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練習試合 早稲田大学戦

練習試合 早稲田大学戦

2016/08/22

練習試合 対早稲田大学戦
 
8月21日(日)・菅平・サニアパーク・メイン
○帝京大学47-22早稲田大学●
 
《帝京大学》
[FW]
(1)岡本⇒淺岡⇒竹井⇒淺岡(2)堀越(3)呉(味)⇒平井⇒垣本(4)飯野(5)金(嶺)⇒秋山(6)吉田⇒
マクカラン(7)亀井(8)マクカラン⇒ロガヴァトゥ⇒吉田
[BK]
(9)北林(賢)⇒末⇒吉川(10)松田(11)竹山(12)金村(13)矢富⇒岡田(14)宮上⇒重(15)尾崎
 
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)鶴川(2)貝塚(3)千葉(4)山口(5)桑野(6)加藤(7)佐藤(8)宮里
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)桑山(12)中野(13)黒木(14)本田(15)梅津
 
【前半】【得点経過】
【8分】帝0-7早
スクラムを押し込まれ、トライを奪われる。
 
【22分】帝7-7早
FW、BKで連続攻撃。ラックからSH末が仕掛けて前進。WTB竹山へと渡り、竹山が抜け出してトライ。ゴール成功。
 
【31分】帝12-7早
FB尾崎がフェアキャッチからクイック・リスタートで大きく前進し、連続攻撃。SO松田が前方へゴロキック。
No8ロガヴァトゥが拾って、抜け出す。WTB宮上へパスし、宮上がトライ。
 
【40分】帝12-10早
PGを決められる。
 
 
【後半】【得点経過】
【4分】帝19-10早
スクラムからNo8マクカランが前進。ラックからSH末-LO飯野-SO松田と渡り、松田が抜け出してトライ。
ゴール成功。
 
【6分】帝26-10早
ターンオーバーから連続攻撃。HO堀越が前進。FB尾崎-WTB宮上と渡り、宮上がトライ。ゴール成功。
 
【11分】帝26-15早
マイボールのラインアウトを奪われ、つながれ、トライを奪われる。
 
【19分】帝33-15早
ラインアウトから連続攻撃。ラックからFB尾崎-SO松田-No8マクカランと渡り、マクカランが抜け出してトライ。
ゴール成功。
 
【30分】帝40-15早
ラインアウトから連続攻撃。FB尾崎が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【38分】帝47-15早
ラインアウトでキャッチしたLO飯野からHO堀越へとパス。堀越が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
 
【42分】帝47-22早
インゴールにキックを蹴られ、押さえられて、トライを奪われる。
 


 
《BRIEF REVIEW》
 
夏合宿での練習試合第3戦は、早稲田大学との試合。気持ちを入れて臨んだ試合だったが、開始早々、
スクラムでやや劣勢となる。8分、自陣ゴール前でのペナルティに相手はスクラムを選択。これを押し込ま
れて、先制トライを許してしまう。その後もスクラム、ブレイクダウンといったFW戦でやや受けに回ってしま
うシーンが見られる。だが、それもBKがカバー。22分、31分とBKでトライを奪って逆転。前半を12-10
折り返した。ハーフタイムに岩出監督から「必死さが少し足りないよ」「誰かがやってくれると思っているよ
うではダメだよ。謙虚さを教えてもらえるいいチャンスじゃないか」とのアドバイスがあった。その言葉通り、
後半は立ち上がりから帝京がペースをつかむ。4分、6分と立て続けにトライを奪って突き放す。スクラムや
接点では互角の戦いが続くものの、相手の攻撃はしっかりと止める。後半20分過ぎにPR垣本、HO竹井を
投入すると、スクラムもより安定。帝京は順当に47-22で勝利した。なお、続いて行われたBチームの
ゲームも48-5で勝利した。
 


