REPORT
レポート
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関東大学対抗戦・第2戦 青山学院大学戦
2011/10/02
FW、BKともに圧倒!
修正点も見えた有意義な大勝
10月2日(日)・帝京大百草グラウンド
○帝京大学 66-0 青山学院大学●
《帝京》
1吉田 2白 3前田(龍) 4小瀧 5ボンド 6小山田⇒伊藤(哲) 7松永⇒木下⇒松永 8李 9滑川 10森田 11荒井⇒徳富 12南橋 13中村(亮) 14伊藤(拓) 15竹田
《青山学院》※先発のみ
1在原 2林 3平塚 4梅原 5山本 6永岡 7後藤 8鈴木 9香山 10松林 11久保山 12阿部 13森田 14大口 15西脇
対抗戦第二戦の相手は青山学院大。今季Aグループに復帰を果たしたチームだが、帝京にとっては自分たちのプレーをどれだけ高い精度で発揮できるかが重要。今後を見据え、ひとつひとつのプレーで質の高さが求められるゲームだ。
特に、夏合宿を経て大きく力をつけているFWに注目したい。接点での圧力はもちろん、セットプレーの精度やゴール前で取り切る力。そしてディフェンス面やFW全体の総合力にも注目が集まるところだ。
【前半戦】
開始早々、帝京はまずはBK力を見せつける。マイボールラインアウトはやや乱れたものの、すぐにターンオーバーに成功すると、SO森田が自ら仕掛けて突破。CTB南橋へとボールが渡り、そのままトライを奪う。
BK攻撃に関して、前半はSO森田自身の仕掛けによる突破が目立った。
森田はこう語る。
「自分の前があいていたので、積極的に仕掛けていきました。相手は南橋のところにディフェンスの人数をかけてきていたので、その分、あいたスペースをどんどん攻めていきました」
続いて南橋。
「相手ディフェンスが自分のところを狙ってきているようだったので、逆にそれを利用して、他の人が活きるプレーをしようと心掛けました」
それでも南橋の突破力は相手ディフェンスを何度も切り裂いた。36分には縦に勝負してラインブレイク。そのまま持ち込んで、この日2本目のトライを決めた。
FWも負けてはいない。ゴール前でペナルティをもらうとスクラムを選択。これを押し切ってトライ。相手との体力差はあるものの、「ゴール前で取り切る力」を見せつけた。さらにはFWによる縦突破で相手ゴール前まで前進するプレーもあり、「フィールドプレーでの前進力」も見せてくれた。モールを押し切ってのトライもあり、「取り切る力」に関して非常に力強いものを感じさせてくれた。それはこの日地元・百草グラウンドに詰め掛けた多くの帝京ファンにとっても同じだろう。
セットプレーに関しては、マイボールスクラムでボールコントロールがやや乱れるシーンもあったが、これは押す力が強すぎてかえってボールコントロールを乱してしまったようだ。
PR前田(龍)はこう語る。
「押しすぎについてはよく監督、コーチから言われていたのですが、うまくいかない場面がありました。当たってすぐに出ていくのではなく、『レディ・ゴー』の掛け声で押せるようにしていかなければいけないと思います」
それでも、ターンオーバーや相手のノットリリースザボールを誘う接点の厳しさ、無得点に抑えたディフェンス力は登り調子。攻めてもNO8という新しいポジションでイキイキとプレーする李、基本に忠実なLOボンドらが相手を制圧。ほぼあらゆる場面で圧倒した前半は、40-0で折り返した。
【後半戦】
ハーフタイム。岩出監督は選手に的確に指示を飛ばす。「エリアマネジメントも大事だが、ボールマネジメントも大事。安易に相手に渡してしまうようなキックを蹴るのではなく、相手が嫌がるところに蹴ろう。迷わず、思い切って、集中の中でさらに高いレベルを目指そう」。それを受ける選手からは、集中力の高い表情が見て取れる。
後半が再開。帝京はペナルティからややリズムを欠くが、ただ、相手に攻められながらも、厳しいディフェンスでしっかりと跳ね返す。むしろ、相手は攻めながら地域は後退していく。そして、タックル一発でターンオーバー。ピンチを一転チャンスに変える。
10分には追加点を奪う。ゴール前のラインアウトからモールを形成し、そのまま押し切ってトライ。ラインアウトのスローワーはHO白から後半はPR吉田に代わったが、ボンドにきっちりと合わせ、うまくモールをコントロールした。
さらにFW・BKバランス良く攻め続ける帝京。自陣ゴール前まで攻め込まれても、1年生LO小瀧が長身を活かし、相手ボールラインアウトで競り合う。こぼれたボールを帝京が拾い、傷口を最小限に防ぐ。
その後もFW、BKともに運動量は衰えず、しっかりと加点し続ける帝京。最後まで集中力は切らさず、ディフェンス力も発揮し続け、結局66-0で対抗戦第2戦目を勝利した。
