REPORT
レポート
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第51回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第1戦 天理大学戦
2014/12/16
12月14日(日)・レベルファイブスタジアム
○帝京大学(勝ち点9)43-3天理大学(勝ち点0)●
《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)町野(3)深村⇒東恩納⇒浅堀(4)金(嶺)(5)小瀧⇒姫野
(6)イラウア(7)杉永(8)河口⇒亀井
[BK]
(9)流⇒荒井(10)松田⇒濱野(11)磯田(12)森谷(13)前原(14)尾崎(15)
重⇒金田
《天理大学》※先発のみ
[FW]
(1)山口(2)高部(3)大竹(4)西川(5)吉崎(6)李(7)コロイブニラギ(8)
内山
[BK]
(9)藤原(10)斎藤(11)森川(12)白井(13)ケレビ(14)井関(15)東口
【前半】【得点経過】
【4分】帝5-0天
FW、BKで連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田と渡り、松田が仕掛けて前進。抜け出
してトライ。
【10分】帝5-3天
PGを決められる。
【16分】帝10-3天
FL杉永、CTB森谷らが前進し、さらに連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田-CTB森谷
-WTB尾崎と渡り、尾崎が走り切ってトライ。
【19分】帝17-3天
ラックからSH流-CTB森谷-FLイラウア-WTB尾崎と渡り、そのまま尾崎がトライ。
ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【9分】帝22-3天
相手のノックオンしたボールをSH流が拾って、前進。つかまるも、さらにFWで連続攻
撃。最後はLO金が押し込んでトライ。
【13分】帝29-3天
WTB磯田が大きく前進し、さらに連続攻撃。ラックからSH流-SO松田と渡り、松田が
前方へゴロキック。走り込んだCTB前原がそのまま押さえてトライ。ゴール成功。
【19分】帝36-3天
ラインアウトからモールを形成し、FWで連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田-CTB
森谷と渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。
【36分】帝43-3天
ラインアウトからモールを形成し、FWで連続攻撃。ラックからSH荒井-CTB森井やと
渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。
《BRIEF REVIEW》
いよいよ大学選手権が始まった。セカンドステージ第1戦の相手は、3年前に大学選手
権決勝を戦った相手、天理大学。帝京は開始4分に先制点をあげるが、ペナルティか
ら攻め込まれる。10分にはPGを決められ、2点差となり、さらに守りの時間帯が続
く。それでも帝京は、組織ディフェンスできっちりと止め、大きなピンチにまでは至
らない。相手の激しいプレーにペースを乱されながらも、16分、19分にWTB尾崎の連
続トライで加点。前半を17-3で折り返す。後半は気合いを入れ直して臨み、帝京本
来の激しさを見せ始める。だが、相手のディフェンスも固く、簡単には前進できな
い。それでも帝京は、辛抱強くFWで攻め続けて相手のディフェンスを引き付けた後、
BKへ展開して加点する。また、この日はセットプレーが安定。スクラムは足場が滑る
コンディションながら、ほぼ制圧。ラインアウトも、細かいミスはあるものの、おお
むねキープ。セットプレー、フィールドプレーともにFW陣が頑張りを見せ、それにBK
陣も応えて、トライにまでつなげるというFW、BK一体の攻撃を見せた。結局、43-3
でノーサイド。帝京が勝ち点6を加算した。
