REPORT
レポート
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関東大学対抗戦A 慶應義塾大学戦
2017/11/05
11月5日(日)・相模原ギオンスタジアム
○帝京大学(5勝)31-28慶應義塾大学(4勝1敗)●
《帝京大学》
[FW]
(1)西⇒岡本(2)堀越(3)垣本⇒淺岡(4)菅原⇒秋山(5)藤田(6)吉田(7)ロガヴァトゥ(8)マクカラン(ブ)⇒安田
[BK]
(9)小畑(10)北村⇒末(11)竹山(12)矢富(13)岡田⇒マクカラン(二)(14)元田(15)尾﨑
《慶應義塾大学》※先発のみ
[FW]
(1)渡邊(2)細田(3)大山(4)辻(5)佐藤(6)中村(7)永末(8)松村
[BK]
(9)江嵜(10)古田(11)宮本(12)堀越(13)栗原(14)安西(15)豊田
【前半】【得点経過】
【9分】帝7-0慶
LO藤田のターンオーバーから展開。SH小畑-SO北村-FL吉田-WTB元田と渡り、元田が走り切ってトライ。ゴール成功。
【22分】帝14-0慶
ラインアウトのクイック・スローインからWTB元田が大きく前進。さらにFWで連続攻撃。ラックから、パスが乱れるもFB尾﨑がうまく拾って、WTB元田にパス。元田が飛び込んでトライ。ゴール成功。
【26分】帝14-7慶
キックカウンターからつながれ、トライを奪われる。
【30分】帝21-7慶
スクラムから連続攻撃。ラックからSH小畑-SO北村と渡り、北村が抜け出してトライ。ゴール成功。
【33分】帝21-14慶
ターンオーバーからつながれて、トライを奪われる。
【38分】帝24-14慶
WTB竹山がPGを決める。
【42分】帝24-21慶
スクラムからつながれ、トライを奪われる。
【後半】【得点経過】
【25分】帝31-21慶
ラインアウトからモールを押し込み、FLロガヴァトゥがトライ。ゴール成功。
【39分】帝31-28慶
ラインアウトからつながれ、トライを奪われる。
《BRIEF REVIEW》
対抗戦第5戦の相手は慶應義塾大学。お互いにここまで4連勝での全勝対決となった。開始早々はチャンスを作るも、ミスから守りの時間帯となる。だが、全員でしっかりと守り、得点は許さない。試合が動いたのは9分。LO藤田がいい形で相手にからみ、ターンオーバー。すぐに外に展開し、WTB元田に渡って、元田が先制トライを奪う。ここからは帝京が攻める時間帯となる。22分には、再度、元田が前進し、ゴール前へ。ラックから展開し、ここでも元田がパスを受け、そのままトライ。しかし、ここから反撃を受ける。キックカウンターから、キックパスを交えた攻撃を受け、抜け出されてトライを奪われる。点の取り合いとなる中、38分、ゴール正面でペナルティを得るとPGを選択。WTB竹山が落ち着いて決める。42分にトライを返されるが、前半を24-21で折り返した。後半も、一進一退の攻防が続く。帝京が攻め込む場面が何度もあるが、取り切ることができない。その後もお互いに激しいぶつかり合いが続くが、25分にようやく得点が動く。ラインアウトからモールを押し込み、FLロガヴァトゥがトライ。さらに激しいぶつかり合いが続くが、39分にトライを奪われ、3点差で3分間のロスタイムを迎えた。守る時間帯となるが、激しいタックルで相手の前進を許さない。HO堀越の好タックルからボールを奪い、ラックでパイルアップとなってノーサイド。帝京が31-28で勝利し、対抗戦5連勝となった。
《POST MATCH INTERVIEW》
■岩出雅之監督
「今日のような、最後までどちらが勝つかわからないという試合は、望んでできるものではありませんので、その意味ではとてもいい経験をさせていただいたと思います。試合前に、『クロスゲームになることを想定して臨もう』と言って送り出しましたが、実際のゲームの中で厳しいクロスゲームを体験でき、気を緩めずにプレーをしていたと思います。熱いゲームになりましたので、この熱さを、より精度の高いものにしていけるようにしていきたいです。慶應義塾大学さんというすばらしい対戦相手とスピリットの入ったゲームができたこと、その厳しいゲームを勝ち切ることができた中で学生一人一人が感じたことを次のゲームに活かしていってほしいと思います。」
■キャプテン・HO堀越康介(4年)
「今日は、アタックではフィジカルの部分で相手も強く当たってくることはわかっていたので、そこで勝負すること、ディフェンスではしっかりと前に出続けることを意識して試合に臨みました。練習でもそこをポイントとしてやってきたのですが、80分間、特にディフェンスのところで出し切れたとは言えない内容でした。ただ、前に出て相手をしっかりと止めたところは、今後の試合にもつながっていくと思うので、これを継続していきたいと思います。今日のクロスゲームをしっかりと勝ち切れたことは、次の明治大学さんとの試合のための糧にして、反省点も修正しながら、次に向けて頑張っていきたいと思います。明治大学さんはしぶといチームなので、しぶとさで負けないようにしたいと思います。」
■厳しいゲームを勝ち切ったことで成長できる・PR西和磨(4年)
