REPORT
レポート
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関東大学春季大会Aグループ 早稲田大学戦
2017/06/12
6月11日(日)・百草グラウンド
○帝京大学(勝ち点24)35-14早稲田大学(勝ち点6)●
《帝京大学》
[FW]
(1)西⇒岡本(2)堀越(3)當眞⇒淺岡(4)藤田(5)金(廉)⇒久保(6)古田⇒岩永(7)野沢⇒安田(8)吉田
[BK]
(9)小畑⇒末(10)北村⇒奥村(11)竹山(12)本郷⇒鬼木(13)矢富(14)元田(15)尾﨑
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)井上(2)鷲野(3)鶴川(4)三浦(5)松井(6)加藤(7)幸重(8)下川
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)古賀(12)中野(将)(13)黒木(14)中野(巌)(15)桑山
【前半】【得点経過】
【7分】帝7-0早
相手のノックオンしたボールをWTB元田がインゴールでうまく拾って、そのまま前進。WTB竹山にパスし、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。
【30分】帝14-0早
ラインアウトからモールを形成。そのまま押し込み、HO堀越がトライ。ゴール成功。
【38分】帝21-0早
FB尾﨑のキックカウンターから連続攻撃。HO堀越が前進し、さらに連続攻撃。LO藤田が前進。ラックからSH小畑が仕掛けて、そのままトライ。ゴール成功。
【42分】帝28-0早
こぼれ球にLO金がセービングしてマイボールに。SH小畑に渡り、小畑が前進し、WTB竹山へパス。竹山が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【12分】帝28-7早
パスをインターセプトされ、トライを奪われる。
【18分】帝35-7早
相手ボールのスクラムでターンオーバーして展開。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が仕掛けて抜け出す。フォローした小畑へパスを戻し、小畑がトライ。ゴール成功。
【28分】帝35-14早
スクラムから展開されてトライを奪われる。
《BRIEF REVIEW》
春季大会第4戦は早稲田大学との対戦。昨年度の対抗戦では大差で勝利したが、夏の練習試合ではスクラムトライを許すなど、苦しめられた相手だ。そのスクラムの機会はキックオフ早々にやってきた。相手ボールのスクラムを帝京が強烈に押し込み、ターンオーバー。詰めかけた観衆を大いに沸かせた。その後、ミスもあり、ゴール前まで攻められるが、ナイスタックルでこぼれたボールをWTB元田がインゴールですばやく拾って前進。最後はWTB竹山にパスし、竹山が先制トライを奪った。試合はここから帝京ペースで進む。だが、もう一歩のところで止められ、得点にまでは至らない。追加点は30分過ぎ。この日、抜群の安定感を誇ったラインアウトからモールを形成し、押し込む。そのまま押し切ってHO堀越がトライ。前半終了間際には、SH小畑の前進などで2トライを挙げ、28-0でハーフタイムを迎えた。「芯のプレーを大事にしよう」と言って臨んだ後半だったが、前半のスコアでやや安心してしまったか、攻めながらのミスが出てしまう。タックルも受け身になりがちになり、徐々相手に主導権を与えてしまう。それでも、競り合うハイパントで何度も好キャッチを繰り返したFB尾﨑らの活躍、また終始圧倒したスクラム、抜群の安定感を見せたラインアウトなど、要所でのプレーはしっかりとやり切り、35-14でノーサイド。帝京は春季大会4連勝を飾った。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「今日はいいところもたくさんありましたが、ややもたもたしてしまったところもありました。後半は特に、安心してしまったのか、少しゆるいプレー、やや雑なプレーが出てしまったように思います。早稲田大学さんも一生懸命、本気のプレーをしてくださいましたので、我々もそれに負けない真摯なゲームをしていかなければいけなかったのですが、後半は少し甘さが出てしまいました。ただ春シーズンですので、いいところはいいイメージにして、悪いところが出ればそれを謙虚さにつなげてくれればと思っています。次のゲームに向けて修正していくことが一番大事なので、春シーズンの最後に向けて、この一週間、しっかりと練習に取り組んでくれることを期待します。この春シーズンはケガ人も多く出てしまいましたが、新しく出場している選手たちも伸びてきてくれているので、そこはとてもうれしく思っています。ケガをした選手たちが戻ってきたときに、いま出ているメンバーたちともうまく噛み合って、一緒にさらなる成長を遂げてくれれば、この春シーズンはとても有意義だったと振り返ることができるのではないかと思っています。」