《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「大学選手権に入り、ここから少しでも成長しながら、一試合一試合、積み上げて、
より強いチームになっていきたいと思うと同時に、優勝に向かって頑張っていきたい
という気持ちを持って、試合に臨みました。天理大学さんに関する情報はあまり持っ
ていなかったのですが、ラック、モールのしぶといディフェンスで、我々も気を引き締められる思いでハーフタイムを迎えました。天理大学さんの好プレーに敬意を表するとともに、我々も対戦相手のプレーによって、気を引き締め直すことができ、ゲームを大切にする気持ちを持たせてもらいました。前後半を通じて、まだまだ甘いところがありましたが、次にしっかりとつながっていくゲームだったと思います。次は朝日大学さんとの対戦になりますが、今日の第一試合を垣間見させていただいた限りでは、とてもまじめな、一人一人がしっかりと頑張って走るチームという印象を受けました。そういう姿勢に負けない厳しさと姿勢を持って、来週はしっかりと戦いたいと思います。」
■キャプテン・SH流大(4年)
「今日は大学選手権のスタートゲームとして、一つ一つのプレーをしっかりと積み上げ、激しいプレーをしていこうと言ってゲームに臨みました。しかしながら、天理大学さんの気迫あふれるタックル、ブレイクダウンに受け身に回る場面もありました。この試合を通して、相手の天理大学さんによって、もう一度、自分たちの足元を見つめ直す良い機会をいただいたと思います。結果として勝利を得ることができましたが、自分自身もチームとしても甘いプレーが多くありましたのでしっかり反省修正して次戦に生かしていきたいと思います。今日は、自分の高校の後輩たち、そして監督さんが熊本からはるばる応援に来てくださってとてもうれしかったのですが、もっと帝京として厳しいゲーム、
やってきたことを出し切るゲームをしたかったのにできなかったのが悔しいです。気迫やファイトといった部分を天理大学さんに学ばせていただいたので、それを次戦以降の大学選手権に活かしていきたいと思います。」
■鋭い走りで縦への突破を何度も見せた・WTB磯田泰成(4年)
「大学選手権の最初の試合ということで、今後に繋がるような1分間1分間を積み重ね
て戦い抜こうとチームで話してゲームに臨みました。特に前半ですが、相手の気迫あ
ふれるチャレンジングなプレーに押される場面があり、そこは自分たちの甘いところ
が出たと思います。今後、試合を重ねていく中で、もっともっと改善していかなけれ
ばいけないところだと思います。自分は宮崎出身ですが、試合後、高校のOBの方々や
関係者の方々がいらっしゃって、とてもありがたかったです。今後も、ファイナルス
テージに向けて、一戦一戦、自分たちのやるべきことを、慢心することなく、気を引
き締めて頑張っていきたいと思います。」
■途中出場ながら、PRとしての存在感をアピール・PR徳永一斗(3年)
「今日は残り15分での出場でしたが、少し流れが止まっていたので、そこで自分から
流れを変えていけるプレーをしたいと思って入りました。流れを変えるところまでは
いかなかったかもしれませんが、自分の中ではしっかり次につながる反省点が見つ
かったので、そこはよかったと思っています。九州での試合ということで、佐賀から
応援にたくさん来ていただいて、ありがたかったです。『応援が多いから頑張る』と
いうわけではないのですが、やはり応援に応えたいという気持ちはありました。今日
は気持ちの部分で負けていたところもあったので、次からはそうならないように、今
日の反省を活かして、スタートから圧倒できればと思っています。」
■途中出場でテンポを変える球さばきを見せた・SH荒井康植(3年)
「今日は、地元ということもあり、親も観戦に来てくれていたので、少しでも長く、
いいプレーをしたいと思っていました。後半、入る場面は、なんとか自分が入ること
で勢いを付けられるようにしたいと思って入りました。自分は疲れていない状態でし
たが、前半から出ているメンバーとは疲労度が違うので、その部分でもう少し自分が味方とコミュニケー
ションを取っていれば、もっといいアタックができたかなと思っています。今は、一
