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2025/1/13【 第61全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs 決勝 マッチレポート
2025/01/14
第61回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 決勝 対早稲田大学戦
1月13日(月・祝)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学33-15早稲田大学●
《BRIEF REVIEW》
いよいよ迎えた大学選手権決勝。対戦相手は夏の菅平、そして秋の対抗戦で2連敗している早稲田大学。スクラムと接点で前に出られるかが、大きなポイントとなりそうだ。
キックオフ直後、いきなりミスが出て、相手ボールのスクラムとなる。このスクラムを押し込み、ペナルティをもらう。風上からSO本橋(尭)の長いキックでチャンスを作る。ラインアウトが乱れ、キックの蹴り合いからWTB日隈のナイスタックルで相手をタッチに押し出す。
5分、パスが乱れたボールを相手がキック。CTB上田が拾ってつなぐ。FL青木が相手を弾き飛ばして大きく前進。オフロードパスをSH李がうまくキャッチし、PR森山にパス。森山が抜け出して帝京が先制トライを奪う(7-0)。
さらに、相手のラインアウトを奪ってチャンスを作る。12分、スクラムで得たフリーキックから、LOダウナカマカマがタップキックしてつなぐ。ラックから、SH李-FL青木とつないで、青木がトライ。14-0とリードを奪う。
このまま勢いに乗るかと思われたが、キックオフ後のミス、さらにペナルティもあり、ピンチを招く。15分、ラインアウトからつながれ、トライを奪われる(14-7)。その後、また帝京にペナルティが増え、攻められるも、乱れたボールをキックし、ピンチを逃れる。
ただ、さらに帝京のペナルティがあり、ピンチとなる。24分、ラインアウトからつながれ、トライを奪われる(14-12)。さらにピンチもあるが、FL森元のジャッカル(スチール)で防ぐ。
前半終了間際、ゴール前でペナルティをもらうが、PGを狙わず、タッチキックでトライを狙いに行く帝京。FWが真っ向から体を当て続けるが、ここは得点を取り切れず、14-12でハーフタイムを迎えた。
後半は開始早々、PGを決められ、14-15と逆転を許す。
しかし、帝京はまったくひるまず、攻守で力強く前に出続ける。ラックでターンオーバーしてチャンスを作ると、つないで前進。PR森山がインゴールまで運び、一度はレフリーのトライの笛が鳴るが、TMOとなり、グラウンディングが認められずにノートライとなる。
ただ、ペナルティのアドバンテージをもらっており、帝京のPKから再開。これをタップキックからつないで、LOダウナカマカマ、FL青木が前進。ラックから、LO本橋(拓)が持ち出してトライを奪い、21-15と帝京が逆転する。
その後、相手に走られ、ピンチとなるが、ゴール前で全員が必死のディフェンスで守る。この日、常に優勢だったスクラムでペナルティをもらい、ピンチを脱する。
さらに攻められる時間帯もあるが、ラックで前に出てターンオーバー。帝京があらゆる局面で相手にプレッシャーをかけ続ける。
27分、スクラムでペナルティをもらい、チャンスを作る。ラインアウトからつなぎ、No.8倉橋、SO本橋(尭)らが前進。ラックから、LOダウナカマカマが持ち出してトライ(28-15)。
この日は、SH李のボックス・キックが再三、好タッチキックとなる。相手の風上からの長いキックで攻め込まれる場面もあるが、LO本橋(拓)らの好タックルで防ぐ。さらに、スクラムでペナルティをもらい、ピンチを脱出。その後もLOダウナカマカマの好タックルで相手のミスを誘うなど、帝京の激しさは衰えない。
37分、キックカウンターから連続攻撃。ラックから、SH李-No.8倉橋-FB小村-CTB上田-WTB日隈と渡り、日隈が相手ディフェンスを3人かわして、抜け出し、走り切ってトライ(33-15)。
終了間際、ゴール前まで攻め込まれるが、帝京は好タックル連発で止め続ける。SH上村が相手SHに仕掛け、ターンオーバー。CTB五島が拾って前進。抜け出すかに見えたが、つかまり、ラックとなる。ここでタッチに蹴り出し、ノーサイド。
帝京が33-15で勝利し、4年連続13回目の大学選手権優勝を決めた。
《COLUMN》
―― 過去の評価は変えられる ――
大学選手権決勝は、帝京が33-15で勝利し、4年連続13回目の大学選手権優勝を手にしました。優勝13回は明治大学と並んで歴代2位タイです(1位は早稲田大学の16回)。
