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関東大学春季大会Aグループ(岐阜県ラグビー祭) 大東文化大学戦
2017/05/01
○帝京大学(勝ち点6)35-26大東文化大学(勝ち点7)●
《帝京大学》
[FW]
(1)西⇒岡本(2)堀越⇒金(廉)(3)平井⇒當眞⇒平井(4)藤田⇒今村(5)秋山(6)菅原⇒古田(7)申(8)マクカラン(ブ)
[BK]
(9)小畑⇒吉川(10)北村(11)竹山(12)マクカラン(ニ)(13)矢富(14)吉田⇒本郷(15)鬼木
《大東文化大学》※先発のみ
[FW]
(1)古畑(2)平田(3)藤井(4)佐々木(5)ファカタヴァ(タ)(6)湯川(7)河野(8)ファカタヴァ(ア)
[BK]
(9)南(10)大矢(11)岡(12)アピサイ(13)畠中(14)盛田(15)中川
【前半】【得点経過】
【10分】帝7-0大
ラインアウトからFW、BKで連続攻撃。CTB矢富が抜け出してトライ。ゴール成功。
【19分】帝14-0大
ラインアウトからFWで連続攻撃。ラックからNo8マクカラン(ブ)が持ち出し、抜け出してトライ。ゴール成功。
【22分】帝14-7大
スクラムからつながれ、抜け出されてトライを奪われる。
【25分】帝21-7大
ラインアウトからFW、BKで連続攻撃。BKに展開し、FB鬼木が抜け出してトライ。ゴール成功。
【39分】帝28-7大
SH小畑が前方へキック。ラックでボールを奪うと、SH小畑-FL今村と渡り、今村が抜け出してトライ。ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【6分】帝28-14大
スクラムからつながれ、抜け出されてトライを奪われる。
【17分】帝35-14大
FW、BKで連続攻撃。ラックからSH吉川-CTB矢富-CTBマクカラン(ニ)-WTB吉田-CTBマクカランと渡り、マクカランが抜け出してトライゴール成功。
【19分】帝35-21大
キックオフからつながれ、トライを奪われる。
【33分】帝35-26大
パスをインターセプトされ、つながれ、トライを奪われる。
(後半35分、雷雨のためノーサイド)
《BRIEF REVIEW》
2017年度の公式戦、関東大学春季大会が始まった。第1戦は岐阜での招待ゲーム。相手は大東文化大学だ。試合前は日差しのあるなか、小学生から社会人まで集まってタグラグビー大会のイベントが開かれるなど、大いに盛り上がった。そのあとを受けてのゲーム、前半は日差しもあり、穏やかな天候だったが、天気予報では「晴れのち雨」。ところによっては雷を伴うというものだった。キックオフからの展開は一進一退。相手にゴール前まで攻め込まれるシーンもあるが、しっかりと守って、エリアを押し戻す。先制したのは帝京。ラインアウトからまずはFWで攻め、その後BKへ展開。CTB矢富が巧みなステップで抜け出してトライを奪う。アタックではしっかりと相手に体を当てていく意識が強く見られ、力強く前に出るシーンが増える。19分にはFWでの連続攻撃から、No8ブロディ・マクカランが持ち出してトライ。直後、ミスから失点を許すも、FB鬼木、FL今村がトライを奪い、28-7で前半を折り返した。このあたりから、天気予報のとおり、空模様が怪しくなってくる。と同時に、帝京のプレーにもやや集中力を欠く場面が出てしまう。後半、体を当ててはいくものの、前半のような力強く前に出るシーンが減ってくる。ディフェンスでも抜かれてしまう場面が増え、相手に先に得点を与えてしまう。17分には、BKのいい連携からCTBニコラス・マクカランがトライを奪うが、その後、ボールへの働きかけにやや甘さが出るなど、失点につながるミスが出てしまう。岩出監督が試合後に「チーム戦術以前の、個人の問題」と語った部分だ。後半途中から、遠くに稲光が何度も見られ、やがて雷鳴が鳴り出す。雨も激しくなり、落雷の危険があるため、後半35分にノーサイドの笛が鳴った。帝京は35-26で開幕戦に勝利し、勝ち点6を獲得した。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「2017年度の新チームでの公式戦が始まりました。今日は、初戦としてはいいところもたくさん出ましたが、一瞬、集中力を欠いてしまうところも多くありました。この点は、チーム、個々の課題として今後修正して行きたいと考えています。これから新しい選手も更に加わりコミュニケーション等、不具合が多くなってくると思います。集中力を欠いた場面も個々のイメージとコミュニケーションができていないところ、互いのイメージの空白ができてしまったところだと思っていますので一人一人しっかりレベルアップさせたい課題です。また、ディフェンスに勇気をもてていない選手は、それに気づいて、気持ちを切り替えてやってくれれば、きっと成長してくれると思っています。いつも多くのことを気づかせてくださる大東文化大学さんには、とても感謝しています。今日のように最後まで全力でプレーしてくださるからこそ、我々もさまざまなことに気づけるのだと思っています。今日は雷雨というアクシデントで、試合は途中で終了となってしまいましたが、もう一度、対戦できることを楽しみにしております。最後になりましたが、ご招待いただきました岐阜県ラグビーフットボール協会の皆様、共催の岐阜新聞、ぎふチャンの皆様ほか大会関係者の皆様、エスコートキッズをしてくれたラグビースクールのお子さんたち、スクール関係者、保護者の皆様、大会運営に関わっていただいた方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。」
