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2023/8/27【 SUMMER TRAINING GAME 】VS明治大学 マッチレポート
2023/08/30
8月27日(日)・サニアパーク菅平メイン
○帝京大学38-21明治大学●
《BRIEF REVIEW》
菅平高原での夏合宿練習試合第3戦。対戦相手は明治大学。春季大会での試合が台風の影響で中止となり、これが今季初対戦となる。春季大会では明治大学も無敗で終え、得失点差で帝京の優勝となったが、両チーム、あるいはファンとしてはお互い「まだ決着はついていない」という思いがあったはず。練習試合で内容が問われるゲームながら、その勝敗の行方にも注目が集まる一戦となった。
試合は開始早々、帝京ボールのスクラムとなる。だが、帝京の強みの一つであるはずのスクラムでやや劣勢となり、ペナルティを取られてしまう。帝京はペースがつかめないまま、相手を勢いづかせてしまう形となり、4分、ラインアウトからつながれてトライを与えてしまう(0-7)。
ここから帝京も反撃を開始。8分、ラインアウトからモールは押し切れなかったものの、持ち出してつなぐ。HO江良、FL奥井が前進。さらにラックから持ち出したFL青木が力強く前進してトライを奪う(7-7)。
力と力のぶつかり合いがさらに続く。18分にはペナルティから攻め込まれ、ラインアウトからのモールは止めたものの、持ち出されてトライを奪われてしまうが、24分には帝京が攻め込み、ラインアウトからつなぐ。ラックからFL青木が前進。さらにラックからFL奥井-CTB戒田-FL奥井とディフェンスにつかまりながらもうまくつなぎ、奥井がトライ(14―14)。
互いに譲らない、がっぷり四つの攻防を見せていたが、ここから帝京が怒涛の攻撃を開始する。キックオフからのボールをつなぎ、FL奥井、HO江良、FL青木、SH李、WTB高本(とむ)らが大きく前進し、チャンスを作る。
28分、ラインアウトのボールが乱れるも、CTB五島がうまく拾ってつなぐ。SH李が前進。ラックから持ち出し、HO江良-PR平井と渡り、平井がトライ(21-14)。直後の31分、ラインアウトからつないで前進。ラックからSH李-No.8延原-CTB五島-HO江良とパスが渡り、江良がタッチライン際を走り切ってトライ(26-14)。
この後もFB小村が抜け出し大きなチャンスを作るなど帝京が攻める時間帯が続くが、トライには至らず、26-14で前半を折り返した。
前半、スクラムでは苦しんだものの、前の試合で多発したハイタックルは激減。むしろ、相手のハイタックルでチャンスをもらうケースが多かった。ハーフタイムには気持ちで負けないこと、スクラムの問題点をもう一度、整理することなどが確認された。
後半は、点の取り合いとなった前半とは異なり、互いになかなか点が入らない展開となる。それでも、力と力のぶつかり合い、多くの人に時間の経過を感じさせないほどの熱い攻防が続く。
前半に苦戦したスクラムは押し込む場面、押される場面の両方があり、押されてペナルティを取られると、当然のようにピンチを招く。それでも帝京はFL奥井の再三にわたるジャッカルなどで守り、相手に得点を与えない。FL奥井はタックルでも激しさを見せ、相手の攻撃を寸断する。
だが、帝京もなかなか攻め切れないまま、時計が進む。後半に得点が動いたのは、35分のペナルティから得たチャンス。ラインアウトからモールを形成。押し込みながら、HO江良が持ち出してトライ(33-14)。
直後の38分、攻められる展開ながら、積極的に前に出るディフェンスで相手のノックオンを誘い、CTB五島がこぼれ球をうまく拾ってターンオーバー。No.8延原が前進。ラックからSH上村-LOアスイ-SO本橋(尭)とつなぎ、本橋が抜け出す。自陣からそのまま走り切ってトライ(38-14)。
42分にラインアウトからトライを奪われるが、ここでノーサイド。38-21で帝京が勝利した。
《COLUMN》
―― 学生たちの対応力と創造力 ――
この日は前の試合で多発したハイタックルという課題の克服が一つのテーマだったと思います。春に試合が中止となってしまった明治大学とのゲームですから、当然、勝敗も重視されます。ペナルティを減らすことは勝利に近づくための大きな要因ですから、前回多発したハイタックルを減らすことは、まさに一石二鳥の効果をもたらすものと言えました。
試合では、「0」とまでは行きませんでしたが、前の試合に比べれば激減と言っていいほど減らすことができました。
この点について、試合後、相馬監督は目を細めながら「本当にいい子たちですよね。課題に対する対応力と、それだけじゃなく、そこから『どうすればハイタックルを減らせるか』を自分たちでさらに深く考え、話し合って、実行したのですから」と学生たちを評し、課題への対応力と指導されたことに自分たちで考えたことをプラスする彼らの創造力を讃えました。
一方、この日はスクラムが課題として出てきました。この夏を通じて、スクラムはずっと課題だったそうですが、相馬監督はこれも「次のステップへ進むために必要な停滞」と捉えているようです。たとえが適切かどうかわかりませんが、昆虫がさなぎから成虫へと羽化しようとしている状態を想像してしまいました。
傍目には必死にもがいているようにも見えるのですが、羽化に成功したあかつきには、立派な成虫の姿に変わっている。そんなイメージです。
夏を通じて課題だったと言いますから、おそらくFW陣たちは毎日のようにスクラムについて語り合い、組み合い、またそこから得た課題について語り合ってきたことでしょう。スクラムは、ハイタックルのようにすぐには結果に結びつかないかもしれません。それでも、対応力と創造力で克服してくれると信じています。
ここから始まる対抗戦、そして大学選手権での学生たちの「羽化」に注目していきたいと思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
