SPECIAL

スペシャル

トップ
   
スペシャル一覧
   
2021/12/26【 第58回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs同志社大学 マッチレポート

2021/12/26【 第58回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs同志社大学 マッチレポート

2022/01/01

《試合経過》
【 前半 】
03分【帝京大学】トライ ゴール前ラインアウトからモールを押し込み4青木トライ 10高本ゴール成功 7-0
07分【帝京大学】トライ ゴール前ラインアウトからモールの形成後、2江良抜け出しトライ ゴール不成功 12-0
13分【帝京大学】トライ ゴール前連続攻撃から展開し15谷中トライ 10高本ゴール成功 19-0
18分【帝京大学】トライ ラインアウトから12押川が抜け出しボールをつなぎ11高本トライ 10高本ゴール成功 26-0
20分【帝京大学】トライ キックカウンターから15谷中トライ 10高本ゴール成功 33-0
25分【帝京大学】トライ 9李が抜け出しサポートについた1照内トライ 10高本ゴール成功 40-0
37分【同志社大学】トライ 10キックパスから11トライ ゴール不成功 40-5
41分【帝京大学】トライ ゴール前連続攻撃から外に展開し11高本トライ ゴール不成功 45-5

前半終了:帝京大学 45-5 同志社大学

【 後半 】
00分【帝京大学】 1 照内寿明 → 17 山本渓太
02分【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から大外8奥井トライ 10高本ゴール成功 52-5
08分【同志社大学】トライ 敵陣連続攻撃から6トライ 10ゴール成功 52-12
09分【帝京大学】 4 青木恵斗 → 19 山川一瑳
10分【帝京大学】 2 江良颯 → 16 小林恵太
13分【帝京大学】トライ 敵陣連続攻撃から大外8奥井トライ ゴール不成功 57-12
14分【帝京大学】 3 奥野翔太 → 18 河島ミーシャ , 7 上山黎哉 → 20 リッチモンド・トンガタマ , 13 志和池豊馬 → 22 松山千大 , 10 高本幹也 → 23 小村真也
20分【帝京大学】 9 李錦寿 → 21 岡本泰斉
21分【同志社大学】トライ ゴール前展開して11トライ ゴール不成功 57-17
23分【帝京大学】トライ ターンオーバーからボールをつなぎ22松山トライ 23小村ゴール成功 64-17
27分【帝京大学】トライ 敵陣8奥井抜け出しトライ ゴール不成功  69-17
32分【同志社大学】トライ 15抜け出し14に繋いでトライ 10ゴール成功 69-24
38分【帝京大学】トライ ゴール前ラインアウトからモールを形成し18河島トライ 23小村ゴール成功 76-24

試合終了:帝京大学 76-24 同志社大学

(試合速報担当:3年 長谷川毅・湯浅宏太)




《BRIEF REVIEW》

いよいよ大学選手権が始まった。帝京はこの日が初戦。相手は昨季、大学選手権で対戦予定だった同志社大学。昨季はコロナ禍で辞退を余儀なくされた相手だけに、モチベーション高く挑んでくるはず。まずは気持ちで負けないことが求められる。ゲームキャプテンのFL上山は「これまでやってきたことをすべて出し切ろう」とチームに伝えてピッチに向かった。
帝京の選手たちは試合開始早々から気合十分。No8奥井のジャッカル、SO高本幹也のナイスタックルなどでチャンスを作る。3分、ゴール前でラインアウトを得ると、モールを押し込み、LO青木が先制トライを決める。さらに7分には、同じような展開でラインアウトからモールを押し込み、HO江良がトライ。13分、またもSO高本のナイスキックでゴール前まで攻め込み、ラインアウトから連続攻撃。最後はこの日、初めてFBに回った谷中が相手ディフェンスをかわしてトライを奪う(19-0)。
その後、攻め込まれる時間帯もあるが、相手の外へのキックパスを、FB谷中が競り合いを制してキャッチし、失点を防ぐ。ピンチを脱すると、ここからは帝京の時間帯となる。18分、CTB押川が抜け出してチャンスを作り、Fl上山-WTB高本とむと渡り、高本がトライ。20分にはFB谷中が自陣からカウンターアタックを仕掛け、相手ディフェンスをかわしながら、そのまま走り切ってトライ。25分には、ラックサイドから仕掛けたSH李が抜け出してチャンスを作ると、しっかりサポートしていたPR照内にパスし、照内がトライ。40-0と帝京が大きく引き離した。
その後は攻める時間帯もあるが、相手の粘り強いディフェンスに合い、得点まで至らない。37分には、相手の巧みなキックパスで失点するが、その後は帝京が攻め、ホーンが鳴っても攻め続ける。41分、ラインアウトから前進し、WTB高本とむがトライ。45-5で前半を折り返した。
後半は点の取り合いとなる。2分、帝京が相手のラインアウトを奪ってつなぎ、FB谷中の前進からチャンスを作ると、最後はNo8奥井がトライ(52-5)。8分にはラインアウトからつながれて失点するが、13分にはカウンターアタックからチャンスを作り、バックス展開から最後はNo8奥井がパスをもらってトライ。21分にはラインアウトからつながれてトライを許すが、直後の23分、相手のこぼれ球をSH岡本泰斉がすばやく拾って、CTB松山にパスし、松山がトライ(64-17)。27分にはラインアウトからつなぎ、ラックからSH岡本泰斉-No8奥井とパスが渡り、奥井がトライ(69-17)。
リザーブ組もしっかりとプレーしていたが、ディフェンスでの連携がやや乱れると、相手の走力あるランナーに個人技で抜かれるシーンが出てくる。32分にはスクラムからつながれて失点し、69-24となる。
だが、その後、PR河島が大きく前進してチャンスと作るなど、帝京はしっかりと攻め続ける。38分、前半最初の得点を再生するかのようにラインアウト・モールで押し込み、PR河島がトライ。帝京が76-24で勝利し、1月2日に国立競技場で行われる準決勝へと駒を進めた。