つ一つのプレーの判断という部分を、流さんというすばらしいお手本がいらっしゃる
ので、まずは見て学んで、自分がやってみて、それを振り返るということを意識して
取り組んでいます。今後へ向けては、まずはメンバーに入ること、そして試合に出ら
れるように、練習から一つ一つのプレーを気合いを入れてやっていきたいと思いま
す。」
《PICK UP PLAYERS》
HOとしての80分間を体感し、激しさで応援に応えた
HO 町野泰司(4年)
MACHINO TAIJI
1992年9月17日生まれ
経済学部経営学科
荒尾高校出身
身長179cm/体重101kg
■HOとして80分間、戦いましたが、今の感想から聞かせてください。
「自分としては気持ちを入れてプレーしたつもりだったのですが、前半、やや甘いプ
レーが出てしまいました。ハーフタイムで気持ちを入れ替えて、気を引き締めて後半
に臨みました。その後半は、自分としては『痛いプレー』をどんどんやれたと思って
います。ただ、これまで出ていたLOと違って、HOとしてはフィールドプレーもセット
プレーも、まだまだ甘いというか、LOとHOとの違いにあたふたしてしまった部分もあ
りました。タックルやアタックで前に出るところは、しっかり力強く行こうと思って
いたので、後半はそこは行けていたと思っています。」
■LOとHOとでは、フィールドプレーでも大きく違ってくるのでしょうか。
「例えばディフェンスだと、LOは基本的にはラック周辺の密集地帯を守ることが多い
のですが、HOの場合は外側のラインディフェンスに入ることも多く、BKとのコミュニ
ケーションが大事になってきます。BKとのコミュニケーションがうまく取れないと、
抜かれてしまうリスクが高まってしまうので、とても重要です。LOだけをやっていた
ときは、ほとんどなかったことなので、とてもやりがいがありますし、LOに入ったと
きにも役立つことだと思っています。自分にとってプラスになることなので、しっか
りやっていきたいです。」
■後半、森川選手がアウトしてからはラインアウトのスローワーも務めました。
「ノットストレートがあったりと、まだまだ精度が低いのですが、そこはもっと練習
して、精度を高めていきます。もちろん、投げる際は自信を持ってしっかり投げてい
るつもりですし、それはこれからも同じです。」
■バックスタンドでは町野選手と流選手を応援する文字(大きな紙に1文字ずつ「ま
ちのたいじ」「ながれゆたか」と書かれたもの)が掲げられていましたが、気付きま
したか。
「はい、見えました。自分と流の母校(荒尾高校)の後輩たち、監督さんが来てくだ
さって、とてもうれしかったです。今の高校生たちは自分が卒業後に入学してきた後
輩たちなので、直接知っているわけではないのですが、応援はとてもうれしかったで
すし、花園出場も決めているので、ぜひ頑張ってほしいです。」
■今後へ向けての意気込みをお願いします。
「LOとしてもHOとしてもまだまだ未熟ですが、まずは自分のできることを精一杯やっ
ていきます。今日の前半のように、気合いを入れていたつもりでも入っていないとき
があるので、そういうところを直して、スタートから気合いの入ったプレーができる
自分に成長していきたいです。大学選手権6連覇に向けて、しっかり頑張っていきま
す。」
もともとはLOだが、この秋の対抗戦からHOにもチャレンジ。違いに戸惑うことも多い
が、その分、自身の成長も感じられていると言う。ただ、戸惑うといっても、やるこ
とはわかっていて、あとは練習で克服していくしかないこともわかっている。まだ頭
で「分かる」状態で、体で「解かる」ところまで行っていないということだろう。4
年生としては残された時間もそう多くはないが、本人も「HOのやるべきことがわかっ
ていると、LOに入ったときにも役立つ」と言うように、得られる収穫も大きい。毎
年、この時期から一気に伸びる4年生が多いことを考えると、ここからの成長が楽し
みだ。
《COLUMN》
――応援が選手に与える力――
大学選手権が始まりました。第一戦は福岡・レベルファイブスタジアムでの戦いにな
りました。遠距離の遠征は選手たちの負担にもなりますし、調整も普段のようにはい