■キャプテン・HO堀越康介(4年)
「今日はセットプレーで優位に立てていたので、そこは自分たちの自信になりました。スクラム、ラインアウトともに80分間、いい形でできたことはFWにとってすごくよかったと思います。後半、スコア的に安心してしまったところがあって、そこで一つ一つのコンタクトの場面で雑なプレーが見られ、そこが課題として出ました。これを試合中に僕がちゃんと指摘して、チームをいい方向に向かわせなければいけなかったのですが、それができなかったことは僕自身の課題です。前半はできていたことなので、後半の安心してしまった時間帯に、僕がチームに働きかけて、よくない状態から抜け出せるようにしなければと思っています。自分の力不足ですが、これはキャプテンになった責任でもあると思うので、ここからしっかりとやっていきたいと思います。春シーズンは、タックル、ブレイクダウンといったコンタクトの部分、さらにはスクラムといった『芯のプレー』を常に意識してやってきたので、次の流通経済大学さんとの試合は春シーズンの集大成として、その『芯のプレー』をしっかりと出していきたいと思います。また、今日のように、後半、雑なプレーが出る時間帯があったとき、すばやく修正して、80分間、トータルしていい形を出せる試合にしていきたいと思います。」
■プレーの質を大事にしていきたい・FL古田凌(4年)
「今日はいい部分もありましたが、後半、軽いプレーからのミスが目立って、そこを相手につけ込まれてしまいました。もっと丁寧なプレーを意識してやらないと、いいプレーにつながっていかないので、まずはいいプレーの前提としての基本的なプレーをきちんと丁寧にやっていって、プレーの質を大事にしていきたいです。自分のプレーとしても、しっかりと肩でタックルに入れていなくて、はずされてしまったシーンがあったので、ここは次への修正ポイントとして出たと思います。練習から雑なプレーを出さず、一つ一つ丁寧なプレーをしていって、成長していきたいと思います。」
■タックルにフォーカスして厳しくやっていきたい・CTB矢富洋則(4年)
「今日は試合の入りのところはよかったのですが、チームとしても、自分自身としても、後半に入るとプレーが雑になってしまって、相手にチャンスを多く与えてしまいました。いい部分もありましたが、もっとしっかりとしたいいゲームができたはずなのに、それができませんでした。前半のリードで油断したつもりはないのですが、後半は楽をしてしまったり、自分のやりたいことだけをやってしまって、基本的なことを忘れてしまったように思います。軽いプレー、雑なプレーでミスをして、相手にチャンスを与えてしまうというよくない流れを自分たちで作ってしまいました。自分のプレーでも、タックルの激しさが足りなくて、受けてタックルしていたところがありました。もっとタックルにフォーカスして、厳しくやっていきたいです。次は春シーズンの最終戦なので、しっかりといい形で終われるように、これまでやってきたことを全部出して、ラスト1試合ですが、さらに成長できるように、この一週間、厳しく練習に取り組んでいきたいと思います。」
■上原充(東京ガス・帝京大学OB)
「卒業後、初めて母校の試合を見せてもらいましたが、ついこの前まで自分がこの環境にいたのが信じられないくらい、みんなアグレッシブにプレーしていてすばらしかったです。自分はいま、トップリーグの下のトップイーストでプレーしていますが、みんなの一生懸命さに僕の方がエネルギーをもらいました。また、卒業してあらためて、帝京大学のラグビー環境のすばらしさを感じています。後輩たちにはこのすばらしい環境でラグビーができることへの感謝の気持ちを忘れず、充実した学生生活を悔いなく過ごしてほしいと思っています。」
《PICK UP PLAYERS》
久しぶりのAチームながらいきなり快足ぶりを披露
WTB 元田 翔太(4年)
MOTODA SHOTA
1995年9月17日生まれ
経済学部経済学科
熊本工業高校出身
身長178cm/体重94kg
