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春季オープン戦・第4戦 豊田自動織機シャトルズ戦
2011/05/29
嵐の中の一戦は、今後の大きな糧に
5月29日(日)・瑞穂公園ラグビー場●帝京大学 3-24 豊田自動織機シャトルズ○
《出場メンバー》
(1)前田(恵)→猿渡→古賀(雄)
(2)白→泉
(3)猿渡→出渕→西村
(4)マニング
(5)今村→木下
(6)小山田
(7)伊藤(哲)→天野→長野
(8)小瀧→中川
(9)滑川→流
(10)森田→小野
(11)池上→南藤
(12)南橋
(13)太田→橋口
(14)菅谷
(15)竹田
春シーズン第4戦の相手は、豊田自動織機シャトルズ。社会人相手に自分たちの持ち味をどこまで出せるかに注目が集まった。また、浪岡、安岡、河合といった帝京大OBとの激突も見ものだ。
【前半戦】
季節外れの台風の接近で、2週連続、雨の中での試合となった。強く降ったかと思ったら小やみになり、すぐにまた強く降るという、集中力の持続も難しい悪天 候の中、我慢の戦いが想定されたが、今年の目指すラグビーをどこまで徹底できるかにも注目が集まった。 序盤戦。試合は予想通り天候同様、試合開始直後か ら波乱の展開に。ミスを恐れず積極的なパス回しを試みる帝京だが、ボールが滑ってパスが乱れる。転がるボールをWTB菅谷がうまく足で処理したかに見えた が、判定はノックオン。続くセットプレー等では社会人のしたたかなプレーに自陣ゴール前まで攻め込まれる。開始2分、悪天候の不運さも手伝って7点のビハ インドを背負ってしまう。 その後も攻め込まれる苦しい展開が続く。キックで攻め込まれ、タッチに逃れても、相手ボールラインアウトでモールを組まれて攻 められる。だが、ディフェンスではしっかりと体を当て、帝京は踏ん張りを見せる。次第に、ラインアウトでの修正を試みる帝京。要所でしっかり競り合う意思 を見せると、相手のボールが乱れ始める。相手ボールのラインアウトが取れるようになると、攻撃機会も増加。BK、FW一体の帝京ラグビーでゴール前まで迫る。
しかし、相手のディフェンスも堅く、トライまでは至らない。それでも闘志は揺るがない。ディフェンスではLOマニングらの好タックル、オフェンスでは CTB南橋らの縦への突破と好プレーを連発。 後半残り3分となったあたりで、帝京にさらなるチャンスが巡ってくる。BK展開から南橋が前へ。簡単には倒 れず、モール状態になるとぐいぐいと押し込んでいく。ゴール直前でマイボールスクラムとなり、ここは強力FWでスクラムを押し込むプラン。
ところが、雨で滑ったボールがこぼれ出てしまう。しかしながらスクラムでは押し込めずも、FWがボールをキープし、攻め続ける。相手が業を煮やしたかのよ うに反則を犯すと、キャプテン森田が時計を見て冷静にショットを選択。FB竹田がしっかりとPGを決め、前半を3-10で折り返した。
【後半戦】
まだまだ逆転可能な得点差で折り返した前半。全体的に流れは悪くない。悪天候の中、社会人相手に善戦といえよう。後半はさらに厳しいディフェンスを徹底 し、練習してきた攻撃オプションをいかに披露できるかどうかがポイントになりそうだ。 開始直後は帝京のリズム。WTB南藤の好タッチキックで攻め込む と、相手はたまらず反則。ここで帝京はスクラムを選択。前半に続いてスクラムで押し込むチャンスだ。しかしながらコラプシングを取られ、地域を戻されてし まう。
だが、それでも勝負を挑み続ける帝京。相手の攻撃もFL小山田らの好タックルでしのぎ、オフェンスではBKに積極展開。自らの形を徐々に掴み始める。その 後も一進一退の状態が続く。今度は相手が連続展開で揺さぶりをかけ始める。ディフェンスが崩れた状態で、相手の外国人No8にタックルをかわされ、トライ を奪われてしまう(3-17)。雨がさらに強まると、守りの時間帯が続く。
28分には、相手ボールスクラムからすばやく運ばれて失点(3-24)。帝京も必死の攻めを見せるが、厚い壁に跳ね返されてしまう。ランニングタイムは 40分を過ぎたが、途切れることなく攻め続ける。1年生SH流の安定したボールさばきもあり、ワンプレーで10分近く攻め続ける。だが、結局攻めきれずに 今期オープン戦初黒星を喫することとなった。 結果的に、社会人の圧力としたたかさに苦しめられ無念の敗戦となったが、とにかく今は経験を積む時期だ。特 にこの日のメンバーの内、FWは中心となりそうなメンバーをごっそり欠いており、そういった意味ではチーム全体の底上げという部分でも大きなプラスとなっ たに違いない。この天候の中での積極的なチャレンジも評価に値する。春の戦いも残り4戦。さらなる階段を昇っていきたいところだ。
《試合後のインタビュー》
□岩出雅之監督
