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スペシャル
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2023/05/28【第52回京都ラグビー祭 】vs京都産業大学 マッチレポート
2023/05/29
第52回京都ラグビー祭 京都産業大学戦
5月28日(日)・たけびしスタジアム京都
○帝京大学43-12京都産業大学●
《BRIEF REVIEW》
招待試合「第52回京都ラグビー祭」。対戦相手は京都産業大学。大学選手権2年連続ベスト4の強敵であり、一昨年の準決勝では、帝京は最後の最後まで苦しられた。今シーズンもフィジカルの強さに定評があり、けっして侮れない相手だ。
前半、帝京はやや強い向かい風を受ける。その風もあり、開始直後から攻め込まれる形になる。ディフェンスを崩され、ピンチになるが、ゴール前での必死の守りでノックオンを誘う。ターンオーバーされるなど、さらにピンチが続くが、ジャッカルしてなんとか守る。
しかし、その後も自陣での守りの時間帯が続く。だが、CTB久木野の好タックルなど、必死の守りを見せ、得点にまでは至らせない。
その後も一進一退。帝京が攻め込むシーンもあるが、決定機にまでは至らず、相手の50:22などもあり、ピンチを招く。
試合が動いたのは、24分。FBに回った小村がキックカウンターから抜け出してチャンスを作る。さらに展開し、最後はWTBに回った青栁(潤)がディフェンスをかいくぐり、体を伸ばして右隅にトライ(5-0)。その後はラインアウトやラックで帝京がプレッシャーをかけ、ターンオーバーする機会が増える。34分、ラインアウトでボールを奪い、連続展開。最後はPR上杉がうまく走り込んでパスをもらって抜け出し、左隅にトライ。前半を10-0で折り返した。
後半は開始直後の4分に得点が動く。FB小村のハイパントキャッチから攻撃。CTB上田が上手く抜け出し、ゴール前まで攻め込む。ラインアウトからモールを押し込み、HO江良が左隅にトライ(15-0)。
だが、直後のキックオフからの展開でキックをチャージされ、ピンチとなる。7分、ラインアウトから攻められ、モールは止めたものの、外側へのキックパスをうまくキャッチされてトライを奪われる(15-5)。
その直後の10分、帝京はラックでターンオーバーして連続展開。最後はWTB青栁(潤)が抜け出し、右隅にトライ(22-5)。
その後はWTB高本(と)、HO江良らの前進でチャンスを作る場面もあるが、得点にまでは至らない。再度得点が動いたのは26分。キックチャージされ、乱れたボールが、うまく帝京側に入る。WTB高本(と)が抜け出し、前進。パスをつなぎ、最後はNo.8延原が左中間にトライ(29―5)。
ピンチのシーンをしのいだ31分、ハイパントのボールがバウンドし、うまく帝京がキープ。HO江良が大きく前進し、さらにWTB青栁(潤)が前進。パスをつなぎ、最後はLOアスイが中央にトライ(36-5)。
38分にはゴール間まで攻め込まれ、ラインアウトからの展開で再度、外へのキックパスをうまくキャッチされてトライを許すが(36-12)、42分にはスクラムから、ペナルティのアドバンテージをもらいながらBKに展開し、最後はCTB日隈が抜け出してトライを奪う。ゴールも決まって、43-12でノーサイド。苦しみながらも帝京が勝利を収めた。
《POST MATCH INTERVIEW》
■相馬朋和監督
「まずは『京都ラグビー祭』というすばらしいイベントにご招待いただき、多くのお客様に好ゲームをお見せすることができましたことに対し、京都府ラグビー協会の皆様、イベント運営に関わってくださった皆様、イベントを盛り上げてくださった学生、生徒、保護者の皆様、そして対戦してくださった京都産業大学さんにお礼を申し上げます。
今日のゲームは、京都産業大学さんが接点のところで、激しく前に出るプレーを最後まで続けてこられたことで、学生たちはこれまでとは違ったプレッシャーを感じたようでした。我々としては、それに対して真っ向からファイトしながら、どこにボールを運ぶべきなのかを迅速に判断するという部分でいい経験ができたのではないかと思います。