きません。スタッフの人員も、どうしても手薄にならざるをえませんから、チーム全
体としての負担も小さくありません。
さらには、今回の遠征では、某有名芸能人の福岡でのコンサートと日程が重なったこ
ともあり、大学選手権の組み合わせが決まったあとで宿を手配しようとしても、近場
はどこも満室。必死の手配でようやくお隣の佐賀県内の宿を確保できましたが、ただ
でさえ遠い遠征となった上に、当日の長距離移動ということで、選手にはさらなる負
担を強いることとなってしまいました。
このように負担の小さくない遠征ですが、そうは言っても、必ずしも悪いことばかり
というわけでもありません。九州出身(あるいは交通アクセスのよい中国地方出身)
の選手たちにとっては、両親、親戚、地元の友人、知人、後輩、高校の恩師といった
人たちに、自分のプレーを直接見てもらえる、絶好の機会となります。
実際、バックスタンドではSH流、HO町野の母校、荒尾高校(熊本)の高校生たちが熱
い応援をしてくれていましたし、家族、知人、友人が大勢駆けつけてくれたと喜ぶ九
州出身の選手たちも少なくありませんでした。さらには、現在、九州に住む帝京OBた
ちも何人も駆けつけてくれました。
宮崎出身のWTB磯田は、知り合いが応援に来てくれたことを、試合後にスタンドを見
て知ったそうです。
「ただ、具体的に誰が来てくれるかはわかっていませんでしたが、九州での試合なの
で、そういうこと(知り合いの誰かが応援に来てくれるだろうということ)はあるか
なとは思っていました。」
きっと誰かが見に来てくれていることだろうという気持ちで、試合に臨んだわけで
す。
SH荒井は「親が見に来てくれていたので、少しでも長く、いいプレーを見せたいと
思っていました」と話してくれましたし、SH流、HO町野の応援に後輩たちが来てくれ
た話はすでに書いたとおりです
やはりスタンドからの応援は選手を勇気づけ、その応援に応えたいという気持ちを強
くしてくれます。
応援する側からすれば、遠いところでの試合に足を運ぶというのは現実的には不可能
なケースがほとんどでしょう。ただ、もし近くで試合が行われ、足を運ぶことができ
るのであれば、応援する熱い気持ちをぜひスタジアムで、選手たちに直接届けてあげ
てほしいと思います。
広い会場、大勢の観客の中では、一人一人の声まではグラウンドに届かないかもしれ
ません。しかし、応援席を染める赤い色は、間違いなく選手たちを勇気づけてくれま
す。
PR徳永はこう話してくれました。
「『応援が多いから頑張る』というわけではないのですが、やはり応援に応えたいと
いう気持ちはありました。」
スタジアムでの応援は選手たちに力を与えてくれるのです。
この日、福岡・レベルファイブスタジアムでの観客数は、公式発表で1319人。少し寂
しい人数だったとも言えますが、その分、一人一人の応援の熱さが伝わってきまし
た。
人は自分のためだけでなく、大事な誰かのために行動することで頑張るモチベーショ
ンが高まり、持続すると言われています。選手たちはまずは自分のために戦います
が、それとともにチームの仲間のために、そして支えてくれる関係者の方々のために
戦います。ここにさらに、「いつも応援してくれるファンの皆様のために」という思
いが重なれば、さらに大きな頑張りにつながることでしょう。
ここからは、負けられない戦いが続いていきます。ぜひ多くの方々にスタジアムに足
を運んでいただき、選手たちに熱い声援をかけていただきたいと思います。
《NEXT MATCH》
第51回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第2戦 対朝日大学戦(http:
//scw.asahi-u.ac.jp/~rise/index.html)
12月21日(日) 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:大学選手権1勝0敗
[朝日大学の直近5戦]
11月2日 ○33-12中京大学(東海学生リーグ決勝リーグ)
11月9日 ○22-13環太平洋大学(東海北陸・中国四国代表決定戦)
11月23日 ○89-5東北学院大学(大学選手権ファーストステージ)
