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関東大学対抗戦A 青山学院大学戦

関東大学対抗戦A 青山学院大学戦

2015/09/22

9月22日(火・休)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学(1勝0敗)108-12青山学院大学(1勝1敗)●

《帝京大学》
[FW]
(1)徳永⇒堀越(2)坂手⇒浅堀(3)深村⇒垣本(4)飯野⇒姫野(5)金(嶺)(6)
イラウア⇒服部(7)亀井(8)マクカラン
[BK]
(9)小畑⇒田上(10)松田(11)竹山(12)金田⇒金村(13)重(14)尾崎(15)
森谷⇒宮崎

《青山学院大学》※先発のみ
[FW]
(1)小原(2)大石(3)鈴木(4)安東(5)篠原(6)宮川(7)崔(8)森
[BK]
(9)高橋(敏)(10)岩満(11)向井(12)高野(祥)(13)永岡(14)越智
(15)高野(恭)

【前半】【得点経過】
【1分】帝7-0青
相手ボール・ラインアウトのこぼれ球をPR深村が鋭い出足で拾って、そのままトラ
イ。ゴール成功。

【8分】帝14-0青
ラインアウトからモールを形成。押し込んで、HO坂手がトライ。ゴール成功。

【18分】帝21-0青
WTB竹山のタイミングをずらしたクイックスローインを、WTB尾崎がキャッチ。そのま
ま、走り切ってトライ。ゴール成功。

【23分】帝28-0青
22mライン付近でのマイボール・スクラムを押し込み、No8マクカランが持ち出し
て、SH小畑へパス。小畑からWTB尾崎へ渡り、そのままトライ。ゴール成功。

【25分】帝35-0青
FLイラウア、No8マクカランが前進。さらにSH小畑-SO松田-FB森谷と渡り、森谷が
抜け出してトライ。ゴール成功。

【34分】帝42-0青
マイボール・スクラム。ややボール出しが乱れるも、FB森谷がうまく拾って前進。森
谷からFLイラウア-WTB竹山と渡り、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。

【41分】帝49-0青
ターンオーバーから連続攻撃。ラックから、SH小畑-FB森谷-CTB重と渡り、重が抜
け出してトライ。ゴール成功。


【後半】【得点経過】

【0分】帝56-0青
ラックからSH小畑が仕掛けて前進。そのまま走り切ってトライ。ゴール成功。

【2分】帝61-0青
キックオフボールをLO飯野がキャッチ。ラックからSH小畑-SO松田-CTB金田-FB森
谷-WTB竹山と渡り、竹山が抜け出し、ディフェンスをかわしてトライ。

【8分】帝68-0青
CTB金田が前進。SH小畑-LO金-WTB尾崎と渡り、尾崎が抜け出してトライ。ゴール成
功。

【10分】帝75-0青
FB森谷が前方へキック。WTB尾崎がうまく拾って、そのまま走り切ってトライ。ゴー
ル成功。

【17分】帝75-5青
ラインアウトからの連続攻撃でトライを奪われる。

【19分】帝82-5青
こぼれ球をCTB重が拾って前進。CTB金田へパスし、金田が抜け出してトライ。ゴール
成功。

【21分】帝89-5青
キックカウンターからSH小畑-SO松田と渡り、松田が前進。WTB竹山へとパスが渡
り、竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。

【31分】帝94-5青
マイボール・スクラムからNo8マクカランが持ち出して前進。ラックからSH田上-CTB
重-WTB尾崎と渡り、尾崎が抜け出してトライ。

【36分】帝94-12青
ラインアウトでターンオーバーされ、連続攻撃されてトライを奪われる。

【39分】帝101-12青
ラックからSH田上-PR垣本-No8マクカラン-PR垣本と渡り、垣本がトライ。ゴール
成功。

【41分】帝108-12青
ペナルティからSH田上がクイックリスタート。LO金-WTB尾崎-WTB竹山と渡り、竹山
がトライ。ゴール成功。



《BRIEF REVIEW》
いよいよ2015年度のラグビーシーズンが開幕した。対抗戦第1戦の相手は青山学院大
学。帝京は試合開始直後からエンジン全開。開始1分にPR深村がいい反応を見せ、先
制トライをあげると、その後も攻撃の手を緩めず、攻め続ける。ペナルティで押し戻
される場面はあるが、ディフェンスもしっかりと整え、失点を防ぐ。相手もはやい出
足でプレッシャーをかけてくるが、帝京もひるまず前に出る。1年生のWTB竹山、SH小
畑、No8マクカランも対抗戦初出場とは思えぬほどの落ち着いたプレーを見せ、前半
を49-0で折り返した。後半も攻め続ける帝京。開始直後にSH小畑がラックから仕掛
けてトライを奪うと、その直後にWTB竹山がトライを奪う。途中出場のSH田上も落ち
着いた球さばきで、攻撃のテンポを作り出す。チームとしてはミスもあったが、その
ミスをすぐにカバーし、次に引きずらない戦いを見せる。108-12でノーサイド。今
シーズンのスタートゲームを幸先よく、いい形で快勝した。