前半、接点で苦戦した原因は、相手が接点に人数をかけてきているにもかかわらず、こちらは常に1人でファイトしていたためでしたが、後半は2人目が素早く、力強く接点に入ることを意識できたことで少し改善されたように思います。
逆に言えば、前半は1人対複数人でも十分に戦えていたとも言えるのですが、これから戦っていく上でしっかりと相手を圧倒するためには、2人目の働きが重要になってきます。そうしたことを強い強度で体験できたことは、学生たちにとってとてもいい経験になったと思います。
また、今日のゲームは1年生が多く出場するゲームになりました。みんなそれぞれ持ち味を出してくれたと思います。今日得た経験を、次にどう繋げてくれるか、楽しみにしています。上級生も1年生を上手にストレスなくプレーさせてあげることが、だんだん上手になってきていると感じます。試合を重ねるたびに1年生が自信を持ち、上級生たちもその1年生たちとの関係がよくなっていってくれればと思います。
今日、出場しなかった人たちの中にも、多くの可能性を秘めた選手がたくさんいますので、学生たちの個々の持ち味を見極めながら、彼らの可能性を広げてあげられるように、私自身もチャレンジしていきたいと思います。
次の明治大学さんとの戦いでは、こちらがいま持っているものをすべて出すということが大事になってくると思うので、それを学生たちがどのように出してくれるのか、とても楽しみです。」
■キャプテン・HO江良颯(4年)
「今日は、『京都ラグビー祭』にご招待いただき、ありがとうございました。芝もよく、とてもラグビーがしやすいスタジアムだなと感じました。正直、京都産業大学さんにトライを取られた時の歓声などでは『アウェイ』を感じた部分もありましたが、僕たちのいいプレーに沸いてくださる声も聞こえましたし、緊迫した場面ではしっかり見守ってくださったりと、とてもいい環境でラグビーをさせていただきました。
今日の試合もよかった点と悪かった点が数多く出たゲームになりました、よかった点としては、前半、風下の中、京都産業大学さんがフィジカル勝負をしてくるところで、ずっと我慢することができて、トライを取り切るところではしっかりとトライを取って、焦らず、冷静に判断する、我慢強いラグビーができていたところです。悪かった点は、ミスがとても多かったところ。ミスの多さが前半、後半と続いてしまったので、ここは絶対に改善しなければいけないところです。全員がしっかりコネクトして、横の人の声を聞いて、もっと深いコミュニケーションをしていかなければいけないと感じました。焦っていないのはいいことなのですが、チャンスを掴みにいくところでの嗅覚をもっと上げていかなければいけないと思いました。
また、ディフェンス面のところで特に前半、京都産業大学さんはフィジカルが強いとわかっているにもかかわらず、1人で勝負する形になってしまいました。1人で止められたところもあるのですが、対抗戦、大学選手権と進んでいくとそれでは止められない場面も出てくると思います。いま1人で勝負しているところを、もっとみんながハードワークして、ワークレートを高くして、接点の人数を増やしていけば、相手に圧力をかけることができ、僕たちとしてはいいディフェンスができるようになると思うので、そこを目指してやっていかなければと思っています。
後半はこうしたことを意識したことで、少しは改善されたと思いますが、ヒットスピードなどまだまだなので、もっとしっかりやっていきたいと思います。
スクラムは、僕たちのスクラムを組めた場面ではしっかり押せていたと思いますが、後半、相手のスクラムに合わせてしまったところもありました。自分たちのスクラムを組み続けるというのが僕たちの強みなので、レフリーとのコミュニケーションをしっかりとしながら、きちんと組めるように改善していきたいです。
ラインアウトではデリバリーのミスが多かったので、それをなくすこと。モールではまとまり切れていなかったので、まとまって8人で押せるように、スクラムのように全員が同じ絵を描いて、同じ方向性でモールを組めるようにしていきたいです。
それでも、京都産業大学さんのフィジカルの強度を体験でき、この強度の相手との戦いは簡単にはいかないと感じられたこと、それに対して我慢強く戦えたことはとても大きな収穫だったと思います。