11月30日 ○31-7福岡工業大学(大学選手権ファーストステージ)
12月14日 ●19-54法政大学(大学選手権セカンドステージ)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
○帝京大学(勝ち点9)43-3天理大学(勝ち点0)●
《帝京大学》
[FW]
(1)森川⇒徳永(2)町野(3)深村⇒東恩納⇒浅堀(4)金(嶺)(5)小瀧⇒姫野
(6)イラウア(7)杉永(8)河口⇒亀井
[BK]
(9)流⇒荒井(10)松田⇒濱野(11)磯田(12)森谷(13)前原(14)尾崎(15)
重⇒金田
《天理大学》※先発のみ
[FW]
(1)山口(2)高部(3)大竹(4)西川(5)吉崎(6)李(7)コロイブニラギ(8)
内山
[BK]
(9)藤原(10)斎藤(11)森川(12)白井(13)ケレビ(14)井関(15)東口
【前半】【得点経過】
【4分】帝5-0天
FW、BKで連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田と渡り、松田が仕掛けて前進。抜け出
してトライ。
【10分】帝5-3天
PGを決められる。
【16分】帝10-3天
FL杉永、CTB森谷らが前進し、さらに連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田-CTB森谷
-WTB尾崎と渡り、尾崎が走り切ってトライ。
【19分】帝17-3天
ラックからSH流-CTB森谷-FLイラウア-WTB尾崎と渡り、そのまま尾崎がトライ。
ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【9分】帝22-3天
相手のノックオンしたボールをSH流が拾って、前進。つかまるも、さらにFWで連続攻
撃。最後はLO金が押し込んでトライ。
【13分】帝29-3天
WTB磯田が大きく前進し、さらに連続攻撃。ラックからSH流-SO松田と渡り、松田が
前方へゴロキック。走り込んだCTB前原がそのまま押さえてトライ。ゴール成功。
【19分】帝36-3天
ラインアウトからモールを形成し、FWで連続攻撃。ラックから、SH流-SO松田-CTB
森谷と渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。
【36分】帝43-3天
ラインアウトからモールを形成し、FWで連続攻撃。ラックからSH荒井-CTB森井やと
渡り、森谷が抜け出してトライ。ゴール成功。
《BRIEF REVIEW》
いよいよ大学選手権が始まった。セカンドステージ第1戦の相手は、3年前に大学選手
権決勝を戦った相手、天理大学。帝京は開始4分に先制点をあげるが、ペナルティか
ら攻め込まれる。10分にはPGを決められ、2点差となり、さらに守りの時間帯が続
く。それでも帝京は、組織ディフェンスできっちりと止め、大きなピンチにまでは至
らない。相手の激しいプレーにペースを乱されながらも、16分、19分にWTB尾崎の連
続トライで加点。前半を17-3で折り返す。後半は気合いを入れ直して臨み、帝京本
来の激しさを見せ始める。だが、相手のディフェンスも固く、簡単には前進できな
い。それでも帝京は、辛抱強くFWで攻め続けて相手のディフェンスを引き付けた後、
BKへ展開して加点する。また、この日はセットプレーが安定。スクラムは足場が滑る
コンディションながら、ほぼ制圧。ラインアウトも、細かいミスはあるものの、おお
むねキープ。セットプレー、フィールドプレーともにFW陣が頑張りを見せ、それにBK
陣も応えて、トライにまでつなげるというFW、BK一体の攻撃を見せた。結局、43-3
でノーサイド。帝京が勝ち点6を加算した。
《AFTER MATCH SAY》
■岩出雅之監督
「大学選手権に入り、ここから少しでも成長しながら、一試合一試合、積み上げて、
より強いチームになっていきたいと思うと同時に、優勝に向かって頑張っていきたい
という気持ちを持って、試合に臨みました。天理大学さんに関する情報はあまり持っ