○帝京大学38-21明治大学●
《BRIEF REVIEW》
菅平高原での夏合宿練習試合第3戦。対戦相手は明治大学。春季大会での試合が台風の影響で中止となり、これが今季初対戦となる。春季大会では明治大学も無敗で終え、得失点差で帝京の優勝となったが、両チーム、あるいはファンとしてはお互い「まだ決着はついていない」という思いがあったはず。練習試合で内容が問われるゲームながら、その勝敗の行方にも注目が集まる一戦となった。
試合は開始早々、帝京ボールのスクラムとなる。だが、帝京の強みの一つであるはずのスクラムでやや劣勢となり、ペナルティを取られてしまう。帝京はペースがつかめないまま、相手を勢いづかせてしまう形となり、4分、ラインアウトからつながれてトライを与えてしまう(0-7)。
ここから帝京も反撃を開始。8分、ラインアウトからモールは押し切れなかったものの、持ち出してつなぐ。HO江良、FL奥井が前進。さらにラックから持ち出したFL青木が力強く前進してトライを奪う(7-7)。
力と力のぶつかり合いがさらに続く。18分にはペナルティから攻め込まれ、ラインアウトからのモールは止めたものの、持ち出されてトライを奪われてしまうが、24分には帝京が攻め込み、ラインアウトからつなぐ。ラックからFL青木が前進。さらにラックからFL奥井-CTB戒田-FL奥井とディフェンスにつかまりながらもうまくつなぎ、奥井がトライ(14―14)。
互いに譲らない、がっぷり四つの攻防を見せていたが、ここから帝京が怒涛の攻撃を開始する。キックオフからのボールをつなぎ、FL奥井、HO江良、FL青木、SH李、WTB高本(とむ)らが大きく前進し、チャンスを作る。
28分、ラインアウトのボールが乱れるも、CTB五島がうまく拾ってつなぐ。SH李が前進。ラックから持ち出し、HO江良-PR平井と渡り、平井がトライ(21-14)。直後の31分、ラインアウトからつないで前進。ラックからSH李-No.8延原-CTB五島-HO江良とパスが渡り、江良がタッチライン際を走り切ってトライ(26-14)。
この後もFB小村が抜け出し大きなチャンスを作るなど帝京が攻める時間帯が続くが、トライには至らず、26-14で前半を折り返した。
前半、スクラムでは苦しんだものの、前の試合で多発したハイタックルは激減。むしろ、相手のハイタックルでチャンスをもらうケースが多かった。ハーフタイムには気持ちで負けないこと、スクラムの問題点をもう一度、整理することなどが確認された。
後半は、点の取り合いとなった前半とは異なり、互いになかなか点が入らない展開となる。それでも、力と力のぶつかり合い、多くの人に時間の経過を感じさせないほどの熱い攻防が続く。
前半に苦戦したスクラムは押し込む場面、押される場面の両方があり、押されてペナルティを取られると、当然のようにピンチを招く。それでも帝京はFL奥井の再三にわたるジャッカルなどで守り、相手に得点を与えない。FL奥井はタックルでも激しさを見せ、相手の攻撃を寸断する。
だが、帝京もなかなか攻め切れないまま、時計が進む。後半に得点が動いたのは、35分のペナルティから得たチャンス。ラインアウトからモールを形成。押し込みながら、HO江良が持ち出してトライ(33-14)。
直後の38分、攻められる展開ながら、積極的に前に出るディフェンスで相手のノックオンを誘い、CTB五島がこぼれ球をうまく拾ってターンオーバー。No.8延原が前進。ラックからSH上村-LOアスイ-SO本橋(尭)とつなぎ、本橋が抜け出す。自陣からそのまま走り切ってトライ(38-14)。
42分にラインアウトからトライを奪われるが、ここでノーサイド。38-21で帝京が勝利した。
《COLUMN》
―― 学生たちの対応力と創造力 ――
この日は前の試合で多発したハイタックルという課題の克服が一つのテーマだったと思います。春に試合が中止となってしまった明治大学とのゲームですから、当然、勝敗も重視されます。ペナルティを減らすことは勝利に近づくための大きな要因ですから、前回多発したハイタックルを減らすことは、まさに一石二鳥の効果をもたらすものと言えました。
試合では、「0」とまでは行きませんでしたが、前の試合に比べれば激減と言っていいほど減らすことができました。
この点について、試合後、相馬監督は目を細めながら「本当にいい子たちですよね。課題に対する対応力と、それだけじゃなく、そこから『どうすればハイタックルを減らせるか』を自分たちでさらに深く考え、話し合って、実行したのですから」と学生たちを評し、課題への対応力と指導されたことに自分たちで考えたことをプラスする彼らの創造力を讃えました。
一方、この日はスクラムが課題として出てきました。この夏を通じて、スクラムはずっと課題だったそうですが、相馬監督はこれも「次のステップへ進むために必要な停滞」と捉えているようです。たとえが適切かどうかわかりませんが、昆虫がさなぎから成虫へと羽化しようとしている状態を想像してしまいました。
傍目には必死にもがいているようにも見えるのですが、羽化に成功したあかつきには、立派な成虫の姿に変わっている。そんなイメージです。
夏を通じて課題だったと言いますから、おそらくFW陣たちは毎日のようにスクラムについて語り合い、組み合い、またそこから得た課題について語り合ってきたことでしょう。スクラムは、ハイタックルのようにすぐには結果に結びつかないかもしれません。それでも、対応力と創造力で克服してくれると信じています。
ここから始まる対抗戦、そして大学選手権での学生たちの「羽化」に注目していきたいと思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)
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