 
《POST MATCH INTERVIEW》
 
■岩出雅之監督
「今日は早稲田大学さんのひたむきなプレーに、私たちがやや忘れかけていたものを思い出させて
いただいたと思っています。タックル、ブレイクダウン、スクラムといったラグビーの芯の部分、原点の
部分の厳しさです。学生たちはいろいろなことに取り組み、新しいことにもチャレンジして頑張っていま
すが、そのための土台となる芯の部分が知らず知らずのうちに少し甘くなっていたように思います。
この時期に、ラグビーの原点、ラグビーのおもしろさを確認できたことは、とてもよかったと思っていま
す。最後になりましたが、早稲田大学ラグビー部の選手、スタッフ、関係者の皆様にお礼申しあげます。
対抗戦での再戦を楽しみにしております。」
 
■キャプテン・FL亀井亮依(4年)
「昨日、Cチームが敗れたのですが、それも自分たちに敗因があって、それはどこかに隙や油断があった
からだと思っています。タックルやブレイクダウンに甘さが出て、相手にチャンスを与えてしまって、敗戦に
つながりました。それを受けて、今日の試合のメンバーはそのマインドセット、厳しいところ、痛いところに行く
こと、まずはディフェンスからボールを取り返してアタックすることなどを意識して臨みました。気合いは入れ
て臨んだつもりだったのですが、やや苦しむ結果になりました。最後にトライを取られてしまったプレーは、
自分たちの心の隙が生んだものだったと思います。僕や飯野や(松田)力也らリーダー陣が、自分たちが
やるのはもちろん、チーム全体に隙を作らないアプローチをしていかなければいけないと思いました。
ここまで、合宿では特別なことをやっているわけではありませんが、自分たちの判断力を強化し、ゲーム中
にいいコミュニケーションを取って、相手の弱みを探しながらゲームを組み立てていくことを中心に取り組ん
できました。ここからは、一つ一つのプレーの大切さを意識して、練習中から一つのパス、一つのタックルに
どこまで執着してやれるかがゲームに表れてくると思います。そうした一つ一つのプレーの積み重ねが
ゲームの勝敗を分けることになるので、そこにこだわって、しっかりやっていきたいと思います。」
 
■自身のプレーとFW戦での甘さを反省・LO飯野晃司(4年)
「今日はタックル、ブレイクダウン、スクラム、そして自分自身のプレーでも少し甘さが出てしまいました。この
合宿で取り組んだことに関しては、理解してやれていたと思うのですが、今までできていたはずの部分を忘れ
かけてしまい、それが課題として出てしまいました。新しいことと芯の部分の両方をしっかりやっていかなけれ
ばいけないと思いました。シーズンに向けても、その芯の部分をまずしっかりやって、そのうえで自分のできる
ことを一つ一つ積み上げていきたいと思います。」
 
■夏合宿を経て、自信を持ってシーズンに臨む・No8ブロディ・マクカラン(2年)
「今日はゲーム中、いいメンタルを作るのが少し難しかったです。でも、帝京のディフェンスはよかったと思い
ます。自陣でも、焦らずディフェンスできました。この夏合宿では、新しいアイデアやメンタリティも学べて、
とてもよかったです。みんな、大きな自信を持てるようになっています。ここまではいい準備ができていると
思うので、シーズンでもいいゲームができると思っています。」
 
■今日の試合をどう受け止め、どう成長に変えていくか・SO松田力也(4年)
「今日は、知らず知らずのうちに受けてしまったところがありました。もっと謙虚にやっていかなければいけ
ないと改めて思いましたし、本当にいい勉強をさせていただいたゲームになりました。ここまでの夏合宿は、
チーム全体としては成長してきていると思いますが、気持ちの部分での甘さを痛感させられた合宿になりま
した。これから自分たちがどう成長していくか、今日のことをどう受け止めて、変えていけるかが大事になる
と思います。自分たちに甘さがあったことがわかったので、リーダー陣を中心にさまざまな部分を見直して
いかないといけないと感じています。」
 
 
《PICK UP PLAYERS》
 
スクラムを一気に立て直した
 
PR 垣本 竜哉(3年・ゲームMVP)
KAKIMOTO TATSUYA
 
 
1995年4月18日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
大阪桐蔭高校出身
身長177cm/体重114kg
 
 
 
■今日の試合、どんなことを考えて臨んだのでしょうか。
「スクラムのところで受けてしまっていたので、試合に向かうにあたって、まずはスクラムの安定のことを
考え、イメージを作っていました。前半、相手のスクラム、自分たちのスクラムを見ていて、そうしたイメージ
とこれまでの経験からもし自分が入ったらどうするかというイメージはできていました。」
 
