SPECIAL
スペシャル
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2022/1/2【 第58回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs京都産業大学 マッチレポート
2022/01/26
《試合経過》
【 前半 】
03分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトからフェーズを重ね、BKへ展開し15谷中トライ ゴール不成功 5-0
13分 【京都産業大学】 15ペナルティゴール成功 5-3
20分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトから連続攻撃し、BKに展開して14白國トライ ゴール不成功 10-3
24分 【京都産業大学】 15ペナルティゴール成功 10-6
29分 【京都産業大学】 トライ 敵陣スクラムから12が抜け出しトライ 15ゴール成功 10-13
39分 【京都産業大学】 ペナルティゴール成功 10-16
41分 【京都産業大学】 トライ 敵陣ラインアウトからFW連続攻撃最後に3が押し込みトライ 15ゴール成功 10-23
前半終了:帝京大学 10-23京都産業大学
【 後半 】
05分 【帝京大学】 10高本ペナルティゴール成功 13-23
08分 【帝京大学】 7 山添圭祐 → 20 リッチモンド・トンガタマ
09分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトからモールを形成し2江良が押し込みトライ 10高本ゴール成功 20-23
10分 【帝京大学】 5 江里口真弘 → 19 山川一瑳 , 11 高本とむ → 23 ミティエリ・ツイナカウヴァドラ
17分 【京都産業大学】 トライ 敵陣ラインアウトから継続し3が抜け出しトライ 15ゴール成功 20-30
19分 【帝京大学】 12 押川敦治 → 22 松山千大
20分 【帝京大学】 3 奥野翔太 → 18 細木康太郎
24分 【帝京大学】 トライ 敵陣スクラムから9李が持ち込みトライ 10高本ゴール成功 27-30
25分 【帝京大学】 1 照内寿明 → 17 津村大志
32分 【帝京大学】 10高本ペナルティゴール成功 30-30
38分 【帝京大学】 トライ 敵陣ゴール前を継続、BKに展開し最後は23ミティエリトライ 10高本ゴール成功 37-30
試合終了:帝京大学 37-30 京都産業大学
(試合速報担当:3年 長谷川毅・湯浅宏太)
《BRIEF REVIEW》
大学選手権準決勝、相手は関西1位の京都産業大学。初めての新・国立競技場でのゲームをしっかりと楽しみながら戦いたい。
試合開始直後は帝京ペース。3分、ラインアウトからの攻撃でFB谷中が先制トライを決める(5-0)。ディフェンスもHO江良の好タックルや、堅いモールディフェンスで守る。しかし、相手の激しい当たり、力強い前進で、オフサイドのペナルティが増え、13分にはPGを決められる(5-3)。それでも帝京は自分たちの形で攻撃を続け、20分にはラインアウトからBKに展開し、WTB白國がトライを奪う(10-3)。
ところが、ここでホッとしたのか、ディフェンスで食い込まれるシーンが増え、ペナルティも増えてくる。24分、ノットロールアウェイの反則からPGを決められ(10-6)、30分にはスクラムからつながれて逆転のトライを許してしまう(10-13)。その後も、攻め込むシーンはあるものの、取り切れず、逆にペナルティでピンチを招く。39分にPGを決められ、41分にはラインアウトからトライを奪われ、前半を10-23で折り返した。
ハーフタイムには、もう一度、自分たちの強みであるフィジカルの部分で戦うこと、オフサイドのペナルティをなくすことなどを確認して後半のピッチへと向かった。
後半はその言葉どおり、帝京に激しさが戻り、ペナルティもなくなる。ミスが出ても、その後の激しいタックル、鋭い出足でカバーする。また、帝京が攻め続けることで、相手のオフサイドの反則が増えてくる。それによって、さらにチャンスが生まれるという好循環に入っていく。
5分、SO高本幹がPGを決め(13-23)、9分には、ラインアウトからモールを押し込み、HO江良が持ち出してトライ。20-23と3点差に迫る。この後、攻め込まれるが、No8奥井のジャッカルで防ぐ。さらに相手の鋭いランナーに走られ、ピンチになるが、ゴール直前でNo8奥井がタックルし、ノックオンを誘う。17分に、ラック中央を抜け出されてトライを許すが(20-30)、帝京の鋭い出足とノーペナルティは健在で、前半のような劣勢の雰囲気はすでになかった。
20分、キャプテンPR細木が登場。これで一気に空気が変わる。スクラムで圧倒する場面が増える。24分、スクラムからペナルティのアドバンテージをもらいつつ、SH李が仕掛けてトライ(27-30)。相手の攻撃を受けても、LO山川の好タックルなどでしっかり防ぐ。スクラムで優位に立ったことで、ピンチもチャンスに変えることができるようになった。