「今シーズンは積極的にボールと人を動かしていく、というテーマに取り組んでいますが、これだけ雨が降ってしまうとそのチャレンジも難しいですね。それと は別に、チームも個人もまだまだ5月のレベルだということだと思います。負けることも一つの経験として積み上げていくための大切な財産だと思っています。 どこに厳しさが足りないのか、どこがうまくいかないのかがわかる、反省のできるいいゲームだったと思います。豊田自動織機さんには、浪岡、安岡、河合と いった卒業生たちがいますが、みないいプレーを見せてくれました。うちのプロップ陣は『浪岡さんにチャレンジする』なんて言っていましたが、まだまだで す。体のでき具合も、プレーの厳しさもまだまだ。でも、その分、伸びしろは大きいと思っています。技術的なこととは別に今日は“お互いが信頼できる仲間に なるためにどんなことが必要か”というテーマで臨みました。ラグビーだけでなく、一つ一つの行動から、自分が周りに求めるもの、周りが自分に求めているも のをしっかり理解して、今後につながるゲームをしようといって送り出しましたが、まだ“信頼できる仲間”というレベルまではやや遠いのではないでしょう か。厳しいとき、苦しいときにしぶとさを出せるように、次の1ヵ月間をしっかり戦っていきたいです。この時期に社会人のチームと試合をさせていただけるの は、非常にありがたいことです。こうしてご招待いただけることに感謝したいと思います。例年、ここで鍛えていただくことでチームは上昇気流に乗っていけて いるので、今年も乗っていけるように一層の努力をしていきます。ありがとうございました」
□キャプテン・SO森田佳寿(4年)
「チームとしては日々アタック力を上げる練習をしているのですが、今日は雨ということもあり、タックルとブレイクダウンに注力し、アタックはミスの少なく なるような力強いランニングをしようといって臨みました。ディフェンス面では受けてしまっている場面も多く、前に出るディフェンスができていませんでした し、アタックのオプションでも、セットプレーが安定しないためいいオプションができず、そこから次の展開への球出しも悪くなるという悪循環に陥ってしまい ました。 体を張る部分や力強さ、あるいはポジショニングの問題など足りない部分が明確に見えたので、それを収穫として、次に向かって修正していきま す。 自分としては久しぶりの試合でしたが、仕掛けの部分などまだまだ体が動いていませんでした。この一週間、もう一度しっかりと練習して、次へのいい準 備をしたいです」
□タックルとランプレーで魅せた・FL小山田岳(4年)
「この時期に帝京がやりたいと思っていることを社会人相手に試せるというのは、今後のためにもとてもいい機会だったと思います。FW戦で負けていたので、 来週からの課題としてしっかり修正できれば、今日の敗戦もチームにプラスに働くと思います。 自分自身としては、相手ボールのスクラムでしっかり押すべき ところで次のプレーを考えてしまったところが反省点です。学生相手ならそれでも通用したと思いますが、社会人相手では押し込まれてしまいます。もっとスク ラムを押すことを意識してやっていきたいです。同時に自分の得意なランプレーももっと磨いていきたいと思います」
□積極的なプレーで社会人にも真っ向勝負・CTB太田光一(3年)
「Aチームでは初めての先発だったので、激しく前に出ることをテーマに臨みました。相手の圧力が強くて前に出られず、すぐに寝てしまった場面が多かったの は反省点です。もっとスピードに乗った状態でボールを持てれば行けたと思うのですが、そこは自分の南橋さんへの要求が足りなかったからなので、練習から もっとコミュニケーションをとって、自分から南橋さんやスタンドオフに要求できるようにしていきたいです。自分は体が大きくないので、ボールをもらう前か らどうにかずらそうと考えているのですが、それにはスピードが大事なので、コミュニケーションして要求していくという課題が見えたことは大きな収穫だった と思います」
□Aチーム初出場で本物のスクラムを体感・PR古賀雄紀(2年)
「社会人は圧力が全然違いました。Aチームでの初めての試合で、社会人相手も初めてでしたが、いい経験になりました。特にスクラムでは、姿勢の高さなどの 課題が見えたので、そこを直していきたいです。日々の練習でスクラム練習をたくさんやって、もっと強くていいスクラムが組めるようになりたいです。チーム のために自分が少しでも力になれるように努力していきます」
□献身的なプレーで自らをアピール・HO泉敬(3年)
「今日は雨なので、セットプレーが重視されると思って臨みました。HOとしてしっかりボールを安定させることを心掛けましたが、圧力がすごくて不安定に なってしまった点が反省です。もっともっとたくさんスクラムを組んで、HOとしての経験を積んでいきたいです。 社会人とやれたことは本当にいい経験でし た。今日の遠征に選ばれたこと自体がいい経験ですし、スクラムの重さを感じられたことは今後の自分に活きてくると思います。自分は体が大きくないのです が、持ち味であるタックルと泥臭さ、そしてハートの部分を出していって、体が小さい奴でもここまでできるんだということを見せていきたいと思っています」