■久しぶりのAチームでの先発出場でしたが、まずは今日のゲームを振り返ってください。
「いい部分もたくさんありましたが、もっと取ることができたのにという、後悔の方が多い試合でした。アタックでも、ディフェンスでもやや雑な場面がありました。修正点が多く見えた試合になったと思います。」
■自身のプレーは、例えば、最初の得点シーンなどは非常にいい反応でボールを奪って、そのままスピードで持っていくいいプレーだったと思いますが。
「自分はやはりそういった泥臭いプレーでボールに食らいついて、Go Forwardするというのが自分のやるべきことだと思っているので。あと、竹山がいいサポートをしてくれたので、トライにつながりました。」
■他にもいい形で前に出るシーンが何度もありました。
「ボールキャリーは自分の特徴だと思っているので、そこはボールを持ったら力強く行こうと、日頃から心掛けています。」
■ディフェンス面はどうでしたか。
「WTBということもあって、タックル機会自体が多くはなかったのですが、もっと内側のプレーヤーに声を掛けて、コミュニケーションを取って、ターンオーバーのチャンスを作れればよかったです。」
■ここからAチームでどんどん活躍していきたいですね。
「個人としてはそう考えていますが、最終学年の4年生なので、チーム全体のことを考えて後輩たちにいいアプローチをして、チームの底上げの役割も担えればと思っています。」
■特に4年生としてここを心掛けているというものはありますか。
「練習中の声掛けは意識しています。きついところ、頑張らないといけないところでみんなが下を向いたりしないように声掛けをしようと心掛けています。」
■太ももなど太くなったようにも見えますが、体自体、大きくなっているのでしょうか。
「少し、ウエイトアップはできています。これからも、スピードを落とさずにもっと大きくしていきたいと思います。」
■では、あらためて今後への意気込みをお願いします。
「今日は個人で成長すべきところも、チームで成長すべきところも多く見えた試合だったので、そこを修正しながら、Aチームだけではなく、B、C、Dとみんなで成長していけるように頑張っていきたいと思います。」
Aチームでの先発出場は今シーズン初。そんなことはまったく感じさせないプレーが、開始早々に飛び出した。ゴール前まで攻め込まれ、絶体絶命のピンチでこぼれ球に反応。自陣のインゴールから快足を飛ばし、一気に前進し、WTB竹山の先制トライを演出した。その後も、いい形で抜け出すシーンを何度も作り、快足ぶりをアピールした。4年生として自身のプレーよりも、チームのこと、後輩たちのことに気を配る姿勢もすばらしい。普段の生活面でも誰よりも謙虚に、そして誰よりも気遣いのできる元田。体も大きくなり、力強さも増している。頼もしい男がパワーアップして戻ってきた。
《COLUMN》
――セットプレーの攻防――
今シーズンの春季大会は遠征続きで、この日が百草グラウンドでの初のゲームとなりました。Cチーム、Aチーム、Bチームの順で試合が行われましたが、Cチームの試合に間に合うように乗ったバスはすでに超満員。普段、生活の足としてバスを利用されていると思しきご婦人も「あら、いつもはガラガラなのに、なんでこんなに混んでいるのかしら」と不思議がっていました。Aチームの試合が始まる頃になると、お客さんの数はさらに膨れ上がり、特に出入り口付近は人で溢れ、出入りが困難になるほどでした。
2019年のワールドカップに向け、ラグビー人気はますます高まっており、それは大学ラグビー界にも少なからぬ影響を与えていると実感できる光景でした。
さて、この日の試合、さまざまな見どころがあり、大勢のお客さんたちはそれぞれがいろいろな見どころを抱えて観戦されていたと思いますが、その中の一つに「セットプレーの攻防」があったことは間違いありません。
セットプレーとは、スクラム、ラインアウト、それにキックオフやペナルティキック、フリーキックを加えることもありますが、試合の流れが一旦切れて、ボールや人がセットされた状態からリスタートするプレーを言います(通常は主に、スクラムとラインアウトを指す用語として使われます)。
帝京は昨年度、大学選手権8連覇を成し遂げましたが、同時に大きな宿題もいただくことになりました。それは「スクラムの安定」という課題でした。
大学選手権決勝後の記者会見でも、岩出監督は「来年度はスクラムを強化します」と宣言していますし、堀越キャプテンも自身がHOということもあり、「今年は去年やられたスクラムトライをやり返そうと言って、練習に励んでいます」と言うように、スクラムの強化は今シーズンの大きなテーマの一つとなっているようです。