《AFTER MATCH SAY》

■岩出雅之監督
「先日、ワールドカップで日本代表がすばらしいゲームをしてくれました。個人的に
ですが、『日本のラグビーが本当にここから始まるんだな』という思いを持ちまし
た。世界というものを見据えた日本が、2019年に向けて本当にスタートしたのだと感じています。
まだ大会中ですが、代表の選手たちがさらにいい結果を出してくれるものと思っていますし、
日本のラグビーがいい未来に向かっていけるというワクワクした思いを感じています。
日本国内にいる我々にどのようなことができるかと考えたとき、
『ワールドカップはワールドカップ。大学ラグビーは大学ラグビー』ということでは
なく、『多くの学生が次のワールドカップに出場できて、さらに今回のような、日本
中の多くの方々が感動してくださるゲームに立ち合えるように、いい目標を持って、
そこに近づいていけるように、今日の試合、そして対抗戦、大学選手権、さらには日
本選手権に向かって目の前の一つ一つのことをやっていこう』と学生たちには話しま
した。『夢は現実になるということを日本代表が見せてくれたことで、我々も国内で大きな夢を持って、
それを現実にしていけるようにしっかりと頑張っていく。その第一歩を今日から積み上げていこう』と。
青山学院大学さんは例年、おもしろい仕掛けをしてこられるので、予測はしていまし
たが、学生たちにはそのことは何も言わず、自分たちで対応してくれることを期待し
ました。上級生には、青山学院大学さんの戦い方を知っている者もいるでしょうし、
彼らを中心にどううまく対応するかを楽しみに見ていました。対抗戦初出場の1年生
もいましたが、彼らにとってもいい経験になったのではないかと思います。ここから
今年の大きな目標に向かって積み上げいけるようにしっかり頑張っていきたいと思いま
すので、今シーズンも学生たちへの変わらぬご声援をいただけますよう、お願いいた
します。」

■キャプテン・HO坂手淳史(4年)
「今日のゲームは対抗戦のファーストゲームということで、今シーズン、帝京大学と
して目標に向かってどう戦っていくかを示し、このあと一歩一歩上がっていくための
試合にしようと言って、臨みました。春シーズン、そして夏合宿で積み上げてきたも
のを出し切って、そこからまた新たに積み上げていこうと思っていました。今日はミ
スも多かったのですが、ゲームを通してコントロールできるところは多かったと思っ
ています。そのコントロールのところを常に意識してゲームを進めていけるように、
これから修正点を修正して、次以降の試合に臨んでいきたいです。ワールドカップの
日本代表の試合は、翌朝、全員でビデオを見ました。全員で日本ラグビーのすばらし
さを確認し、高いモチベーションで練習やゲームに臨めたと思います。また、17日ま
でイギリス遠征に行かせていただきましたが、試合だけでなく、ラグビー発祥の地の
文化に触れることができました。それが今日のゲームで何か具体的に出たわけではあ
りませんが、イギリスで経験してきたことをこれからチーム全体に浸透させて、チー
ムのさらなる成長につなげていきたいと思います。」

■激しいプレッシャーを受けながらも冷静にプレー・SH小畑健太郎(1年)
「初めての対抗戦で緊張もありましたが、先輩方が勇気付けてくださり、いつも通り
のプレーが、ある程度、出せました。先輩方に感謝したいです。ただ、自分の弱さ、
甘さも出て、プレッシャーを受けてしまったところもあったので、そこは修正してい
きたいです。後半開始直後、ラックから仕掛けてトライできたシーンは、チームに何
か返さないといけないと思って頑張りました。イギリス遠征に行かせていただいたの
ですが、外国人相手にプレーするのも初めてで、接点の強さ、プレッシャーのはやさ
などを学ばせてもらいました。春は自分として甘い部分が多くあったと思うのです
が、そこの修正はかなりできていると思います。ここからはさらにレベルの高いプ
レーヤーになっていきたいです。今は同じポジションの選手のケガもあって出させて
いただいている部分がありますが、自分自身、もっとレベルアップして、ケガ人が
戻ってきたときも抜かれないように、この対抗戦では常に出場できるように努力して
いきたいと思います。」