ていなかったのですが、ラック、モールのしぶといディフェンスで、我々も気を引き締められる思いでハーフタイムを迎えました。天理大学さんの好プレーに敬意を表するとともに、我々も対戦相手のプレーによって、気を引き締め直すことができ、ゲームを大切にする気持ちを持たせてもらいました。前後半を通じて、まだまだ甘いところがありましたが、次にしっかりとつながっていくゲームだったと思います。次は朝日大学さんとの対戦になりますが、今日の第一試合を垣間見させていただいた限りでは、とてもまじめな、一人一人がしっかりと頑張って走るチームという印象を受けました。そういう姿勢に負けない厳しさと姿勢を持って、来週はしっかりと戦いたいと思います。」
■キャプテン・SH流大(4年)
「今日は大学選手権のスタートゲームとして、一つ一つのプレーをしっかりと積み上げ、激しいプレーをしていこうと言ってゲームに臨みました。しかしながら、天理大学さんの気迫あふれるタックル、ブレイクダウンに受け身に回る場面もありました。この試合を通して、相手の天理大学さんによって、もう一度、自分たちの足元を見つめ直す良い機会をいただいたと思います。結果として勝利を得ることができましたが、自分自身もチームとしても甘いプレーが多くありましたのでしっかり反省修正して次戦に生かしていきたいと思います。今日は、自分の高校の後輩たち、そして監督さんが熊本からはるばる応援に来てくださってとてもうれしかったのですが、もっと帝京として厳しいゲーム、
やってきたことを出し切るゲームをしたかったのにできなかったのが悔しいです。気迫やファイトといった部分を天理大学さんに学ばせていただいたので、それを次戦以降の大学選手権に活かしていきたいと思います。」
■鋭い走りで縦への突破を何度も見せた・WTB磯田泰成(4年)
「大学選手権の最初の試合ということで、今後に繋がるような1分間1分間を積み重ね
て戦い抜こうとチームで話してゲームに臨みました。特に前半ですが、相手の気迫あ
ふれるチャレンジングなプレーに押される場面があり、そこは自分たちの甘いところ
が出たと思います。今後、試合を重ねていく中で、もっともっと改善していかなけれ
ばいけないところだと思います。自分は宮崎出身ですが、試合後、高校のOBの方々や
関係者の方々がいらっしゃって、とてもありがたかったです。今後も、ファイナルス
テージに向けて、一戦一戦、自分たちのやるべきことを、慢心することなく、気を引
き締めて頑張っていきたいと思います。」
■途中出場ながら、PRとしての存在感をアピール・PR徳永一斗(3年)
「今日は残り15分での出場でしたが、少し流れが止まっていたので、そこで自分から
流れを変えていけるプレーをしたいと思って入りました。流れを変えるところまでは
いかなかったかもしれませんが、自分の中ではしっかり次につながる反省点が見つ
かったので、そこはよかったと思っています。九州での試合ということで、佐賀から
応援にたくさん来ていただいて、ありがたかったです。『応援が多いから頑張る』と
いうわけではないのですが、やはり応援に応えたいという気持ちはありました。今日
は気持ちの部分で負けていたところもあったので、次からはそうならないように、今
日の反省を活かして、スタートから圧倒できればと思っています。」
■途中出場でテンポを変える球さばきを見せた・SH荒井康植(3年)
「今日は、地元ということもあり、親も観戦に来てくれていたので、少しでも長く、
いいプレーをしたいと思っていました。後半、入る場面は、なんとか自分が入ること
で勢いを付けられるようにしたいと思って入りました。自分は疲れていない状態でし
たが、前半から出ているメンバーとは疲労度が違うので、その部分でもう少し自分が味方とコミュニケー
ションを取っていれば、もっといいアタックができたかなと思っています。今は、一
つ一つのプレーの判断という部分を、流さんというすばらしいお手本がいらっしゃる
ので、まずは見て学んで、自分がやってみて、それを振り返るということを意識して
取り組んでいます。今後へ向けては、まずはメンバーに入ること、そして試合に出ら
れるように、練習から一つ一つのプレーを気合いを入れてやっていきたいと思いま
す。」
《PICK UP PLAYERS》