また、ラインアウトも重要です。昨年度、スクラムほどは目立っていませんが、ラインアウトがうまく取れずにせっかくのチャンスを失ってしまうというシーンも、一度や二度ではありませんでした。ラインアウトの安定は得点力とも直結しますので、非常に重要です。
この日、帝京はセットプレーの攻防で圧倒しました。「安定」ではなく、あえて「圧倒」と表現します。
最初のスクラムは試合開始直後にやってきました。相手ボールのスクラムでした。何度かの組み直しののち、帝京はスクラムを押し込み、ターンオーバー。相手ボールを奪ったのです。その後も、スクラムでは何度も相手ボールを奪い、ピンチをチャンスに変えることができました。
数年前、岩出監督がこんな言葉を発していたのを思い出します。
「スクラムが強いことって、本当に大きな武器ですよね。ノックオンしても(スクラムを押し込んでターンオーバーできれば)マイボールで攻められるんですから」
この日はまさにそんなゲームになりました。
また、もう一つのセットプレー、ラインアウトも安定していました。この日のゲームMVPに選ばれたLO藤田の安定感は抜群で、HO堀越との息もぴったりと合っていました。モールの精度にさらに磨きがかかっていけば、ゴール前での得点力の大幅アップも期待できそうです(もっとも、この日はモールもとてもよかったです)。
この春シーズン、少しずつよくなっているように見えたセットプレーが、この試合でようやく一つの形として表れ始めました。
岩出監督は笑顔でこう言います。
「今までは練習していなかっただけ。練習したからこうなったんです。」
もちろん、今までだってまったく練習していなかったわけではありません。ただ、練習に割く比重が小さかったということです。セットプレーの練習時間を多少犠牲にしてでも、他の部分の強化に力を入れたという表現が正しいと思います。
「日本選手権がなくなってしまいましたから。」
別の文脈で述べたこの岩出監督の言葉が、もしかすると今年の帝京のセットプレーの安定につながっているのかもしれません。
いずれにしても、この日の試合を見る限り、夏、そして秋にはさらに成長したセットプレー(そして、そこを起点としたダイナミックなラグビー)をファンの皆様にお見せできることだろうと確信しています。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
SH 土永 雷(1年)
光泉高校出身
身長167cm/体重65kg
「自分のアポールポイントは球さばきとパスです。大学生になってまだ数ヵ月ですが、チームの戦術にまだ慣れていなくて、その部分でしっかりと頭を使っていくことが、課題といいますか、やっていかなければいけないと思っている部分です。帝京大学ラグビー部は、全員が練習の一つ一つの意味をきちんと理解してやるというのが前提で、みんなが練習のポイントを意識してやっているので、初めて練習に参加したときにはとても驚き、すごいと思いました。今後は、まずはAチームのメンバーに選ばれるようにしっかり練習すること、またメンバーとして出るだけではなく、自分の強みを活かして、みんなから信頼される選手になっていきたいです。」
CTB 岡村 晃司(1年)
御所実業高校出身
身長170cm/体重85kg
「自分の強みはアタックです。力強いアタックが持ち味だと思っています。課題としてはディフェンス、タックルがまだうまく入れないところがあるので、ディフェンスの練習をしっかり頑張ってやっていきたいと思っています。帝京大学ラグビー部はラグビーだけではなく、私生活の中でも頭を使う部分が多く、そこは入り前に思っていた以上にすごいと感じています。まずは体づくりをしっかりとやって、上のチームで出場できるように頑張りたいと思います。」
FB 尾﨑 泰雅(1年)
伏見工業高校出身
身長183cm/体重85kg
「自分の強みはアタックの部分で、ステップを切って抜けるプレーを得意としています。課題としては、やや雑なプレーをしてしまうことがあるので、そこを直していきたいと思っています。チームのことはいろいろと聞いてはいましたが、やはり4年生がさまざまな仕事に取り組んでくださり、自分たちはラグビーに集中できる環境が整っているところは聞いていた以上にすごいと思いました。今後は上のチームで出場できるように、頑張っていきたいと思います。」
《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A
