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名古屋市ラグビー祭 豊田自動織機シャトルズ戦
2014/06/03
「名古屋市ラグビー祭 対豊田自動織機シャトルズ戦」
《帝京大学》
[FW]
【後半】【得点経過】
《 BRIEF REVIEW 》
トップリーグの豊田自動織機シャトルズとの対戦。「打倒トップリーグ」を掲げる帝京にとって、この時期としての一つの試金石となるゲームだ。しかし、この日の名古屋は最高気温34.9度という真夏並みの暑さ。10分ごとにウォーターブレイクが取られるなど、厳しいコンディションでの戦いとなった。立ち上がりはトップリーグの圧力を受け、先制を許してしまうが、これでかえって落ち着きを取り戻した選手たちは修正点をしっかりと見極め、冷静に対応すると、ここからは帝京の時間帯になる。まさにFW、BKが一体となった帝京らしい攻撃を見せ、また相手の厳しい攻撃に対しても、全員が果敢にタックルして防ぐ。HO坂手らの前に出るディフェンスに皆が刺激を受けたかのように、大きく、強い相手に対してひるむことなく突き刺さっていく。前半は35-14と大きくリードして折り返した。後半も帝京は攻守ともに気持ちの入ったプレーを見せる。特に攻撃ではCTB森谷が起点となって抜け出す場面が多く見られた。10分過ぎからは帝京が相手ゴール前で攻め続ける。二度三度とインゴールに入るも、グラウンディングできずに5mスクラムが繰り返される。相手のペナルティも増え、24分にはこの日7つ目のトライを奪う。その後、攻められる時間帯もあるが、全員の組織的なディフェンスで止め続ける。最後まで気持ちを切らさず、45-28で勝利した。
高い身長を生かしてラインアウトの核として活躍しているが、この日は、うまくキャッチしたあとに空中でボールに絡まれるなど、学生相手ではあまりできない貴重な経験をすることができた。本人は反省しきりだが、岩出監督も「いい経験ができた」と評価し、またプレーぶりを総合的に判断して、ゲームMVPに選出した。もともと激しさには定評がある。それに冷静な判断力とディフェンスでの思い切りのよさが備わることで、さらなる成長を遂げてくれるだろう。
《 COLUMN 》
《 NEXT MATCH 》
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
6月1日(日)・瑞穂公園ラグビー場
○帝京大学45-28豊田自動織機シャトルズ●
《帝京大学》
(1)森川⇒東恩納(2)坂手(3)深村⇒浅堀(4)金(5)町野⇒飯野(6)イラウア⇒服部(7)杉永(8)河口⇒亀井
[BK]
(9)流⇒伊藤(10)松田(11)磯田⇒永野(12)金村⇒金田(13)森谷(14)尾崎⇒岡田(15)鎌田⇒濱野
《豊田自動織機シャトルズ》※先発のみ
[FW]
(1)浪岡(2)鈴木(3)五十嵐(4)長谷川(5)今村(6)ラウリー(7)コリ(8)
[BK]
(9)下平(10)森田(11)松井(12)大橋(13)テアウパ(14)赤石(15)大居
【前半】【得点経過】
【前半】【得点経過】
【3分】帝0-7豊
フリーキックから連続で攻められ、トライを奪われる。
【6分】帝7-7豊
CTB森谷が前進。ラックになるも、SH流-PR森川-HO坂手-FLイラウアとパスでつないで、イラウアが抜け出し、トライ。ゴール成功。
【12分】帝14-7豊
相手のノックオンしたボールをCTB森谷が拾い、自陣からそのまま走り切ってトライ。ゴール成功。
【18分】帝21-7豊
相手のペナルティから、SH流がタップキック。CTB森谷への長いパスがつながり、さらにWTB尾崎へパスし、尾崎が抜け出してトライ。ゴール成功。
【29分】帝28-7豊
ラインアウトをLO金がきれいにキャッチし、SH流へ。流からパスを受けたSO松田が抜け出す。さらに後ろから走り込んだFLイラウアへとパスし、イラウアがトライ。ゴール成功。
【35分】帝28-14豊
ラインアウトから展開され、一度は止めるもののFWで前に出られてトライを奪われる。
【39分】帝35-14豊
LO金が抜け出し、大きく前進。サポートしていたWTB磯田へとパスし、磯田が相手ディフェンスを次々とかわしてトライ。ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【2分】帝35-21豊
相手のBKに個人技で持っていかれて、トライを奪われる。
【5分】帝40-21豊
ラックからSH流-CTB森谷とパスが渡り、森谷が抜け出す。さらにWTB磯田へパスし、磯田が走り切ってトライ。