■キャプテン・HO堀越康介(4年)
「今日はチームとして体を張り続けることができませんでした。大東文化大学さんのアタックに対して、体を当てるのではなく、受けてしまったところがあり、そこが一番の課題だと思います。前半は体を当てに行こうという意識があって、ゲインできる場面もあったのですが、横とのコミュニケーションができていないところがありました。後半は『行こう』という気持ちが持続できず、コミュニケーションもよくなかったので、終始、相手のペースになってしまいました。自分は(ジュニアジャパンや日本代表に招集されて)ずっとチームを離れていて、チームと一緒にいられたのが昨日一日だけだったのですが、そのことによるコミュニケーション不足は時間とともに解消されていくので、心配はしていません。チームにいるリーダー陣や学生コーチたちともコミュニケーションしていましたし。ただ、ずっとチームで練習していたメンバーとの共有すべき点や温度差はあるなと感じるところもあったので、自分自身からしっかり帝京のコンセプトを共有しみんなとの差を埋めていきたいです。このあともまた日本代表の方に合流しますが、日本代表で学んだこともしっかりチームに持ち帰って、みんなに還元したいです。帝京のゲームにも日本代表のゲームにも体をしっかり当て張っていくプレーをプライドをもってやっていきたいです。」
■コンタクトプレーに自信を深める・LO秋山大地(3年)
「今日はFWとしてセットプレー不安定で、その分、苦しいゲームになってしまいました。特に自分がオプション選択をしたラインアウトで、判断があいまいで、相手のディフェンスをうまくかわすことができず、苦戦してしまいました。フィールドプレーではFWがしっかり走らないとアタックオプションが増えないので、もっとFWが動いていかないといけないと思いました。Aチームの先発ということで試合前は緊張はありましたが、思い切りやろうと思って臨みました。去年までの先輩方のプレーと比べるとまだまだ足りないところがたくさんあったので、もっと激しくプレーしてチームに貢献したいです。今日の収穫としては、タックルに入る前の立ち位置、ポジショニングのスキルを磨けばもっといいタックルができて、自分の強みが活かせるとわかったことです。コンタクト自体は負けていなかったと思うので、その前の段階のスキルを向上させていきたいです。次に向け、今日の反省点をしっかり振り返って、自分の強みである大きな体を激しく相手にぶつけていけるように頑張りたいと思います。」
■デビュー戦もひるまず全力でプレーした・SO北村将大(1年)
「今日は監督からも先輩方からも『まずは自分ができることを精いっぱいやればいいよ』という声掛けをしていただいて、自分のマインドセットはしっかりコントロールできた状態で試合に臨めたと思います。そうしたセルフ・コントロールを、この遠征で学ばせていただきました。ただ、ゲームの中でのエリアマネジメントなどはまだまだで、スキルもイメージも足りていないので、もっと勉強していきたいです。今日、学ばせてもらったものを、帰ってからも自分のものにできるように、この経験を忘れず、次に活かしていきたいと思います。」
■強みを発揮するもコミュニケーション不足を反省・FB鬼木秀一(3年)
「今日はエリアマネジメントを意識してプレーしようと思って試合に臨みました。前半は風上だったこともあり、エリアをうまく取れていたのですが、自分のコミュニケーション不足で裏を取られてしまうシーンがあったので、コミュニケーションでの課題が見つかりました。アタック面では、自分の持ち味は思い切りのいいアタックだと思っているので、カウンターアタックなど、自分がボールを持ったときにはしっかりと前に出ようという気持ちでやりました。うまくいったところもありましたが、相手につかまってしまう場面もあったので、もっとウエイトトレーニングをして、つかまっても立っていられる強い体幹を身につけたいと思います。今日はボールを持って前に出る場面も多かったのですが、状況によってはパスをした方がいい判断になっていたシーンもあったかもしれません。そこはもう一度、ビデオを見て検証したいです。今後に向けては、まずはコミュニケーションをきちんと取ること、そしてFBとしての状況判断とキックスキルを磨くことだと思っています。同じポジションの先輩に尾崎晟也さんというすばらしいお手本、目標としている人がいるので、しっかりついていきたいと思います。」
《PICK UP PLAYERS》
弟のデビューにも刺激され、さらなるハードワークを誓う
No8 ブロディ・マクカラン(3年)
Brodi Roy McCurran
1994年5月24日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
ハミルトンボーイズ高校出身
身長191cm/体重100kg
