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2024/9/29【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2024/9/29【 関東大学対抗戦A 】vs立教大学 マッチレポート

2024/09/29

関東大学対抗戦A 対立教大学戦

9月29日(日)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学85-7立教大学●

《BRIEF REVIEW》

対抗戦第3戦は立教大学との試合。前節にいい戦いをして勢いに乗る相手に対して、帝京は自分たちのラグビーができるかどうかがカギになる。

帝京は開始早々、ペナルティやミスから守りの時間帯となる。それでも帝京はディフェンスでプレッシャーをかけ、相手のペナルティからゴール前へと攻め込む。9分、ラインアウトから展開。HO當眞が前進。さらにFL青木が前進し、ラックから、SH李-SO大町-WTB森と渡り、森が抜け出してトライ(7-0)。

ここから帝京が勢いに乗っていく。直後のキックオフから、LO蔵森、FL青木が前進。パスを受けたWTB生田がさらに大きく前進。ラックから、SH李-SO大町と渡り、大町がキックパス。これをFB石原がうまくキャッチし、タックルを受けながらも前進してトライ(12-0)。

14分にはラインアウトから展開。SO大町が仕掛けて前進。LO本橋(拓)にパスし、本橋が前進。さらにSH李パスし、李がタックルをはずして走り切ってトライ(17-0)。

その後、WTB生田が抜け出し、前方へキック。惜しくもトライにはならなかったが、ここからの相手ボールのゴールライン・ドロップアウトからチャンスを作る。21分、難しいバウンドをNo.8ダウナカマカマがうまく足でトラップして前進。ラックから、SH李-CTB佐藤(楓)と渡り、佐藤が前方へキック。これをWTB森がうまくつかんで、そのまま走り切ってトライ(24-0)。

29分には、スクラムでの反則でフリーキックをもらい、No.8ダウナカマカマがタップキックから前進し、そのままトライ(31-0)。

さらにキックオフからの32分、WTB生田、FL青木が前進。青木がタックルを受けながら、生田にパスし、生田が抜け出してトライ(38-0)。

その後、ミスや相手の好タックルなどもあるが、帝京の攻撃は緩まない。40分、ラインアウトからモールを押し込み、HO當眞がトライ。43-0で前半を折り返した。

後半も帝京の攻撃が止まらない。

6分、ラックでPR森山がターンオーバー。SH李から走り込んでもらったFL青木へと渡り、青木が抜け出してトライ(50-0)。

このあと、帝京にシンビンが出て、一人少ない状態を強いられるが、それでも帝京の攻撃は続く。12分、スクラムから展開。FB石原、WTB森らが前進。ラックから、SH李-SO大町-FB石原と渡り、石原が抜け出し、走り切ってトライ(57-0)。

続く14分、キックオフからつなぐ。PR平井、FLグアイニ、HO當眞らが前進。ラックから、SH李-SO大町-CTB上田と渡り、上田が抜け出し、走り切ってトライ(64-0)。

その後、No.8ダウナカマカマのインゴール・ノックオンなど惜しいプレーなどもあるが、逆に攻め込まれる時間帯となる。26分、ペナルティから攻め込まれ、トライを許してしまう(64-7)。

だが、ここからは再度、帝京の時間帯となる。ミスも出るが、主導権は渡さない。32分、ラインアウトからつなぐ。SH上村から、ラックサイドに走り込んだ坪根にパスし、坪根が抜け出してトライ(71-7)。

34分、ラックでターンオーバー。PR依藤がうまく拾う。ラックからSH上村-PR清水-CTB新澤-WTB森-FL甲斐と渡り、甲斐が抜け出し、走り切ってトライ(78-7)。

このあと、ペナルティが重なり攻め込まれるが、ゴール前での相手ボール・ラインアウトを、FL青木がスチール。さらに攻められるが、41分、FL甲斐、CTB新澤のダブルタックルでノックオンを誘い、ターンオーバー。SH上村-SO大町-CTB上田-WTB日隈と渡り、日隈が大きく前進。日隈がタックルを受けながらも、SH上村にパスし、上村が走り切ってトライ。

帝京が85-7で対抗戦第3戦に勝利した。


《COLUMN》
―― キャプテンのいい表情がチームに与える影響 ――

この日の試合後の記者会見で、青木恵斗キャプテンは「これまで自分はチームにいい表情を見せることができていなかった。自分がいい表情を見せることでチームにいい影響を与えることができるので、それを意識した」と述べました。

記者さんたちから「それはどのようにして気付いたのか」と問われ、青木キャプテンは「帝京の森ゼミで学んだ」と答えました。

森ゼミとは、帝京大学森吉弘特任准教授(元NHKアナウンサー)が定期的に開催しているゼミ形式の連続講義です。コミュニケーションについて学ぶ講義ですが、その中で青木キャプテンは「表情が周囲に与える影響」という内容が、いま自分が置かれている立場や、チームに対して考えていることに合致していると捉え、「自分が常にいい表情をしていれば、チームにもいい影響を与えることができる」と解釈したと言います。

森先生はゼミの中で「表情が周囲に与える影響」だけを話したわけではありませんし、ましてや青木キャプテンがチームに対してどんなことを考えているのかを知っていたわけでもありません。たくさんの話の中で「表情が周囲に与える影響」が青木キャプテンのアンテナに引っかかり、さらに「チームをよくするために使うことができる」と認識して、実践したのです。

人間は自身が重要だと思ったこと、重要だと思っていることに関係があると思ったことに対しては、認識力が高まります。逆に興味のないことは、耳では聞こえていても、脳がスルーしてしまいます。

青木キャプテンが「表情が周囲に与える影響」を強く認識したのは、もともとそれが重要だと思っていた、あるいは常々重要だと考えている「どうすればキャプテンとしてチームにいい影響を与えることができるか」に関係があると思ったからでしょう。「チームにいい影響を与えたい。そのための方法は何だろう」というアンテナを張っていたので、人によってはスルーしてしまいかねない情報が受信できたのです。

そして、この情報を「チームのために活かすには」と考え、試合で実践しました。まさに彼の大きな成長を示していると言えるのではないでしょうか。

青木キャプテンの成長曲線の角度が、これまで以上に急な右肩上がりになってきたようです。そして、これはチームの成長曲線も右肩上がりになることを意味しています。今シーズンは当初から「成長度がカギ」と言われていました。どこまで成長してくれるのか。次戦以降がとても楽しみです。

(文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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