【9分】帝40-28豊
マイボールのラインアウトを奪われ、攻められ、トライを奪われる。
【24分】帝45-28豊
相手のペナルティからSH流がクイック・リスタート。CTB森谷へとパスし、森谷が抜け出してトライ。
《 BRIEF REVIEW 》
トップリーグの豊田自動織機シャトルズとの対戦。「打倒トップリーグ」を掲げる帝京にとって、この時期としての一つの試金石となるゲームだ。しかし、この日の名古屋は最高気温34.9度という真夏並みの暑さ。10分ごとにウォーターブレイクが取られるなど、厳しいコンディションでの戦いとなった。立ち上がりはトップリーグの圧力を受け、先制を許してしまうが、これでかえって落ち着きを取り戻した選手たちは修正点をしっかりと見極め、冷静に対応すると、ここからは帝京の時間帯になる。まさにFW、BKが一体となった帝京らしい攻撃を見せ、また相手の厳しい攻撃に対しても、全員が果敢にタックルして防ぐ。HO坂手らの前に出るディフェンスに皆が刺激を受けたかのように、大きく、強い相手に対してひるむことなく突き刺さっていく。前半は35-14と大きくリードして折り返した。後半も帝京は攻守ともに気持ちの入ったプレーを見せる。特に攻撃ではCTB森谷が起点となって抜け出す場面が多く見られた。10分過ぎからは帝京が相手ゴール前で攻め続ける。二度三度とインゴールに入るも、グラウンディングできずに5mスクラムが繰り返される。相手のペナルティも増え、24分にはこの日7つ目のトライを奪う。その後、攻められる時間帯もあるが、全員の組織的なディフェンスで止め続ける。最後まで気持ちを切らさず、45-28で勝利した。
《 AFTER MATCH SAY 》
■岩出 雅之監督
「今日は4月、5月と積み上げてきたものを、トップリーグのチームの胸を借りて、引き締まった形で出してくれたと思います。ただ、ここで満足したり、慢心したりすることなく、自分たちの目指すところへ一歩一歩チャレンジしていってほしいと思っています。今日は学生たちに対して私の方から気合を入れるような言葉は特に言いませんでした。学生が自分たちで気持ちをコントロールして、充実した中で生まれる自信を得たのではないかと思います。結果や試合内容から得られる自信ももちろんですが、今日はそうした自分たちでの気持ちのコントロールという部分で自信を得られたことが一番の収穫だったように思います。昨日のミーティングでも、『明日は自然と気合いが入るだろうから、今日はリラックスしていこう』と話したほどです。我々コーチングスタッフが彼らの気持ちを整えたりするのではなく、目標に向かって自分たちで燃えて行って、その中で冷静さと我慢強さ、しぶとさを持った勇ましさを発揮してくれました。最後になりましたが、こうしたすばらしい舞台をご用意してくださった豊田自動織機シャトルズおよびお手伝いくださった関係者の皆様、そして最後まで厳しい戦いをしてくださった選手の皆様に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。」■キャプテン・SH 流 大(4年)
「試合全体を通して、みんなで気持ちの入ったプレーが80分間できたことに関してはよかったと思います。暑さはありましたが、それは相手も一緒ですし、そこは頭から離して、プレーに集中しようとアップの前から話をして臨みました。気持ちの部分では今日の朝に集まったときから、一人一人が集中しているなと感じていたので、僕が特に何も言うことなく、みんな集中し切れていたと思います。今日は特にFWが本当に頑張ってくれました。スクラム、ラインアウトともに、アタックでもディフェンスでもいいプレッシャーを掛け続けることができていました。今日、トップリーグと対戦できたことで、一つの基準を体感することができましたが、けっして慢心することなく、さらに上を目指して頑張りたいと思います。」
■いつもどおりの激しさを出し、攻守に活躍・FL杉永亮太(4年)
「このところのゲームで、前半の20分の入りがよくなかったので、今日は最初のスタートを大事にしようと言って臨みました。先制トライをされてしまいましたが、今日はみんながターゲットとしているトップリーグ相手ということで、落ち着いて反省点を次につなげて、流れに乗ることができたと思います。春シーズンも終盤になってきましたが、これまでやってきたことを出し切って、メンバーもメンバー外も全員がいい春シーズンを過ごせたと思えるように、そして次のシーズンへのいいスタートが切れたと思えるように、残りのゲームも一戦一戦大事に戦っていきたいと思います。」