FW全般の推進力は元より、BK陣に関してもSH滑川、SO森田の積極的な仕掛け、CTB南橋、CTB中村(亮)の突破力、WTB伊藤(拓)、WTB荒井の走力、FB竹田の状況判断からの行動力など、随所に潜在能力見ることができた。FWもその圧力やFL松永に代表される、最後まで衰えないディフェンス力など、成長を感じさせる場面が多く見られた。
次戦は強敵・慶應義塾大学戦。まずは気持ちの部分での勝負となりそうだが、帝京にとってはさらにブラッシュアップして、今季の最初のベストゲームとしたいところだ。
《試合後のインタビュー》
■岩出雅之監督「今日は『思い切りよく、かつ正確に』『一つ一つのプレーに集中して、より厳しいチームになっていこう』と試合に臨みました。厳しく見たら反省しなければいけない点も多々ありますし、逆にミスしたように見えてもそれほど考えすぎなくてもいい部分もありました。いずれにしても、すべてを前向きに捉えて、次への糧にしていきたいと思っています。
この時期に多くの反省点をもらえたことはたいへん有意義なことだと思います。また、最後まで果敢にタックルで向かってこられた青山学院大学さんに敬意を表します。今日いただいた反省点を必ず今後に活かしていきたいと思います。
今日も多くの方々にご観戦いただきありがとうございました。学生たちは自らの成長のため、日々、努力を重ねております。その成長の証しをみなさまにお見せできるよう頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。
尚、午前中に催しましたタグラグビー教室にも沢山のちびっ子選手、保護者、ラグビースクール関係の方々がご参加くださりとても良いイベントとなりました。例年4月、7月、10月に計画しております。来年度のタグ教室にもたくさんの方にご参加頂けることを期待しております。ありがとうございました。」
■キャプテン・SO森田佳寿(4年)
「今日はあらゆるところで帝京の厳しさを出していこうとみんなでチャレンジしたのですが、エリアマネジメントでのミスや後半のペナルティの多さなど、課題が多く出た試合でした。ただ、FWもBKもゴール前でしっかりトライを取り切れた点は、全員のゴール前での集中力が高かったということなので、よかったと思います。春からずっと、力強さやスピードを豊かにすることを意識してやってきましたので、次戦でもそれらが発揮できるようにまたしっかりと準備したいと思います」
■後半スローワーも務めたPR吉田康平(4年)
「夏合宿で集中的に強化したこともあって、スクラムに関してはだいぶレベルアップできていると思います。ただ、まだまだ圧倒するというところまでは行っていませんし、もっと自分たちが組みたいスクラム、ラインアウト、モールができたはずなのに、相手に付き合ってしまった部分やレフリーとのコミュニケーションがうまくいかない部分があったのは反省です。ラインアウトのスローワーに関しては、後ろへのボールコントロールはとても重要なので、もっともっと練習して安定させたいと思います」
■チームにも慣れ、伸び伸びとしたプレーが目立つLO小瀧尚弘(1年)
「今日は、とにかくガツガツ積極的に行くことを心掛けました。だいぶチームにも慣れてきて、伸び伸びとプレーさせてもらっています。前の試合ではノックオンなどハンドリングエラーが多かったのですが、今日の試合ではそれがなかったのでよかったです。次に向けて基本からすべて見直して、ビッグプレーよりも基本的なプレーをきっちりできるようにしたいです」
■第三列をまとめていく自覚に目覚め始めたFL小山田岳(4年)
「去年の第三列を超えようという気持ちでいつもやっているのですが、今日は自分のタックルスキルの甘さが出てしまい、悔しいです。夏合宿では厳しくできていたのに、それを少し忘れてしまっていました。ただ、今日の試合で思い出すことができたので、そこは逆によかったと思います。去年の第三列を超えるためには、個々のタックル力に加えて、最後までばてない持久力が必要なので、その部分をもっともっと強化していきたいです」
■今日も突破力を見せつけたCTB南橋直哉(4年)
「前半はBKもギャップをついたり、FWもモールやスクラムでしっかりと取れていたので、その部分では収穫も多いと思います。相手のディフェンスの出足が早くて、それに対してBKが対応し切れていなかった点は反省です。ブレイクダウンももう少し前に出る意識をもってやらなければいけないと思っています。次戦の慶應大学さんもディフェンスの出足が早いと思うので、きちんと対応できるように修正していきたいです」
