れています。セットプレーには、スクラム、ラインアウト、キックオフの3つがありますが、どのプレーにおいてもLOの役割は大きなものがあります。
中でもラインアウトはまさにLOの腕の見せ所。帝京LO陣も、ラインアウトの安定、獲得率向上に力を入れて取り組んでいます。
この日、80分間フル出場し、ラインアウトの要となって活躍したLO金はこう語ります。
「ラインアウトでは、相手よりも早く動くことや、リフトの精度、ジャンプした時の空中での姿勢やデリバリーなど、この時期から細かいところまでしっかりと取り組んでいます。」
また、今年度からLO出身のV1戦士、福田敏克コーチも加わり、選手に近い立場で指導を行っています。福田コーチはこう話します。
「今は選手たちと一緒にビデオをチェックして、彼らといろいろとディスカッションするという取り組みを中心にやっています。外で見ていた僕の意見、彼らが中で判断したこと、それらをビデオを見ながらすり合わせて、こういう部分が足りないねということを共有することで、我々の問題点を明確にしています。パナソニックから相馬コーチも来てくれて、トップリーグの考え方も取り入れられますし、僕が学生の頃からコーチをしてくださっている古田コーチは帝京が代々受け継いできた考え方を教えてくれます。」
また、先週の試合直後、福田コーチと相馬コーチがLOの選手をリフトアップして、細かい確認をしていました。
「試合直後というのは一番ホットな状態で、そのホットな状態で思うことをまず整理して、次に時間を置いてクールな状態になったときにビデオを客観的に見て思うことを整理して、そのギャップを埋める作業というのがとても大事なんですね。あの時は、問題だと思ったことが相馬コーチといっしょだったので、それでホットな状態でのチェックができて、今度は時間を置いて机の上で学生と一緒に客観的に確認して、打つ手はこうだねというのを共有しました。常に、一方通行にならないように、お互いに共有することを意識しています。」
さまざまな考え方をぶつけ合って、さらには時間を置いて問題点をはっきりさせて、その解決を図る。とことんまで話し合って出たものなので、選手自身も何をすればいいのかが明確になります。
LO飯野はこう話します。
「コーチと話をしますが、自分たちでもっとこうしたらいいとセルフコーチングができるように、考えを深めながらやっています。」
指示を仰ぐのではなく、選手自身で考えて、自分たちで取り組んでいく。コーチはあくまでもその手助けをする役目だということです。受け身では監督やコーチの指示なしでは成長できませんが、セルフコーチングができれば、指示がなくても、自分でどんどんと成長していくことができます。
「トップリーグに勝つようなラインアウトが急にできるようになるわけではありませんが、しっかり土を耕して、種をまいて、ということを学生と一緒にやっています。」(福田コーチ)
ラインアウトもスクラムと同様、一朝一夕に結果が出るものではありませんが、取り組みは着実に積み上げられているのです。
《 THE NEW FACE 》
ニューフェースたちの声を紹介します。
WTB 尾崎 晟也(1年)
伏見工業高校出身
身長174cm/体重81㎏
「相手を抜くときのキレとか、まともに当たらずに半歩ずらすといった、かわしながら前に出ることを意識してプレーしています。今、取り組んでいるのはフィットネスともっとスピードを付けるところです。帝京大学を選んだ理由は、まず日本一になりたいということと、こうした強い選手がたくさんいる中でお互い高め合って、自分も負けないようにレベルアップできる環境があると思ったからです。強い選手、うまい選手から学んで、もっともっと成長していきたいです。」
名古屋市ラグビー祭
対 豊田自動織機シャトルズ(http://www.toyota-shokki.co.jp/sports/rugby/)
6月1日(日)・瑞穂公園ラグビー場
14時キックオフ
14時キックオフ
(文/木村俊太)
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