32分、スクラムでもらったPGをSO高本幹が決め、ついに30-30の同点に追いつく。この段階で、トライ数で上回る帝京が、事実上、一歩リードする形になるが、帝京は攻撃の手を緩めない。ペナルティをもらってもPGは狙わず、タッチキックからトライを取りに行く。38分、ラインアウトから連続攻撃を仕掛け、最後はSO高本幹から長いパスをもらったWTBツイナカウヴァドラがトライ。37-30でノーサイド。帝京が1月9日の決勝戦へと駒を進めた。
《COLUMN》
―― 心の状態 ――
帝京が4年ぶりに大学選手権決勝進出を決めました。前半は10-23と苦戦しましたが、最後は逆転し、勝利を収めました。
岩出監督は記者会見で「選手の心の状態が試合の流れや得点にそのまま出たゲーム」と振り返りましたが、前半と後半では選手たちの心理状態が大きく違っていたようです。もちろん、ここで言う「心の状態」とは、意識レベルでの話ではありません。厄介な「無意識レベル」での心理状態の変化が、試合の流れ、得点にそのまま影響したということです。
前半20分までは帝京のペースと言えました。いい形で2トライを奪い、失点はPGの3点だけ。難しい位置からのコンバージョンキックは入っていませんでしたが、このペースでトライを取れれば、机上の計算では80分で40得点することができ、失点は12点で抑えることができます。
繰り返しますが、意識の上でこんなことを考えていた人は誰一人としていません。ラグビーがそんな単純なものではないと、誰もがわかっています。しかし、無意識というのは厄介なもので、心の隙は10-3とした安心感の隙間からするりと入り込んで、心理状態、そしてパフォーマンスに影響を及ぼします。人間、痛いのは嫌ですし、激しいプレーはケガのリスクも伴います。痛いことやケガのリスクを、無意識のうちに反射的に回避しようとするのもある意味、仕方のないことです。ただし、それでは試合には勝てません。
無意識レベルで起こることをコントロールすることは、まず不可能です。しかし、意識レベルであればコントロール可能です。無意識のうちにやってしまっていたことを言葉にして、意識の上に乗せ、それをコントロールする。それがハーフタイムであったり、試合中のオフタイムでの円陣だったりするわけです。
2つトライを取ったことで安心してはいなかったか。相手の激しいプレーに対して、真っ向勝負せず、反射的に避けてしまっていなかったか。前に出る意識が強すぎて、ディフェンス時にオフサイドラインの後ろまで戻らずにプレーしてはいなかったか。
そうしたことを逐一、言語化し、意識し、コントロールできるようになった後半の帝京は、前半とは見違えるようなチームになりました。特に特筆すべきはペナルティ。前半8個あったペナルティ(相手は5個)が、後半は0(相手は12個)でした。
さあ、4年ぶりの決勝戦です。心を調え、思い切りチャレンジしてほしいと思います。
(文・木村俊太/写真・志賀由佳)
【 前半 】
03分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトからフェーズを重ね、BKへ展開し15谷中トライ ゴール不成功 5-0
13分 【京都産業大学】 15ペナルティゴール成功 5-3
20分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトから連続攻撃し、BKに展開して14白國トライ ゴール不成功 10-3
24分 【京都産業大学】 15ペナルティゴール成功 10-6
29分 【京都産業大学】 トライ 敵陣スクラムから12が抜け出しトライ 15ゴール成功 10-13
39分 【京都産業大学】 ペナルティゴール成功 10-16
41分 【京都産業大学】 トライ 敵陣ラインアウトからFW連続攻撃最後に3が押し込みトライ 15ゴール成功 10-23
前半終了:帝京大学 10-23京都産業大学
【 後半 】
05分 【帝京大学】 10高本ペナルティゴール成功 13-23
08分 【帝京大学】 7 山添圭祐 → 20 リッチモンド・トンガタマ
09分 【帝京大学】 トライ 敵陣ラインアウトからモールを形成し2江良が押し込みトライ 10高本ゴール成功 20-23
10分 【帝京大学】 5 江里口真弘 → 19 山川一瑳 , 11 高本とむ → 23 ミティエリ・ツイナカウヴァドラ
17分 【京都産業大学】 トライ 敵陣ラインアウトから継続し3が抜け出しトライ 15ゴール成功 20-30
19分 【帝京大学】 12 押川敦治 → 22 松山千大
20分 【帝京大学】 3 奥野翔太 → 18 細木康太郎
24分 【帝京大学】 トライ 敵陣スクラムから9李が持ち込みトライ 10高本ゴール成功 27-30
25分 【帝京大学】 1 照内寿明 → 17 津村大志
32分 【帝京大学】 10高本ペナルティゴール成功 30-30
38分 【帝京大学】 トライ 敵陣ゴール前を継続、BKに展開し最後は23ミティエリトライ 10高本ゴール成功 37-30
試合終了:帝京大学 37-30 京都産業大学
(試合速報担当:3年 長谷川毅・湯浅宏太)
《BRIEF REVIEW》
大学選手権準決勝、相手は関西1位の京都産業大学。初めての新・国立競技場でのゲームをしっかりと楽しみながら戦いたい。