対流通経済大学(http://rku-rugby.jp/)
6月18日(日) 百草グラウンド
13時半キックオフ
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
○帝京大学(勝ち点24)35-14早稲田大学(勝ち点6)●
《帝京大学》
[FW]
(1)西⇒岡本(2)堀越(3)當眞⇒淺岡(4)藤田(5)金(廉)⇒久保(6)古田⇒岩永(7)野沢⇒安田(8)吉田
[BK]
(9)小畑⇒末(10)北村⇒奥村(11)竹山(12)本郷⇒鬼木(13)矢富(14)元田(15)尾﨑
《早稲田大学》※先発のみ
[FW]
(1)井上(2)鷲野(3)鶴川(4)三浦(5)松井(6)加藤(7)幸重(8)下川
[BK]
(9)齋藤(10)岸岡(11)古賀(12)中野(将)(13)黒木(14)中野(巌)(15)桑山
【前半】【得点経過】
【7分】帝7-0早
相手のノックオンしたボールをWTB元田がインゴールでうまく拾って、そのまま前進。WTB竹山にパスし、竹山が走り切ってトライ。ゴール成功。
【30分】帝14-0早
ラインアウトからモールを形成。そのまま押し込み、HO堀越がトライ。ゴール成功。
【38分】帝21-0早
FB尾﨑のキックカウンターから連続攻撃。HO堀越が前進し、さらに連続攻撃。LO藤田が前進。ラックからSH小畑が仕掛けて、そのままトライ。ゴール成功。
【42分】帝28-0早
こぼれ球にLO金がセービングしてマイボールに。SH小畑に渡り、小畑が前進し、WTB竹山へパス。竹山が抜け出し、走り切ってトライ。ゴール成功。
【後半】【得点経過】
【12分】帝28-7早
パスをインターセプトされ、トライを奪われる。
【18分】帝35-7早
相手ボールのスクラムでターンオーバーして展開。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が仕掛けて抜け出す。フォローした小畑へパスを戻し、小畑がトライ。ゴール成功。
【28分】帝35-14早
スクラムから展開されてトライを奪われる。
《BRIEF REVIEW》
春季大会第4戦は早稲田大学との対戦。昨年度の対抗戦では大差で勝利したが、夏の練習試合ではスクラムトライを許すなど、苦しめられた相手だ。そのスクラムの機会はキックオフ早々にやってきた。相手ボールのスクラムを帝京が強烈に押し込み、ターンオーバー。詰めかけた観衆を大いに沸かせた。その後、ミスもあり、ゴール前まで攻められるが、ナイスタックルでこぼれたボールをWTB元田がインゴールですばやく拾って前進。最後はWTB竹山にパスし、竹山が先制トライを奪った。試合はここから帝京ペースで進む。だが、もう一歩のところで止められ、得点にまでは至らない。追加点は30分過ぎ。この日、抜群の安定感を誇ったラインアウトからモールを形成し、押し込む。そのまま押し切ってHO堀越がトライ。前半終了間際には、SH小畑の前進などで2トライを挙げ、28-0でハーフタイムを迎えた。「芯のプレーを大事にしよう」と言って臨んだ後半だったが、前半のスコアでやや安心してしまったか、攻めながらのミスが出てしまう。タックルも受け身になりがちになり、徐々相手に主導権を与えてしまう。それでも、競り合うハイパントで何度も好キャッチを繰り返したFB尾﨑らの活躍、また終始圧倒したスクラム、抜群の安定感を見せたラインアウトなど、要所でのプレーはしっかりとやり切り、35-14でノーサイド。帝京は春季大会4連勝を飾った。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「今日はいいところもたくさんありましたが、ややもたもたしてしまったところもありました。後半は特に、安心してしまったのか、少しゆるいプレー、やや雑なプレーが出てしまったように思います。早稲田大学さんも一生懸命、本気のプレーをしてくださいましたので、我々もそれに負けない真摯なゲームをしていかなければいけなかったのですが、後半は少し甘さが出てしまいました。ただ春シーズンですので、いいところはいいイメージにして、悪いところが出ればそれを謙虚さにつなげてくれればと思っています。次のゲームに向けて修正していくことが一番大事なので、春シーズンの最後に向けて、この一週間、しっかりと練習に取り組んでくれることを期待します。この春シーズンはケガ人も多く出てしまいましたが、新しく出場している選手たちも伸びてきてくれているので、そこはとてもうれしく思っています。ケガをした選手たちが戻ってきたときに、いま出ているメンバーたちともうまく噛み合って、一緒にさらなる成長を遂げてくれれば、この春シーズンはとても有意義だったと振り返ることができるのではないかと思っています。」