■劣勢だったスクラムが見事に変わりました。
「1番(左PR)が少し苦しんでいたので、そういうときは3番(右PR)が前で止めてあげないとつらいので、
前に居続けようと思っていました。なんとか、それができてよかったです。」
 
■ここまでの夏合宿を振り返って、充実度はいかがですか。
「パナソニック戦も含めて、いろいろな試合に出させていただきましたが、新しいことにも取り組んでいく中で
課題も見え、自分が活かしていくべきところも見えたので、とても充実した合宿になっています。」
 
■特によくなったところはどんなところでしょうか。
「スクラムはこの合宿で、自分自身、だいぶよくなっている手応えを感じています。」
 
■逆に課題はどんなところでしょうか。
「スクラムだけでなく、フィールドプレーでもっとチームに貢献していきたいです。」
 
■今後に向けての意気込みをお願いします。
「まだ合宿は続きますので、最後まで自分のやれることを全力でやっていきたいです。課題として出た部分
にしっかりと向き合って取り組み、シーズンへと向かっていきたいと思います。」
 

前半から自分が入ったらどうするかをイメージしていたおかげで、すんなりと試合に入ることができたという。
それにより、見事にスクラムを改善させた。去年までの経験と実績も自信になっている。課題に挙げる
フィールドプレーに磨きをかけ、シーズンでのレギュラー争いに名乗りを上げる。
 


 
《COLUMN》
 
――ラグビーの芯――
 
 
この試合、局面によっては少し受けてしまうなど、やや帝京らしからぬシーンが見られました。岩出監督は
ラグビーの芯の部分を忘れ、少し甘くなっていた」と分析しました。
 
「芯」の部分とは、タックル、ブレイクダウン、スクラムといった、体をぶつけ合い、力をぶつけ合うところです。
人は無意識に痛みや苦しみを避けますから、これらは強い気持ちがないとできません。痛みや苦しみは
命の危険を知らせるサインだと言えます。避けないと命が危ないのです。痛みや苦しみを避けるのは、
人間が命を守るために持っている防衛本能と言ってもいいでしょう
 
ラグビーはフィールドの格闘技とも言われるように、痛いところ、苦しいところで体をぶつけ合う競技です。
もちろん、ボールを相手のインゴールに運ぶことを競い合うのですが、そのためには痛いところ、苦しい
ところで体をぶつけていくことが必要になります。
 
それさえできれば勝てるというほどシンプルではないにしても、ここがしっかりしていないと、どんなに
高いスキルも「砂上の楼閣」になってしまいます。建築物の基礎の部分と言えばわかりやすいかもしれ
ません。基礎が甘ければ、その上にどれほど高い、どれほど頑丈な建物を建てても、いや、高くて頑丈
であればあるほど、その建築物は倒壊の危険性が高まってしまいます。
 
まずはしっかりとした基礎を固めて、その上にいろいろなスキルを積み上げていく。改めて言われる
までもなくごくごく当たり前のことなのですが、当たり前であるがゆえについつい忘れてしまいがちなのです。
 
この日の試合は、「芯」「基礎」の大切さを改めて思い出させてもらった試合になりました。人間として
持っている防衛本能を一時的に休ませるほどの闘争心を試合の中でどこまで出せるか。
 
毎年、チームが大きく変わるターンングポイントとなる試合があるものですが、もしかすると今シーズンは
この日の試合が一つのターニングポイントになるかもしれません。

 


 
《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対成蹊大学(http://www.seikeiruggerclub.com/
9月11日(日) 百草グラウンド
17時キックオフ
 
過去の対戦成績:関東大学対抗戦24勝2敗(大学選手権での対戦なし)
[成蹊大学の直近5戦]
6月19日 ○18-10成城大学(定期戦)
6月25日 ●14-55青山学院大学(練習試合)
8月17日 ●0-50大東文化大学(夏季練習試合)
8月19日 ○52-17関西学院大学(夏季練習試合)
8月21日 ●17-50東海大学(夏季練習試合)
 


(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
 

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