□1年生ながら堂々としたプレーでチームを牽引・SH流大(1年)
「後 半の最後での出場でしたが、いつでもいける準備をしているので、集中して入れました。少しでも試合に出ることができ、また社会人相手ということもあり、と てもいい経験になりました。 特に大きなプレーをしたわけではありませんが、自分の中では、ミスを恐れず思い切ったプレーができたのよかったと思います。 ただ、SHとしてもっとFWを動かしていかなければならなかったのですが、まだ完全に指示できなかったところもあったので、そこは反省点です。あと、サイ ンプレーがあったのですが、まだよく理解できていなくて、うまくいきませんでした。ゴール前ではどういう攻め方をするのかなど、もっと帝京ラグビーを理解 して、早くチーム戦略になじめるようにしなければいけないと思いました。 自分はパスだけでなく、仕掛けで相手に脅威を与えるプレーを心掛けているので、 バテないフィットネスとともにそこをさらに磨いていきたいです」
《PICK UP PLAYERS》
高いディフェンス力と積極的なプレーでチームを引っ張るPR 前田恵輔(4年)
MAEDA KEISUKE
1990年1月18日生まれ
経済学部経営学科
長崎南山高校出身
身長172cm/102kg/血液型A型
■Aチーム初出場でしたが、今日はどんなことをテーマに臨んだのでしょうか。
「とにかく思い切りプレーするということを意識して臨みました」
■実際にプレーした感想を聞かせてください。
「スクラムで相手ボールのときにもっとプレッシャーをかけられれば、相手のスクラムを崩せたのではないかと思うので、そこが残念です。ライ ンアウト・モールも相手に止められてしまったのですが、もっとしっかりしゃくりあげて、自分たちの方から前に出ることを意識すれば、チャンスで取りきるこ とができたのではないかと思いました」
■社会人相手はやりにくかったですか?
「ブレイクダウンの部分で学生とは違った激しさがあったり、要所要所の仕掛けも考えられた形でやってくるので、いい勉強になりました。うちは一つのポイントに人数をかけすぎたりという部分も多く、FWはもっと考えて動かないといけないと思いました」
■相手の第一列には帝京の先輩が2人いましたが、気になりませんでしたか?
「知っている先輩がいた分、かえって思い切ってやれました。自分の成長を先輩に見せていかなければと思って。だからこそ、もっとプレッシャーをかけたかったのですが、そうさせてもらえませんでした」
■相手のスクラムはなかなかしたたかに組んできたように見えましたが。
「自分がヒットのときに前に出られていなかった部分もあり、結果的に相手に付き合う形になってしまいました。もっとヒットから自分のスクラムが組めるように練習していきたいです」
■今日、一番よかったところはどこでしょうか。
「ディフェンスのときにしっかり横とのコミュニケーションを意識できたのと、ビッグゲインされたときにしっかり戻ってディフェンスできたところはよかったです。長い時間出場しても、継続してできるようにしていきたいです」
■自分のこのプレーを見てほしいというところは、どんなプレーですか。
「自分としてはもっとボールをもらって前に出るプレーをしたいと思っているのですが、まずはしっかりとディフェンスの部分で体を張るプレーを見てほしいです」
■4年生としてチームを引っ張っていく役割もあると思いますが、どんなことを心掛けていますか。
「消極的なプレーをしてしまうと、後輩だけでなく、チームのみんなの信頼も得られないと思っているので、積極的に声を出したり、前に出たりして、プレーで引っ張っていけるように意識してやっています」
■今後の抱負を聞かせてください。
「今は大きなチャンスをもらっていると思っているので、しっかり自分を出し切って、Aチームに定着できるように頑張っていきたいと思います」
プロップとしてセットプレーの安定ももちろんだが、タックルなどディフェンス力でも高いパフォーマンスを発揮。FW第一列のディフェンス力を懸念するチー ムが多い中、非常に頼もしい存在と言えよう。4年生となり、自身のプレーのチームへの影響にも気を配っている。セットプレーにさらに磨きがかかることで、 Aチーム定着も遠くはない。今後の一層の進化に注目だ。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【6月5日(日)VS明治大学 百草グラウンド キックオフ時間は調整中】春季オープン戦第5戦は、対抗戦のライバル明治大学との一戦。この春シーズンは、東海大学、早稲田大学といった強豪を破って勢いに乗る相手だ。この一戦にも全力でぶつかってくるはずだ。帝京としては勝敗以上にまずは気持ちで負けず、今後に向けて進化の証を見せつけたい。
(文/木村俊太、写真/川本聖哉)
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