次の明治大学さんには、去年、敗れていますし、絶対に負けてはいけない相手だと思っているので、ひたむきに泥臭くプレーをして、最後に1点でもスコアで上回れる試合ができればと思っています。簡単に行かない時に、自分たちがどう考え、全員がどう繋がれるかがとても大切な試合になると思うので、全員が考え、全員が繋がり続ける、いいラグビーができたらと思います。」
■PR上杉太郎(4年)
「今日の試合は、全員でハードワークするコンタクトバトルに持ち込めたかなと思います。試合前から『今日は接戦になるだろう』という話をみんなでしていたので、前半、京都産業大学さんの強いフィジカルに苦しんだ時間帯でも、切れずに継続してやっていくことができました。
スクラムについては、京都産業大学さんは少し変わった特徴的なスクラムを組んでくると聞いていたので、それに対して、自分たちのスクラムをどう組めるかということにチャレンジしました。序盤は、自分たちの形でスクラムを組むことができていたのですが、後半は相手に付き合ってしまったところがありました。そこは修正すべき点だと思いました。
フィールドプレーについては、ハードワークすることが今日のテーマだったので、それができてよかったと思います。
次は明治大学さんとの試合。ここでもFWのコンタクトバトルが大事になると思うので、しっかりとハードワークして、激しくコンタクトしていきたいと思います。」
■WTB高本とむ(4年)
「今日はBKの先発メンバーに1年生が2人入りましたが、そうしたメンバー構成で京都産業大学さんにどれだけチャレンジできるかという気持ちで挑みました。いいところもありましたし、課題も見つかったいいゲームになったと思います。もっと規律高く、精度高くやっていけるようにしていきたいです。
僕たち4年生が、1年生が思い切ってプレーできるようにというところを意識してやっていましたが、彼らも全力でプレーして、できたこととできなかったことがこのゲームで見えて、それを次にどう繋げていくかを考えることができると思うので、その点でもよかったと思います。
自分のプレーとしては、うまく抜け出す場面もあり、そこはよかったのですが、やはりトライを取り切るところまで持っていきたかったです。
次の明治大学さんには、去年、同じエコパスタジアムで敗れているので、気持ちを引き締めて、今年は絶対に取り返せるように頑張ります。」
《COLUMN》
―― ホームとアウェイ ――
この日の試合は「第52回京都ラグビー祭」のイベントとしての招待試合でした。他に京都市中学校春季総合体育大会の決勝戦、女子セブンズ交流戦、高校総体リーグ戦(京都工学院高校対京都成章高校)の試合が行われました。
たけびしスタジアム京都で京都産業大学と対戦するということで、試合前には会場の「完全なアウェイ」な空気を危惧する声も聞かれました。しかし、実際の試合では(もちろん、京都産業大学への大きな声援はありましたが)、それほど極端なアウェイ感は感じられませんでした。
これは、帝京の強さをリスペクトしてもらえたということもあるとは思いますが、それ以上に、帝京の選手たちに京都出身者が多かったということもあったのではないでしょうか。実際、この日のメンバーの中に、前の試合で戦った京都工学院高校と京都成章高校の出身者が、合計6人入っていました。彼らはみな、この日のために特別に選ばれたわけではなく、他の試合でもメンバーに入っている人たちです。
試合後には、地元の友人らしき人たちがスタンドから選手に声を掛けたり、京都出身、あるいは京都の高校出身の帝京OBが観戦に来てくれたりと、アウェイどころかホーム感を演出してくれた人たちがスタンドには大勢いてくださったのでした。
さて、ここから関東大学春季大会もいわゆる伝統校との戦いになっていきます。そうした戦いでは、どうしても相手校のファンの数が多いため、これまで帝京は対戦相手と同時に「アウェイ感」との戦いも強いられてきました。
この日の試合でよくわかったのは「状況は完全なアウェイであっても、スタジアムで応援してくださる方が増えれば、そのアウェイ感も、ある程度は払拭できる」ということです。
東京からは少し離れた会場での試合が続きますが、お近くの方はぜひスタジアムへ足を運んでいただき、感染対策も万全にしつつ、頑張る学生たちの背中を押していただけたら嬉しく思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