《COLUMN》

―― Enjoy & Teamwork ――

大学選手権が始まり、準々決勝からの出場となった帝京は同志社大学戦に快勝し、準決勝進出となりました。毎年、この時期にはチームの結束力が問われますが、今シーズンは例年以上にいい形で結束力が高まっているように見えます。

帝京のチームスローガンは「Enjoy & Teamwork」。「Enjoy」とは「楽しむこと」。練習などを嫌々やるのではなく、自分が心からやりたいと思ってやる方がパフォーマンスはアップしますし、目標に向かっていること自体に喜びを感じることができれば、厳しい練習であっても、苦しさより「目標に近づく喜び」を感じさせてくれるものになります。さらに、語源からは「joy(喜び)」を作るという意味もあるのが「Enjoy」です。

「Teamwork」の方はまさに、チームとしての結束力。みんなが同じ方向を向いて、ちょっとしたワードやアイコンタクトだけでも全員が同じイメージを抱いてそこへ向かっていく。チームが一つになることで、個の力の足し算を遥かに超える大きな力を発揮することができます。

この日の試合、チームの結束力を感じさせてくれる場面がいくつもありました。特に後半36分過ぎのスクラムの場面などは象徴的でした。相手ボールのスクラムを押し込み、ペナルティをもらうと、SO小村(真)やバイスキャプテンのCTB押川がFW陣に駆け寄り、頭をなでて称えたのです。

「そんなことは時間の無駄だ」とか「その程度のことで大喜びするのはみっともない」とか「そんなことをしている暇があったら、次のプレーに集中したほうがいい」といった意見もあるかもしれません。しかし、「チームが一つになる」という部分では、こうしたちょっとしたことが大きな意味を持つこともあります。

数年前、チームのイヤーブックの企画で、日本代表のOBたちが集まって、現役キャプテンとの座談会が行われたことがありました。その中で、中村亮土選手(東京サントリーサンゴリアス)はチームが一つになることについて、こんなふうに語っていました。

「サントリーも一時期、勝つことが当たり前になっていて、トライするのは当たり前、ペナルティをもらうのは当たり前みたいな時期があったんだけど、大(流大選手/帝京OB)がキャプテンになったとき、小さい成功を全員で喜べるような形を作っていこうという話になった。トライしたらみんなで喜んで迎えに行く、いいタックルしたり、ジャッカルしたりしたらみんなで称える。そういう小さな成功を全員で分かち合うことで、チームとしてのエネルギーがぐっとアップして、勢いが出た。」

それを聞いた流大選手も「それまでは、スクラムを押し込んでペナルティをもらったときに、WTBがPRのところまで寄ってくるなんてことはなかった」と述べています。

もちろん、うまくいったプレーすべてでやっていたらきりがありませんが、流れを変えるようないいプレーが出たときには、全員で喜びを共有することでチームの一体感も高まっていきます。世界と互角に戦った日本代表の二人が言っていることなので間違いないでしょう。

次戦以降、そんな喜びの共有シーンがどれほど見られるでしょうか。次戦も「Enjoy &Teamwork」で戦い、まずは大学日本一という目標への挑戦権獲得に挑みます。

(文・木村俊太/写真・志賀由佳)

スペシャル一覧