■持ち味を発揮し、4トライの活躍・WTB竹山晃暉(1年)
「試合前は『やってやろう』という気持ちで臨んだのですが、いざグラウンドに立っ
てみると足が震えて『これが対抗戦なんだな』と思いました。また、150人の部員の
代表として試合をする重みというものを改めて感じましたので、それに恥じないプ
レーをしようと心掛けました。前半、(もう少しでトライという場面で)タッチに出
されてしまったシーンは、自分の強みを出し切れなかったところだと思うので、ボー
ルをもらったらトライにつながるプレーをして、チームの雰囲気を上げていけるよう
なプレーヤーになりたいです。イギリス遠征に参加させていただきましたが、本当に
『よかった』の一言です。今後の自分のラグビー人生に大きくつながっていく経験に
なりました。感謝したいです。日本代表の活躍には本当に鳥肌が立ちました。前半か
ら精度の高いタックルで、一つ一つのプレーが日本を熱くしてくれたと思います。自
分はまだまだですが、少しでも近づけるように頑張りたいと思いました。今後は、プ
レーだけでなく、人間性の部分でも成長できるように努力していきたいと思いま
す。」



《PICK UP PLAYERS》
すばやい判断でトライを演出
SH 田上 稔(1年)
TANOUE MINORU


1997年2月10日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
佐賀工業高校出身
身長170cm/体重74kg

■初のAチームでの試合が対抗戦の第1戦でしたが、どのような気持ちで臨んだので
しょうか。

「チームとしても今年初の対抗戦のゲームでしたし、自分としても初のAチーム、初
の対抗戦、初の秩父宮だったのですが、自分にとって夢だったこの舞台で試合ができ
るのはとてもうれしいことで、少ない時間で自分には何ができるかを考えて、SHとし
て周りを活かすプレーをしっかりやっていこうと思って、試合に臨みました。」

■実際にプレーしてみての感想を聞かせてください。
「帝京大学のチームメイトたちはとても強く、しっかりと前進してくれるので、SHと
してはとてもやりやすかったのですが、もっと周りの選手たちを活かせるチャンスが
あったと思うので、もっとスキルアップして、さらにチームに貢献できるようにして
いきたいです。自分の欠点である、あせってしまうと周りが見えなくなって自分のプ
レーができなくなるところもあったので、落ち着いて、周りの声を聞いて、もっと周
りと協調してやっていけるようにしたいです。」

■今日、よかったところはどんなところだったでしょうか。
「いいテンポで球出しができ、最終的にトライにつながったシーンがあったので、そ
ういうプレーをもっと増やしていければ、自分の持ち味が出てくると思います。自分
は周りをうまく使うのが得意なプレーヤーだと思っているので、もっと周りを見て、
いいコミュニケーションをして、いい判断をして、いいプレーができるようにしてい
きたいです。」

■イギリス遠征ではどんなことを学べたと感じていますか。
「高校ジャパンのときもイギリスに行かせていただいたのですが、そのときとはまた
違ったものがありました。イギリスの文化に触れることだったり、向こうの選手たち
との交流などで、新たな気付きもたくさんありました。ラグビー面でも、自分の精神
的な部分でも、とても成長できた遠征だったと思います。」

■ワールドカップでの日本代表の活躍ぶりを見て、どんなことを感じたでしょうか。
「高校の先輩の五郎丸さん(ヤマハ発動機ジュビロ・五郎丸歩選手)が出ていたりし
て、すごく応援していたのですが、自分も将来、あのような8万人規模のスタジアム
でゲームができるように努力しようと思いました。」

■最後にもう少し近いところでの、今後の目標を聞かせてください。
「帝京大学で9番をつけることが入部したときからの夢なので、ライバルも多いので
すが、とにかく貪欲に練習して、人一倍努力して、必ず9番をつけられるように頑張
りたいと思っています。」


後半23分からの出場だったが、1年生、そして初のAチーム、初の対抗戦、初の秩父宮
とは思えない落ち着いたプレーを見せた。終了間際、ペナルティを獲得してのクイッ
クリスタートからの仕掛けでトライを演出したシーンなどは、非常に積極的かつ落ち
着いたプレーだった。練習・トレーニングへのひたむきさもある。まだまだ経験の浅
さはあるが、今後、順調に成長していけばSHのポジション争いはさらに激化していく
だろう。お互いに切磋琢磨し合っていくことで、上級生たちへの刺激にもなっていく
に違いない。



《COLUMN》

――1回だけあっと言わせるためじゃない――


ワールドカップ2015で日本代表がすばらしい試合を見せてくれています。日本中を熱
狂させ、ラグビーという競技が一気に国民の注目の的になりました。

日本代表のジャージがお店でもインターネット通販でも売り切れ、インターネット
オークションでは、定価の数倍の値段がついているといいます。

もちろん、日本代表の活躍は帝京の選手たちにも大きな刺激を与えてくれました。

あの感動を今度は自分たちが演出する番だという思いを持った選手もいれば、あのよ
うな8万人もの大観衆の前でプレーしたいと思った選手もいれば、自分たちがトップ
リーグのチャンピオンを倒すことだって夢じゃないと改めて思った選手もいました。