5月28日(日)・たけびしスタジアム京都
○帝京大学43-12京都産業大学●
《BRIEF REVIEW》
招待試合「第52回京都ラグビー祭」。対戦相手は京都産業大学。大学選手権2年連続ベスト4の強敵であり、一昨年の準決勝では、帝京は最後の最後まで苦しられた。今シーズンもフィジカルの強さに定評があり、けっして侮れない相手だ。
前半、帝京はやや強い向かい風を受ける。その風もあり、開始直後から攻め込まれる形になる。ディフェンスを崩され、ピンチになるが、ゴール前での必死の守りでノックオンを誘う。ターンオーバーされるなど、さらにピンチが続くが、ジャッカルしてなんとか守る。
しかし、その後も自陣での守りの時間帯が続く。だが、CTB久木野の好タックルなど、必死の守りを見せ、得点にまでは至らせない。
その後も一進一退。帝京が攻め込むシーンもあるが、決定機にまでは至らず、相手の50:22などもあり、ピンチを招く。
試合が動いたのは、24分。FBに回った小村がキックカウンターから抜け出してチャンスを作る。さらに展開し、最後はWTBに回った青栁(潤)がディフェンスをかいくぐり、体を伸ばして右隅にトライ(5-0)。その後はラインアウトやラックで帝京がプレッシャーをかけ、ターンオーバーする機会が増える。34分、ラインアウトでボールを奪い、連続展開。最後はPR上杉がうまく走り込んでパスをもらって抜け出し、左隅にトライ。前半を10-0で折り返した。
後半は開始直後の4分に得点が動く。FB小村のハイパントキャッチから攻撃。CTB上田が上手く抜け出し、ゴール前まで攻め込む。ラインアウトからモールを押し込み、HO江良が左隅にトライ(15-0)。
だが、直後のキックオフからの展開でキックをチャージされ、ピンチとなる。7分、ラインアウトから攻められ、モールは止めたものの、外側へのキックパスをうまくキャッチされてトライを奪われる(15-5)。
その直後の10分、帝京はラックでターンオーバーして連続展開。最後はWTB青栁(潤)が抜け出し、右隅にトライ(22-5)。
その後はWTB高本(と)、HO江良らの前進でチャンスを作る場面もあるが、得点にまでは至らない。再度得点が動いたのは26分。キックチャージされ、乱れたボールが、うまく帝京側に入る。WTB高本(と)が抜け出し、前進。パスをつなぎ、最後はNo.8延原が左中間にトライ(29―5)。
ピンチのシーンをしのいだ31分、ハイパントのボールがバウンドし、うまく帝京がキープ。HO江良が大きく前進し、さらにWTB青栁(潤)が前進。パスをつなぎ、最後はLOアスイが中央にトライ(36-5)。
38分にはゴール間まで攻め込まれ、ラインアウトからの展開で再度、外へのキックパスをうまくキャッチされてトライを許すが(36-12)、42分にはスクラムから、ペナルティのアドバンテージをもらいながらBKに展開し、最後はCTB日隈が抜け出してトライを奪う。ゴールも決まって、43-12でノーサイド。苦しみながらも帝京が勝利を収めた。
《POST MATCH INTERVIEW》
■相馬朋和監督
「まずは『京都ラグビー祭』というすばらしいイベントにご招待いただき、多くのお客様に好ゲームをお見せすることができましたことに対し、京都府ラグビー協会の皆様、イベント運営に関わってくださった皆様、イベントを盛り上げてくださった学生、生徒、保護者の皆様、そして対戦してくださった京都産業大学さんにお礼を申し上げます。
今日のゲームは、京都産業大学さんが接点のところで、激しく前に出るプレーを最後まで続けてこられたことで、学生たちはこれまでとは違ったプレッシャーを感じたようでした。我々としては、それに対して真っ向からファイトしながら、どこにボールを運ぶべきなのかを迅速に判断するという部分でいい経験ができたのではないかと思います。
前半、接点で苦戦した原因は、相手が接点に人数をかけてきているにもかかわらず、こちらは常に1人でファイトしていたためでしたが、後半は2人目が素早く、力強く接点に入ることを意識できたことで少し改善されたように思います。