HOとしての80分間を体感し、激しさで応援に応えた
HO 町野泰司(4年)
MACHINO TAIJI
1992年9月17日生まれ
経済学部経営学科
荒尾高校出身
身長179cm/体重101kg
■HOとして80分間、戦いましたが、今の感想から聞かせてください。
「自分としては気持ちを入れてプレーしたつもりだったのですが、前半、やや甘いプ
レーが出てしまいました。ハーフタイムで気持ちを入れ替えて、気を引き締めて後半
に臨みました。その後半は、自分としては『痛いプレー』をどんどんやれたと思って
います。ただ、これまで出ていたLOと違って、HOとしてはフィールドプレーもセット
プレーも、まだまだ甘いというか、LOとHOとの違いにあたふたしてしまった部分もあ
りました。タックルやアタックで前に出るところは、しっかり力強く行こうと思って
いたので、後半はそこは行けていたと思っています。」
■LOとHOとでは、フィールドプレーでも大きく違ってくるのでしょうか。
「例えばディフェンスだと、LOは基本的にはラック周辺の密集地帯を守ることが多い
のですが、HOの場合は外側のラインディフェンスに入ることも多く、BKとのコミュニ
ケーションが大事になってきます。BKとのコミュニケーションがうまく取れないと、
抜かれてしまうリスクが高まってしまうので、とても重要です。LOだけをやっていた
ときは、ほとんどなかったことなので、とてもやりがいがありますし、LOに入ったと
きにも役立つことだと思っています。自分にとってプラスになることなので、しっか
りやっていきたいです。」
■後半、森川選手がアウトしてからはラインアウトのスローワーも務めました。
「ノットストレートがあったりと、まだまだ精度が低いのですが、そこはもっと練習
して、精度を高めていきます。もちろん、投げる際は自信を持ってしっかり投げてい
るつもりですし、それはこれからも同じです。」
■バックスタンドでは町野選手と流選手を応援する文字(大きな紙に1文字ずつ「ま
ちのたいじ」「ながれゆたか」と書かれたもの)が掲げられていましたが、気付きま
したか。
「はい、見えました。自分と流の母校(荒尾高校)の後輩たち、監督さんが来てくだ
さって、とてもうれしかったです。今の高校生たちは自分が卒業後に入学してきた後
輩たちなので、直接知っているわけではないのですが、応援はとてもうれしかったで
すし、花園出場も決めているので、ぜひ頑張ってほしいです。」
■今後へ向けての意気込みをお願いします。
「LOとしてもHOとしてもまだまだ未熟ですが、まずは自分のできることを精一杯やっ
ていきます。今日の前半のように、気合いを入れていたつもりでも入っていないとき
があるので、そういうところを直して、スタートから気合いの入ったプレーができる
自分に成長していきたいです。大学選手権6連覇に向けて、しっかり頑張っていきま
す。」
もともとはLOだが、この秋の対抗戦からHOにもチャレンジ。違いに戸惑うことも多い
が、その分、自身の成長も感じられていると言う。ただ、戸惑うといっても、やるこ
とはわかっていて、あとは練習で克服していくしかないこともわかっている。まだ頭
で「分かる」状態で、体で「解かる」ところまで行っていないということだろう。4
年生としては残された時間もそう多くはないが、本人も「HOのやるべきことがわかっ
ていると、LOに入ったときにも役立つ」と言うように、得られる収穫も大きい。毎
年、この時期から一気に伸びる4年生が多いことを考えると、ここからの成長が楽し
みだ。
《COLUMN》
――応援が選手に与える力――
大学選手権が始まりました。第一戦は福岡・レベルファイブスタジアムでの戦いにな
りました。遠距離の遠征は選手たちの負担にもなりますし、調整も普段のようにはい
きません。スタッフの人員も、どうしても手薄にならざるをえませんから、チーム全
体としての負担も小さくありません。
さらには、今回の遠征では、某有名芸能人の福岡でのコンサートと日程が重なったこ
ともあり、大学選手権の組み合わせが決まったあとで宿を手配しようとしても、近場
はどこも満室。必死の手配でようやくお隣の佐賀県内の宿を確保できましたが、ただ