■まずは今日の試合の感想から聞かせてください。
「今日はシーズンのファーストゲームでしたが、帝京はまだまだでしたね。特に、ストラクチャーのところがまだまだでした。新しいメンバー、弟のニックらも入ったのですが、コミュニケーションのところでは少し影響もあったと思います。全体的にうまくいきませんでしたね。帝京のミスで大東文化大学さんにスコアされていました。これは問題です。」
■今年はどんなテーマでプレーしているのでしょうか。
「今年はチームのみんなが『全部を楽しもう』という意識でやっています。たいへんでも楽しい。何でも楽しい。そんなふうに意識して、プレーしています。いつも笑顔で。それがテーマですね。」
■先ほど言っていた、新入生の弟(ニコラス・マクカラン)とプレーしてみて、どうでしたか。
「2人で一緒に試合に出たのは初めてだったのですが、とても楽しかったです。」
■彼のプレーをどう見ていますか。
「彼も僕と同じく、パワーで前に出るタイプではなく、冷静に判断してプレーするタイプです。シンプルなラグビーでいい判断ができるところが、彼のストロングポイントです。今日はよかったと思いますよ(ニコラス・マクカランはゲームMVPを獲得)。彼は足も速いし、パスもうまい。あとはコミュニケーション。日本語がまだ上手じゃないから。でも今日は、10番のマサ(SO北村将大)が上手にコミュニケーションしてくれました。2人は仲がいいし、マサは英語ができますから。」
■自身のプレーについて、次はどんなプレーをしたいですか。
「次はしんどいプレーをして、ハードワークして、スペースを作れるようなプレーをしたいです。」
今シーズン最初の試合ながら、いつもどおり冷静にプレーし、トライも奪った。だが、この日の彼にとっての最大の関心事は、弟のニコラス・マクカランのデビューだったはずだ。「心配はしてないかった」と言うが、本心はかなり気遣っていたに違いない。普段から笑顔を絶やさないことを心掛けているが、今年はチームとしても「どんなときでも楽しもう」という方針を掲げ、これまで以上に笑顔を意識することになりそうだ。また、今年は3年生としてリーダーとしての役割も要求されるが、弟の加入で自然とリーダーシップを発揮する場面も増えそうだ。「僕にはAngry Faceは似合わないですから」と笑顔で語る姿には、上級生としての強い決意も滲んでいた。
《COLUMN》
――Smile Ver2.0――
2017年度の春シーズンが始まりました。
これまでも「Smile」を合言葉に笑顔を大事にしてきましたが、今年度はさらに「常にどんなことをも楽しもう」という考え方のもと、よりいっそう笑顔の大切さを強調し、実践しています。
笑顔の効用はたくさんあります。過度な緊張をほぐしたり、前向きな気持ちになれたり、さらにはストレスを軽減することによって身体の健康にも好影響を与えるなどの研究結果もあるそうです。
また、笑顔を作ることで前向きな気持ちになれるという側面と、前向きな気持ちになることで自然と笑顔が出るという側面の両方があり、これらがうまく噛み合うと笑顔と前向きな気持ちの好循環が生まれるようになります。
まずは無理にでも笑顔を作ってみることで、前向きな気持ちが出てきます。でも、ラグビーの試合では、特に力が拮抗したチームどうしなら、痛いこと、きついこと、苦しいことの連続です。そんななか、無理やりの笑顔だけではたして本当の前向きな気持ちになれるかどうかは難しいところでしょう。
ここからが今年の「Smile-New Version-」。痛いこと、きついこと、苦しいことも、実は自分たちの目標に向かうために必要な行程です。うまくいかなかった、ミスをした、甘さが出た、そしてそれに対して喝を入れられた……そんなときも、「いや、これも目標達成のための必要な行程。もしここで喝を入れてもらえなかったら、大学選手権決勝で同じミス、同じ甘さが出ていたかもしれない。ここで身に染みたからこそ、直して、成長できる」と考えられれば、「よかった。なんてラッキーなんだ」と思えるようになるかもしれません。
昔なら、ミスをして喝を入れられたのに笑顔でいるなんて考えられないことでした。「へらへら笑うな」などと、さらにきつい喝を入れられてしまうことでしょう。しかし「Smile」を重視する帝京では、そうは受け取られません(ただし、「これも目標達成のための必要な行程」と考えられずに、単なる照れ隠しで笑っているだけだと「へらへら笑う」のと変わらなくなってしまうので要注意です)。
さあ、今シーズン、どれだけたくさんの「Smile」が見られるでしょうか。「Smile」がたくさん見られれば見られるほど、それは選手たち、そしてチーム全体の成長の証しでもあります。
笑顔は伝播します。選手たちの笑顔には、私たちファンも笑顔で応え、笑顔の輪を広げていきましょう。
《NEXT MATCH》
第52回IBC杯ラグビー招待試合
対釜石シーウェイブス(http://www.kamaishi-seawaves.com/)
5月14日(日) いわぎんスタジアム(岩手)
13時5分キックオフ
(文/木村俊太・写真提供/岐阜県ラグビーフットボール協会)
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