■キャプテン・HO堀越康介(4年)
「今日はセットプレーで優位に立てていたので、そこは自分たちの自信になりました。スクラム、ラインアウトともに80分間、いい形でできたことはFWにとってすごくよかったと思います。後半、スコア的に安心してしまったところがあって、そこで一つ一つのコンタクトの場面で雑なプレーが見られ、そこが課題として出ました。これを試合中に僕がちゃんと指摘して、チームをいい方向に向かわせなければいけなかったのですが、それができなかったことは僕自身の課題です。前半はできていたことなので、後半の安心してしまった時間帯に、僕がチームに働きかけて、よくない状態から抜け出せるようにしなければと思っています。自分の力不足ですが、これはキャプテンになった責任でもあると思うので、ここからしっかりとやっていきたいと思います。春シーズンは、タックル、ブレイクダウンといったコンタクトの部分、さらにはスクラムといった『芯のプレー』を常に意識してやってきたので、次の流通経済大学さんとの試合は春シーズンの集大成として、その『芯のプレー』をしっかりと出していきたいと思います。また、今日のように、後半、雑なプレーが出る時間帯があったとき、すばやく修正して、80分間、トータルしていい形を出せる試合にしていきたいと思います。」
■プレーの質を大事にしていきたい・FL古田凌(4年)
「今日はいい部分もありましたが、後半、軽いプレーからのミスが目立って、そこを相手につけ込まれてしまいました。もっと丁寧なプレーを意識してやらないと、いいプレーにつながっていかないので、まずはいいプレーの前提としての基本的なプレーをきちんと丁寧にやっていって、プレーの質を大事にしていきたいです。自分のプレーとしても、しっかりと肩でタックルに入れていなくて、はずされてしまったシーンがあったので、ここは次への修正ポイントとして出たと思います。練習から雑なプレーを出さず、一つ一つ丁寧なプレーをしていって、成長していきたいと思います。」
■タックルにフォーカスして厳しくやっていきたい・CTB矢富洋則(4年)
「今日は試合の入りのところはよかったのですが、チームとしても、自分自身としても、後半に入るとプレーが雑になってしまって、相手にチャンスを多く与えてしまいました。いい部分もありましたが、もっとしっかりとしたいいゲームができたはずなのに、それができませんでした。前半のリードで油断したつもりはないのですが、後半は楽をしてしまったり、自分のやりたいことだけをやってしまって、基本的なことを忘れてしまったように思います。軽いプレー、雑なプレーでミスをして、相手にチャンスを与えてしまうというよくない流れを自分たちで作ってしまいました。自分のプレーでも、タックルの激しさが足りなくて、受けてタックルしていたところがありました。もっとタックルにフォーカスして、厳しくやっていきたいです。次は春シーズンの最終戦なので、しっかりといい形で終われるように、これまでやってきたことを全部出して、ラスト1試合ですが、さらに成長できるように、この一週間、厳しく練習に取り組んでいきたいと思います。」
■上原充(東京ガス・帝京大学OB)
「卒業後、初めて母校の試合を見せてもらいましたが、ついこの前まで自分がこの環境にいたのが信じられないくらい、みんなアグレッシブにプレーしていてすばらしかったです。自分はいま、トップリーグの下のトップイーストでプレーしていますが、みんなの一生懸命さに僕の方がエネルギーをもらいました。また、卒業してあらためて、帝京大学のラグビー環境のすばらしさを感じています。後輩たちにはこのすばらしい環境でラグビーができることへの感謝の気持ちを忘れず、充実した学生生活を悔いなく過ごしてほしいと思っています。」
《PICK UP PLAYERS》
久しぶりのAチームながらいきなり快足ぶりを披露
WTB 元田 翔太(4年)
MOTODA SHOTA
1995年9月17日生まれ
経済学部経済学科
熊本工業高校出身
身長178cm/体重94kg
■久しぶりのAチームでの先発出場でしたが、まずは今日のゲームを振り返ってください。
「いい部分もたくさんありましたが、もっと取ることができたのにという、後悔の方が多い試合でした。アタックでも、ディフェンスでもやや雑な場面がありました。修正点が多く見えた試合になったと思います。」