■対抗戦初出場も冷静にプレーしたFL伊藤哲章(2年)
「今日はチームとしてうまくいかない部分もありましたが、この時期に課題が見えたことはむしろよかったと思います。自分のプレーは、サポートプレーを意識しすぎてしまいました。もっと自分でボールをもってガツガツ前に出て、試合の流れを変えるようなプレーをしたかったです。ただ、Aチームの試合を体感できたことは自分のなかでは非常に大きいですし、今後につながることだと思っています」
■短い時間ながら初出場で貴重な経験を積んだWTB徳富大樹(3年)
「Aチームでの公式戦は初出場でしたが、自分の長所であるコンタクトプレーと、立って次につなぐプレーを意識して臨みました。ひとつノットリリースザボールの反則を犯してしまったのは痛かったです。自分ではダウンボールしたつもりなのですが…倒れずにしっかりつながなければいけなかったと思います。ベンチから見ていて、今日は外が余っていても個人で勝負に行っていたところがあったので、もっと散らせたらよかったと思います。試合に出ていると前だけを見てしまうことが多いので、外から見ている時間もとても貴重だと思いました」
《PICK UP PLAYERS》
PR 前田龍佑(4年)MAEDA RYOSUKE
1989年7月2日生まれ
医療技術学部スポーツ医療学科
上宮太子高校出身
身長186cm/体重116㎏/血液型B型
■まずは今日のゲームを振り返って感想を聞かせてください。
「すべての部分でプレッシャーをかけてFWで勝ち切りたかったのですが、ところどころしかプレッシャーをかけることができなかったのが残念です」
■今日の試合で、前回と比べて特によかったと思うのはどこでしょうか。
「FWが縦に入っていくシーンで、前の試合では浅い位置からボールを受けていたのですが、今日は深い位置からしっかりとためて走っていけたので、前に出ることができました」
■自分のプレーで一番こだわっているところはどこでしょうか。
「フィールドプレーですね。いまはスクラムを評価していただいているので、そこを伸ばしつつ、課題のフィールドプレーでもっと人一倍頑張りたいです」
■スクラムで特に意識していることはどんなことでしょうか。
「意識しているのは『エンゲージ』の声がかかる前のところですね。低くセットして、足は動かさず、右肩を下げるということ。肩が浮いてしまうと当たったときに相手に入られてしまうので、できるだけ肩をしぼるようにしています」
■ここにきてぐっと力をつけている印象があります。自分自身、変わったと思うところはありますか。
「以前は練習で『ここまででいいだろう』なんて思っていた部分も、Aチームでやらせてもらっていることで、『もっともっと上に行きたい』という気持ちが強く出てきました」
■4年生としてみんなを引っ張っていこうという姿勢が見られるという声も聞きます。
「ありがとうございます!」
■チーム全体として「去年のチームを超えよう」という言葉がよく出てきますが、去年の強力FWを超えようということへの意識は強いのでしょうか。
「自分のポジションには去年、坪井(秀龍)さんというすごい人がいました。いまはまだまだですが、やっぱり『超えたい』という気持ちは強いですね。そういう気持ちでやらないと、西村とか出渕といったすごい仲間たちに抜かれてしまうと思うので、もっと努力して坪井さんを超えられるように頑張りたいです」
■進路は決まっているのでしょうか。
「トップリーグの近鉄さんから内定をいただいています」
■最後にホームページの読者のみなさんに自分のいいところをアピールしてください。
「スクラムも見てほしいですが、泥臭いプレーでみんなを引っ張っていけるような選手になりたいと思っていますので、応援よろしくお願いします」
以前からチームの期待は大きかったようだが、ここにきての成長ぶりは傍から見ても著しく映る。一番変わったのは、「もっと上を目指したい」「チームを引っ張りたい」というメンタルの部分なのかもしれない。向上心と最高学年としての自覚も、言葉の端々から伝わってくる。ピッチを離れると笑顔もお茶目な帝京の『TAISON』。シーズンが深まりよりいっそうの成長が期待できそうだ。
《NEXT MATCH PREVIEW》
【10月16日(日)関東大学対抗戦 VS慶應義塾大学 秩父宮ラグビー場 14時キックオフ】対抗戦第三戦の相手は慶應義塾大学。春、夏ともに接戦を演じた強豪校との対戦は、対抗戦前半のひとつの山場とも言えよう。しかし、相手が強豪だからこそ自分たちのプレーの精度が試されることになる。
(文/木村俊太、写真/川本聖哉)
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