「試合前から厳しいゲームを想定して臨もうという話をしていましたが、実際、前半から厳しいクロスゲームになりました。自分たちの甘さも出て、最後までクロスゲームになりましたが、結果として勝ち切れたことはここからの成長につながると思います。スクラムに関しては、慶應大学さんもすごく力を入れていて、プレッシャーをかけてくることは想定していたので、そのための準備もしてきたつもりです。いい部分も出ましたが、次につながる課題も出たと感じています。どんなスクラムでもプレッシャーをかけられるようにというのが目標なので、それに向けて頑張っていきたいです。自分個人としては、対抗戦に入ってケガもあり、80分間プレーできていないので、次戦に向けてはまずこの2週間を大事にして、メンタルも体も技術もいい準備をして臨みたいと思います。」
■アタックでの強みを発揮できた・LO菅原貴人(3年)
「昨日、急遽、先発が決まったのですが、気持ちの面では集中して、激しく行こうと思って試合に臨みました。今日は、最初からクロスゲームを想定して臨んでいたので、うまくいかない時間帯でも自分たちがどうしていけばいいのかということを、焦らずやることができました。これまであまり体験していなかったクロスゲームを、楽しむことができたと思います。自身のプレーとしては、アタックでの強みであるゲインラインを切るという役割を意識してプレーできたので、そこはよかったと思います。次戦では80分間、ハードワークをやり続けられるように、一日一日を大切にして、練習に取り組んでいきたいと思います。」
《PICK UP PLAYERS》
ポジション兼務で新たな可能性を見出す
SH・SO 小畑 健太郎(3年)
OBATA KENTARO
1996年12月3日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
伏見工業高校出身
身長170cm/体重73kg
■接戦になりましたが、振り返って感想をお願いします。
「今日はチームとして、クロスゲームを想定して臨みましたが、僕自身もそれを楽しめたと思います。」
■途中からSHからSOへ回りましたが、これは想定内だったのでしょうか。
「いえ、正直、想定外でした。(ここで、近くにいた岩出監督が「小畑が『大丈夫です』って言ったから変えたのに」と説明)」
■SOに回る可能性があることは認識していたわけですね。
「もともとSOでしたし、齋藤コーチから事前に『SOをやるかもしれないから』と言われていたので、心の準備はできていましたが、アクシデントなど非常時のためだと思っていました。」
■久しぶりにSOをやってみて、いかがでしたか。
「ゲーム・コントロールのところがまだまだでした。SHにきちんと指示を出すことができなくて。ゲーム・コントロールの部分はSHでもSOでも同じように必要なスキルなので、そこができていないのはよくなかったです。」
■今後もSOと兼任で行くのでしょうか。
「それを想定して、しっかり練習して、一生懸命やりたいです。」
■今日の試合の話に戻りますが、特に攻め込んだ場面でFWにこだわったように見えましたが、意図的だったのでしょうか。
「強いFWで取り切れると思ったのですが、相手のディフェンスも強く、またFWが疲れてくる中、もっとBKを使ってもよかったと思っています。」
■クロスゲームを戦っているときのマインドはどのようなものでしたか。
「僕自身は、激しく、粘り強くということを心掛けてプレーしていました。FWも激しいプレーで応えてくれたと思います。」
■今後への意気込みをお願いします。
「もっともっと上級生として、下級生を引っ張ってあげたいです。プレーで言えば、SOに1年生が入ることが多いので、しっかり引っ張ってあげたいです。また、FWをどこで活かして、BKをどのタイミングで使うのかをもっと考えてやっていきたいです。自分の課題はパスとゲーム・コントロールですが、まずはゲーム・コントロールのところで細かい部分までこだわって、練習していきたいと思います。」
いまやSHとして欠かせない存在だが、高校時代はSO。この日は後半途中から久しぶりにSOに入ることなったが、自ら仕掛けて大きく前進するなど、躍動感を見せた。自身はゲーム・コントロールでの課題を述べるが、意識できているので、まだまだ伸びしろが大きいと解釈できる。SHとSOの兼任は簡単ではないが、その分、本人にとってもチームにとってもメリットは大きい。大きく育ちつつある木から、もう一つの新たな芽吹きが芽生え始めた。
《COLUMN》
――劣等感とモチベーション――
ラグビーのような競技スポーツでは、最終的には必ず、他と比較した優劣としての「結果」が出ます。基本的には、この「結果」を競って戦っているわけですし、お客さんやファン、マスコミ、一般の人たちに至るまで、この「他と比較した優劣」で評価することがほとんどです。
あるいは一般的な話として、個人であれば、自分と他人とを比較して、「とてもじゃないが、あの人のようにはなれない」「あの人を追い抜いて、レギュラーになるなんて、自分にはとても無理だ」などと思って、「他人との優劣を自分で決めつけてしまう」ケースも少なくないかもしれません。
他人のものすごい才能を目の当たりにして、「自分には無理だ」「この人のようにはなれない」と思うことを「劣等感」と呼びますが、これがさらに進むと、「劣等コンプレックス(いわゆる「コンプレックス」)」になっていきます。