今シーズンの大学選手権、帝京は対抗戦2位枠での出場。対戦相手の早稲田大学は、対抗戦で帝京に勝ち、1位枠での出場でしたので、「力は拮抗していて、好ゲームになるのは間違いないが、早稲田大学がやや優勢ではないか」というのが、マスコミ等の大方の予想でした。
その根拠には、対抗戦で帝京が17-48と早稲田大学に大敗していることがありました。たしかにこの時は、スクラムでも接点でもランでもキックでも、多くの局面で帝京が劣勢を強いられました。
しかし、青木キャプテンはマスコミ等の事前の評価など、一切、気にしていませんでした。優勝祝賀会の会場で話を聞いたところ、「自分たちが成長していて、決勝戦は優勝できる自信しかなかったので、何を言われようが気になりませんでした」と力強く答えてくれました。
そして、青木キャプテンも他の学生たちも「対抗戦で早稲田大学さんに負けたことで、自分たちの弱さと向き合うことができた」と語っています。
対抗戦で17-48というスコアで敗戦したという事実は変えられません。しかし、その事実に対する評価は、その後の行動次第で変えることができます。
敗戦という事実を突きつけられ、その直後、学生たちはひどく落ち込んだと思います。自分たちがそれまでやってきたことは間違いだったのではないかという気持ちになり、不安も募ったに違いありません。
この敗戦という事実は、当然、悔しいですし、大学日本一という目標に辿り着けないかもしれないという不安感が高まり、一度はつらい記憶として刻まれたはずです。完敗と言える敗戦でしたし、つらいこと、悔しいこと、嫌なことと評価されるのは当然です。
しかし、学生たちはそんなつらさや悔しさ、不安といった嫌なことを乗り越え、その後の努力によって「あの敗戦のおかげで、自分たちの弱さに気付き、向き合い、チームも生まれ変わることができた」という評価に変えることができました。
嫌な記憶、思い出すだけで悔しい記憶ですが、それに対する評価については完全にポジティブなものに変えることができたのです。
過去を引きずるか、過去を糧にするか。それによって未来も変わってくる。4年連続13回目の優勝は、それを証明してくれた優勝でもありました。
今後の人生の中で、ネガティブな出来事と遭遇することもたくさんあると思います。その過去の出来事そのものは変えられなくても、その後の行動次第で、過去の評価はポジティブなものに変えることができます。
そんな思考を思い出して、学生たちが卒業後もすばらしい人生を歩んでくれることを願っています。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳 和田八束)
1月13日(月・祝)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学33-15早稲田大学●
《BRIEF REVIEW》
いよいよ迎えた大学選手権決勝。対戦相手は夏の菅平、そして秋の対抗戦で2連敗している早稲田大学。スクラムと接点で前に出られるかが、大きなポイントとなりそうだ。
キックオフ直後、いきなりミスが出て、相手ボールのスクラムとなる。このスクラムを押し込み、ペナルティをもらう。風上からSO本橋(尭)の長いキックでチャンスを作る。ラインアウトが乱れ、キックの蹴り合いからWTB日隈のナイスタックルで相手をタッチに押し出す。
5分、パスが乱れたボールを相手がキック。CTB上田が拾ってつなぐ。FL青木が相手を弾き飛ばして大きく前進。オフロードパスをSH李がうまくキャッチし、PR森山にパス。森山が抜け出して帝京が先制トライを奪う(7-0)。
さらに、相手のラインアウトを奪ってチャンスを作る。12分、スクラムで得たフリーキックから、LOダウナカマカマがタップキックしてつなぐ。ラックから、SH李-FL青木とつないで、青木がトライ。14-0とリードを奪う。
このまま勢いに乗るかと思われたが、キックオフ後のミス、さらにペナルティもあり、ピンチを招く。15分、ラインアウトからつながれ、トライを奪われる(14-7)。その後、また帝京にペナルティが増え、攻められるも、乱れたボールをキックし、ピンチを逃れる。
ただ、さらに帝京のペナルティがあり、ピンチとなる。24分、ラインアウトからつながれ、トライを奪われる(14-12)。さらにピンチもあるが、FL森元のジャッカル(スチール)で防ぐ。
前半終了間際、ゴール前でペナルティをもらうが、PGを狙わず、タッチキックでトライを狙いに行く帝京。FWが真っ向から体を当て続けるが、ここは得点を取り切れず、14-12でハーフタイムを迎えた。
後半は開始早々、PGを決められ、14-15と逆転を許す。
しかし、帝京はまったくひるまず、攻守で力強く前に出続ける。ラックでターンオーバーしてチャンスを作ると、つないで前進。PR森山がインゴールまで運び、一度はレフリーのトライの笛が鳴るが、TMOとなり、グラウンディングが認められずにノートライとなる。