逆に言えば、前半は1人対複数人でも十分に戦えていたとも言えるのですが、これから戦っていく上でしっかりと相手を圧倒するためには、2人目の働きが重要になってきます。そうしたことを強い強度で体験できたことは、学生たちにとってとてもいい経験になったと思います。
また、今日のゲームは1年生が多く出場するゲームになりました。みんなそれぞれ持ち味を出してくれたと思います。今日得た経験を、次にどう繋げてくれるか、楽しみにしています。上級生も1年生を上手にストレスなくプレーさせてあげることが、だんだん上手になってきていると感じます。試合を重ねるたびに1年生が自信を持ち、上級生たちもその1年生たちとの関係がよくなっていってくれればと思います。
今日、出場しなかった人たちの中にも、多くの可能性を秘めた選手がたくさんいますので、学生たちの個々の持ち味を見極めながら、彼らの可能性を広げてあげられるように、私自身もチャレンジしていきたいと思います。
次の明治大学さんとの戦いでは、こちらがいま持っているものをすべて出すということが大事になってくると思うので、それを学生たちがどのように出してくれるのか、とても楽しみです。」
■キャプテン・HO江良颯(4年)
「今日は、『京都ラグビー祭』にご招待いただき、ありがとうございました。芝もよく、とてもラグビーがしやすいスタジアムだなと感じました。正直、京都産業大学さんにトライを取られた時の歓声などでは『アウェイ』を感じた部分もありましたが、僕たちのいいプレーに沸いてくださる声も聞こえましたし、緊迫した場面ではしっかり見守ってくださったりと、とてもいい環境でラグビーをさせていただきました。
今日の試合もよかった点と悪かった点が数多く出たゲームになりました、よかった点としては、前半、風下の中、京都産業大学さんがフィジカル勝負をしてくるところで、ずっと我慢することができて、トライを取り切るところではしっかりとトライを取って、焦らず、冷静に判断する、我慢強いラグビーができていたところです。悪かった点は、ミスがとても多かったところ。ミスの多さが前半、後半と続いてしまったので、ここは絶対に改善しなければいけないところです。全員がしっかりコネクトして、横の人の声を聞いて、もっと深いコミュニケーションをしていかなければいけないと感じました。焦っていないのはいいことなのですが、チャンスを掴みにいくところでの嗅覚をもっと上げていかなければいけないと思いました。
また、ディフェンス面のところで特に前半、京都産業大学さんはフィジカルが強いとわかっているにもかかわらず、1人で勝負する形になってしまいました。1人で止められたところもあるのですが、対抗戦、大学選手権と進んでいくとそれでは止められない場面も出てくると思います。いま1人で勝負しているところを、もっとみんながハードワークして、ワークレートを高くして、接点の人数を増やしていけば、相手に圧力をかけることができ、僕たちとしてはいいディフェンスができるようになると思うので、そこを目指してやっていかなければと思っています。
後半はこうしたことを意識したことで、少しは改善されたと思いますが、ヒットスピードなどまだまだなので、もっとしっかりやっていきたいと思います。
スクラムは、僕たちのスクラムを組めた場面ではしっかり押せていたと思いますが、後半、相手のスクラムに合わせてしまったところもありました。自分たちのスクラムを組み続けるというのが僕たちの強みなので、レフリーとのコミュニケーションをしっかりとしながら、きちんと組めるように改善していきたいです。
ラインアウトではデリバリーのミスが多かったので、それをなくすこと。モールではまとまり切れていなかったので、まとまって8人で押せるように、スクラムのように全員が同じ絵を描いて、同じ方向性でモールを組めるようにしていきたいです。
それでも、京都産業大学さんのフィジカルの強度を体験でき、この強度の相手との戦いは簡単にはいかないと感じられたこと、それに対して我慢強く戦えたことはとても大きな収穫だったと思います。
次の明治大学さんには、去年、敗れていますし、絶対に負けてはいけない相手だと思っているので、ひたむきに泥臭くプレーをして、最後に1点でもスコアで上回れる試合ができればと思っています。簡単に行かない時に、自分たちがどう考え、全員がどう繋がれるかがとても大切な試合になると思うので、全員が考え、全員が繋がり続ける、いいラグビーができたらと思います。」