「自分は体が小さい」「自分は足が遅い」「自分はゲーム理解の飲み込みが遅い」……そんなふうに考えて、自分の劣っている(ように見える)部分にばかり焦点を当ててしまうのが「劣等感」です。この劣等感が無意識の中に沈み込んで、普段は出てこないのに、何かのきっかけでむくむくと出てきて悩みの種となってしまうと「劣等コンプレックス」になります(ちなみに、「自分は人より優れている」と考える「優越感」「優越コンプレックス」も、実はそう思わないと自分の優越感が保てないという意味で、「劣等コンプレックス」と表裏一体なのだそうです)。
この「劣等コンプレックス」とか「優越コンプレックス」というのは、心理学者アルフレッド・アドラーの言葉ですが、アドラーはさらに「誰でも何でも達成できる」、そして「劣等感こそが行動の原動力になる」と言います(『生きるために大切なこと』アルフレッド・アドラー著より)。
「誰でも何でも達成できる」という考え方は、劣等感を抱えている人に効果があるのはもちろん、能力があって、他人よりもよくできてしまう人にも効果があると言います。他人よりもよくできてしまう人は、「自分は常に他人よりもよくできなくてはいけない」と考えがちで、そのことで悩んでしまうことも多いのだそうです。でも、「誰でも何でも達成できる」と考えれば「別に自分が全部やらなくてもいいのでは」と考えられるようになり、肩の荷を下ろすことができ、気持ちにゆとりができるのだと言います。
もう一つの「劣等感こそが行動の原動力になる」というのは、それほど説明はいらないかもしれません。人は、自分の足りない部分を放置しておくことに耐えられないので、何とかして足りない部分を埋めたいと思うようになります。そのために不足を埋めるための行動を起こすことになりますが、これがまさに「モチベーション」であり、行動した結果、成長につながっていくわけです。
ただし、この行動には「諦める」というのも含まれるので、注意が必要です。
「劣等感」を成長のモチベーションとして使うか、諦める言い訳に使うかは本人次第です。ですが、アドラーの言うように「誰でも何でも達成できる」と考えることができれば、選択肢はおのずと前者になっていくことでしょう。
アドラーによれば「劣等感」は悪いものではありません。なくす必要はなく、むしろ自分を「Drive」するための大きなエネルギーとして活用すべき、大事な「ガソリン」だと言えそうです。
《THE NEW FACE》
ニューフェースたちの声を紹介します。
FB 山田 悠馬(1年)
桐蔭学園高校出身
身長171cm/体重82kg
「自分の強みはロングキックを蹴ることができるところです。課題はタックルです。常にしっかりタックルに入ることを意識してやっています。帝京大学ラグビー部はラグビーだけでなく、人間的な考え方を育ててもらえる場だと思います。入部前からそうした教育の部分がしっかりしているとは聞いていましたが、思っていた以上にしっかりしていました。いま、ケガをしているので、まずはケガを治して、そこから試合に出られるように頑張って練習していきたいと思います。」
FL 高橋 怜雅(1年)
黒沢尻北高校出身
身長177cm/体重92kg
「僕の強みはボールを持って前に出る、キャリーです。課題はディフェンスです。FLとして、外のディフェンスに立つことが多いのですが、そのときにディフェンスを揃える際のコール、コミュニケーションの部分で足りないところがあるので、そこに取り組んでいます。帝京大学ラグビー部は、練習の質が高いのですが、僕が思っていた以上にすべてにおいて丁寧だと感じます。何度も何度も、繰り返し、細かいところまで練習するので、ミスをしても繰り返しの練習で修正でき、みんなで高め合うことができています。僕はいまCチームにいるので、まずは1つ上のBチームに上がって、試合に出て活躍し、チームに貢献していきたいです。」
CTB・FB 平坂 海人(1年)
日向高校出身
身長176cm/体重82kg
「自分の強みはランプレーです。カウンターアタックとFBとしてのライン参加で前に出るところが強みだと思っています。課題はキックとタックルです。しっかりタックルできるように練習しています。帝京大学ラグビー部は、僕たち後輩に対する先輩方のサポートがすばらしいと感じています。僕たち1年生が伸び伸びプレーできる環境があります。まずは、上のチームで試合に出られるように、もっと体を大きくして、プレーの幅を広げていきたいと思います。」
《NEXT MATCH》
関東大学対抗戦A
対明治大学(http://www.meijirugby.jp/)
11月18日(土) ニッパツ三ツ沢球技場
14時キックオフ
過去の対戦成績:関東大学対抗戦12勝27敗(大学選手権2勝0敗)
[明治大学の直近5戦]
9月16日 ○108-7青山学院大学(夏期練習試合)
10月1日 ○68-28筑波大学(関東大学対抗戦A)
10月15日 ○87-0成蹊大学(関東大学対抗戦A)
10月28日 ●26-28慶應義塾大学(関東大学対抗戦A)
11月5日 ○101-7日本体育大学(関東大学対抗戦A)
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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