でさえ遠い遠征となった上に、当日の長距離移動ということで、選手にはさらなる負
担を強いることとなってしまいました。
このように負担の小さくない遠征ですが、そうは言っても、必ずしも悪いことばかり
というわけでもありません。九州出身(あるいは交通アクセスのよい中国地方出身)
の選手たちにとっては、両親、親戚、地元の友人、知人、後輩、高校の恩師といった
人たちに、自分のプレーを直接見てもらえる、絶好の機会となります。
実際、バックスタンドではSH流、HO町野の母校、荒尾高校(熊本)の高校生たちが熱
い応援をしてくれていましたし、家族、知人、友人が大勢駆けつけてくれたと喜ぶ九
州出身の選手たちも少なくありませんでした。さらには、現在、九州に住む帝京OBた
ちも何人も駆けつけてくれました。
宮崎出身のWTB磯田は、知り合いが応援に来てくれたことを、試合後にスタンドを見
て知ったそうです。
「ただ、具体的に誰が来てくれるかはわかっていませんでしたが、九州での試合なの
で、そういうこと(知り合いの誰かが応援に来てくれるだろうということ)はあるか
なとは思っていました。」
きっと誰かが見に来てくれていることだろうという気持ちで、試合に臨んだわけで
す。
SH荒井は「親が見に来てくれていたので、少しでも長く、いいプレーを見せたいと
思っていました」と話してくれましたし、SH流、HO町野の応援に後輩たちが来てくれ
た話はすでに書いたとおりです
やはりスタンドからの応援は選手を勇気づけ、その応援に応えたいという気持ちを強
くしてくれます。
応援する側からすれば、遠いところでの試合に足を運ぶというのは現実的には不可能
なケースがほとんどでしょう。ただ、もし近くで試合が行われ、足を運ぶことができ
るのであれば、応援する熱い気持ちをぜひスタジアムで、選手たちに直接届けてあげ
てほしいと思います。
広い会場、大勢の観客の中では、一人一人の声まではグラウンドに届かないかもしれ
ません。しかし、応援席を染める赤い色は、間違いなく選手たちを勇気づけてくれま
す。
PR徳永はこう話してくれました。
「『応援が多いから頑張る』というわけではないのですが、やはり応援に応えたいと
いう気持ちはありました。」
スタジアムでの応援は選手たちに力を与えてくれるのです。
この日、福岡・レベルファイブスタジアムでの観客数は、公式発表で1319人。少し寂
しい人数だったとも言えますが、その分、一人一人の応援の熱さが伝わってきまし
た。
人は自分のためだけでなく、大事な誰かのために行動することで頑張るモチベーショ
ンが高まり、持続すると言われています。選手たちはまずは自分のために戦います
が、それとともにチームの仲間のために、そして支えてくれる関係者の方々のために
戦います。ここにさらに、「いつも応援してくれるファンの皆様のために」という思
いが重なれば、さらに大きな頑張りにつながることでしょう。
ここからは、負けられない戦いが続いていきます。ぜひ多くの方々にスタジアムに足
を運んでいただき、選手たちに熱い声援をかけていただきたいと思います。
《NEXT MATCH》
第51回全国大学ラグビー選手権大会・セカンドステージ第2戦 対朝日大学戦(http:
//scw.asahi-u.ac.jp/~rise/index.html)
12月21日(日) 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
14時キックオフ
過去の対戦成績:大学選手権1勝0敗
[朝日大学の直近5戦]
11月2日 ○33-12中京大学(東海学生リーグ決勝リーグ)
11月9日 ○22-13環太平洋大学(東海北陸・中国四国代表決定戦)
11月23日 ○89-5東北学院大学(大学選手権ファーストステージ)
11月30日 ○31-7福岡工業大学(大学選手権ファーストステージ)
12月14日 ●19-54法政大学(大学選手権セカンドステージ)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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