■自身のプレーは、例えば、最初の得点シーンなどは非常にいい反応でボールを奪って、そのままスピードで持っていくいいプレーだったと思いますが。
「自分はやはりそういった泥臭いプレーでボールに食らいついて、Go Forwardするというのが自分のやるべきことだと思っているので。あと、竹山がいいサポートをしてくれたので、トライにつながりました。」
■他にもいい形で前に出るシーンが何度もありました。
「ボールキャリーは自分の特徴だと思っているので、そこはボールを持ったら力強く行こうと、日頃から心掛けています。」
■ディフェンス面はどうでしたか。
「WTBということもあって、タックル機会自体が多くはなかったのですが、もっと内側のプレーヤーに声を掛けて、コミュニケーションを取って、ターンオーバーのチャンスを作れればよかったです。」
■ここからAチームでどんどん活躍していきたいですね。
「個人としてはそう考えていますが、最終学年の4年生なので、チーム全体のことを考えて後輩たちにいいアプローチをして、チームの底上げの役割も担えればと思っています。」
■特に4年生としてここを心掛けているというものはありますか。
「練習中の声掛けは意識しています。きついところ、頑張らないといけないところでみんなが下を向いたりしないように声掛けをしようと心掛けています。」
■太ももなど太くなったようにも見えますが、体自体、大きくなっているのでしょうか。
「少し、ウエイトアップはできています。これからも、スピードを落とさずにもっと大きくしていきたいと思います。」
■では、あらためて今後への意気込みをお願いします。
「今日は個人で成長すべきところも、チームで成長すべきところも多く見えた試合だったので、そこを修正しながら、Aチームだけではなく、B、C、Dとみんなで成長していけるように頑張っていきたいと思います。」
Aチームでの先発出場は今シーズン初。そんなことはまったく感じさせないプレーが、開始早々に飛び出した。ゴール前まで攻め込まれ、絶体絶命のピンチでこぼれ球に反応。自陣のインゴールから快足を飛ばし、一気に前進し、WTB竹山の先制トライを演出した。その後も、いい形で抜け出すシーンを何度も作り、快足ぶりをアピールした。4年生として自身のプレーよりも、チームのこと、後輩たちのことに気を配る姿勢もすばらしい。普段の生活面でも誰よりも謙虚に、そして誰よりも気遣いのできる元田。体も大きくなり、力強さも増している。頼もしい男がパワーアップして戻ってきた。
《COLUMN》
――セットプレーの攻防――
今シーズンの春季大会は遠征続きで、この日が百草グラウンドでの初のゲームとなりました。Cチーム、Aチーム、Bチームの順で試合が行われましたが、Cチームの試合に間に合うように乗ったバスはすでに超満員。普段、生活の足としてバスを利用されていると思しきご婦人も「あら、いつもはガラガラなのに、なんでこんなに混んでいるのかしら」と不思議がっていました。Aチームの試合が始まる頃になると、お客さんの数はさらに膨れ上がり、特に出入り口付近は人で溢れ、出入りが困難になるほどでした。
2019年のワールドカップに向け、ラグビー人気はますます高まっており、それは大学ラグビー界にも少なからぬ影響を与えていると実感できる光景でした。
さて、この日の試合、さまざまな見どころがあり、大勢のお客さんたちはそれぞれがいろいろな見どころを抱えて観戦されていたと思いますが、その中の一つに「セットプレーの攻防」があったことは間違いありません。
セットプレーとは、スクラム、ラインアウト、それにキックオフやペナルティキック、フリーキックを加えることもありますが、試合の流れが一旦切れて、ボールや人がセットされた状態からリスタートするプレーを言います(通常は主に、スクラムとラインアウトを指す用語として使われます)。
帝京は昨年度、大学選手権8連覇を成し遂げましたが、同時に大きな宿題もいただくことになりました。それは「スクラムの安定」という課題でした。
大学選手権決勝後の記者会見でも、岩出監督は「来年度はスクラムを強化します」と宣言していますし、堀越キャプテンも自身がHOということもあり、「今年は去年やられたスクラムトライをやり返そうと言って、練習に励んでいます」と言うように、スクラムの強化は今シーズンの大きなテーマの一つとなっているようです。
また、ラインアウトも重要です。昨年度、スクラムほどは目立っていませんが、ラインアウトがうまく取れずにせっかくのチャンスを失ってしまうというシーンも、一度や二度ではありませんでした。ラインアウトの安定は得点力とも直結しますので、非常に重要です。