多くの報道では「感動」とか「興奮」の部分が強調されて伝えられていますが、南ア
フリカ戦後のエディ・ジョーンズHCのコメントには非常に考えさせられるものがあり
ました。エディさんはこうおっしゃったそうです。

「1回だけあっと言わせるためじゃない、我々は優勝しに来たんです。」

この発言がもし南アフリカ戦前のものだったとしたら、おそらくほとんど全員に鼻で
笑われるか、あるいは笑われればまだいい方で、下手をすると、おもしろくもなんと
もない冗談として完全に無視されていたことでしょう。

このエディさんの発言は、帝京が昨年度の日本選手権2回戦で東芝ブレイブルーパス
に敗れたあとの岩出監督のコメントと重なります。岩出監督はこうおっしゃいまし
た。

「夢や非現実と思われても、現実とミックスしながら『社会人を倒して日本一』とい
う目標セッティングが必要だったのでしょう。その気概をチームにもってほしいと思
うなら、まずは監督自身がもたないといけないと思いました。」

冷静に考えれば考えるほど、「日本代表がワールドカップで優勝する」というのは
「夢や非現実」でしょう。しかし、たとえそうであっても、戦う者としては常に勝つ
ことを考えて挑む必要があり、選手たちがその気持ちをもつためには、まず監督がも
たなければならないということを、二人の闘将は強く感じておられるのだと思いま
す。

帝京も、昨年度の日本選手権でトップリーグを倒し、多くの人をあっと言わせたこと
でしょう。しかし、「1回だけあっと言わせる」のではなく、「優勝する」という目
標をしっかりと見据えて戦うことが大事だと日本代表は教えてくれています。

その目標へ近づくための第一歩が、この日、まさに踏み出されたのです。



《THE NEW FACE》

ニューフェースたちの声を紹介します。

LO 藤田 達成(1年)
東福岡高校出身
身長191cm/体重93kg

「自分は身長があるので、ラインアウトやキックオフキャッチといったセットプレー
でアピールしていきたいと思っています。また、二人目のサポートなどラックでいい
仕事をしていければと思ってプレーしています。課題としては、まだ体が細いので、
体作りをしっかりやってコンタクト力をつけていきたと思っています。帝京大学ラグ
ビー部には僕が入るときには高校の先輩がいなかったので、何もわからない状態で
入ったのですが、入ってみた今、すばらしい監督、コーチ陣、スタッフ、先輩方に支
えられていると感じています。まずは自分の体を大きくして、上のチームに絡んでい
けたらと思っています。岩出監督からはいつも『いつまでに、という期限を設定する
ように』とアドバイスをいただくのですが、今はとにかくできる限りはやく上のチー
ムで活躍できるように頑張っています。」


CTB 安藤 佑馬(1年)
新田高校出身
身長169cm/81kg

「自分のアピールポイントは高校時代から強みにしているタックルです。タックルの
激しさは、ずっと意識してやってきました。大学では体の違いでまだ通用しない部分
があるので、これから体を鍛えて、体で負けないようにしていきたいです。具体的に
は、体作りのために練習後のアフター・トレーニングや食事面での栄養管理を徹底す
るなどしています。帝京大学ラグビー部に入る前は、大学王者ということで、練習も
寮生活も厳しいだろうと思っていたのですが、入ってみると、もちろん練習は厳しい
のですが、内容がとても充実していると感じています。一つ一つの練習をただこなす
のではなく、考えながら繰り返していくので、すごく頭を使います。先輩方もやさし
くて、自分が気になったことをすぐに相談できます。今後はまずは体作り、そして練
習でもっと積極的に前に出てやれるようになって、Aチームで活躍できるように努力
していきたいと思います。」



《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A・第2戦
対立教大学戦(http://www.rikkyo-rugby.com/)
9月27日(日) 秩父宮ラグビー場
15時キックオフ

過去の対戦成績:関東大学対抗戦9勝0敗(大学選手権での対戦はなし)
[立教大学の直近5戦]
8月21日 ●19-26関東学院大学(夏期練習試合)
8月23日 △31-31高麗大学(夏期練習試合)
8月25日 ●22-26國學院大学(夏期練習試合)
9月6日 ●12-57早稲田大学(関東大学対抗戦A)
9月19日 ●0-90明治大学(関東大学対抗戦A)

(文/木村俊太)

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