■落ち着いたプレーでFW陣を牽引・No8河口駿(4年)
「チームとして、まずスタートのところから一気に一番いいテンションに持っていって、入りをよくするという目標を持って臨みました。最初は相手にトライを取られてしまいましたが、しっかり立て直すことができたので、そこはよかったと思います。今後は相手に先に取られず、しっかり自分たちのリズムを作っていくために、自分がチームを引っ張っていけるようにしたいと思います。まずは入りの20分。そして、セットプレーを安定させて、しっかりと戦っていきたいと思います。」
■圧力のかかるラックでも安定した球さばきを見せた・SH伊藤玖祥(3年)
「毎週のようにトップリーグとの合同練習をしている中で、自分たちの通用する部分、足りない部分を見極める体験をさせていただく機会が多く、今日もいいところ、厳しかったところの両方がありましたが、トップリーグとの合同練習の成果が出たところもたくさんありました。FW陣も当たり慣れてきた部分もあり、厳しいプレッシャーの中でもしっかり戦えていたと思います。今シーズンはSOとして出ることもありますが、SHにしてもSOにしてもボールを触る機会が多いポジションなので、しっかり練習して、チームコントロール、マネジメントができるようになっていきたいです。」
■CTBとして安定したプレーを見せた・CTB金田瑛司(3年)
「今季は打倒トップリーグということで、今日はそこに対して、チームとしても個人としてもどれだけ通用するかを見極めるための準備をして臨んだつもりです。そのおかげで、いいマインドで臨むことができたと思います。この春シーズン、社会人の方と一緒に合同練習をさせていただいている経験が今日も生きて、以前ほど社会人に対する緊張を感じることはなくなっています。今季はSOとCTBの両方をやりますので、どちらの準備もしています。自分はこれまで長いケガがあったのですが、まずはコンディションをベストの状態に持っていって、チームの中での責任を果たして、貢献して、サポートしてくださった方々のためにもさらに高い基準に対して努力していきたいと思っています。」
《 PICK UP PLAYERS 》
トップリーグ相手にいい経験を得た
LO 金 嶺志(2年・ゲームMVP)
KIM RYONGJI
1994年8月26日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
身長191cm/101kg
東京朝鮮高級学校出身
■まずは、今日のゲームについて振り返って感想を聞かせてください。
「今日もセットプレーの安定をテーマに臨んだのですが、相手に絡まれてしまったり、細かなミスがあったので、次に向けて修正していかなければいけないと思いました。
■空中でボールに絡んでくる等、学生レベルではなかなかない経験ができたのではないでしょうか。
「はい。とてもいい経験になりました。」
■フィールドプレーでのトップリーグの感触はどうでしたか。
「コンタクトは学生と違って強かったです。それでも通用した部分も多かったので、よかったです。」
■Aチームで出続けていますが、自身ではどういう部分を期待されていると分析していますか。
「自分の強みはラインアウトやキックオフのキャッチといったセットプレー、あとはブレイクダウンの激しさなので、そこを評価していただいていると思っています。
■トップリーグのチームとの合同練習をやっていますが、その経験は今日のゲームに生きたのでしょうか。
「はい。レベルの高いチームと何度も一緒に練習させていただいているので、激しい当たりに慣れることができています。」
■今、ここを伸ばそうと取り組んでいることはありますか。
「ディフェンスです。もっと激しく行ける場面で受け身になってしまうことがあるので、そこを改善していきたいと思っています。」
■最後に、今後への意気込みをお願いします。
「今後も厳しいゲームが続くと思いますが、自分の強みであるセットプレーやブレイクダウンを強化し、ディフェンス力も伸ばして、チームに貢献したいと思います。」
《 COLUMN 》
――FW第三列の取り組み――
FL、No8のFW第三列と言えば、激しさ、強さに加えて、FWの中でも最も機動力が求められるポジションです。あっちでタックルしたと思ったら、こっちのラックで相手を弾き飛ばし、さらにはいつの間にかアタックラインに入ってパスの受け渡しをしているというように、まさに神出鬼没。グラウンドを所狭しと走り回ります。