この日、帝京はセットプレーの攻防で圧倒しました。「安定」ではなく、あえて「圧倒」と表現します。
最初のスクラムは試合開始直後にやってきました。相手ボールのスクラムでした。何度かの組み直しののち、帝京はスクラムを押し込み、ターンオーバー。相手ボールを奪ったのです。その後も、スクラムでは何度も相手ボールを奪い、ピンチをチャンスに変えることができました。
数年前、岩出監督がこんな言葉を発していたのを思い出します。
「スクラムが強いことって、本当に大きな武器ですよね。ノックオンしても(スクラムを押し込んでターンオーバーできれば)マイボールで攻められるんですから」
この日はまさにそんなゲームになりました。
また、もう一つのセットプレー、ラインアウトも安定していました。この日のゲームMVPに選ばれたLO藤田の安定感は抜群で、HO堀越との息もぴったりと合っていました。モールの精度にさらに磨きがかかっていけば、ゴール前での得点力の大幅アップも期待できそうです(もっとも、この日はモールもとてもよかったです)。
この春シーズン、少しずつよくなっているように見えたセットプレーが、この試合でようやく一つの形として表れ始めました。
岩出監督は笑顔でこう言います。
「今までは練習していなかっただけ。練習したからこうなったんです。」
もちろん、今までだってまったく練習していなかったわけではありません。ただ、練習に割く比重が小さかったということです。セットプレーの練習時間を多少犠牲にしてでも、他の部分の強化に力を入れたという表現が正しいと思います。
「日本選手権がなくなってしまいましたから。」
別の文脈で述べたこの岩出監督の言葉が、もしかすると今年の帝京のセットプレーの安定につながっているのかもしれません。
いずれにしても、この日の試合を見る限り、夏、そして秋にはさらに成長したセットプレー(そして、そこを起点としたダイナミックなラグビー)をファンの皆様にお見せできることだろうと確信しています。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
SH 土永 雷(1年)
光泉高校出身
身長167cm/体重65kg
「自分のアポールポイントは球さばきとパスです。大学生になってまだ数ヵ月ですが、チームの戦術にまだ慣れていなくて、その部分でしっかりと頭を使っていくことが、課題といいますか、やっていかなければいけないと思っている部分です。帝京大学ラグビー部は、全員が練習の一つ一つの意味をきちんと理解してやるというのが前提で、みんなが練習のポイントを意識してやっているので、初めて練習に参加したときにはとても驚き、すごいと思いました。今後は、まずはAチームのメンバーに選ばれるようにしっかり練習すること、またメンバーとして出るだけではなく、自分の強みを活かして、みんなから信頼される選手になっていきたいです。」
CTB 岡村 晃司(1年)
御所実業高校出身
身長170cm/体重85kg
「自分の強みはアタックです。力強いアタックが持ち味だと思っています。課題としてはディフェンス、タックルがまだうまく入れないところがあるので、ディフェンスの練習をしっかり頑張ってやっていきたいと思っています。帝京大学ラグビー部はラグビーだけではなく、私生活の中でも頭を使う部分が多く、そこは入り前に思っていた以上にすごいと感じています。まずは体づくりをしっかりとやって、上のチームで出場できるように頑張りたいと思います。」
FB 尾﨑 泰雅(1年)
伏見工業高校出身
身長183cm/体重85kg
「自分の強みはアタックの部分で、ステップを切って抜けるプレーを得意としています。課題としては、やや雑なプレーをしてしまうことがあるので、そこを直していきたいと思っています。チームのことはいろいろと聞いてはいましたが、やはり4年生がさまざまな仕事に取り組んでくださり、自分たちはラグビーに集中できる環境が整っているところは聞いていた以上にすごいと思いました。今後は上のチームで出場できるように、頑張っていきたいと思います。」
《NEXT MATCH》
関東大学春季大会A
対流通経済大学(http://rku-rugby.jp/)
6月18日(日) 百草グラウンド
13時半キックオフ
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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