■PR上杉太郎(4年)
「今日の試合は、全員でハードワークするコンタクトバトルに持ち込めたかなと思います。試合前から『今日は接戦になるだろう』という話をみんなでしていたので、前半、京都産業大学さんの強いフィジカルに苦しんだ時間帯でも、切れずに継続してやっていくことができました。
スクラムについては、京都産業大学さんは少し変わった特徴的なスクラムを組んでくると聞いていたので、それに対して、自分たちのスクラムをどう組めるかということにチャレンジしました。序盤は、自分たちの形でスクラムを組むことができていたのですが、後半は相手に付き合ってしまったところがありました。そこは修正すべき点だと思いました。
フィールドプレーについては、ハードワークすることが今日のテーマだったので、それができてよかったと思います。
次は明治大学さんとの試合。ここでもFWのコンタクトバトルが大事になると思うので、しっかりとハードワークして、激しくコンタクトしていきたいと思います。」
■WTB高本とむ(4年)
「今日はBKの先発メンバーに1年生が2人入りましたが、そうしたメンバー構成で京都産業大学さんにどれだけチャレンジできるかという気持ちで挑みました。いいところもありましたし、課題も見つかったいいゲームになったと思います。もっと規律高く、精度高くやっていけるようにしていきたいです。
僕たち4年生が、1年生が思い切ってプレーできるようにというところを意識してやっていましたが、彼らも全力でプレーして、できたこととできなかったことがこのゲームで見えて、それを次にどう繋げていくかを考えることができると思うので、その点でもよかったと思います。
自分のプレーとしては、うまく抜け出す場面もあり、そこはよかったのですが、やはりトライを取り切るところまで持っていきたかったです。
次の明治大学さんには、去年、同じエコパスタジアムで敗れているので、気持ちを引き締めて、今年は絶対に取り返せるように頑張ります。」
《COLUMN》
―― ホームとアウェイ ――
この日の試合は「第52回京都ラグビー祭」のイベントとしての招待試合でした。他に京都市中学校春季総合体育大会の決勝戦、女子セブンズ交流戦、高校総体リーグ戦(京都工学院高校対京都成章高校)の試合が行われました。
たけびしスタジアム京都で京都産業大学と対戦するということで、試合前には会場の「完全なアウェイ」な空気を危惧する声も聞かれました。しかし、実際の試合では(もちろん、京都産業大学への大きな声援はありましたが)、それほど極端なアウェイ感は感じられませんでした。
これは、帝京の強さをリスペクトしてもらえたということもあるとは思いますが、それ以上に、帝京の選手たちに京都出身者が多かったということもあったのではないでしょうか。実際、この日のメンバーの中に、前の試合で戦った京都工学院高校と京都成章高校の出身者が、合計6人入っていました。彼らはみな、この日のために特別に選ばれたわけではなく、他の試合でもメンバーに入っている人たちです。
試合後には、地元の友人らしき人たちがスタンドから選手に声を掛けたり、京都出身、あるいは京都の高校出身の帝京OBが観戦に来てくれたりと、アウェイどころかホーム感を演出してくれた人たちがスタンドには大勢いてくださったのでした。
さて、ここから関東大学春季大会もいわゆる伝統校との戦いになっていきます。そうした戦いでは、どうしても相手校のファンの数が多いため、これまで帝京は対戦相手と同時に「アウェイ感」との戦いも強いられてきました。
この日の試合でよくわかったのは「状況は完全なアウェイであっても、スタジアムで応援してくださる方が増えれば、そのアウェイ感も、ある程度は払拭できる」ということです。
東京からは少し離れた会場での試合が続きますが、お近くの方はぜひスタジアムへ足を運んでいただき、感染対策も万全にしつつ、頑張る学生たちの背中を押していただけたら嬉しく思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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