フィールドプレーのみならず、セットプレーでもやるべき仕事がたくさんあります。スクラムではサイドディフェンスを担いますし、ラインアウトではジャンパーになることもあります。変幻自在に一人で何役もこなさなければなりません。
そんなFW第三列ですから、「いま最もこだわって取り組んでいることは?」という質問にも、たくさんの答えが返ってきました。
FL杉永はこう語ります。
「アタックではファーストフェーズのサポート、ブレイクダウンで越え切ること。ディフェンスではファーストタックラーはマストとして、セカンドタックラーはしっかりとボールに絡むこと。ターンオーバーを狙った激しい絡みですね。あとは、こうした暑い日にはPR陣の消耗が激しいので、そこは僕たち第三列がもっとサポートしてあげられるようにと思ってプレーしています。」
No8河口はこう語ります。
「まずはタックル。そして、タックルのあとの起き上がりのはやさ、あとはスクラムブレイクのときにバックスとコミュニケーションを取ってディフェンスするときのやり方などに取り組んでいます。」
まずは「タックル」。ここは二人とも強調していますが、あとは一人何役もこなすFW第三列らしく、さまざまなことに同時並行で取り組んでいることがわかります。
さらに、この日はトップリーグとの戦い。対トップリーグと学生相手とでは何か違いはあるのかどうかを尋ねてみると、ここに関しては同じ答えが返ってきました。
「トップリーグは相手が大きくて強いので、ファーストタックルがより重視されます。ファーストタックルでしっかりバインドしないと、トップリーグの人たちはすぐに立ってつないでくるので、しっかりバインドをするという点をミーティングでも話し合っています。」(杉永)
「社会人相手では一人目でしっかり倒すタックルをすることが重要になってきます。しっかり体を当てて、一人で倒せるタックル力をつける必要があります。」(河口)
体が大きくて強い相手に対しては、むしろ人数をかけて止める方がいいのではないかと思うかもしれません。しかし、杉永、河口ともに「一人目のタックル」こそが重要だと語ります。
もちろん、状況次第で二人目、三人目と入っていくことになるのですが、その場合でも一人目がしっかりと止めていないと二人目以降が対応しづらくなってしまいます。
さらに問題なのは、一人の相手に対して常に二人、三人と人数をかけてしまうと、そのたびにディフェンスラインの人数が減ってしまい、次の守りが不利になってしまう点です。それを防ぐためにも、一人目のタックラーが相手をしっかりと止めて、二人目、三人目はボールに絡んでいくという方がいいわけです。
ファーストタックルの重要性は、FW第三列に限ったことではありません。しかし、彼らが特にタックルに対するこだわりをもって取り組んでいる点は特筆すべきものがあるのです。
マルジーン、杉永、亀井、服部、河口、小野らAチーム経験者に加え、ケガからの復帰が待たれる姫野、吉田杏らがいかに底上げをできるか。
仕事量の多いFW第三列。その仕事量に注目すると同時に、彼らのファーストタックルへのこだわりにも注目して観戦すると、ファンとしては試合を見る楽しみがさらに増えることになるでしょう。
《 THE NEW FACE 》
ニューフェースたちの声を紹介します。CTB 岡田 優輝(1年)
大阪桐蔭高校出身
身長180cm/体重86㎏
「大学に入ってCTBをやらせてもらっていますが、CTBは状況判断や体を生かしたプレーが要求されます。もっと体を大きくして、状況判断能力を高めて、それを強みにしていきたいです。帝京大学ラグビー部は5連覇したチームで、そういう強いチームでラグビーがしたいと思って入りました。入ってみるとラグビーだけでなく、私生活の面でも皆が意識高く取り組んでいて、本当にすごいと思っています。大学選手権でAチームに入って、チームに貢献できるように頑張ります。」
関東大学春季大会
第4戦・慶應義塾大学戦
6月8日(日)・百草グラウンド
13時キックオフ
13時キックオフ
なお、ゲーム終了後、来場者参加イベント「FEELTEIKYORUGBY2014at百草」を開催いたします。
(昨年度の様子は (昨年度の様子はこちら)
たくさんの方々のご来場をお待ちしています。
(昨年度の様子は (昨年度の様子はこちら)
たくさんの方々のご来場をお待ちしています。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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