ただ、ペナルティのアドバンテージをもらっており、帝京のPKから再開。これをタップキックからつないで、LOダウナカマカマ、FL青木が前進。ラックから、LO本橋(拓)が持ち出してトライを奪い、21-15と帝京が逆転する。
その後、相手に走られ、ピンチとなるが、ゴール前で全員が必死のディフェンスで守る。この日、常に優勢だったスクラムでペナルティをもらい、ピンチを脱する。
さらに攻められる時間帯もあるが、ラックで前に出てターンオーバー。帝京があらゆる局面で相手にプレッシャーをかけ続ける。
27分、スクラムでペナルティをもらい、チャンスを作る。ラインアウトからつなぎ、No.8倉橋、SO本橋(尭)らが前進。ラックから、LOダウナカマカマが持ち出してトライ(28-15)。
この日は、SH李のボックス・キックが再三、好タッチキックとなる。相手の風上からの長いキックで攻め込まれる場面もあるが、LO本橋(拓)らの好タックルで防ぐ。さらに、スクラムでペナルティをもらい、ピンチを脱出。その後もLOダウナカマカマの好タックルで相手のミスを誘うなど、帝京の激しさは衰えない。
37分、キックカウンターから連続攻撃。ラックから、SH李-No.8倉橋-FB小村-CTB上田-WTB日隈と渡り、日隈が相手ディフェンスを3人かわして、抜け出し、走り切ってトライ(33-15)。
終了間際、ゴール前まで攻め込まれるが、帝京は好タックル連発で止め続ける。SH上村が相手SHに仕掛け、ターンオーバー。CTB五島が拾って前進。抜け出すかに見えたが、つかまり、ラックとなる。ここでタッチに蹴り出し、ノーサイド。
帝京が33-15で勝利し、4年連続13回目の大学選手権優勝を決めた。
《COLUMN》
―― 過去の評価は変えられる ――
大学選手権決勝は、帝京が33-15で勝利し、4年連続13回目の大学選手権優勝を手にしました。優勝13回は明治大学と並んで歴代2位タイです(1位は早稲田大学の16回)。
今シーズンの大学選手権、帝京は対抗戦2位枠での出場。対戦相手の早稲田大学は、対抗戦で帝京に勝ち、1位枠での出場でしたので、「力は拮抗していて、好ゲームになるのは間違いないが、早稲田大学がやや優勢ではないか」というのが、マスコミ等の大方の予想でした。
その根拠には、対抗戦で帝京が17-48と早稲田大学に大敗していることがありました。たしかにこの時は、スクラムでも接点でもランでもキックでも、多くの局面で帝京が劣勢を強いられました。
しかし、青木キャプテンはマスコミ等の事前の評価など、一切、気にしていませんでした。優勝祝賀会の会場で話を聞いたところ、「自分たちが成長していて、決勝戦は優勝できる自信しかなかったので、何を言われようが気になりませんでした」と力強く答えてくれました。
そして、青木キャプテンも他の学生たちも「対抗戦で早稲田大学さんに負けたことで、自分たちの弱さと向き合うことができた」と語っています。
対抗戦で17-48というスコアで敗戦したという事実は変えられません。しかし、その事実に対する評価は、その後の行動次第で変えることができます。
敗戦という事実を突きつけられ、その直後、学生たちはひどく落ち込んだと思います。自分たちがそれまでやってきたことは間違いだったのではないかという気持ちになり、不安も募ったに違いありません。
この敗戦という事実は、当然、悔しいですし、大学日本一という目標に辿り着けないかもしれないという不安感が高まり、一度はつらい記憶として刻まれたはずです。完敗と言える敗戦でしたし、つらいこと、悔しいこと、嫌なことと評価されるのは当然です。
しかし、学生たちはそんなつらさや悔しさ、不安といった嫌なことを乗り越え、その後の努力によって「あの敗戦のおかげで、自分たちの弱さに気付き、向き合い、チームも生まれ変わることができた」という評価に変えることができました。
嫌な記憶、思い出すだけで悔しい記憶ですが、それに対する評価については完全にポジティブなものに変えることができたのです。
過去を引きずるか、過去を糧にするか。それによって未来も変わってくる。4年連続13回目の優勝は、それを証明してくれた優勝でもありました。
今後の人生の中で、ネガティブな出来事と遭遇することもたくさんあると思います。その過去の出来事そのものは変えられなくても、その後の行動次第で、過去の評価はポジティブなものに変えることができます。
そんな思考を思い出して、学生たちが卒業後もすばらしい人生を歩んでくれることを願っています。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳 和田八束)
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