試合開始直後は帝京ペース。3分、ラインアウトからの攻撃でFB谷中が先制トライを決める(5-0)。ディフェンスもHO江良の好タックルや、堅いモールディフェンスで守る。しかし、相手の激しい当たり、力強い前進で、オフサイドのペナルティが増え、13分にはPGを決められる(5-3)。それでも帝京は自分たちの形で攻撃を続け、20分にはラインアウトからBKに展開し、WTB白國がトライを奪う(10-3)。
ところが、ここでホッとしたのか、ディフェンスで食い込まれるシーンが増え、ペナルティも増えてくる。24分、ノットロールアウェイの反則からPGを決められ(10-6)、30分にはスクラムからつながれて逆転のトライを許してしまう(10-13)。その後も、攻め込むシーンはあるものの、取り切れず、逆にペナルティでピンチを招く。39分にPGを決められ、41分にはラインアウトからトライを奪われ、前半を10-23で折り返した。
ハーフタイムには、もう一度、自分たちの強みであるフィジカルの部分で戦うこと、オフサイドのペナルティをなくすことなどを確認して後半のピッチへと向かった。
後半はその言葉どおり、帝京に激しさが戻り、ペナルティもなくなる。ミスが出ても、その後の激しいタックル、鋭い出足でカバーする。また、帝京が攻め続けることで、相手のオフサイドの反則が増えてくる。それによって、さらにチャンスが生まれるという好循環に入っていく。
5分、SO高本幹がPGを決め(13-23)、9分には、ラインアウトからモールを押し込み、HO江良が持ち出してトライ。20-23と3点差に迫る。この後、攻め込まれるが、No8奥井のジャッカルで防ぐ。さらに相手の鋭いランナーに走られ、ピンチになるが、ゴール直前でNo8奥井がタックルし、ノックオンを誘う。17分に、ラック中央を抜け出されてトライを許すが(20-30)、帝京の鋭い出足とノーペナルティは健在で、前半のような劣勢の雰囲気はすでになかった。
20分、キャプテンPR細木が登場。これで一気に空気が変わる。スクラムで圧倒する場面が増える。24分、スクラムからペナルティのアドバンテージをもらいつつ、SH李が仕掛けてトライ(27-30)。相手の攻撃を受けても、LO山川の好タックルなどでしっかり防ぐ。スクラムで優位に立ったことで、ピンチもチャンスに変えることができるようになった。
32分、スクラムでもらったPGをSO高本幹が決め、ついに30-30の同点に追いつく。この段階で、トライ数で上回る帝京が、事実上、一歩リードする形になるが、帝京は攻撃の手を緩めない。ペナルティをもらってもPGは狙わず、タッチキックからトライを取りに行く。38分、ラインアウトから連続攻撃を仕掛け、最後はSO高本幹から長いパスをもらったWTBツイナカウヴァドラがトライ。37-30でノーサイド。帝京が1月9日の決勝戦へと駒を進めた。
《COLUMN》
―― 心の状態 ――
帝京が4年ぶりに大学選手権決勝進出を決めました。前半は10-23と苦戦しましたが、最後は逆転し、勝利を収めました。
岩出監督は記者会見で「選手の心の状態が試合の流れや得点にそのまま出たゲーム」と振り返りましたが、前半と後半では選手たちの心理状態が大きく違っていたようです。もちろん、ここで言う「心の状態」とは、意識レベルでの話ではありません。厄介な「無意識レベル」での心理状態の変化が、試合の流れ、得点にそのまま影響したということです。
前半20分までは帝京のペースと言えました。いい形で2トライを奪い、失点はPGの3点だけ。難しい位置からのコンバージョンキックは入っていませんでしたが、このペースでトライを取れれば、机上の計算では80分で40得点することができ、失点は12点で抑えることができます。
繰り返しますが、意識の上でこんなことを考えていた人は誰一人としていません。ラグビーがそんな単純なものではないと、誰もがわかっています。しかし、無意識というのは厄介なもので、心の隙は10-3とした安心感の隙間からするりと入り込んで、心理状態、そしてパフォーマンスに影響を及ぼします。人間、痛いのは嫌ですし、激しいプレーはケガのリスクも伴います。痛いことやケガのリスクを、無意識のうちに反射的に回避しようとするのもある意味、仕方のないことです。ただし、それでは試合には勝てません。
無意識レベルで起こることをコントロールすることは、まず不可能です。しかし、意識レベルであればコントロール可能です。無意識のうちにやってしまっていたことを言葉にして、意識の上に乗せ、それをコントロールする。それがハーフタイムであったり、試合中のオフタイムでの円陣だったりするわけです。
2つトライを取ったことで安心してはいなかったか。相手の激しいプレーに対して、真っ向勝負せず、反射的に避けてしまっていなかったか。前に出る意識が強すぎて、ディフェンス時にオフサイドラインの後ろまで戻らずにプレーしてはいなかったか。
そうしたことを逐一、言語化し、意識し、コントロールできるようになった後半の帝京は、前半とは見違えるようなチームになりました。特に特筆すべきはペナルティ。前半8個あったペナルティ(相手は5個)が、後半は0(相手は12個)でした。
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(文・木村俊太/写真・志賀由佳)
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